米不足騒動に思う | |
2025/02/20記 | |
私が農協の理事を行っていた平成25年から平成28年にかけては米価が低迷し、知人の稲作農家の片から農協は農家をどう考えているんだなどと言われ辛い思いをしていた記憶がある。 その後も物価の上昇に連動しないように米価の低迷が続いていたが一昨年より米価の上昇が激しくなり、昨年は豊作だったにも関わらず米価は高止まりをしたままである。 農水省の資料によると平成25年に1俵(玄米60kg)1万6501円であった平均取引価格が平成27年には1万1967円まで低下した。その後は若干上昇に移るのであるが令和3年には1万2804円まで低下し、令和5年は1万5314円に上昇している。 ![]() 私も父から相続した水田があるが、江川に1反(約1000u)、中里に2反と小規模であり効率が上がらないこともあって近隣で営農をしている知人の農家に耕作を委託している。土地を貸付した対価として一昨年までは1反につき1俵の玄米を受け取っていたし小糸の叔父から縁故米も届いていたので自宅には米の収納場所を確保してある。因みに1反から8俵程度の収穫が可能であるから土地の賃料は収穫量の12.5%程度であり米価が低迷していた頃だと約1万3千円程度の価値であった。 しかしながら昨年は中里で2反を耕していた方が高齢化を理由に田植えの直前に耕作を中止してしまった上に小糸の叔父も耕作を辞めたので我が家も米を購入することに成り、改めて米価が上昇していることを実感することになった。 政府は備蓄米を放出して価格安定を図るようだが、古い米を安価に供給する事で生活困窮者の緊急対策にするとともに在庫管理コストの削減とすればよいものを令和6年度米、つまり新米を中心に出すというセンスが解らない。味は少し落ちているかもしれないが現在の管理技術であれば品質に問題なく、そもそも品質に問題なく管理できるから備蓄米としての意味があると思うのだ。 さらには備蓄米を購入した業者から後日同量を購入すると聞き意味を理解することが出来なかった。購入する業者が談合して価格を調整した場合は政府から安価に米を購入して後日高額で政府に売れば確実に利益が出るという構図のように思えてならないのである。その防止のためには不足分を市場調達にする事である。 私の身近な方々が水稲を辞めたように全国的にも稲作農家は減少傾向にあり、現在より高い価格で取引が続くようでなければ新規参入を検討する者は現れないと思う。昨年、地域の農業の将来を検討するために作成した「地域計画」でも耕作者の確保が課題であると課題に直面したのである。 少なくなった稲作業者の中でも八郎潟や印旛のような大規模営農をしている者たちに減反や転作を奨励しなければ収量は上がり供給が増える状況にある。肥料米を食用米に変えるだけでも供給が過剰になり値崩れを起こすと想定されるので、政府は今年の作付けに関する制限を緩めると発表するだけで米価を落とすことは可能になるのであるが、前に述べたようにそれでは農家がやっていけないので離農者が増える危険性はある。 そもそも米が高いと言いながらも、今までが安すぎたのだと国民に理解してもらう広報と、米の生産拡大分を日本食が流行する海外への輸出でバランスをとる政策が望まれていると感じるのだ。 特に木更津市では他市に比べ休耕田が多く、維持管理が負担に感じる所有者が不動産会社などに売却して市街化調整区域での開発行為が続く状況に成っていることを考えると、農家の応援を考えるべきだと思いながら今回の記載を行っているのである。 |