新庁舎の質疑概要
2022/12/16記
 本会議最終日の一昨日は議員全員協議会終了後に市庁舎整備特別委員会も開催された。その場で会派羅針盤を代表して市庁舎の質疑を行ったので、ここに整理したい。
 なお、委員会協議会は録画配信されないことや議事録は要点筆記になることもあり、ここに記載した内容と正式な記録に若干の差が出る可能性があることも了承いただきたい。
 
 通告は5項目、14点に及ぶものとしたので各会派概ね20分という質疑の枠に収まるか不安であったが、答弁に対して再質問も行うことにしたので、時間に収まらなければ仕方がないという気持ちでスタートした。
 次の黄色い背景がその概要である。
 
 質疑1「西口駐車場の解体と跡地に関して」質問いたします。
 @駐車場の解体設計及び解体工事は建築事業を進める原因者となる(株)新昭和でなく、木更津市が実施する理由をご説明下さい。
 
 西口駐車場の解体設計及び解体工事を市において実施する理由、でございますが、木更津駅周辺庁舎整備につきましては、事業候補者の提案において、既存施設である木更津駅西口駐車場を市が解体後、事業候補者が新築する建物の一部を市が賃借するという提案であることから、市が実施するものでございます。
 
 確認させていただきますが、事業者が解体を提案したから市が解体をするということでしょうか。建築工事を行うという原因者の責任において障害物を撤去するというのが通常の建設工事における対応だと思うが、如何でしょうか。
 
 庁舎整備事業を推進するにあたり、事業候補者からの提案に基づき、市において西口駐車場を解体するものでございます。
 

 Aその駐車場の解体設計及び解体工事は競争入札とするのでしょうか。
 
 駐車場解体工事設計につきましては、今年度、6月補正予算にて、「木更津駅西口駐車場解体工事設計業務委託費」を計上させていただき、木更津駅周辺庁舎の事業候補者である株式会社新昭和と随意契約にて、駐車場解体設計業務委託契約を締結し、3月15日期限で、業務を進めているところでございます。
 なお、解体工事につきましては、制限付き一般競争入札にて事業者を選定してまいります。
 

 解体の設計は設計図書から数量を求めるような作業なので競争入札で建築設計会社に計算を委託することが妥当だと思いますが、なぜ株式会社新昭和と随意契約を締結したのかご説明下さい。
 
 新築する建物を見据えた解体設計を行うことで、費用の縮減及び、工期の短縮を図ることができることから、木更津駅周辺庁舎の事業候補者である株式会社新昭和と随意契約を締結したものでございます。
 
 新設する建築物の障害にならない基礎杭等は撤去しないという意味で理解して良いでしょうか。また、当該箇所は市の敷地のままで賃借すると聞きますが、将来の返還条件としては、今回撤去しなかった駐車場の基礎杭等を含め、全て更地にするという約束になるのか、併せてご説明下さい。
 
 議員おっしゃるとおり、新設する建物の障害にならない基礎杭等は撤去しないものと考えております。また、土地の返還条件につきましては、事業者側の建物にかかる基礎杭は撤去し、更地での返還を想定しております。詳細につきましては、今後、事業候補者と協議してまいります。
 

 
B駐車場の敷地を分筆して売却と賃貸にするようだが、その理由の説明をお願いします。
 
 木更津駅周辺庁舎の事業候補者である株式会社新昭和の提案につきましては、西口駐車場の敷地を市から賃借し、庁舎棟を建設すること、また、その北側に隣接して建設する住宅棟については、事業の性質上、敷地の取得を要することから、市の所有する土地の一部については、売却して欲しい旨の提案を受け、売却する部分と貸し付ける部分が発生するものでございます。
 
 住居棟は分譲マンションになるために敷地の購入を望んでいるということは解ったが、建築物の最低面積だけ分譲するのか、それとも外構部分も含めて売却するのか。
 
 外構部分を含め、住宅棟の敷地全体で区分し、売却するものでございます。
 

 それに伴う国費返還金は幾らと想定しているのか。またそれは分筆することで削減できるものなのか。
 
 国費の返還金につきましては、今後実施する土地の鑑定を経て、詳細の金額を算出することになりますが、まず、貸し付ける部分につきましては、概ね、年間40万円程度になるものと見込んでおります。売却する部分の返還額につきましては、売却額により変動いたしますが、概ね、6百万円から1千7百万円程度を想定しているところでございます。なお、分筆によって、削減できるということは、無いものと考えております。
 

 国庫の返還金は実勢額によるということと理解したが、売却によって一度に返還する場合と賃貸によって分割して返還する場合も同額となるのか。算定方法をお示し願いたい。
 
 国庫への返還額につきまして、まず、一部売却に係る部分につきましては、補助対象である土地の譲渡額に補助率50%を乗じた額となるものでございます。次に、貸付に係る部分につきましては、補助対象である土地の貸付額に補助率50%を乗じた額となるものでございます。返還額の詳細につきましては、国及び県に確認のうえ、今後詳細な金額を算出してまいります。
 
 質疑2「今後に予定する新たな業務に関して」質問いたします。
 C令和5年度当初開始予定の「新庁舎オフィス環境整備業務」に関して、目的や委託先及び業務範囲についてご説明下さい。
 
 「新庁舎オフィス環境整備業務」につきまして、まず、目的でございますが、来庁する市民の皆様の利便性や職員の業務効率の向上を目指し、専門事業者に業務支援を委託するものでございます。委託先につきましては、市庁舎の整備に携わったことのある家具什器の専門メーカーを想定しております。業務範囲につきましては、市において検討した各課の配置案に基づいた、基本レイアウトの作成や、家具什器・カウンター等の調達にかかる支援などを委託するものでございます。
 
 
家具什器の専門メーカーに委託した場合、そこの製品の購入が前提となる可能性があり、購入時での価格競争が期待できないと危惧しますが、その対策はどの様に考えていますか。
 
 家具什器等の購入につきましては、競争入札を予定しており、新庁舎オフィス環境整備業務において、入札へ円滑に移行できるよう仕様書等の作成支援を受けるものでございます。仕様書等を作成する際は、特定業者の什器に偏りがでないよう、代替品の記載も含めて調整してまいります。
 
 D令和6年度に予定している「まちなかウォーカブル推進事業」に関して、駅との接続工事は市の業務のようだが、概算事業費と補助率及びJRの負担が有るのか伺いたい。
 
 概算事業費でございますが、木更津駅周辺庁舎の事業候補者である株式会社新昭和が整備するペデストリアンデッキの延伸にて駅との接続部分に関して市が、工事を行うことで進めておりますことから、詳細の費用につきましては、株式会社新昭和と今後、協議を進めるなかで、算出してまいります。補助率につきましては、50%を見込んでいるところでございます。JR側の負担につきましては、駅の自由通路に接続させていただくという立場での事業となりますことから、負担を求めることは困難な状況でございます。
 

 市が工事を行うということだが、これは新昭和への随意契約でなく別途工事とするという考えか。また完成したものの帰属はどうなるのか。
 
 接続部分につきましては、施工場所の都合上、庁舎棟の建設とあわせて施工していく必要がありますことから、事業候補者との随意契約により工事を進めていく予定でございます。また、接続部分の帰属につきましては、市になるものであります。
 

 駅の自由通路は公共性が高いとは認識するがJR東日本という民間の所有物である。民間と民間のビルを結ぶ歩道を市が造り、管理することに問題はないか。
 
 駅舎側の接続部分につきましては、市が管理するエレベーターホールとの接続を想定しておりますことから、接続部分を市が管理することに問題はないものと考えております。なお、管理等につきましては、今後JR及び事業候補者と協議してまいります。
 
 質疑3「市道207号線に関して」質問いたします。
 E測量及び設計は今年度中のスケジュールです、具体的な計画はいつ頃に示していただけますか。
 
 道路整備計画につきましては、現在、現況測量のデータを基に、設計を行い警察と協議しているところでございます。協議が整い、設計が完了しましたら、計画をお示しできると考えております。
 
 
警察協議が整ったら計画を示していただけるとのことだが、駅から北上して田面通りの交差点に差し掛かるところには右折レーンを設ける計画でしょうか。
 
 右折レーンを設ける予定です。
 
 F田面通り交差点までを整備する場合は用地買収が必要となると思いますが、計画を提示した後、速やかに交渉を始めるのでしょうか。
 
 市道207号線の歩道整備につきましては、まず、みなと口ロータリーから 北へ向かう、今回開発される区間について、令和7年度末までに実施してまいります。その北側の 田面通り交差点までの整備につきましては、現在整備中の他の路線の進捗を見ながら事業化に向けた検討を進めてまいります。
 

 令和7年度までには今回の開発区間を整備するだけだとしても、踏切が降りているときに右折車両が交差点に進入できずに渋滞が発生するという課題が生じているので、引き続きと事業化できるよう、計画の提示直後に用地交渉を開始するべきだと思います。
 G歩道の工事は新庁舎の入居する民間ビルの外構工事と一体化せずに、独立した工事としてスケジュールが組まれているようですが、その様に進めるのでしょうか。
 
 本来、歩道整備につきましては、市が施工するものでございますが、新庁舎が入居する 民間ビルの 開発者と、今後、整備方法などについて調整してまいります。
 
 一体で施行することで質の高い空間造りが可能になると思います。その様なことを念頭に、整備方法や整備水準について協議を進めてください。
 次に質疑4「資金計画について」質問いたします。
 H先ほどの議員全員協議会に於ける中期財政計画で示されたように26億円が庁舎建設基金から庁舎整備基金に移るようですが、今後も積立は続けるのでしょうか。
 
 まずは、基金を活用させていただき、今回の新庁舎整備事業を滞りなく進めてまいりたいと考えております。その後の積立の継続につきましては、長期的視点で将来を見据え、可能な範囲で継続していくことが望ましいと考えておりますが、今後、予算の状況等を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
 

 I多くの補助金も想定しているようですが、事業採択等の見通しはどうか。補助金の概要と合わせご説明いただきたい。
 
 木更津駅周辺庁舎の整備事業につきましては、「暮らし・にぎわい再生事業」、「都市構造再編集中支援事業」、「まちなかウォーカブル推進事業」がございます。
 「暮らし・にぎわい再生事業」につきましては、事業候補者が庁舎棟と駐車場棟を整備する事業に対し5億円を上限として国、市が補助するものであり、補助対象事業費に対し国と市があわせて3分の2を補助するものでございます。
 「都市構造再編集中支援事業」につきましては、庁舎棟の2階と3階に整備予定の市民交流プラザを整備する事業に対して国が補助するものであり、補助率は50%でございます。
 「まちなかウォーカブル推進事業」につきましては、木更津駅西口と庁舎棟2階の接続部分を整備する事業に対して国が補助するものであり、補助率は50%でございます。
 いずれの補助につきましても、最大限活用できるよう国や県と協議してまいります。
 
 J予算スケジュールが示されておりますが、それに金額が入ったものを示すことは可能ですか。
 
 現時点での、大まかな概算費用となりますが、まず、令和5年度については、「不動産鑑定委託費」は約150万円、「分筆業務委託費」は約180万円、「新庁舎オフィス環境整備業務委託費」は2か年合計で約2千8百万円、「暮らし・にぎわい再生事業補助金」については3か年合計で最大2億5千万円を想定しているところでございます。なお、「木更津駅西口駐車場解体工事費」につきましては、現在、解体設計業務委託にて算出しているところでございます。
 次に、令和6年度の「内装施工費」は2か年合計で約9億5千万円、「国費返還金」については、西口駐車場敷地の一部売却に係る部分について6百万円から1千7百万円程度、貸付に係る部分について約40万円でございます。貸付部分の国費返還金につきましては、令和7年度以降も返還してまいります。なお、「(仮称)市民交流プラザ内装設計費及び内装施工費」につきましては、今年度行っております、「(仮称)市民交流プラザ整備基本計画策定及び基本設計業務委託」のなかで、算出するものとなっております。また、「木更津駅西口連絡通路接続工事費」につきましては、今後、新昭和と協議の上詳細な費用を算出してまいります。
 次に、令和7年度の「市道207号線歩道整備等工事費」につきましては、今年度行っております、「市道207号線歩道整備に係る詳細設計」のなかで算出するものとなっております。なお、「什器購入費、移転費」につきましては、今後詳細な費用を算出してまいります。
 
 
 ここまでの質疑が終わったところで20分が終了してしまった。
 金額の入ったものは資料として提出を求めれば良かったかなと思ったが後の祭りである。
 示された金額だけでも12億4千万円を越える上に、西口駐車場解体工事費・西口連絡通路接続工事・什器購入費及び移転費用を併せると26億円の基金で賄えるか心配であり、今後も積立が必要だと思うが、それを表明する時間はなかった。
 また、防災拠点としての能力向上や再生可能エネルギーへの対応など、市役所として必要であり、市が負担することになるものとして、自家発電装置や太陽光発電装置の設置が想定され、その設置費用は内装施工費に含んでいるという考えも引き出すことが出来なかったが仕方ない。
 
 質疑事項3の市道207号線の田面通り周辺に関しては、厳密には新庁舎と関係が薄い部分なのであるが、庁舎の建設に併せて駅周辺の歩行空間の向上を図るべきであるという考えである。
 また、現在整備中の多くの道路にも共通することであるが、用地買収が進まずに工事が止まっている状況を考えると土地開発公社を活用して道路事業用地に限った用地買収を進め、用地がまとまった箇所から整備を進めると言う持論を繰り返しているのである。
 
 質疑事項5については今回の委員会で聞かないと間に合わなくなるという内容ではなかったので触れることもなく終わっても問題ないと思っていたが、委員会終了に当たり資料として提出を望みたいという意見が出され、会議終了後に下記の概要の資料を即日配布させていただいた。
 
 質疑事項5「全体スケジュールに関して」
 K朝日庁舎は解体工事が無いため早期着工、早期完成が可能だと思うが如何か
 
 朝日庁舎周辺庁舎の事業候補者であるイオンタウン株式会社と、今後、詳細なスケジュールを協議するなかで、検討してまいりたいと考えております。
 進捗については現在、事業候補者において、資材等の物価上昇分を踏まえた、建築物等の概算事業費を算出するための設計を進めており、来年1月末に基本的な設計を加味した概算事業費が提示される予定でございます。
 
 L移転業務のピークを削減するため段階的移転を検討するべきでは
 
 移転業務につきましては、繁忙期である年度末を可能な限り避けられるよう、段階的移転も含めて日程等を検討してまいります。
 

 M来年6月に賃料を含めた基本協定を締結するようだが物価スライドの考えは
 
 昨年12月に事業候補者の選定を実施しましたので、提案書作成期間を考慮し、その2月前の10月の物価指数を基準として、上昇率を踏まえ、令和5年6月の基本契約締結を目指し、事業候補者と協議を進めてまいります。
なお、6月以降の物価スライド分の反映方法につきましては、法的なことも含め、市が不利とならないよう、検討してまいりたいと考えております。
基本契約書の案文につきましては、将来に禍根を残すことのないよう、庁舎整備支援業務受託業者や専門家の指導を受けるなど慎重に対応してまいります。

 
 
 他の質疑の中でも障害者のためのユニバーサルデザインが建築家の発想のままで弱者の視点が入っていない事例が多いため利用者の意見を求めることとか、プロポーザルで契約された市民交流プラザ基本設計の中で新たに提案された機能としては図書貸出やキッズスペースなどが有ったが今後のアンケートやワークショップで必要な機能を絞り込んでいくことなどが明らかとなり、見えてこない課題も多いものの着実に進んでいる感じがする。
 
 新年度になり令和最初の統一地方選挙が終わった後となる6月定例会には、いまより具体化した計画が示され、市役所の位置に関する議案や基本協定の締結、債務負担行為の設定などが行われることだろう。今のスケジュールだとそれからの3年間で建設工事も終わり、令和8年度は新庁舎で過ごすことが出来るように成る予定なので、スパークルシティビルでの定例議会は来年の3月議会を含めて13回か、移転が早い場合は少なくなる予定である。
 新たな庁舎が駅前と朝日で建設が進む頃、吾妻では市民会館と図書館と中央公民館の複合施設が動き始め、金田西の区画整理は完成し解散を迎えることになるだろう。今の木更津市の人口増加はバブルの頃に立ち上がった区画整理組合で多くの方々が苦労しても完成に持ち込んでくれたからである。明日に向けて種を播くような事業を続けることの意味を考えながら、報告としたい。