議運に諮問をする
2020/07/16記
 行政視察を行う中で、他市の議会運営について話を聞くことが多くあり、特に議会運営委員会の視察では考えさせられることも多くある。歴史の長い木更津市議会の運営は過去からの積み重ねで出来ているが、時代に応じて修正が必要か検討することは重要であり、検討の結果、現行が良いとなればそれも結論と思う。
 議長に就任後、検討が必要と思われる幾つかの点をまとめていたが、オスプレイ暫定配備要請、台風襲来、コロナ禍等、次々と対処すべき多くの事案に私だけでなく議会事務局も忙殺され、新しい取組を始められる状況ではなかった。
 しかし、議長就任就任から1年以上が経過し、残る任期を考えると検討の開始が必要と思いを強くし、本日開催された議会運営委員会において、木更津市議会として検討を進めて欲しい下記の6項目を検討していただくよう斉藤高根委員長に諮問をした。
 
1. 3月議会における当該年度関係議案の委員会付託省略の是非について
2. 常任委員会委員の任期について
3. 政務活動費のうち旅費交通費の扱いについて
4. 予算審査特別委員会及び決算審査特別委員会に総務委員長が選任され委員長となる件について
5. 議会報告会の開催について
6. 通年議会の採用について
 
 諮問を行った背景は次の通りである。
 
1.3月議会における当該年度関係議案の委員会付託省略の是非について
 現状は3月議会における当該年度の補正予算を始めとする諸議案は委員会付託を行わず、議会初日に本会議での質疑を経て採決されている。これは3月議会の補正予算は年度末における清算行為であったため特段の審議が必要ではなかったためである。
 しかし、近年は政府による大型補正が年度末に多発する状況なので、年度末に新規事業が計画される事例も多く有りながら十分な理解を行うための審議がされていない状況にある。また、国会における法案成立を受け、補正予算以外の案件も多く上程されていながら審議が行われていない。
 このためには申し合わせ事項第3条4項(1)を廃止し、全議案とも委員会付託を原則とすれば良く、袖ケ浦市議会では原則として委員会付託を行っているので、木更津市もその様に変更する事を検討すべきと思う。
 
2.常任委員会委員の任期について
 現状は改選までの4年間は同一の委員会に所属する事になっており、その分野に精通した議員を育てるという点からは良い制度であるが、一方で多くの分野を理解したい議員にとっては4年間移動がない事は障害になる事も考えられる。
 また、特定の委員会に新人が集中するような事態になった場合には審査力の低下が見受けられるし、委員会を通じて人事の交流も図れるという利点もある。
 再任を妨げない事を条件に委員会の移動を認めることは視察に行った多治見市で行われていたが、検討の余地はあると考える。
 
3.政務活動費のうち旅費交通費の扱いについて
 現状では政務活動費の総額と項目別の支出状況は公開しているが、交通費についてはタクシ−等の使用が行われる場合も多く、宿泊についても1泊2食の基本型ではなく1泊朝食で宿泊して食事は街中で摂る事例も多く、支給と使用実態が一致していない。
 旅費規程について検討することも必要となるが、領収書公開が求められたときに対応できるよう、実費精算を具体化するなど、公明正大な対処を行う事が必要となるだろう。
 
4.予算審査特別委員会及び決算審査特別委員会に総務委員長が選任され委員長となる件について
 現状では慣例で総務常任委員会委員長が両審査の議事進行を行う委員長に就任している。その結果、他の委員長に比べ、総務委員長の負担は突出して大きくなっている。また委員長排出会派は委員会に多数の人員を出すこととなり、仮に4人の会派で正副議長と委員長を輩出した場合は毎回全員が参加する事態となってしまう様な問題もある。
 他市の議会では特別委員会に選任された委員での互選で委員長を輩出しており、総務委員長が必ず特別委員会に選任されるような事例は少ない。
 
5.議会報告会の開催について
 常任委員会による各種団体との意見交換は始めたものの市民を対象とした議会報告会は実施していない。議会基本条例の制定過程で議会報告会についての議論はあったが、議論が煮詰まっていない状況下で、最終的には条項に加えなかった。
 近隣3市では袖ケ浦市の「カフェ ド ぎかい」の様に意見交換会を実施している。一方で参加者がいつも同じ顔触れになることや特定の主張を持った人に偏ることが否めないという問題点や、参加者が少なくても行う意義が有るのかという問題もある。
 会津若松市のように会の設営を区長会に任せることで地域住民の参加を増やす方法も考えられるし、多治見市が行うように委員会の研究テーマに関する意見広聴という位置づけもあり得る。総合的な検討を続ける必要があると思う。
 
6.通年議会の採用について
 現状では通年議会は採用していない。そのため、昨年の台風対応や今回のコロナ対策が続くと専決処分や臨時議会が多発されることに成る。議会としては基本的に何時でも審議して議決できる体制を整えるべきと思う。
 右表は令和2年1月15日に発行された「全国市議会旬報」から引用しているが、全国の状況を見ると平成23年の四日市市議会から開始され平成30年度で35市議会まで拡大されている事が解る。関東では東京都で2市2区、神奈川県で3市、茨城県で2市が採用しているが、千葉県は記載が無く採用されたという話も聞いていない。
 議運で2014年に視察した登米市議会によると招集権利が市長から議長に代わる事と臨時議会が容易になる程度で実態に変更はなく、年間を通じて委員会活動が活性化されることと、年中議員活動と示せることがメリットである。多くの自治体が採用していないのは問題点も有るからで、多方面からの検討が必要だと思う。
 
 簡単に結論が出せるような話もあるし、次の選挙までに結論を出すことが難しいと思われる項目もあるが、議会はどうあるべきかという視点に立って議論が起きたらと願いながら、今後の議会運営委員会での議論を楽しみにさせていただこうと思う。