要望書を提出する
2020/09/01記
 オスプレイの定期機体整備が開始され、当面の運用方針が防衛省から説明がされ、秋には木更津基地での新たな定期機体整備が始まるものと想定される中、今年も國吉副議長、永原委員長、齋藤副委員長とともに北関東防衛局を訪問し、基地対策要望書を松田局長に提出し、他の期間への進達をお願いしてきた。
 翌月から訓練飛行を開始する予定のオスプレイに関する環境問題等は実際に飛行状況を確認した近隣住民からの意見を反映する協議会や委員会で検討する事になる前提であり、その結果として要望書等の検討も行うと思うが、今回の要望書は国の翌年度の予算要望に併せて木更津への対応を求める趣旨が強いものである。
 
 本年の要望書の内容は下記の通りである。
 
 
基地対策関係施策に関する要望書
 
 木更津市は、陸海空の3つの自衛隊が所在しており、市議会としては国防を担う自衛隊と本市民が良好な関係を維持するため、国有提供施設等所在市町村助成交付金等も活用し、本市民の生活環境、とりわけ基地周辺住民の生活環境及び本市の福祉等の維持向上に努めています。
 しかしながら、ここ数年の間に米海兵隊所属のオスプレイ定期機体整備受け入れに始まり、加えて本年5月には米海軍所属のオスプレイ定期機体整備も本市で行う計画であるとの説明を受けたところです。また昨年暮れには陸上自衛隊が所有予定のオスプレイの暫定配備を本市とすることに対し条件付きで容認し、去る7月10日には1機目の暫定配備がなされたところです。本市議会としては、これらを大きな態様の変化と認識をしています。また、諸課題解決のための協議会設置がなされたことは評価をしているところですが、今後、基地周辺住民や本市民への負担増となることは明白です。先に貴省と本市が取り交わした合意書の遵守も合わせ、このような状況にある事を十分ご賢察いただき、次の事項の実現を図るよう強く要望します。
令和2年8月28日
防衛大臣    河野太郎 様
防衛装備庁長官 武田博史 様
地方協力局長  鈴木敦夫 様
北関東防衛局長 松田尚久 様
  
千葉県 木更津市議会 議長 近藤 忍
基地政策特別委員会委員長 永原利浩
 
1. 新たに設置された木更津駐屯地に関する協議会にて諸課題の改善、解決を図ること
 
 令和2年6月に設置された本協議会、とりわけ実情を良く知る者が参加する部会において、オスプレイ関係のみならず、基地がある故に既に生じている諸課題がより明確化されるものと考え、以下の3点を要望します。
 
・議会並びに協議会に対して、情報提供を直接、適切かつ速やかに行うこと。
・本協議会において明確化された諸課題の改善、解決のための方策に誠意をもってあたること。
・木更津市に所在する陸海空の自衛隊に対しては、今まで以上の安全対策を徹底し、市民の安全安心確保のための対策を行うこと。
 
2. 基地周辺対策経費の所要額を確保すること
 
 特定防衛施設周辺整備調整交付金は、市民の基地に対する理解と協力を得るために重要な財源であり、本市もこの交付金を活用し生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しています。しかしながら基地の所在による特殊な財政需要の増大により厳しい財政状況であることには変わりがないことを鑑み、以下の3点を要望します。
 
・米海兵隊オスプレイの定期機体整備の受け入れ、加えて陸自オスプレイの5年間の暫定配備による態様の変化に伴う諸課題解決のための所要額を確保すること。
・防災行政無線のデジタル化事業等、市民の安全確保につながる事業の一部については来年度以降も引き続き支援いただくこと。
・平成27年度より工事に着手された江川総合運動場の内、陸上競技場は昨年6月に完成し、市民のスポーツ振興憩いの場として供用を開始しました。残る野球場及びサッカー場の整備を予定通り完成させること。また、貴省による基盤整備工事に続き、市による運動施設整備工事が行われますので市の事業に対する助成予算の確保を行うこと。加えて、貴省の基盤整備工事に伴い周辺にある既存道路の損傷が見られますので、全ての施設完成後に補修を行うこと。

 
3. 基地周辺地域の生活環境の維持向上に努めること
 
 現状を踏まえ、以下の5点を要望します。
 
・飛行場周辺地域における騒音環境基準(現行62db)を航空機騒音の環境基準(現行57db)まで引き下げるとともに、騒音環境被害の実態と、場周経路下に居住する住民の生活環境を保障するため、補助対象区域を拡大すること。
・近年、夜間における飛行訓練が続き、離発着訓練が終わった後もエンジン音により近隣住民の環境は悪化しておりますことから、自衛隊機及び米軍機の訓練や定期機体整備に伴う米海兵隊オスプレイの飛行は飛行場運用規則に従って適正に行い、夜間早朝等の騒音被害を生じさせる事のないよう対策すること。
・夜間や早朝の騒音の実態を把握するため、貴省において騒音計を設置したうえで24時間の騒音測定を行い、その結果を公開するとともに、航空機等から発せられる低周波被害についても実態を調査し、必要な対策を講ずること。
・緑地帯や緩衝地帯については風による住宅地等への枝葉の飛散という苦情に対し、松の木の剪定も行われましたが、引き続き地域の生活環境を悪化させないよう適切な管理を維持すること。
・木更津駐屯地内に保有する人体に影響のある薬剤及び危険物については、適切に保管、処理を行い、報告すること。
 
4. 地域との共生に努め防災や産業活性化に寄与すること
 
 木更津駐屯地は一昨年3月に新編された陸上総隊の一翼を担う第一ヘリコプター団の常駐により、日本国内はもとよりアジア各地の災害に対応する能力を備えていると考えます。また、市民のみならず地域企業との共生に努めることは非常に重要であると考えることから、以下の2点を要望します。
 
・木更津駐屯地は地元自治体との災害時の協力体制を深化させ、発災時における住民の安全確保に寄与すること。
・木更津産農作物等の糧食、物品の地元調達を促進するとともに、防衛施設関係工事及び維持修繕等の地元企業の受注機会の確保や市民の雇用を積極的に行うよう指導すること。
 
 前日に可決された段階で内容を送信しておいたので、提出と同時に口頭でその回答を得ることが出来たが、それについては議会事務局が公式文書として整理するまで記載することは控えたい。
 過去には個人的な意見も記載しているが、委員会で私のHPを引用して質問した議員がおり、特に現在はナイーブな状況に有るため議長の意見として曲解される危惧を恐れての対応である。
 申し訳ないがご理解いただきたい。
 
 ところで本日から議会での一般質問が開始された。扶桑クラブ代表の大村議員がv-22オスプレイに関する質問を行っていたが、昨日の特別委員会で議論された内容だと思う議員もいただろう。
 議会としての議事録を残すことが議員の務めと私も考えるので、既に議論された内容を改めて聞き、既知である答弁を求めて敢えて本会議の議事録に残す行為については否定しない。しかし、聞いている議員は何を今更と思うだろう。
 私は6月定例議会後から下記の通りオスプレイを巡る状況変化が多すぎ、質問に反映する事は大変だろうと思うのである。
 
 6月16日 6月定例会最終日
 6月18日 PFOS消化剤が木更津基地に有ったことの報告
 6月19日 木更津駐屯地に関する協議会の第1回会議の開催
 7月06日 オスプレイ初号期飛来予定(中止)
 7月10日 オスプレイ初号期飛来 暫定配備が開始
 7月16日 基地政策特別委員会協議会
 7月20日 臨時議会
 7月30日 基地政策特別委員会協議会
 7月31日 岩田防衛大臣政務官の表敬訪問
 8月05日 基地政策特別委員会協議会
 8月17日 9月定例会の質問項目の通告日
 8月18日 防衛省からV-22の当面の運用について議長説明
 8月23日 区長及び漁組部会にV-22の当面の運用を説明
 8月26日 市役所の要望書を防衛省に提出
 8月27日 9月定例会初日 基地要望書の発議案可決
 8月28日 市議会の要望書を防衛省に提出
 8月31日 基地政策特別委員会にV-22の当面の運用を説明
 9月01日 一般質問の開始(先ずは大村議員の質問)
 
 6月定例会が終わってからの状況を考えて8月17日に質問項目を整理して通告したものの、その後に多くの情報が飛び交うことになっている。その上、質問の初日である1日に大村議員の質疑を受け、明日の2日に質問する田中・鈴木議員がオスプレイの質問を行い、3日の高橋議員も更に重ね、4日の堀切議員が5人目として質問を行う状況を考えると、多くの質疑や答弁が繰り返される事で既知の情報が増え、重複していない質問を選び、更新していくことは大変だろうと思う。
 
 9月23日に今定例会中で2回目となる基地政策特別委員会が開催される予定である。当然その前に陸上自衛隊オスプレイの飛行が始まっていることだろう。頻繁に変わる事で情報が直ぐに古くなる事態に置かれた議会質問とは何だろうかと考えながら今回の記載を行った。