外人の推移を知る
2021/08/13記
 本日、木更津市では27人の新規感染者数が確認され、累計感染者数は1,094人に達した。明日にも残念ながら二桁の感染が確認され、11百人を越えてくるだろうと推察される。
 ワクチン接種が進みつつある日本だけでなく、集団免疫を確保しそうな人口934万人のイスラエルで週平均約4千人、人口約67百万人のイギリスでも週平均2万8千人の新規感染者が確認されている。人口1億2千万人を越える日本ではまだ2万人に達していないので少ないと思うべきかどうかは解らないが、安堵しては成らない状況が続いていることは事実である。
 
 感染拡大を抑制するため、海外との渡航は極めて制限され、多くの在日本外国人が帰国したかのように思っていた。今年の4月に外務省出入国管理庁が発表した2020年の統計では、人数の多い上位10ヶ国のうちベトナムを除く9ヶ国は予想通り減少していたが、在留ベトナム人だけは前年末と比較して8.8%増加していた。
 木更津市における住民基本台帳に登録されている外国人も減っているのだろうと想像し、最新が令和3年7月のデータであったため、毎年7月の状況を調べてみると下表のようにコロナによる渡航制限が多い中でも増加していたことを知った。
時点 住民基本台帳人口 日本国籍 外国籍 外国籍比率
平成23年7月 129,190 127,607 1,583 1.23%
平成24年7月 129,934 128,407 1,527 1.18%
平成25年7月 132,063 130,494 1,569 1.19%
平成26年7月 132,666 131,089 1,577 1.19%
平成27年7月 133,605 131,815 1,790 1.34%
平成28年7月 134,336 132,240 2,096 1.56%
平成29年7月 134,846 132,541 2,305 1.71%
平成30年7月 135,086 132,865 2,221 1.64%
令和元年7月 135,433 132,994 2,439 1.80%
令和02年7月 135,842 133,207 2,635 1.94%
令和03年7月 135,903 133,211 2,692 1.98%
 
 既に木更津市の人口の約2%を占めており、外国籍の人が身近に居ることが不思議とは思えない状況になっている。因みに私の町内は17世帯で構成されているが米国籍1、中華民国(台湾)1で国際化は当たり前の環境にあるようだ。
 
 外国籍2,692人中の国籍内訳を見ると、下表のようにベトナムが最多であることを知る。日本全体と同様にベトナム人の人気が高い(需要が多い)ため木更津市でも順調に人数を増やしており、総数677人は島根県知夫村を含め、人口最小から16自治体の人口より多い数となっている。
国籍 人数 外国籍での比率 全体での比率
最多 ベトナム 677 25.15% 0.50%
第2位 フィリピン 494 18.35% 0.36%
第3位 中国 401 14.90% 0.30%
第4位 韓国・北朝鮮 341 12.67% 0.25%
第5位 ブラジル 125 4.64% 0.09%
その他の国籍 654 24.29% 0.48%
外国人小計 2,692 100.00% 1.98%
日本国籍 133,211 98.02%
木更津市総計 135,903 100.00%
 
 日本の入国管理行政における人権軽視が話題となり、スリランカ人の女性が死亡したことに対する非難の目は内外から注がれている。しかしながら、我が事のように事態を理解しているかと国籍のない在日外国人の人権に関する意識は心許ない。
 幸い、木更津市はベトナムのダナン市やフィリピンのビスリグ市と友好協定を締結している。この2ヶ国で木更津市の在留外国人の約43%に達するし、上位に位置している中国と韓国は日本国内にも構築された支援組織が存在するのでベトナム・フィリピンのように市が人権を守る努力をしなくても何とか成ると思う。
 
 人口が増加傾向にある木更津市でも産業によっては深刻な人手不足を抱えており、日本人では集まらない以上、外国人材に期待したいという向きは強くなっている。
 外国人材が欲しいのは国内の大多数の都市が同じ考えであるだけでなく、出生率が低い韓国や台湾でも東南アジアから多くの人材を受け入れる覚悟であると聞いている。
 保育士が給与や待遇の差で取り合いになって木更津市が負けて昨年は県下最多の待機児童を発生させたように、今後は外国人材の獲得競争に負け、住民福祉が低下するのではないかと私は心配しているのである。
 
 しかしながら給与や住宅の確保という金銭面に加え生活の質まで問われたときには税収が豊かで市街地に活気溢れる大都市と競争することは不可能である。
 木更津市が外国人材の世話にならずに福祉を維持できるという確約が出来ない以上、外国人材が給与が低くて刺激が少なくても木更津市を選ぶように、木更津市が心の故郷になる支援体制が必要であると考えている。その解決策はダナン市とビスリグ市の職員を木更津市に招待し、それぞれの母国の人材に対するケアを行うとともに、母国に向けて積極的な情報発信を行うことで木更津市への愛着を高め、安心感や親密度も向上させることだと考える。
 
 ベトナムやフィリピンだけではなく、今後の移住者の対象としてはボゴール市と友好協定を結んでいるインドネシアやオリンピック・パラリンピックの事前キャンプを受け入れたナイジェリアを視野に入れるべきだと思う。イスラム教国やアフリカ諸国は馴染みがないとはいえ、下表に示すように両国会わせて4億8千万人に達する人口の大きな国で、現在も人口増加中の若い国である。彼の国の若者を木更津に招き両国の橋渡しを出来る人材を育てることも考えるべきではないかと考えている。
国名と順位 人口(10万) 市内順位 備考
1 中国 1,439 第三位
2 インド 1,380
3 アメリカ 331
4 インドネシア 274 ボゴールと友好都市
5 パキスタン 221
6 ブラジル 213 第五位
7 ナイジェリア 206 オリパラキャンプの受入
8 バングラデシュ 165
9 ロシア 146
10 メキシコ 129
11 日本 126
12 エチオピア 115
13 フィリピン 110 第二位 ビスリグと友好都市
14 エジプト 102
15 ベトナム 97 第一位 ダナンと友好都市
 
 明後日にはナイジェリアのパラリンピック選手団が木更津に入り事前キャンプを開始する。一過性の出来事にするのではなく、日本が今後経済的な発展が予想される西アフリカを知る窓口の一つに木更津市が成れたらなと思う事も多い。
 ポルシェエクスペリエンスセンタージャパンの開業や来年度のコストコホールセールジャパンの本社移転などで欧米系の居住者が増える可能性が高いが、視点は今後伸びてくる国々向けるべきだと考えているのであるし、それは先方の国民にも求められていることだと思うのである。
 
 横浜や長崎の中華街、大連のロシア人街など、異国の文化が地域の資源になる事例は洋邦問わず数多い。県境を越えた人の往来や友情関係が普通になっているように、コロナが邪魔をしても世界のボーダーは低くなる事は間違えない。私が北海道に遊びに行くようにアジア各地から日本を目指す流れが出来ても不思議ではないし、今後は発展するアジアのインバウンド事業で生き残ろうと考えていた地域も多かったように思っている。それは自然なことでコロナによる移動自粛が異状なのである。
 
 日本国内の投資が減少してアジア諸国へ投資することで発展する状況は今後も続き、日本の優位性も若干色あせてくると思うが個人的には欧州とアフリカのように激しい格差があるよりは東南アジア諸国がそれなりに豊かに成っていく道を選ぶことの方が豊かであると思う。私が最初の勤務先が兵庫県であったように、ボゴールに生まれたインドネシアの少年が木更津市で働くことが普通になる社会を求めていきたいと願っている。
 
 連日コロナの記事ばかり書いていたので今回は木更津市と外国籍の人達について整理した。このデータは代表質問でも使用する部分があるので予告編と捉えていただいて結構である。