有吉通りを考える
2022/06/30記
 22日に閉会した6月定例議会の最終日に補正予算案に対して修正動議が提出された。修正を求めた内容は土木費のうち、有吉通りに関する調査費の5千万円の削除を求めるものである。提案者の田中議員は電線地中化基本計画に無い路線で突然地中化を前提にした予算の執行が行われることに対して議会への説明が不十分だという論点で反対しており、共同提出者の鈴木議員も同様の考えのようである。なお、修正案に同調した永原議員は有吉通りに面して新市役所が建設されることを前提にした予算計上であるが、市役所の所在地に関する議案が議会議決される前に既成事実を積み重ねるような行為に反対という立場のようであった。
 
 今回の議論になっている有吉通りは木更津駅西口広場から田面通りまでの区間であり、その先のあじさい通りが岩小と第一小の学区境となる畳ヶ池放水路辺りから両歩道で駅に向かって整備されているものが、当該箇所では歩道が無くなるというものである。
 この通りに面して木更津市の西口立体駐車場があり、その前面だけは歩道が設けられている状況であるが、来年3月22日に立体駐車場の営業を終了して取り壊す予定となっている。隣接する市民活動支援センターが入居している両総通運ビルも含めた場所に新たな駅前庁舎とマンションが株式会社新昭和によって建設される計画が進んでおり、それは議会に説明されている。今回の道路調査は新市役所以北の道路整備を通じて環境改善効果を行うことが目的だと理解している。なお、今回の定例会に市民活動支援センターの異動が議案第42号として上程されていたが、永原議員は市役所の場所の決定行為を行っていないという理由で当該議案に対し反対していた事も付け加えておく。
 
 浪久病院以北は両側の歩道に加え右折レーンも設けられており、交差点でのボトルネックが生じ難いようになっているが、有吉通りを駅から北上した場合は田面通への右折レーンが無く、右折した先に踏切があるため遮断機が下りているときは頻繁に渋滞が発生する。
 高速バスも市街地で歩道のない道路を通行するルートを設定することが原則的には認められ難いようで、現在は西口駐車場を出てからわざわざ渋滞する港に沿った道路まで迂回して金田BTに向かっていることは到達時間の上で乗客に迷惑を掛けているだけでなく、運行会社にとっても無駄な時間を消耗することで利益が出にくい構造になっていると私は感じている。
 そこで、この路線と主要地方道木更津富津線の新宿歩道橋周辺の歩道がない狭隘部を都市計画に沿った形状で再整備することで当該区間を通行する高速バス路線が可能となり、交通体系の見直しと渋滞緩和に寄与することは大きいと私は考えるので整備計画に賛成である。
 因みに主要地方道は千葉県の管轄なので、互いに情報を交換して公共交通の整備という目標の元に足並みを揃えることが求められていると思う。
 
 今回の有吉通りの予算の内、電線地中化に関する設計費が2千万円弱を占めていると推察されるが、その前提として用地買収を必要とする道路拡幅が、公共用地の取得に混迷を深める木更津市で可能なのかという点が心配である。電線の無い街並みは美観に優れているだけでなく、地中にあるので台風や地震といった被害の可能性は低くなるといった防災面のメリットも有るので、私は現在の計画になくても今後の計画範囲に加えることが可能なのかという判断を行うために調査設計実施し、実際の費用が想定より高額になれば地中化を諦めればよいという判断であり、修正動議には賛成しない立場を堅持した。
 
 ここからは個人的な感想であるが、駅周辺の環境整備を行うことによって利用が活性化され、行政には地価の高騰による固定資産税や新たに店舗を構える経営者からの市民税等の増収効果が期待され、住民には歩行環境の整備で事故に遭う確率を減らすと供に活性した市街地で利便施設が増加して生活の幅が広がり、土地所有者にとっては税額が高くなるが環境整備で人気が上がれば現状よりも不動産を保有していることに伴う収益は増加するはずである。無駄な箱ものを増やすより道路や河川整備といったインフラの要望は市民からの要望のうち、件数では大多数を占めており対応し切れていないと理解している。
 現在の住民に行き届いた福祉を提供することは行政の大きな仕事であるが、美しいまち・住みたい街を造って新たな住民を招き入れて活性化を目指すことも行政の大きな仕事であると思う。その様な意味で新庁舎の入居するビルの建設に合わせ周辺整備をする計画を進めることには異論がない。
 
 6月議会で生じた修正動議や賛否が別れている現象を、私の視点から解説して記録しておかなければ数年後には何が争点だったのか忘れてしまいそうだったので今回の記録を作成することとした次第である。今後は用地交渉だけでなく居住している住民に対する移転補償なども生じると思われるので、事業の推移を見守るとともに、必要に応じて建設的な提案を行いたいと考えている。