四市往来を調べる
2020/12/09記
 かずさ四市現状を伝える資料を創ろうと考える中で結びつきの状況がどう変わっているのかが気になってきた。
 特に、2002年に「かずさ四市合併を考える署名活動の会」の一員としてデータを整理する中で作成した1995年のデータはアクアラインの開通(1997年12月18日)以前なので、高速バスが普及した現在との差を知りたくなった。
 本年は国勢調査の年であるが結果が取りまとめられるのは来年を待つ必要があるうえにコロナでリモートワークが推進されるなど特異な年になっていると思われるので、前回の国勢調査のデータを元にして就業・通学の状況を比較してみたので報告する。
 
 まずは今から25年前になる1995年10月1日現在のデータを掲載する。
1995年(平成7年)国勢調査 単位 木更津市 君 津 市 富 津 市 袖ヶ浦市 四市合計
全人口 123,499 93,216 54,273 57,575 328,563
就業・通学人口 72,171 53,562 31,517 33,105 190,355
就業・通学人口/全人口 58.44% 57.46% 58.07% 57.50% 57.94%
木更津市に就業・通学 43,616 8,307 4,240 4,195 60,358
君津市に就業・通学 8,706 33,743 4,827 1,144 48,420
富津市に就業・通学 1,761 3,387 18,330 292 23,770
袖ヶ浦市に就業・通学 4,240 1,615 688 15,891 22,434
四市へ就業・通学の合計 58,323 47,052 28,085 21,522 154,982
市原市に就業・通学 4,669 2,066 948 5,863 13,546
千葉市に就業・通学 4,000 1,860 1,086 2,725 9,671
他県内に就業・通学 1,741 1,093 815 1,075 4,724
千葉県外に就業・通学 3,438 1,491 583 1,920 7,432
木更津市/全就業・通学 60.43% 15.51% 13.45% 12.67% 31.71%
君津市/全就業・通学 12.06% 63.00% 15.32% 3.46% 25.44%
富津市/全就業・通学 2.44% 6.32% 58.16% 0.88% 12.49%
袖ヶ浦市/全就業・通学 5.87% 3.02% 2.18% 48.00% 11.79%
四市合計/全就業・通学 80.81% 87.85% 89.11% 65.01% 81.42%
市原市/全就業・通学 6.47% 3.86% 3.01% 17.71% 7.12%
千葉市/全就業・通学 5.54% 3.47% 3.45% 8.23% 5.08%
他県内/全就業・通学 2.41% 2.04% 2.59% 3.25% 2.48%
千葉県外/全就業・通学 4.76% 2.78% 1.85% 5.80% 3.90%
 
 この表の見方を解説すると、木更津市に居住する123,499人のうち就業・通学をしている者が72,171人で、割合は58.44%である。残る41.56%は幼児・高齢者・失業者・専業主婦等で日常的な就業・通学をしていない人達である。
 就業・通学をしている72,171人のうち自宅を含む木更津市内に通っている者は43,616人、君津市へ行っている者が8,706人と続き、かずさ四市に通っている者の合計数が58,323人で、全就業・通学者の80.81%に達しているということが解る。
 
 東京近郊の多くの都市は都心近郊に通勤・通学して昼間に人口が減少するだけでなく、就業や学業で日中の時間を送る場所が日常生活と異なることで郷土愛が弱くなるという弱点があるが、この段階では四市の就業・通学者の81.42%は四市の内部に留まっているように、有る意味で独立性のある地域であった。
 
 それでは2015年10月1日現在の国勢調査データではどう変わったのだろうか。 
2015年(平成27年)国勢調査 単位 木更津市 君 津 市 富 津 市 袖ヶ浦市 四市合計
全人口 134,141 86,033 45,601 60,952 326,727
就業・通学人口 70,200 46,549 24,280 32,391 173,420
就業・通学人口/全人口 52.33% 54.11% 53.24% 53.14% 57.90%
木更津市に就業・通学 39,399 8,073 3,648 4,755 55,875
君津市に就業・通学 7,728 26,125 4,720 1,354 39,927
富津市に就業・通学 2,252 3,387 12,162 361 18,162
袖ヶ浦市に就業・通学 4,839 1,676 737 13,653 20,905
四市へ就業・通学の合計 54,218 39,261 21,267 20,123 134,869
市原市に就業・通学 4,152 1,701 607 5,372 11,832
千葉市に就業・通学 3,322 1,665 726 2,617 8,330
他県内に就業・通学 1,741 1,215 581 1,067 4,604
千葉県外に就業・通学 5,007 1,879 704 2,465 10,055
木更津市/全就業・通学 56.12% 17.34% 15.02% 14.68% 32.22%
君津市/全就業・通学 11.01% 56.12% 19.44% 4.18% 23.02%
富津市/全就業・通学 3.21% 7.28% 50.09% 1.11% 10.47%
袖ヶ浦市/全就業・通学 6.89% 3.60% 3.04% 42.15% 12.05%
四市合計/全就業・通学 77.23% 84.34% 87.59% 62.13% 77.77%
市原市/全就業・通学 5.91% 3.65% 2.50% 16.58% 6.82%
千葉市/全就業・通学 4.73% 3.58% 2.99% 8.08% 4.80%
他県内/全就業・通学 2.48% 2.61% 2.39% 3.29% 2.65%
千葉県外/全就業・通学 7.13% 4.04% 2.90% 7.61% 5.80%
 
 四市全体で千葉県外への就業・通学が3.90%から5.80%に増加しているものの想像したほどではなく、四市内で完結している就業・通学も77.77%を維持していた。相変わらず袖ケ浦市からは木更津市に通うものより市原市に通うものの方が多いがその差は減少傾向にあることなどが明らかになった。
 変化を解りやすくするため、2015年の値から1995の値を引いた数値の変化を一覧表にしてみた。
 
20年後の変化 単位 木更津市 君 津 市 富 津 市 袖ヶ浦市 四市合計
全人口 10,642 -7,183 -8,672 3,377 -1,836
就業・通学人口 -1,971 -7,013 -7,237 -714 -16,935
就業・通学人口/全人口 -6.11% -3.35% -4.83% -4.36% -0.04%
木更津市に就業・通学 -4,217 -234 -592 560 -4,483
君津市に就業・通学 -978 -7,618 -107 210 -8,493
富津市に就業・通学 491 0 -6,168 69 -5,608
袖ヶ浦市に就業・通学 599 61 49 -2,238 -1,529
四市へ就業・通学の合計 -4,105 -7,791 -6,818 -1,399 -20,113
市原市に就業・通学 -517 -365 -341 -491 -1,714
千葉市に就業・通学 -678 -195 -360 -108 -1,341
他県内に就業・通学 0 122 -234 -8 -120
千葉県外に就業・通学 1,569 388 121 545 2,623
木更津市/全就業・通学 -4.31% 1.83% 1.57% 2.01% 0.51%
君津市/全就業・通学 -1.05% -6.87% 4.12% 0.72% -2.41%
富津市/全就業・通学 0.77% 0.95% -8.07% 0.23% -2.01%
袖ヶ浦市/全就業・通学 1.02% 0.59% 0.85% -5.85% 0.27%
四市合計/全就業・通学 -3.58% -3.50% -1.52% -2.89% -3.65%
市原市/全就業・通学 -0.55% -0.20% -0.51% -1.13% -0.29%
千葉市/全就業・通学 -0.81% 0.10% -0.46% -0.15% -0.28%
他県内/全就業・通学 0.07% 0.57% -0.19% 0.05% 0.17%
千葉県外/全就業・通学 2.37% 1.25% 1.05% 1.81% 1.89%
 
 20年間で木更津市の人口が1万人以上増加しているが君津市と富津市が減少することで全体としては約2千人減少している。それ以上に就業・通学者が約1万7千人も減少しているということは定年退職で職業を持たない高齢者が各市に増えているためであろうと思われ、人口増加している木更津市でも減少していることには驚かされた。
 四市内での就業・通学が約2万人減るように、各市内で行政界を越えない就業・通学も全て減っていた。特に君津市に住み、君津市で働くか学んでいるものは人口減少を越える7,618人も減っている。これは君津で働いている人が袖ケ浦市等に移転したということだと推察されるが細部までは解らない。
 県外への通勤通学が2,623人増加しているがアクアラインバスの充実ぶりを考えると予想より少なく感じるが、今までJR等で都心に行っていた7,432人の多くがバスに転換したと考えれば混雑も妥当と思われる。
 四市と市原・千葉以外の県内他地域への通勤通学者は120人の減少に留まっている。個人的にはアクアライン開通で都心や横浜が近くなった分だけ県内他市が疎遠になっている様に感じていたが値はそうではないことを示している。県内での移動はJRが主と思われるが便数がここまで減っている事を考えると自家用車利用が多いのかも知れない。
 
 数字の分析から様々なことが想像される。今回はアクアラインバスが充実する中でもかずさ四市は都心を見ているより近くで支え合っていることを改めて確認できたことが収穫であった。
 
※他県内に就業・通学の値を一部修正した。