税制の壁を考える | |
2024/11/13記 | |
自公政権が少数与党になり翌年度予算を成立させるため国民民主党との部分連合を進める方法としての103万円の壁が話題に成っている。所得税が発生する103万円だけでなく住民税の発生する100万円の壁、厚生年金の支払いが発生する106万円の壁、国民年金の支払いが始まる130万円の壁など様々な壁が話題に成っているが根本的に見直すべきだという議論が生じていないことが歯がゆく思っている。 市民サービスでも生活保護受給世帯、非課税世帯などの段階で負担の有無が発生する場合が多いが、算盤で計算している時代ではなく簡単な電卓で計算ができる時代に成ったのであれば、基礎控除額の排除を始めて税の計算を全て簡単な関数式で示すように変えれば、数値の係数はシームレスとなって原則として「壁」は無くなると思うのである。対数や三角関数などのような複雑すぎる関数式を導入すると電卓で計算できない場合が生じるので現状に対する検証はしていないが個人的には指数関数で代用するべきと思う。単純に考えれば下の式である。 税額等=α×(収入額/β)^γ若しくはδ×収入額の少ない値 住民税も所得税、年金など全て軽微な収入であっても納税義務が発生するように制度を整える提案である。現実的には納税額が徴収事務経費を下回る場合は免除するように事務の合理化は必要だと思う。 αとβ及びγについては物価や経済の状態を判断して適時見直しを行えばよい。γで示す指数は理解が難しい上に関数電卓が必要となるのでγを2とした2次関数にする方が解り易いかも知れない。更にγの値は1より大きい値で設定するが納税額は天井知らずに増加するので、ある収入額以上になるとδで示す最高税率を示す必要はあるだろう。 多くの所得を得ているものは他人より多くの税率が課せられるという累進課税の考え方は一定の合理性を持っているが、国によって最高税率が異なることで資産家はカリブ海の島々に多いタックスヘブンといわれる国家に国籍を移してしまい、課税逃れができる事態も生じている。高額納税者に優しいトランプ次期大統領には無理だと思うが、国連の機能として平和維持と同様に納税の均質化という課題も望みたい。 制度を大きく変えると、税理士や税務署が大変になることは理解できるが、単純に壁の位置を変えるだけの議論は小手先の対応であり、国民民主党の案を全て呑むと木更津市だけでなく全国の地方自治体の財政が予算を組めないほどの厳しい状況になる一方で中堅程度以上の納税者の減免効果が大きくなりすぎる。 地方自治体には課税の権利が僅かしか与えてなく、私ごとき市議会の一議員が発言しても聞く耳を持たないことは明らかなのであるが、収入額を気にしながら労働を抑制する社会を作ってしまった我が国とは何なんだろうと、多くの人手不足の企業の経営者の苦痛を聞き、報道も見ながら思ったことを記載した。 |