高校野球で考える
2024/07/06記
 既に6月22日から南北北海道の地区予選及び沖縄の地方大会が始まり千葉県でも今日から地方大会の開会式があり10日から試合が始まるが、昨日富山県で開催された組み合わせ抽選会をもって今年の高校野球の出場チーム数である3,441が確定したという報道が有った。学校数にすると3,715校で、135チームは複数の学校で編成された連合チームになるという。少子化の流れで出場チーム数は20大会連続で減少しているようだが、それでも全国で3千を超えるチームが日本一を目指す激しいトーナメント戦に臨む事には感動を覚える。
 記念大会では千葉県や愛知県など出場校の多い県は二つに分けて代表を選出するが、今回は北海道と東京を除けば各県代表という形式になる。そのため地方大会別の出場チーム数も173の愛知から22の鳥取まで7.86倍の開きがある。その結果、下表に示すように31チーム以下の4つの地方大会ではくじ引きの結果で既にBest16となり4回勝てば甲子園の切符が得られることに対し、129チーム以上が参加する7つの地方大会では最大8回の試合を勝ち抜かねばならないという不公平感がある。
地方 出場数 Level.4 Level.5 Level.6 Level.7
愛知 173
神奈川 168
大阪 155
兵庫 152
千葉 148
埼玉 142
福岡 135
東東京 127
西東京 124
静岡 108
南北海道 96
茨城 88
広島 86
長野 73
京都 73
北北海道 72
新潟 67
岐阜 64
鹿児島 63
福島 62
三重 60
沖縄 60
宮城 59
群馬 59
栃木 56
岡山 56
岩手 55
山口 53
熊本 52
青森 48
滋賀 48
愛媛 48
長崎 46
宮崎 46
石川 44
大分 43
山形 41
富山 40
秋田 38
島根 38
和歌山 36
香川 36
佐賀 36
奈良 34
山梨 32
福井 28
徳島 28
高知 23
鳥取 22
 129チーム以上が参加する7つの地方大会を分割してそれぞれの代表を決めると、甲子園での試合が7試合増えて日程が延びるという弊害があるので記念大会以外では採用されていない。では規模の小さなlevel.4の大会を隣接する大会に統合する案を勝手に検討する。
 鳥取と島根で山陰大会(合計60チーム)、香川と徳島で東四国大会(合計64チーム)、愛媛と高知で西四国大会(合計71チーム)、福井と石川で南北陸大会(合計72チーム)とすれば全チームが少なくとも地方大会で5回の試合を行うことになるし甲子園での試合も4つ減って、差し引き3試合の増に抑えられる。さらに比較的チーム数が少ない奈良と和歌山の紀伊半島大会(合計70チーム)、佐賀と長崎の肥前大会(合計82チーム)、秋田と山形の出羽大会(合計79チーム)まで行えば現状と同じ甲子園日程にはなる。
 しかし統合される各県では代表チームが居なくなる可能性を前に県民感情が黙ってはいないだろう。また現在は32チームでぎりぎり全チームが5回戦を行う山梨大会の出場チームが減った場合、隣接する神奈川・埼玉は既に最大レベルであり、静岡も山梨を入れることで最大レベルになるから統合できない。唯一可能性があるものが現在73チームである長野大会であるが、そこを100超えにしてしまって良いのかという葛藤も生じる。神奈川を東西に分割して西神奈川に山梨県を加えることは可能だろうが、そこまでして公平さを保つことは必要だろうかと聞かれれば多くの人が現状維持を支持するであろう。
 
 では視点を変えて、どれだけの地域を代表しているチームなのか、人口と面積に着目して整理したものが下表である。データの整理上、北海道と東京の分割は解消している。
都道府県 出場数[A] 人 口[B] 面 積[C] B/A C/A
北海道 168 5,091,680 78,419 30,308 466.8
青森県 48 1,184,531 9,645 24,678 200.9
岩手県 55 1,163,024 15,275 21,146 277.7
宮城県 59 2,263,552 7,282 38,365 123.4
秋田県 38 913,556 11,638 24,041 306.3
山形県 41 1,026,228 9,323 25,030 227.4
福島県 62 1,766,358 13,784 28,490 222.3
茨城県 88 2,826,047 6,098 32,114 69.3
栃木県 56 1,895,031 6,408 33,840 114.4
群馬県 59 1,900,840 6,362 32,218 107.8
埼玉県 142 7,331,296 3,798 51,629 26.7
千葉県 148 6,273,530 5,156 42,389 34.8
東京都 251 14,099,993 2,200 56,175 8.8
神奈川県 168 9,229,713 2,416 54,939 14.4
新潟県 67 2,126,276 12,584 31,735 187.8
富山県 40 1,006,367 4,248 25,159 106.2
石川県 44 1,109,574 4,186 25,218 95.1
福井県 28 744,568 4,191 26,592 149.7
山梨県 32 795,544 4,465 24,861 139.5
長野県 73 2,004,785 13,562 27,463 185.8
岐阜県 64 1,929,669 10,621 30,151 166.0
静岡県 108 3,553,518 7,777 32,903 72.0
愛知県 173 7,480,897 5,173 43,242 29.9
三重県 60 1,727,503 5,774 28,792 96.2
滋賀県 48 1,406,103 4,017 29,294 83.7
京都府 73 2,536,995 4,612 34,753 63.2
大阪府 155 8,774,574 1,905 56,610 12.3
兵庫県 152 5,369,834 8,401 35,328 55.3
奈良県 34 1,295,681 3,691 38,108 108.6
和歌山県 36 891,620 4,725 24,767 131.2
鳥取県 22 537,318 3,507 24,424 159.4
島根県 38 649,235 6,708 17,085 176.5
岡山県 56 1,846,525 7,115 32,974 127.0
広島県 86 2,739,446 8,479 31,854 98.6
山口県 53 1,296,593 6,113 24,464 115.3
徳島県 28 694,841 4,147 24,816 148.1
香川県 36 925,408 1,877 25,706 52.1
愛媛県 48 1,291,198 5,676 26,900 118.2
高知県 23 666,293 7,102 28,969 308.8
福岡県 135 5,106,912 4,988 37,829 36.9
佐賀県 36 794,385 2,441 22,066 67.8
長崎県 46 1,266,334 4,131 27,529 89.8
熊本県 52 1,707,747 7,409 32,841 142.5
大分県 43 1,096,235 6,341 25,494 147.5
宮崎県 46 1,041,150 7,734 22,634 168.1
鹿児島県 63 1,547,710 9,186 24,567 145.8
沖縄県 60 1,468,375 2,282 24,473 38.0
 上記の人口は本年1月1日現在の値である。人口では大阪のチームが56,610人に1つのチームという値で最多であり、最小の鳥取の17,385人と比べると約3.3倍である。一方面積では北海道の466.8kuに1つのチームが最大であり、最小の東京と比較すると実に53.3倍である。この北海道の比率を面積最小の香川県に当てはめると4つのチームだけになると考えると北海道の広さとともに地区大会の前に地域代表選考が行われるスケジュールも理解できる。
 
 地方大会を勝ち抜いたとすると来月7日から甲子園での試合が始まる。地方大会で最大8連勝したチームが甲子園で日本一になるのにはさらに6連勝しなければならない組み合わせも考えられる。合計14連勝の場合と最小で9連勝の場合の差は大きいと思うので129チーム以上の地方大会を経てきたものはシードにしてもらいたい(それで最大13連勝となる)。同時に31チーム以下の地方大会では甲子園で6回戦わなければならない組に回すようにすれば最小でも10連勝となり差は少し縮小するので検討の余地はあるだろう。指導者には猛暑の中での健康管理を徹底してベストに近い状況で試合に臨めるようにしてほしいとも思う。たった1つのチームだけが1度も負けなかっただけであり、他の3,440チームは1度だけ負けるという戦いなので悔いの残らない青春を送らせたい。
 
 ともあれ高校野球である。私の母校の君津高校が勝ち上がることを願っており袖ケ浦球場での初戦を見に行こうかと考えているものの、現実的に千葉制覇が期待できるのは強豪校である木更津総合高校である。今年も地元の期待は大きく甲子園まで応援に行くのはきついなと悩める幸せを今年も感じさせてくれることを願いながら、どうでもよいような記事を終えることにしたい。