都計審に提案する
2026/08/26記
 本日開催された都市計画審議会(以下「都計審」という)で市街化調整区域での開発行為を可能にするための地区計画を提出できるように上位計画である都市計画マスタープランと地区計画ガイドラインを改定することが報告された。
 対象となる地域は旧富岡の田川で有限会社大東土木が山砂を採掘していた跡地利用である。市街地から遠く交通の便もよくないが、近隣に東京電力の内房変電所があるために大量の電気を安定的に確保できるという点では素晴らしい場所のようで、木更津市役所にも引き合いや相談が来ているようだ。これに関連することを昨年の11月12日に記載しているので電力供給の問題や冷却用水の課題など重複する内容は記載しない。
 
 対象とされる範囲は下図に示すように君津市との境界線上にあり、さらに一部は君津市域に属している。君津市の分を除く面積が52haであり、そこを「次世代産業開発誘導ゾーン」という地区計画類型に指定するというのが今回の報告事項である。
 既に8月8日の土曜日に地元住民説明会を実施し、20日には市役所内の関係部署で「自然環境保全ゾーン」から変更することの意思決定を済ませ本日の都計審を迎えている。今後の予定としては来月の建設経済常任委員会協議会及び議員全員協議会で議会に説明を終えたのちに意見公募を行い、11月に都計審へ諮問を行って変更するというスケジュールである。
 
 立地が可能となる対象施設としては、環境・エネルギー関連施設、食品関連物流施設、植物工場や生体材料の研究または工場の施設、データ通信等に特化した施設、陸上養殖施設、地域貢献に寄与する産業施設、と取り止めがないように見えるが、基本的には引き合いがあった業態を並べただけである。
 内房変電所と新木更津変電所に近接する立地環境と建築物の高さを50m以内という市街地のマンションより高いものを許容している原案を考えるとデータ通信等の施設、つまりデータセンターが有力な候補であると私は認識している。
 今回の場所は山砂を採取した窪地なので50mのデータセンターを建てても周辺からは見えにくく、集落からも遠いので印西市のような生活空間に巨大な箱が出来るといった問題は生じにくいだろうと想像する。
 
 19日に三上・神蔵議員とともに事前説明を受けた際に、当該地域にはアクセスする十分な広さの道路がなく、近接する県道木更津末吉線からアクセスする道路を建設しなければならないが、そこの権限を持つ君津市の理解を得ることが出来なければ事業化が出来ない場所であることと、アクセス道路が出来たとしてそこに面して地区計画を提出できる最小面積の10haで完結する計画を立案された場合、その奥になる42haへ取りつくことが出来なくなるので、当該箇所を貫通する道路が必要だろうと私は指摘した。
 すると、様々な過去の経緯を把握している三上議員が木更津末吉線の構想は当該地域を貫通して国道410号線に至り、そのまま久留里線をアンダーパスしている県道とつながる予定であったと指摘してくれる。その時にタブレットで地図を見ると、それをつなぐ道路が直感されてしまい、帰宅して国土地理院地図を使い実現可能性のあるルートとして木更津末吉線バイパスを検討したものが下図である。
 これだと小さすぎて解りにくいと思うので平面図を木更津側と君津側に分割し、縦断などを別個に掲載して解説する。
 
 先ずは木更津側の約3.5kmである。
 かずさアカデミアパークに立地した東京機械製作所の所で終了している道路を延長して、旧県道ともう一つの市道と平面交差するように平面位置を考えて道路の線形と縦断線形を考えるという提案である。交差する主要道路も少なく住宅の移転補償を行わなくて済むように検討することが可能な現状であると判断した。
 平坦な台地を離れると起伏が多くなり圧密による道路の沈下を抑えるため極力地山に道路を通すように設計したが、このことと稜線の手前から下り坂に設計したことで切土工事が増える。それは山林化している谷間に工事の残土を埋め立てて平坦化することで解決できるし、それにより創出される平坦な土地は次の産業用地に転用できる可能性もあるのだ。
 
 次に君津側の約2.5kmである。
 当該区間の大多数は現地の農道を拡幅する形になるが、小櫃川とその支流の2か所で橋梁が必要となり多大な事業費が必要な割には沿道を農地利用のままとした場合には開発効果が生じにくいので投資効果は高くない。それでも雇用の創出に伴い人口減少が激しい小櫃地区や久留里地区に移住者を呼び込む効果は生じるだろうし、今回提案された地域から最寄りの高速道路である木更津東インターへのアクセス道路として県が主体となって整備してほしいと願う路線である。
 
 当初は平面図の等高線を見ながら設計を進めていたが、国土地理院がネット配信している地図には断面図作成機能があることが解り、縦断図も作成することが出来たので併せて記載する。頂点は草敷集落の市道と平面交差する場所で、そこから小櫃川に向かって緩やかに下っていく設計が可能である。これに伴い厳密には道路周辺の降雨は矢那川ではなく小櫃川に流れ下ることになり、細かいことを指摘する河川管理者が居て流域面積の変更を認めないと言うと逆に小櫃川流域の一部を矢那川に流さねばならなくなるなど事業費を無駄に高騰させる危惧は残る。
 
 アカデミアパークまでは片側2車線の道路であるが、その先は交差点も減少し片側1車線でも十分な交通量が確保できると予測されることと現状の木更津末吉線で渋滞等が発生していないことから事業費を削減するため国道410号線の東側と同じ断面構成で良いのではと考えた。道路の幅が広くなると切り盛りの土量が多くなるし舗装面積が増えることで事業費も増える。そのため君津土木事務所に行って令和元年の施工図面を見せていただき、最後に基本的な項目の整理を行ったものが下図である。
 
 都計審では図面の評価は高かったものの、約6qに及ぶ道路築造費を開発業者に出させるわけにはいかないだろうという意見も出された。私も同感であり、今回の原案をもとに道路概略設計を君津土木事務所に行ってもらい、道路の平面線形と縦断を決めることで今回の地区計画が可能になった範囲の道路だけ事業者に施工してもらい、その後は次の開発需要や固定資産税の増加分を充当して木更津市分を整備するという手法を取り、開発効果が少なく事業費の大きい君津市分は千葉県において施工を進め、数十年という長い目で完成させればよいという感覚である。
 
 今回は頼まれてもいないのに労力を使ったが趣味で道路の設計をすることは楽しい。今後の精度を高める業務としてコンサルに道路概略設計を頼む場合の費用を国土交通省が公表している積算要領に基づいて計算してみたところ11百万円を超えてしまうことが解った。想定の倍近いと思いながら原因を考えると近年の人件費増加が要因である。設計に関する全職種の単純平均値で比較すると、平成24年には31,248円だったものが急上昇し、令和8年度では51,715円になっていた。
 私が過去に設計の委託を受けて請求してきた技師Aの基準日額が62,600円に成っていたことを知った時には木更津市の議員報酬を8日の仕事で上回るのかと驚き、議員活動を休んで仕事に戻ろうかと思うほどの高騰ぶりであった。
 
 今回は計画の改定と同時に道路の検討を並行して進めることの重要さを資料を用いて指摘したことを都計審の議事録に残すため図面の提示をさせていただいた。北野委員長も指摘したように長期的な視点で俯瞰して何が必要なのかと検討することを忘れないためにも「最近思うこと」に記録を残している次第である。