吾妻公園を考える
2024/12/27記
 昨日、タブレットを確認せずに駅前庁舎に行くと予定されていたはずの議会改革特別委員会協議会が中止に成っていた。議会事務局に確認すると中学生からの質問が集まらず会議を開けなかったということのようだが合同生徒会を所管する教育委員会の動きが見通せないのでは今後も心配であろう。そんな事を考えながら帰路に就くと庁舎の外で草刈議員とすれ違い、これから委員長として教育委員会と打ち合わせるとのことである。議運がコメントする立場でもないので後を任せて駐車場に向かった。
 委員会に出るつもりの時間があったし天気も良かったので、吾妻公園に検討している文化芸術施設周辺の土地利用に向けた簡単な調査を行うことにした。
 
 まず今回示された吾妻公園の基本設計のレイアウトを示す。
 
 
 この絵は現在の吾妻公園で完結させるレイアウトとして設計されているが、周辺の内港北公園、新宿水門を渡った先の出島の内港公園などとのアクセスが検討されていないことを総務常任委員会協議会で指摘させていただいた。
 なぜなら大きなイベントを開催する場合は吾妻公園だけでは駐車場不足になることが予見されており、周辺の施設の駐車場を活用することが必要なこと、及び複数の公園を会場として同時に開催する回遊性イベントを企画する場合の歩行者導線が検討されていないのである。
 具体的には下記の図面に示す青の歩行者導線と、内港地区への出入りのための車両導線となる木更津倉庫北側の道路拡幅という視点が抜けていると感じるのである。
 
 
 今回は本件に関するパブリックコメントが設定されていないのでここに具体的な提言を示したい。
 
 1.内港北公園との歩行者導線
 橋でつながれた埋め立て地にある内港北地区は先端に整備された駐車場があり橋を渡った直近の場所に港湾施設としての舗装された空間がある。そこから吾妻公園側に橋を渡ると公園を避けるように道は南側に曲がり間には高さ1.1m程度のコンクリート防潮堤が設置されている。新木更津漁業協同組合のうち旧中里漁協の方々が船を停める施設が有るため、現在も堤防を越えるための簡易な階段が設置され貧弱ではあるが歩行者の導線はある。
 
 しかし現況のままでは多くの歩行者を通すと漁業者の迷惑になる上、転倒の危険性があり危険であるし導線が複雑である。そこで橋を吾妻公園側に渡った橋台部分に横断歩道を設け、そこから現在の階段設置部の南側まで土堰堤を設けて上部を舗装し、防潮堤を渡ったところで防潮堤に沿った斜路(延長約15m)を設置することを提案する。
 防潮堤の公園側には約2mの幅で雑草が茂り、その隣に約6mの外周道路が設けられているので、擁壁を設置すれば幅員3m程度の歩道は難なく設けられる。漁業者の船にもアクセスしやすいように斜路を設ける空間もあるので大きな構造物が無くても簡単に対応できるだろう。
 斜路を降りた人たちが吾妻公園に入りやすいように文化芸術施設とあおぞら広場の境界部分に西門を設け、そこから施設の玄関までの導線を考慮することも併せて付け加えさせていただく。
 
 2.出島との歩行者導線
 上記に比べ多くの課題がある導線である。まず道路という設定がないため物理的に区分された歩行者空間を確保すべきかという観点が必要になる。漁業者の利用を優先して考えると海から離れた場所に設けるべきであるが、個人的には舗装にラインを記載する程度で充分だと思う。それ以前に県道から侵入してきた正面の未舗装部分の整備と内港北公園へ行く道路との連続性など面的な整備を行わないと交通処理的に混乱を生じさせるし、新しい施設から見下ろす風景が貧弱になる。
 また、出島との連結には最短ルートである新宿水門の管理橋を更新して活用したいと考える。現在は南端にしか出入口がない出島にとっても複数の避難ルートができることで安全性を含め使い勝手が良くなるだろう。
 
 昭和46年3月に千葉県開発庁が建設した銘板のある新宿水門の橋梁は塗装の塗り替えのような維持補修は行われているものの錆で断面欠損が生じている。一般市民が近づくにはけもの道のような落下防止もない部分の対策を考えなければなない。防潮堤の形状も複雑に曲がっているので、橋が長くなるものの防潮堤を超えた先の陸地まで橋を伸ばして勾配も緩くすることは検討に値する。それでも斜路とすることは難しくバリアフリーを満足させることは諦め、その様な方は県道まで迂回してもらいと割り切るべきであろう。また道幅も2m程度しか確保できないが県道の歩道に比べれば遥かに広いものと成る。
 いずれにしろ橋梁は事業費が大きくなるので吾妻文化芸術施設の整備後に取り組む課題になるだろうが、現計画の中で整備しておくべき課題であると考える。
 
 3.県道から港への道路拡幅
 内港北公園へ向かう道路は歩道3.5m+車道7mという立派な道路であり、車道部には中央線と外側線もひかれている。一方でそれにつながる県道からの道路は有効幅員6.5mで中央線もひかれていない。防潮堤の開口幅が11.2mも有るのに勿体ない。
 
 そこで公園の整備に当たり1mほどセットバックして車道幅員を確保するとともに歩道部分を公園の園路として公園内の園路と同じ規格で整備することを提案する。
 基本計画にあるクロマツ広場が狭くなり、上の写真に写る既存の立派な松を伐採することになることは忍びないが、内港北公園等の駐車場を活用すると考えた場合、道路の交通容量を増やす対策は必要であると考える。
 
 以上、吾妻公園を中心とした周辺設備との一体的運用への提案であるが、他にも可能であれば大きなイベントの際に陸上自衛隊の駐車場を借用できるように排水路上に歩道橋の設置も考えても良いかもしれない。素晴らしい施設を建設している中で、その効果を周辺部で支えるための総合的視点が必要だと思いながら、建設技師の血が抑えられず今回の記載をしてしまった次第である。