水道議会で要望書
2026/02/06記
 私は木更津市議会議員であるとともに市議会から選出されて水道議会の議員も10年以上続けている。平成の終わりの4年間は用水供給の組織である『君津広域水道企業団』の議員であり、平成に成って4市の水道事業も統合した『かずさ水道広域連合企業団』の議員である。他市では常任委員会の委員長という役職等で選ばれ、県議会の枠は毎年4市から選出されている議員の持ち回りとなっているので長期に渡って同一議員が務めることは難しいが、木更津市議会の場合は会派から選出する体制としているため、持ち回りとする公明党会派以外は同じ顔ぶれで続けることが可能なのである。
 
 多くの議員に経験を積ませることの必要性も認識しているが、水道事業の統合から料金統合に至る一連の経過を全て見守ることのできる技術系議員の存在感は企業団職員にとって良い刺激になるだろうと考えて続けている。来季のうちに料金統合が終われば身を引くのが妥当だと考えたりしている。
 かずさ水道の発足に当たり、統合後10年までという時限的な統合交付金を活用して体制の強化を行うということが基本的な考えであったことを知る議員として、物価上昇や危機管理の追加といった統合時に想定していないことで歳出が増加し、交付金が廃止された場合の統合料金が非常に高額になる事態等を解消するため、齋藤高根議員と議会としても要望書を提出しようと模索してきたが本日の企業団議会で要望書の発議案が可決されたので報告する。発議案の内容は下記の通りである。
 
水道事業に係る国の財政支援を求める意見書
 
 水道事業を取り巻く状況は、高度成長期に整備された施設の更新や耐震化事業の遅れが大きな課題であり、近年では老朽管の破損等に起因する漏水事故が全国的に増加し、また、大規模地震により被害を受けた際には復旧までに長期間を要するなど、水道施設の耐震化の重要性が再認識されている。
 一方、少子高齢化と節水機器の普及、大規模需要家の地下水利用などに伴い水需要が減少し、独立した企業会計が求められる公営水道事業の置かれる環境は厳しさを増している。
 そのため、国は水道事業体の広域化を進め、経営基盤の強化や技術基盤の共有化を図り、給水サービスの向上が求められている。
 かずさ水道広域連合企業団は、房総半島を水源とする小櫃川を共通の水源とする木更津市・君津市・富津市・袖ケ浦市の4市の水道事業と、千葉県を交えた君津広域水道企業団の水道用水供給事業が統合を行い、全国の水道事業体で先駆けとなる広域連合で平成31年4月に事業を開始した。
 当企業団としても、必要な料金改定を行うなど財源の確保に努めるとともに、広域化のメリットを活用して管路更新率は全国平均の約2倍となる年1.2%で更新等を行っているが、この更新率を維持するためには、国の強力な財政支援が不可欠である。
 しかし、広域化の最大のメリットである統合交付金(「水道事業運営基盤強化推進事業」)は統合後10年間の時限交付であり、近年の急激な物価高騰の中で当初の広域化に伴う強靭化を目指す事業計画の前提が崩れ、10年間で目標を達成することが困難となった。
 また、水道事業の所管官庁が厚生労働省から国土交通省に変わることに伴い年度当初での交付金の内示率が急激に低下し、計画的な事業遂行が困難になっただけでなく大規模な補正予算の組み換えを余儀なくされた。国土強靭化に資するよう水道施設の整備水準を向上させ、将来にわたり水道利用者に安心・安全な水道水を供給し続けるため、以下のとおり要望する。
 
1  老朽化した水道施設の更新、耐震化等を継続的に実施するため、国は引き続き必要な予算を確保すること。
 
2  統合交付金における10年間の時限措置を延長すること。
 
3  統合交付金のメリットを確実に発現し、大規模で複数年にわたる契約済み工事にも当初予算で確実に交付金を充当できるよう、当初予算と補正予算の適正な配分を行うこと。
 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 
 令和 8年 2月 6日
 
かずさ水道広域連合企業団議会議長 石井 志郎
 
 内閣総理大臣  あて
 国土交通大臣  あて
 財務大臣  あて
 総務大臣  あて
 
 発議者は各自治体から1名の合計5名で、代表は石井議長の前任議長でもある木更津市議会の齋藤高根議員が務めることとなり議場で提案理由の説明を行った。それを受けて私は次のような賛成討論を行った。
 
 木更津市議会から選出されている近藤です。私からは発議案提出に賛成の立場から討論いたします。
 水道事業の統合に先立ち作成されました「統合広域化基本計画」では統合交付金を活用して老朽管を解消することにより漏水を減らし有効率を95%に高めること、配水池の耐震化や維持管理体制の統合合理化を進めることなどにより、安心で安価な水を安定的に供給することを目標に掲げました。
 現在でも統合による合理化の効果は発揮されてはいますが、近年の急激な物価高騰による工事単価の上昇に伴い計画していた目標の達成が困難となり、令和元年台風被害で給水が停止したことに対する非常発電設備の追加など、基本計画で想定していなかった各種事業も必要となり、新たな統合ビジョンでは基本計画の大幅な見直しが生じました。統一される料金は多くの自治体で大幅な上昇が見込まれ、市民に大きな負担を生じさせる事態が想定されています。
 また、所管が厚生労働省から国土交通省に変わったことに伴う交付金の遅れは、円滑な事務執行の妨げになるばかりではなく、施工する側の企業にも労務の維持や業務量の平準化に支障を生じ、企業体力の消耗は災害時の支援体制に影響を生じ、ひいては地域の脆弱性を高めるものと危惧されます。
 これらの事態を回避することを企業団議会として求めるためには、要望書に示す内容を地方自治法の手続きに従い、国に届けることは当然の権利と考えます。
 全国に先立ち広域統合を行った「かずさ水道広域連合企業団」で統合は失敗だといわれるようになると国が全国的に進める広域化への妨げになりかねません。国においても本要望を叶える意味は十分に深いものと推察いたします。
 以上の理由により、今回の発議案に示す要望内容は極めて妥当なものと考えて、賛成いたします。願わくば石井議長と高橋副議長におかれましては、本要望書を直接所管の官庁に届け、企業団の置かれた立場と要望の含意をお伝えいただくよう希望して、私の賛成討論といたします。
 
 私の次に富津市の三富議員からも賛成討論が行われ、全会一致で発議案は可決された。議会終了後の立ち話では正副議長だけでなく13人の議員全員で国土交通省に乗り込もうかという意見も有ったが、現実的に年度末を迎え4市と県議会の日程が揃って空く平日が想定しづらいことと、正副議長が乗り気でないことより多分郵送での対応に成りそうである。
 交付金の約束は残り3年であるが、その延長の是非が市民の水道料金負担軽減につながることを考えると、来年度も引き続き取り組まねばならない課題だろうと思いながら、要望内容を忘却しないためにもここに記載することとした。