台風7号が近づく
2024/08/16記
 昨日の夕方、気象庁は警戒すべき地殻変動が認められないという理由で「南海トラフ地震臨時情報」の解除を発表した。予兆がつかみにくい地震であるが海溝型巨大地震は振動による構造物や斜面の破壊、液状化に伴う流動化、さらには津波による甚大な災害も懸念される。そのため今回は実際に地震が発生しなかったとしても気象庁が情報を発令したことは評価している。ただ時期がお盆休みと重なり帰省客や観光客に与えた影響は大きく、交通機関や宿泊施設でのキャンセルに伴う経済被害は運が悪かったと思うしかない。元旦に発生した能登地震と云い、今年の大地は意地が悪いと感じている。
 
 その様な地震と違い、台風のような気象情報は先人が築き上げた観測網とデータ解析によって今後の状況が事前に予測可能となり、迎え撃つ地域に十分な準備期間を与えてくれる。それでも荒れ狂う空を鎮めることはできず、被害を少なくする準備ができるだけということは現在の技術では限界である。
 現在房総半島に接近中の台風7号は八丈島近海でも発達を続けて衛星写真では「目」もはっきりとしており、940[hpa]という令和元年房総台風より強い勢力になると予想されている。幸いなことに上陸は避けられそうで東側を北上することで西側通過時に比べ強風被害が軽減されそうで若干安堵しているが、降雨による土砂災害は想定され警戒を緩めることは難しく、まずは家の戸締りと停電や断水に備えた準備を確認し終えて事務所でHPを更新している次第である。
 
 八丈島以北でも発達を続ける理由は海水温が高いからであり、地球温暖化が進んでいる昨今では日本近海が台風発生する領域になっていく。来月も現在の高温が続くのであれば7号が通過したことは単なる予兆であって今後発生する秋台風で痛めつけられる可能性は高いであろう。明日通過したと安心するのではなく備蓄や防備は引き続き続ける覚悟が求められる。
 台風の被害が軽微であっても明日は晴れが広がり猛烈な暑さに教われという予報である。台風の片づけ作業で熱中症になって倒れては元も子もない。海水温の高さと同時に夏の暑さも何とかしたいものである。
 熱力学の法則でエントロピーは増大する方向に向かうことは理解してるが、それでも日本近海にある膨大な熱エネルギーを吸い上げて利用する技術が確立されたらエネルギー自給率の向上とともに温暖化の防止、ひいては台風発達抑制につながるのに、とそんなことを思いながらも自身はエアコンを使って室内の熱を屋外に放出し温暖化に貢献していることに責任の一部も感じている。
 
 ともあれ巨大台風が接近しているが、大地と違って空は意地が悪くなく、昨日の花火大会の終了まで雨が降らないように足を遅くしてくれ、コースも太平洋上を進んで被害を抑えてくれそうなことに感謝する。この様な幸運が続くことを祈るより、台風が巨大化することを抑えるよう努力するべきだろう。人類の発展が続いた未来には宇宙空間に巨大な薄膜を浮かべ、地球に届く太陽光の量を調整することで熱収支を整え気象を調整することが可能になるかもしれないが、まずは娘たちの世代に危険な気象状況の世界を継承させることの無いように、責任ある世代が動き始めるべきだと風が強くなり始めた事務所で考えているのであった。