談合の提訴を思う
2022/11/18記
 14日の「かずさ水道広域連合企業団議会」が開始される前に、旧君津広域水道企業団が購入していた活性炭と、その再生処理に関して談合があり、不等に高い費用を払わされたことの還付を求める裁判を起こすことの説明があったが、16日に提訴したことの報告がメールで届けられた。
 
 談合に対する企業団の厳しい姿勢に感心していたが、詳しく聞けば令和元年11月22日に公正取引委員会が地方公共団体が浄水場等で使用する活性炭の販売業者に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令が行われており、それより3年が過ぎると提訴する資格が無くなるため、駆け込みで裁判を行っただけのようである。提訴されたのは下記の8社である。
 
名 称 本店所在地
1 本町化学工業(株) 東京都足立区
2 フタムラ化学(株) 愛知県名古屋市
3 大阪ガスケミカル(株) 大阪府大阪市
4 (株)クラレ 岡山県倉敷市
5 太平化学産業(株) 大阪府大阪市
6 朝日?過材(株) 岐阜県土岐市
7 セラケム(株) 広島県世羅町
8 ダイネン(株) 兵庫県姫路市
 
 公正取引委員会が課徴金納付命令の対象物件としたうち、旧君津広域水道企業団発注の活性炭購入契約2件及び活性炭再生業務委託契約3件の計5件に談合が適用されることを確認しており、今までは裁判によらずに支払いを申し込んでいたようである。
 因みに四市の各水道事業においては活性炭の使用は無く当該談合事件に対しては関係が無いということであったので旧君津広域水道企業団の分だけという説明だった。
 
 損害額は、談合対象契約の契約単価で算定した実際の落札価格から談合対象契約以降の平成29年度及び平成30年度の単価平均で求めた想定落札価格を差し引いて得た差額を数量に乗じた額であり、弁護士費用相当損害金は、損害額の5%相当として計上された額は下表の通りである。
 
訴訟物の請求内訳 請求金額
損害額(税込み) 695,042,410
弁護士費用相当損害金 34,752,120
729,794,530
 
 金額が7億円を超える額であるが、勝てる見込みは有るのかと聞いたが、多分大丈夫だろうという回答であった。訴訟を行うための公添付用印紙額が221万円も必要な上に、弁護士にも着手金が必要なようで万が一経費倒れになっては物笑いの種である。
 主張が認められ7億円も貰えれば、値上がりを続ける水光熱費の足しや、漏水の多い老朽管などを修繕する財源になるだろう。
 
 今回対象として挙げられた企業には全国から同様の提訴がされ企業存続の危機になっているものと感じられる。会社を処分されてしまったら裁判に勝っても要求額を入手することが難しくなるのであろう。
 何れにせよ談合は許さないという強い姿勢を示すことで、今後も競争による安価な契約が期待出来ることになると考えているので、写真も何もないが、取り急ぎ記事にまとめてみた。