ウクライナを想う
2022/03/04記
 木更津市議会で一般質問が終わった日である2月24日にロシア軍によるウクライナ侵攻が開始された。その3日前にウクライナのロシア国境にあるドネツク州とエウガンスク州においてロシアが独立を承認した「人民共和国」の要請でウクライナ国内にロシア軍を派遣しているので、ウクライナ侵攻はその時からと考えるか、それとも2014年2月23日にクリミア半島を分離させた時からと考えるべきなのかも知れないが、大勢に従って2022年2月24日に始まったとしたい。
 なお、クリミアとドネツク等では傀儡政権を作って、その要請で軍を送ったという形を取ったが、今回は「ウクライナ政府によって虐げられた人々を保護するため」の軍事作戦としている。宣戦布告をした国家間の戦争では無いようで、停戦交渉が続いている。
 
 ウクライナはソビエト連邦から1991年8月24日に独立した国家で面積は日本の1.6倍となる約60.4万kuで人口は日本の1/3の約45百万人である。右の国旗は青空と小麦畑を表していると言われており農業大国である。
 ソビエトの時代にウクライナ人が多く極東に送られているようで、日本海を挟んだ沿海州にはウクライナ人が多いようだ。私は訪れたこともないし友人もいないが、福島原子力発電所の事故に際してチェルノブイリの経験を持って協力してくれた国だと記憶している。因みに日本とウクライナの時差は7時間である。日本が昼休みを終えて午後の仕事を始める頃、ウクライナでは夜が明けるのである。日本で昼食後の仕事を始めた頃にロシアの軍事侵攻によって街が壊され人命が失われるのである。
 今まで、個人的にはあまり認識の無かった国ではあるが、今回のロシア軍の戦車による蹂躙を通じて、日本がロシアを非難しウクライナ人を保護する国際的な連帯に加わることに賛成したい。
 
 既に千葉市や富津市では市議会がロシアへの非難決議を可決しており、木更津市議会でも次に本会議が開催される議会最終日の3月15日に議会としての声名を可決し、駐日ロシア大使館へ送ろうということが本日の会派代表者会議で決まった。その頃にはロシアだけでなくベラルーシに対する非難も行い、ウクライナだけではなくモルドバに対しても連帯をしなければならないような状況に成っていないことを願うし、何より停戦協議がまとまりロシア軍が引き上げることを願っている。
 
 第二次大戦に先立つ日中戦争の際には、日本が一方的に満州国の独立を認め、それに反対する中華民国に対して攻撃を行い、中華民国は日本の領土を侵すことがなかったのに、日本軍は中国の奥地で空爆を行い軍を進めていった。この一方的な侵略は批判されることが当然であると私も思うが、今まで日本からの被害を後世に残す教育を行い、激しく非難してきた中華人民共和国が、今回のロシア軍の行為に対しては完全にトーンダウンしていることが理念と現実の乖離だとつくづく思い知らされる。
 今回のプーチン大統領の行為は、東京裁判なら平和に対する罪で有罪であるし、ロシアはウクライナに対して賠償を行うことが当然であるが強い軍事力のある大国は罪を問われない事になるのだろうか。だとすると中国もそれを見習い、台湾や尖閣諸島、さらには沖縄の先島諸島(石垣・宮古等)にも手を伸ばしてくる可能性が高いのではと危惧している。
 昨日、ニューヨークの国連総会でロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議を賛成141,反対5,棄権35という圧倒的多数で採択したが、安保理事会とは異なり法的拘束力はない。国際社会は金融制裁を課してロシアに影響を与えようとしているが、それだけではなく他の多くの制裁が成されなければ意味がないだろ。
 無理を承知で想うことは、1991年のソビエト解体に続くロシア国家解体による武装解除を進められるべきだろう。北方領土や千島列島も日本に返還してもらいたい。また、1950年代に中国共産党軍が軍事侵攻して国家の一部にしてしまったチベットやウイグルだって開放するべき話だと思っている。ウクライナに対して想いを寄せることはチベットやウイグルに対して気持ちを寄せることに通じているのだ。
 
 朝鮮戦争の際にはアメリカを中心とした国連軍が北朝鮮軍を押し戻したように、本来なら今回も国連軍が投入されるべき事態であろう。核兵器を持つことが国連軍の投入に対する抑止力だという事実を見て北朝鮮やイランが核開発を進めるのも国際的な不安定要因を深めていくように思われる。
 21世紀はインターネットの普及で世界から秘密が減り、軍事力の行使が無くなっていくことを願っていたが、まだ世界はむき出しの力に逆らえないことを知ってしまった。東西冷戦も終結してから長い時間が経ったのに、熱い戦争の時が来るなんて、なんて悲しいのだろう。そのように感じつつ毎日の報道を見ている。
 
 ※青文字は3月9日に加筆した。