米大統領選に思う | |
2024/11/05記 | |
先日、日本国内で総選挙が投開票され、与党が過半数を割り込み少数与党での国政が始まることに成った。国民民主党との部分連合の話や、大臣が落選したために法務大臣や農水大臣が替わり公明党も代表の落選により国土交通大臣が横滑りで変更になる話など、連日のように報道があるが、そもそも首班指名以前の話なので、あり得ないことは解っているが与党の造反が発生すると野田総理になる可能性がある中での話である。まだまだ国政の話題から目が離せない状況が続きそうだ。 国内も心配であるが、本日投票されるアメリカ合衆国大統領選挙は世界中の注目を集めていることだろう。投票日は11月の第一月曜日の次の火曜日なので今回は11月5日であるが、日本では日付が変わり6日に成ったころである。 国土が広く時差があり各州での独自ルールもあり、投票終了時刻が最も早いインディアナ州と最も遅いアラスカ州では7時間も差がある。遅いほうの州では先に投票が終わった州の出口調査の結果などを考慮しながら投票ができるというのも変な話だと思う。 それ以上に今回の投票で直接大統領を選ぶのではなく、選ばれるのは各州の「選挙人」であり、彼らが正副大統領候補に投票する日は12月の第二水曜日の次の月曜日となるので、今回は12月16日となる。各州に割り当てられた選挙人が明日の投票結果と別の投票を行うことは無いので実質的に今日決まるとしても手続き的には選挙人投票の結果を開票する連邦議会の上下両院合同会議であり、通常では年明けの1月6日の開票を経て20日正午に新大統領に就任する日程となるようだ。 実に2ヶ月半もの時間を費やす非効率には更に変な気がするし、各州の選挙人を選ぶ形式は国民の多くが支持していない側の大統領を選ぶ可能性もある。実際に8年前ではトランプの共和党の得票数が約6298万票であった事に対しヒラリーの民主党は6584万票で4.5%多かったのに敗北している。 日本も1票の格差がある上に議院内閣制であるから国民の過半数から支持されたものが総理になるわけではなく、社会党の村山総理のような事例もあるので他人のことは言えた義理ではない。 しかし、アメリカ合衆国の大統領は直接選挙でえらばれる以上、世界を代表するIT企業の力を借りなくても簡単に国民の多数から支持を得るものが大統領になるという制度にすれば「激戦州」ばかりが注目を集め、その地域に気に入られるような政策(例えばUSスチールを日本製鉄が買収することに反対する政策)が出てくることも無くなるだろうと思うのだが、民主主義を誇るアメリカでその様な議論が出ているようには聞いていない。おかしな話である。 大統領選挙で羨ましいと思うことは、俳優や歌手、更にはメディアも特定の政党を支持し、投票を呼び掛ける行動を行っていることである。日本でもNHK以外はもっと明確に支持政党に寄り添った放送を行うことが出来るようになれば、多くの放送局を掛け持ちで見ることにより具体的な施策を知ることが出来るのに、と思う。 逆に二大政党の問題点として、例えばイスラエルを非難しパレスチナに寄り添う人が投票する政党が無いことを感じている。日本も小選挙区を導入して政権交代可能な二大政党制を目指すとしてきたが、今回の国政選挙で「手取りを増やす」というように特化した政策で一気に票数を延ばした国民民主党のような存在を考えると二大政党制で無くて良かったと思う点も多い。 再びトランプが大統領に成った場合にアメリカ第一主義により国際的な枠組みが壊れてしまわないか、ウクライナへの援助を打ち切りウクライナの敗戦で終戦となって傀儡政権の下で多くの難民が東欧に流出しないか、香港の民主化や台湾の独立への影響がどうなるか、地球温暖化防止の針がどの程度後退するのか、等心配事は尽きない。今夜だけは国政のことよりアメリカに注目しようと思いながら今回の記事を記載している。 |