行動規制が強まる
2021/08/17記
 昨日は木更津市で52人の新規感染者数が確認された。その前の最大値は一週間前の月曜日に記録した44人であったので一気に8人も増加した。一日で50人を越える増加が生じるようなら百人感染毎に記録を整理することすら虚しく感じてしまう。
 因みに人口10万人当たり一週間感染者数は103.7人であり、これは8月10日に記録した値と同じで同率2位である。最高は13日に記録した106.7人で、それより下がっている理由は土曜日の感染者数が前週の21人から9人に減少した影響が大きい。
 
 市で最多の感染者を記録した日に千葉県も過去最多の1,609人が確認された。デルタ株の蔓延で世界的に感染は再度拡大しており、日本がオリンピックによる気の緩みと言われているが、オリンピックを開催していない他国も増えており、ワクチン接種が進んだ欧米諸国でも感染者の数は増えている。
 日本では重症者の平均年齢が50代に若返りながら数を増やして医療の切迫を迎えているが、ワクチン接種が進んだ欧米では感染者が増えても重症化するものが少なく、医療崩壊の危機も遠いという判断で経済の再開が進んでいるようだ。ただし経済活動に参加できるのはワクチン接種が条件となる。日本でもワクチンパスポートの利用が議論される要因である。
 
 日本各地で医療資源が足りず、感染しても病院に運ぶことが出来ないという苦悩や、自宅療養中に急変して医療に関わることが出来ずに亡くなるという悲劇が相次ぎ、政府は現在の緊急事態宣言の延長と適用範囲の拡大を決定した。
 具体的には今月いっぱいの我慢だと思っていた緊急事態は来月の12日まで延期され、下表に示すように北関東の3県を含め7府県が蔓延防止等特別措置から緊急事態宣言に格上げになり、新たに宮城県を含む10県で蔓延防止等特別措置が適用になった。それらの期間も全て9月12日の日曜日までである。
区分 8月7日まで 8月8日から 8月20日から 16日の感染者
北海道 蔓延防止 蔓延防止 蔓延防止 357人
宮城県 全面解除 全面解除 蔓延防止 72人
福島県 全面解除 蔓延防止 蔓延防止 64人
茨城県 全面解除 蔓延防止 緊急事態 186人
栃木県 全面解除 蔓延防止 緊急事態 76人
群馬県 全面解除 蔓延防止 緊急事態 119人
埼玉県 緊急事態 緊急事態 緊急事態 1,301人
千葉県 緊急事態 緊急事態 緊急事態 1,609人
東京都 緊急事態 緊急事態 緊急事態 2,962人
神奈川県 緊急事態 緊急事態 緊急事態 2,584人
富山県 全面解除 全面解除 蔓延防止 77人
石川県 蔓延防止 蔓延防止 蔓延防止 46人
山梨県 全面解除 全面解除 蔓延防止 56人
岐阜県 全面解除 全面解除 蔓延防止 116人
静岡県 全面解除 蔓延防止 緊急事態 247人
愛知県 全面解除 蔓延防止 蔓延防止 571人
三重県 全面解除 全面解除 蔓延防止 108人
滋賀県 全面解除 蔓延防止 蔓延防止 120人
京都府 蔓延防止 蔓延防止 緊急事態 321人
大阪府 緊急事態 緊急事態 緊急事態 964人
兵庫県 蔓延防止 蔓延防止 緊急事態 402人
岡山県 全面解除 全面解除 蔓延防止 142人
広島県 全面解除 全面解除 蔓延防止 144人
香川県 全面解除 全面解除 蔓延防止 57人
愛媛県 全面解除 全面解除 蔓延防止 71人
福岡県 蔓延防止 蔓延防止 緊急事態 683人
熊本県 全面解除 蔓延防止 蔓延防止 152人
鹿児島県 全面解除 全面解除 蔓延防止 151人
沖縄県 緊急事態 緊急事態 緊急事態 339人
 
 これで緊急事態宣言が13都府県、蔓延防止等重点措置が16道県に適用され、全国では18の県に制限が行われていない状況になった。全国一律に制限しないのは、比較的感染を抑制している地方部の経済まで停めてしまわないようにする配慮だろう。
 
 因みに制限を受けていない18県は47都道府県の38.3%を占めているが、令和元年国勢調査人口では16.0%となり、昨日明らかになった感染者の4.9%を占めるだけという状況である。
 逆に緊急事態宣言を受けた13都府県は自治体数で27.7%に過ぎないものの人口で55.9%となり、昨日の感染者の79.5%に達するエリアである。感染は大都市を抱えるエリアで濃厚に成っていることが改めて明らかになってきた。
区分 都道府県の数 R1国勢調査人口 16日の感染者
指定数 比率 人数[千人] 比率 人数[人] 比率
緊急事態 13 27.7% 70,523 55.9% 11,793 79.5%
蔓延防止 16 34.0% 35,468 28.1% 2,304 15.5%
全面解除 18 38.3% 20,176 16.0% 729 4.9%
合 計 47 100.0% 126167 100.0% 14826 100.0%
 
 人口81万5千人で昨日の新規感染者数が114人も確認されてしまった佐賀県など、今後も何れかの指定を受ける県は増えそうである。それにしても人口の過半を占める地帯が9月12日まで経済活動を抑制されてしまうとなれば、経済の成長率は大きく低下すると思うし、先の見えない状況に悲観して心が折れて倒産する企業も増加するものと思う。せめて木更津市の企業だけでも支える手段を講じねばならないと考えるところである。
 
 さて週に1回公表される木更津市のワクチン接種状況は前回から6日経過した15日の分が明らかになった。その値は下表の通りである。
8月15日17時時点
区分 人数 1回数 2回数 合計 1回率 2回率
12-29歳 23,461 4,374 1,578 5,952 18.6% 6.7%
30-49歳 35,545 7,269 3,866 11,135 20.5% 10.9%
50-59歳 17,933 4,436 2,435 6,871 24.7% 13.6%
60-64歳 7,199 5,307 2,944 8,251 73.7% 40.9%
65歳以上 39,816 33,397 31,674 65,071 83.9% 79.6%
市の総人口 136,034 54,783 42,497 97,280 40.3% 31.2%
8月9日17時時点
区分 人数 1回数 2回数 合計 1回率 2回率
12-29歳 23,461 3,893 1,392 5,285 16.6% 5.9%
30-49歳 35,545 6,622 3,502 10,124 18.6% 9.9%
50-59歳 17,933 4,112 2,137 6,249 22.9% 11.9%
60-64歳 7,199 5,135 2,392 7,527 71.3% 33.2%
65歳以上 39,816 33,151 31,081 64,232 83.3% 78.1%
市の総人口 136,034 52,913 40,504 93,417 38.9% 29.8%
増減
区分 人数 1回数 2回数 合計 1回率 2回率
12-29歳 23,461 481 186 667 2.1% 0.8%
30-49歳 35,545 647 364 1,011 1.8% 1.0%
50-59歳 17,933 324 298 622 1.8% 1.7%
60-64歳 7,199 172 552 724 2.4% 7.7%
65歳以上 39,816 246 593 839 0.6% 1.5%
市の総人口 39,816 1,870 1,993 3,863 4.7% 5.0%
 6日間で行われた接種は合計で3,863回に留まり、1日あたりの接種回数は644回となった。前回の940回でも少ないと感じていたが、接種速度は危機的な状況である。
 本日の9時より受付が始まった9月7日からの集団接種も僅かの時間で定員となり希望者が満足に受けられない状況が再度訪れている。これは今まで牽引してきた医療機関による個別接種がワクチン不足で受付を停止していることから生じた現象であろう。
 
 感染拡大の恐怖が報道で伝わり、頼りの綱のワクチンには手が届かない状況が続くと政府与党に対する風当たりは強くなり、パラリンピック後には行われる衆議院選挙で自民党は苦戦するだろうと予想されている。それでも立憲民主党が充分な受け皿になるだけの人材を準備できるとも思えず、国民も民主党政権下の混乱を忘れるほど時間が経っていないから、今回は投票率が低下するのではと思っている。
 
 そんなことを書いていたら本日の感染者が12人であることが解った。先週の火曜日の18人から6人減である。月曜日が8人増なので高め安定型の数値が出続けている。こんなに多くの感染者が出続けたら木更津でも都内と同じように受け入れてくれる病院が無くなる日が直ぐそこまで迫っていると自覚せねばならない。
 2日に指定された緊急事態宣言も既に16日目である。飲食店では酒類の提供を辞めただけでなく、今月中の休業を決めたところも多く見られる。今までの波では宣言が出されたら人の往来が無くなり感染は収まったが、今回は一向に減る気配がない。
 この状況を前に間もなく9月議会が開始される。立ちすくむのではなく、世の中をなんとか改善しようと多くの議員が模索する期間となるが、一般質問も委員会審査も緊急事態宣言の中で行われることになり、今回も無冠客で議会は進むのである。
 
参考:県別人口と感染者等
区分 人口[a] 20日以降 感染者[b] b/a×10000
1 北海道 5,250 蔓延防止 357 680
2 青森 1,246 全面解除 16 128
3 岩手 1,227 全面解除 26 212
4 宮城県 2,306 蔓延防止 72 312
5 秋田 966 全面解除 8 83
6 山形 1,078 全面解除 17 158
7 福島県 1,846 蔓延防止 64 347
8 茨城県 2,860 緊急事態 186 650
9 栃木県 1,934 緊急事態 76 393
10 群馬県 1,942 緊急事態 119 613
11 埼玉県 7,350 緊急事態 1,301 1,770
12 千葉県 6,259 緊急事態 1,609 2,571
13 東京都 13,921 緊急事態 2,962 2,128
14 神奈川県 9,198 緊急事態 2,584 2,809
15 新潟 2,223 全面解除 58 261
16 富山県 1,044 蔓延防止 77 738
17 石川県 1,138 蔓延防止 46 404
18 福井 768 全面解除 17 221
19 山梨県 811 蔓延防止 56 691
20 長野 2,049 全面解除 60 293
21 岐阜県 1,987 蔓延防止 116 584
22 静岡県 3,644 緊急事態 247 678
23 愛知県 7,552 蔓延防止 571 756
24 三重県 1,781 蔓延防止 108 606
25 滋賀県 1,414 蔓延防止 120 849
26 京都府 2,583 緊急事態 321 1,243
27 大阪府 8,809 緊急事態 964 1,094
28 兵庫県 5,466 緊急事態 402 735
29 奈良 1,330 全面解除 91 684
30 和歌山 925 全面解除 42 454
31 鳥取 556 全面解除 10 180
32 島根 674 全面解除 21 312
33 岡山県 1,890 蔓延防止 142 751
34 広島県 2,804 蔓延防止 144 514
35 山口 1,358 全面解除 47 346
36 徳島 728 全面解除 19 261
37 香川県 956 蔓延防止 57 596
38 愛媛県 1,339 蔓延防止 71 530
39 高知 698 全面解除 20 287
40 福岡県 5,104 緊急事態 683 1,338
41 佐賀 815 全面解除 114 1,399
42 長崎 1,327 全面解除 37 279
43 熊本県 1,748 蔓延防止 152 870
44 大分 1,135 全面解除 85 749
45 宮崎 1,073 全面解除 41 382
46 鹿児島県 1,602 蔓延防止 151 943
47 沖縄県 1,453 緊急事態 339 2,333
※人口[a]は令和元年の国勢調査値で単位は[千人]である。
※感染者[b]は16日に確認された新規感染者の人数である。