地上波の質を思う
2026/04/14記
 世の中の流れを把握するため毎朝新聞を読み、時間が許す限り報道番組を見るようにしている。最近では京都府南丹市立園部小学校の5年生だった安達結希君の失踪に関する報道に多くの時間を割いている。遺留品が不自然な状況で見つかり今現在では本人とは断定されていないものの遺体も発見されるなど、痛ましい事件ではあるが不自然な状況が続くことに多くの国民の注目が集まり視聴率が高くなる状況が続いているのだろうと推察するが、全ての地上波がこの事件を追いかけている。少しの隙間にアメリカとイランの交渉などが折り込まれるが、事件から引いて俯瞰し、国民に多くの情報を伝えようとしている地上波は見当たらない。
 
 過去にも和歌山毒物カレー事件や酒鬼薔薇事件(神戸連続児童殺傷事件)の時も地上波は全てそのニュースを追いかけ、関係すると思われた人物への容赦ない報道陣の突撃取材が問題行為とされる状況にもなっていた。オウム真理教による松本サリン事件で犯人だと間違えられた被害者への報道被害以降では抑制が進み、今回の事件では放送されていないもの多くの取材が集中していることだろう。
 
 同じ年頃の娘を持つ父親としては気になる事件ではあるが、全国的に同様の事件が起きるとは考えにくく興味はあるが社会的影響は少ない話だと思う。視聴率は若干下がるだろうが毎日思い付きで言うことが替わる超大国の大統領を取り囲む米国内の動き、国際法違反で攻撃を受けたイランとの交渉、イランとの戦闘の陰で報道され難いイスラエルによるレバノンやガザへの攻撃、侵攻開始から4年を超えて前線が膠着しているウクライナや内戦状況のミャンマー等では毎日多くの死者が出ているが興味の対象に成らず視聴率が期待されないため殆ど報道の対象に成らない。
 
 さらに夕方と夜中の同じ様な時間帯に報道番組が集中し、午後4時とか午後8時、深夜0時にこの日の状況を知ろうとしても地上波の放送は無く、インターネットで調べるしかない。関東では読売(C日テレ)・朝日(Dテレ朝)・毎日(ETBS)・日経(Fテレ東)・産経(Gフジテレビ)と新聞社系の民法放送が5つも在りながら相互の調整が出来ずに、結果として地上波からインターネットに誘導する結果に成っていることを問題視している経営陣が居ないことも非常に問題だと思っている。
 
 過去の独裁者は国内の報道で国民を誘導したし、ウガンダではラジオ放送によって国内での大量虐殺が発生した事例もあるから地上波が駄目になることは良い方向なのかもしれない。
 インターネットは地上波に比べると取り上げない事案に対する詳細な情報が示されることがあるので調べ物には重宝しているが、その一方で、ブラックボックスのアルゴリズムに誘導されるように正しくなくても注目を集めている情報が多く伝播さるのが大きな問題である。
 木更津市では存在しない「ホームタウン構想」で木更津市とは関係ない多くの地域から攻撃を受けた。当時の担当課長は疲弊して退職したし、議会も膨大な陳情で事務局が無駄な仕事をさせられるなど多くの民衆を簡単に扇動出来てしまうという弊害がある。
 
 報道に関する者の矜持をもって膨大な取材を重ね、政府や経済界に対して凛として切り込みを行うことのできるマスコミを育てるためにはそれなりのコストが必要である。今までは日本が誇る新聞配達制度によって支えていたが、近年は新聞の購読世帯が急激に減っている。ネットの記事を有料にしたり、公告を貼り付けてネット空間で存在感を出す「オールドメディア」も多い。地上波もドラマ等を有料配信にするなどの対応を始めているが、ネットフリックス等の先行したネットメディアが有利に事業を進めている。先日開催されたWBCが地上波で報道できない事は国民の知る権利への侵害で先進国に習い法的整備が必要だろう。
 
 私が今回の記載でお願いしたいことは、多くの地上波が報道されているにもかかわらず「見たい番組が無い」という状況が続くことの無いように対応を進め、取材を丁寧に行うメディアが減っていくことが無いようにしてもらいたいという事である。大きな事件が起きるたびに毎回そんなことを考えているのである。