本市の地震災害対策について (平成19年6月定例議会)
 議場の皆さん、こんにちは。フォーラム未来の近藤です。
 通告に従い、地震対策の1点に絞ってご質問をさせていただきます。

 まず地震対策の現状についてお聞きします。
 1995年1月17日に関西地方を襲った阪神・淡路大震災により、それまで世界の先端を行っていると言われた日本の耐震設計が、実は十分なものでは無い事が判明し、都市災害の脆弱さや、地震対策の欠如が露呈しましたので、この年から耐震対策の必要性が叫ばれ、様々な対策が取らて来ております。
 一方、木更津の属する南関東を考えますと1923年に発生した関東大震災から本年で84年が経過します。南関東でのM7クラスの大規模地震は70~80年毎に繰り返されています。
 2005年1月に文部科学省は2035年までの30年以内に南関東直下でM6.7~7.2の地震が起きる確立を70%と発表しました。

 そこで、第一に地震災害による被害の想定について質問します。
 本市では平成11年1月付けの「木更津市地域防災計画震災編」を策定しており、そこでは、関東大震災をモデルにした、M7.9の地震が発生したとして、被害想定調査を実施しております。
 この調査では、本市は最大震度7の地震に襲われ、約16%の木造建築が被害を受ける予測となっております。特に小櫃川の中流域や河口部での地盤の弱い地域で被害率が高く想定されています。また消防水利の不足により6件の延焼出火も想定され、48時間で1400棟が消失する事も予想がされています。
 このような被害を少なくするため、一般住宅の耐震補強やブロック塀の撤去などを実施していると思われますが、その進捗について伺います。
また、地震被害を前提として、例えば消防車が近づけない狭隘な木造住宅密集地や、斜面崩壊が予想される急傾斜地域などの危険地域を把握されているようでしたら、その公表の予定について伺います。
 被害想定について、平成11年以降に見直しを進めているのかも伺います。
 
 第二に、地震への対策について質問します。
 阪神大震災では交通施設の被災により県庁や市役所に職員が到達出来ず、初動の遅れで災害対応に支障を来たしました。本市においても遠方から通勤する職員も多くいるものと思います。防災計画では勤務時間外に震度5以上の大規模地震が生じたときは、各職員が自宅に近い公民館に集合して住民の避難活動等にあたることとしています。そのような状況では災害本部となる市役所には、職員が到達できませんが、その対応はどの様に考えているのか伺います。
 また、地震については正確な予想が出来ない中で、気象庁は発生した地震が到達するまでの時間差を利用して緊急地震速報を配信する体制を取ります。
 この緊急地震速報を具体的にどの様に利用する計画なのか伺います。
その他にも、倒壊家屋での救出を行えるような対策や防災備蓄を進めていると思いますが、そのような震災対策について伺います。
 また、自宅が被災して住めなくなった場合は公民館等に避難することになりますが、中越地震の事例等を見るとプライバシーの問題等でストレスを生じ、避難中に無くなる高齢者も多く発生しています。
 その対策として、緊急時には企業社宅の空室を利用したり、区画整理区域に仮設住宅を建設できるように所有者と事前協議を進めておくことは、災害時の事務が混乱する事を想定すると有効な事と思いますが、そのような検討を進める計画はありませんか伺います。
 
 第三に、地震災害の広域的対応について質問します。
 首都圏の中での本市の特徴を考えると、大規模な被害が想定される京浜地区とアクアラインで結ばれ、羽田と成田空港に近く、災害救助に力を発揮する陸上自衛隊ヘリコプター師団が駐屯すると伴に、区画整理で造成された居住可能な空き地を大量に保有するという点と思います。
 また重要港湾である木更津港の富津地区が耐震護岸にされるなど、この地域は首都圏で何かあった場合には防災の対応を行う事が期待されているものと思われます。
 大規模な地震災害が発生した場合は、京浜地区で大勢の住居を失った人達が発生すると思われます。せっかく本市には居住可能地域が多くあるのですから人道的に受け入れられるよう対岸の諸都市と復興計画の策定を進めることが望まれるものと思います。八都県市合同防災訓練も定期的に行われていますが、具体的な緊急時の支援体制の協議が行われているか伺います。
 更に視界を広げるとスマトラ大地震のように仮設住宅等の緊急物資を必要とする大災害が世界中で頻繁に発生しておりますので、空港に近く港湾を持つ木更津がその拠点基地となることを提案し、積極的に対外的にPRしても良いものと思います。
 拠点基地となれば、本市に国等の予算を導入して防災力を高めると伴に、関連産業の誘致にも成り、さらには防災都市としてイメージが向上すると思います。私見を挟みましたが、そのようなお考えは有るかお聞かせ願います。
 
 現状の項目の最後として、地震被害の責任について質問します。
各種公営企業は阪神大震災の犠牲を教訓として、1995年より速やかに橋やガス管などの社会資本の耐震補強工事を実施してきました。国も昭和56年の建築基準法改正以前に施工された建物が地震に弱い事が明確になったため、阪神大震災から9ヶ月後に建築物の耐震改修の促進に関する法律を制定し、各地で耐震助成を行なってきました。
 このように中央の動きは早かったのですが、本市において「木造住宅耐震診断助成に関する規則」が制定されたのは昨年の9月と、だいぶ遅くなりました。
 学校の耐震補強工事についても本定例議会で議決された4校の工事が最初になるなど、対応が遅いことは明らかです。
本市では1987年の千葉県東方沖地震で重傷者1人の被害が発生しましたが、関東大震災以降は地震災害に伴う死亡被害は発生していません。これだけ長い間に地震災害が訪れなかった事は、幸運以外の何者でもありません。
 公共施設の中で、耐震対策の遅れによる地震被害者が発生した場合は、その損害の責任を管理者である市が負うようなことになるか伺います。
 
 続いて公共施設の耐震対策についてお聞きします。
 市役所や消防署は災害発生時にはその対策拠点となる重要な場所です。昨日、大村議員が消防本部について質問しているように、防災拠点は倒壊することが無いことは当然として、被災後も当初の機能を維持できるようにしなければなりません。
 また、公民館や市民会館についても災害時の避難先になる所です。そのような防災の拠点であるのにも関わらず、本市ではそれらの施設の耐震補強はおろか、耐震診断も行われていない状況であると聞きます。
 地震では本震の後に大規模な余震が発生することも良くありますので、自宅の被災によって避難した市民が公共施設の中で余震により被災してしまうような状況は避けねばなりません。
 また対策拠点の問題により災害応急対策に支障をきたし、防ぐことが出来たと思われる災害の発生や拡大を招くようなことがあっては成らないと思います。
 
 そこで第一に市所有建築物の耐震について質問します。
 国も地方公共団体は防災拠点となる公共施設等の耐震改修計画を策定することを求めています。本市においての市所有建築物の現況と改修計画の策定時期や必要と思われる予算について伺います。また、周辺市での状況がお解りでしたら併せて報告願います。
 特に本庁舎が改修前に被災した場合はどの様に災害対策本部を設けるのかを含めた計画があるようならお知らせ下さい。
 
 第二に小中学校の耐震化推進計画について質問します。
 この件は3月議会で多くの議員が質問し、本年度から概ね6年程度を目途に、小・中学校の校舎の耐震化を完了し、さらに体育館についても緊急時には避難場所にもなるという観点も入れながら耐震化の全体計画をどのように進めていくか研究をすると回答されています。また、耐震化対策が必要な27校のうち、本年工事を実施する4校と建て替えられる1校は耐震診断が終了しており、それ以外は優先度調査を基に耐震対策事業の展開を決めるとの事です。
 しかしながら優先度調査では耐震性能を把握しておらず、Is値を求めるには耐震診断が必要になります。耐震診断は昨年度末までに9校、本年は5校の予定なので、今年度末になっても14校が済んでいるだけです。
 残る13校の中に、実際には耐震能力の低い学校の存在も想定されますので、耐震計画の立案に先立って、耐震診断を終え、数値の低いものから対策を立てていくようにする方が良いものと思いますが、如何でしょうか。
 公立学校の耐震補強については、6月9日の朝刊に記事が載っています。
 朝日新聞によると千葉県下56市町村のうち、本市の耐震化率は31.9%で、下から数えて3番目の低い値です。
自治体名 耐震化率   自治体名 耐震化率   自治体名 耐震化率
1 印西市 100.0 21 大網白里町 65.8 41 勝浦市 47.6
2 長柄町 100.0 22 旭市 65.7 42 市川市 47.5
3 東庄町 88.2 23 館山市 65.4 43 千葉市 47.3
4 栄町 85.7 24 佐倉市 65.3 44 鴨川市 46.8
5 山武市 84.3 25 香取市 65.0 45 松戸市 43.2
6 本埜村 83.3 26 市原市 62.2 46 茂原市 43.2
7 神埼町 83.3 27 九十九里町 61.5 47 習志野市 40.9
8 浦安市 81.6 28 白井市 60.0 48 銚子市 38.6
9 長南町 81.3 29 一宮町 60.0 49 八千代市 36.8
10 成田市 80.7 30 いすみ市 59.5 50 鋸南町 35.7
11 長生村 79.2 31 野田市 59.1 51 富津市 35.6
12 多古町 76.9 32 君津市 59.1 52 鎌ヶ谷市 35.3
13 八街市 76.0 33 我孫子市 59.0 53 白子町 33.3
14 芝山町 75.0 34 酒々井町 54.5 54 木更津市 31.9
15 四街道市 73.5 35 匝瑳市 54.0 55 船橋市 31.5
16 袖ケ浦市 71.8 36 流山市 53.4 56 御宿町 20.0
17 南房総市 70.6 37 東金市 50.0
18 印旛村 70.6 38 横芝光町 50.0
19 富里市 69.0 39 睦沢町 50.0
20 大多喜町 66.7 40 柏市 48.6

 Is値が0.3を切ると判断された建物は、耐震偽装建築物で使用禁止とされた耐震強度0.5に等しいものと言われていますから、数値が低い学校は一時的に使用を凍結し、隣接する学校を一時使用することで危険性を低減する事を検討するべきものと思います。現に毎日新聞によると青森県六ヶ所村で危険な小学校を閉鎖して近くの中学校の空き教室に生徒を移して工事する事を報じています。
 このようにして生徒が居なくなった校舎ならば、大きな騒音を伴う工事を行っても学習環境への影響が生じませんから長期の休みに工事を集中させるような行程とならず、単年度内で低コストの工事も可能になるものと思います。
 また、本市では耐震補強工事に合わせ校舎の設備改修工事を実施していますが、当面は耐震工事を優先し、耐震補強が終了した後で大規模改修工事を進めると言うことも考えるべきではないかと思いますか如何でしょうか。
 また、体育館についても市民の避難所という視点で考え、その地域の公民館の耐震が充分でない地区は優先して補強するような全体計画にするべきではないかと思いますが、そのような考え方について伺います。
  
 第三に小中学校の学区再編について質問します。
 団塊ジュニアが在学していた平成元年と本年について小中学校の人数やクラスを比較しました。
 小学校の生徒数は平成元年に9,874名だったものが6,894名となり2,980名の減少です。比率にして30.2%減です。クラス数にしても18校で288有ったものが237となり51も減少しています。
 中学校の生徒数は6,095名だったものが3,278名になり2,817名の減少です。比率にして46.2%減です。同様にクラス数は13校で160有ったものが104となり56も減少しています。
平成元年4月1日 平成19年4月1日 増減 
生徒数 年平均 クラス数 生徒数 年平均 クラス数 生徒数 年平均 クラス数
木一小 727 121.2 19 473 78.8 16 -254 -42.3 -3
木二小 889 148.2 24 541 90.2 18 -348 -58.0 -6
東清小 205 34.2 7 86 14.3 6 -119 -19.8 -1
西清小 403 67.2 13 272 45.3 11 -131 -21.8 -2
南清小 112 18.7 6 102 17.0 6 -10 -1.7 0
清見台小 857 142.8 23 564 94.0 18 -293 -48.8 -5
祇園小 907 151.2 24 713 118.8 21 -194 -32.3 -3
岩根小 749 124.8 21 384 64.0 12 -365 -60.8 -9
高柳小 894 149 24 533 88.8 18 -361 -60.2 -6
波岡小 547 91.2 17 263 43.8 9 -284 -47.3 -8
鎌足小 193 32.2 7 101 16.8 6 -92 -15.3 -1
金田小 372 62.0 12 191 31.8 6 -181 -30.2 -6
中郷小 263 43.8 8 117 19.5 6 -146 -24.3 -2
馬来田小 548 91.3 17 305 50.8 12 -243 -40.5 -5
富岡小 124 20.7 6 83 13.8 6 -41 -6.8 0
畑沢小 729 121.5 21 899 149.8 26 170 28.3 5
請西小 798 133.0 23 895 149.2 27 97 16.2 4
八幡台小 557 92.8 16 372 62.0 13 -185 -30.8 -3
小学校計 9,874 288 6,894 237 -2,980 -51
  
平成元年4月1日 平成19年4月1日 増減 
生徒数 年平均 クラス数 生徒数 年平均 クラス数 生徒数 年平均 クラス数
木一中 563 187.7 14 311 103.7 9 -252 -84.0 -5
木二中 924 308.0 23 515 171.7 15 -409 -136.3 -8
木三中 527 175.7 13 283 94.3 9 -244 -81.3 -4
岩根中 549 183.0 15 261 87.0 9 -288 -96.0 -6
鎌足中 129 43.0 4 53 17.7 3 -76 -25.3 -1
金田中 235 78.3 6 93 31.0 4 -142 -47.3 -2
中郷中 139 46.3 5 65 21.7 3 -74 -24.7 -2
富来田中 393 131.0 11 205 68.3 6 -188 -62.7 -5
太田中 647 215.7 17 442 147.3 13 -205 -68.3 -4
畑沢中 369 123.0 10 414 138.0 12 45 15.0 2
岩根西中 455 151.7 12 191 63.7 6 -264 -88.0 -6
波岡中 804 268.0 20 285 95.0 9 -519 -173 -11
清川中 361 120.3 10 160 53.3 6 -201 -67.0 -4
中学校計 6,095 160 3,278 104 -2,817 -56
 このように少子化の流れを受けて子供達は急激に減っておます。
耐震補強工事は多額の工事費を必要とします。工事費削減の点からも学区の再編か同一校舎による小中一環教育の検討を進めていくべきものと思います。
 近年の学区再編でも大変なご苦労をなされている事は存じていますし、耐震補強の視点からだけで学区の再編を促すことは無理があるかも知れません。
 しかし、夕張市のように中学校4校を1校にまとめるような急激な変更ではなくとも、学校の統廃合を前向きに検討して行くべきものと思いますが執行部の見解を伺います。
 一方、ほたる野での人口増から、南清小学校では来年度より追加の教室数が不足するように聞いていますが、その対応方針についても伺います。
参考:木更津市西部の小学校通学区域図
参考:木更津市西部の小学校通学区域図
 以上で1回目の質問を終わります。ご答弁よろしくお願いいたします。
 
 
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 

<総務部>
 1点目の地震対策の現状についてお答えします。
 一般住宅の耐震は昨年度より、住宅・建築物耐震診断事業が始まったところです。この事業は、市内の木造2階建て以下の住宅について、君津地域耐震改修促進協議会に委託し、耐震診断を行うものであり、必要に応じて耐震改修工事等を指導してます。
 ブロック塀については、担当課においてコンクリートブロック塀の出張安全点検を行う旨のPRを市の広報を通じて行い、出張点検の結果、不良なものについては、改善のお願いを文書で通知しているところです。また、自主防災組織の防災訓練等をとらえてブロック塀等の危険性について啓発し、災害に強いまちづくりの推進を図っているところです。
 消防車が近づけない狭隘な木造住宅密集地域については、消防において把握しておりますが、特に外部には公表されてません。
 急傾斜地域は、現在、真里谷地区、畑沢地区内の2地区、小浜地区の4地域が、県の急傾斜地崩壊危険区域に指定されております。
 最新の地震被害予測については、現在、千葉県において、各自治体からボーリング調査結果等を収集しているところで、今年度中には地盤モデルのデータが市に配布されると聞いてます。
 
 次に、2点目の地震対策についてお答えします。
 地震発生時が勤務時間外で、職員が市役所に到達できない場合への対応についての質問ですが、市域が震度4を記録した場合は、注意配備が自動的に発令され、消防を含め75名の職員が市役所、消防本部に参集することになります。震度5弱を記録した場合は、警戒配備が自動的に発令され、103名の職員が参集するようになってます。しかし、震度5強を超えますと、指摘のとおり、市役所に参集することが難しいことが予想されます。その場合は、各職員の自宅に近い公民館が参集場所として定められてまして、各々の職員が、住民の避難活動等にあたることとなってます。
 緊急地震速報ですが、国では、地震や津波などの緊急の場合、自治体の防災行政広報無線に、直接、放送を流すという全国瞬時警報システム、通称Jアラートというシステムの導入を進めてます。本市の場合、現在使用しているアナログ波を使用した防災行政広報無線を今後デジタル化する時に、このシステムを導入しようと考えてますので、現在の状況では国からの緊急情報が入った場合に、
職員が防災行政広報無線で放送するという手順となります。 
 同時に、多くの場所で災害が発生する地震災害では、消防や警察といった機関も、すぐに、全ての現場に出動して救援にあたることは困難です。このような場合、一番頼りになるのは地域の方々であろうと考えてます。事実、阪神淡路大地震、新潟中越地震の時も、隣近所の方々が最初の救援者でした。そこで市としては、町内会等の自治会を中心とした自主防災組織の結成を促しており、結成する時に、発電機や投光機等の備品を求めに応じ、予算内で交付しています。
 土地区画整理事業区域に仮設住宅を建設するための事前協議の計画は、との質問ですが、現在、市内6箇所、約10万7千㎡、建築戸数として約800戸を建設できる市有地を応急仮設住宅の建設候補地としてますが、更なる充実を図るため、今後、関係課と協議してまいりたいと存じます。
 
 次に、地震災害の広域的対応についてお答えいたします。
 本市は、「災害時における千葉県内市町村間の相互応援に関する基本協定」を締結しており、被災市町村のみでは充分な応急対策及び復旧対策を実施することができない場合、千葉県内の全ての市町村が相互に協力することになってます。この協定による応援の中には、被災者の一時収容のための施設の提供も含まれておりますが、あくまでも千葉県内での協力となってます。
 アクアラインで結ばれた京浜地区の被災民の受け入れですが、現実的には、対岸が大きな被害を受けるような地震が発生した場合、本市も相当な被害を受けていることが予想されるので、そのような場合には、本市の住民を優先することになるでしょうが、要請が有りましたら、人道的な立場で可能な限り受け入れたいと考えています。
 八都県市の支援体制は災害時における相互応援の協定を締結しております。
 
 次の地震被害の責任というご質問です。
 責任問題ということになりますと、根本的には、どこまでが天災で、どこから人災かということが問題になろうかと思われます。自然災害の場合、人知を超える場合があり、特に地震災害の場合は震源地の位置、深さ等々、様々な要因により被害の発生状況が違ってきます。このような地震災害により発生した被害を、天災なのか人災なのかと判断するのは極めて難しい問題であり、最終的には司法の判断に委ねざるを得ないだろうと考えています。
 阪神大震災の際、地震発生後2週間以内の神戸市の犠牲者を対象とした監察医の調査によれば、窒息死や圧死による犠牲者が約83%となってます。また、その死亡推定時刻は地震発生後の15分以内が92%を占めてます。このデータから見ますと犠牲となられた方のほとんどは、水や食糧の不足、あるいは、消防や警察の出動体制の不備で亡くなっているのではなく、住宅の耐震化や家具の転倒防止対策を講じていれば助かったケースも多くあったと思います。
 このようなことを踏まえると、住宅・建築物耐震診断事業を通じて、市内の木造住宅の耐震化を促進することや、倒壊した場合には凶器となる重量塀を生垣・フェンスへ転換することを啓発するなど、災害に強いまちづくりの推進を図っていくことが必要であろうと認識するところです。
 
 次に、市所有建築物の耐震について答弁します。
 市所有建築物の現況は、平成12年に策定した「木更津市既存建築物耐震改修促進実施計画」によると、地震時に防災拠点、救援施設、避難施設や福祉施設等となる市所有の建築物は120棟です。そのうち市庁舎につきましては、耐震診断の必要性の高い施設と位置づけられており、その重要性、必要性については十分に認識をしているところです。しかしながら、市庁舎の耐震診断費用については、最近の見積もりによると約900万円かかること、また、現在厳しい財政状況の中で学校施設の耐震改修を優先的に実施することとしており、これらに、今後相当の費用が見込まれることから、改修時期等については、明言することはできませんが、早期の実施に向けて努力してまいりたいと考えております。
 なお、周辺市の状況は袖ケ浦市は、市庁舎の耐震診断を平成19年度に実施し、改修については平成19年度よりの次期3ヵ年計画にて改修を計画、消防庁舎については新耐震基準とのことであります。君津市は市庁舎の耐震診断を平成18年度に実施し、平成20年度以降に改修予定、消防庁舎については新耐震基準とのことです。富津市は、市庁舎は新耐震基準ですが、消防庁舎については耐震改修か立替を検討中と聞いてます。
 最後に本庁舎が被災した場合の災害本部の位置付けですが本市の地域防災計画では、本庁舎が災害対策本部として使用できなくなったときは市役所内別棟の防災用備蓄倉庫を本部とすると位置付けています。
 
<教育部>

 小中学校の耐震化推進計画についてお答えします。
 耐震化対策は昭和56年以前の旧耐震基準で建築された建物について必要とされており、手順としてはまず耐震診断を実施し、その結果を受けて改築を行うか、あるいは耐震補強を行うか判断します。そして耐震補強が必要な場合は補強設計を行い、耐震補強工事を実施することとなります。
 本市の耐震診断実施状況は指摘の通り本年度末においても耐震化対策が必要な27校のうち、13校が未実施です。残りについて急ぎ耐震診断を終えて、その数値の低いものから対策を立てていくようにする方が良いのでは、という質問ですが、どの学校から耐震診断を実施すべきか、その優先度を検討する事を主な目的とする耐震化優先度調査を昨年度実施してますので、来年度以降の耐震診断については、その結果を踏まえ計画を策定する考えであり、指摘の通り危険度の大きいものから耐震化を進めます。
 なお、まとめて耐震診断のみを先に済ませ、その結果を踏まえて耐震化計画を策定することについては、対象学校数が少ない場合には有効と考えますが、本市のように対象学校数が多い場合は耐震診断を終了してから耐震補強計画策定までに年数が経ってしまうことから、耐震補強計画の策定時に再度コンクリート強度の確認を行う必要が生じることなどから困難と考えます。
 次に当面は耐震補強工事を優先し、耐震補強が終了した後で大規模改修工事を進めるということも考えるべきではないか、という質問ですが、耐震補強を優先させる考えもありますが、本市の場合は学校施設が非常に老朽化していること、耐震補強工事において教室の天井・壁・床の一部を壊して復旧すること、外部足場など仮設費が1回で済みコストが軽減できること、工事中の教室移動が1回で済み児童・生徒への負担が少なくなることなどの点から、校舎改修工事を併せて実施することにしました。
 次に避難場所の視点で考え公民館の耐震が充分でない地区は優先して体育館を補強するような全体計画にするべきではないか、という質問ですが、旧耐震基準で建築された公民館のうち、耐震改修促進法における対象建築物に該当し耐震診断が必要な建物は、3階建てでかつ1千㎡の延床面積を有する中央公民館のみです。その他の公民館は平屋あるいは2階建てであり、該当しないことから危険度は低いと考えています。このような事から長い時間、児童・生徒が居る校舎を優先して耐震補強を行いたいと考えてます。
 
 次に小中学校の学区再編の検討についてお答えします。
 耐震補強経費増大に伴う経費削減のために学校の統廃合を検討することは、教育環境を単に行政コストの中で捉えると受け取られかねない側面があります。また学区再編は地域の問題も含め様々な課題を内包しています。
 このため耐震と学区再編の問題は個別に議論を深めた上で、相互の連関として検討することが必要だと考えます。
 なお、学区再編の検討は3月議会の質問に答弁したところですが、今年度より教育委員会南部での研究に着手しています。現在方針を議論している所ですが、内容については今後議会等を通じて報告させていただきます。
 次に喫緊の課題として質問のあった南清小学校の教室不足の問題ですが、現状は充分認識をしており、対応策については教育委員会内部で検討しており、見通しを持った最善策を講じてまいりたいと考えてます。
 いずれにしても児童・生徒の安全確保の点からも出来る限り早期に全ての学校施設の耐震化を達成したいと考えてますのでご理解を賜りたい。

 
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細かい内容が気になる方は、市議会のHPに議事録を参照して下さい。
 
 第一に地震災害による被害の想定の再質問です。
 本市に地震災害が今直ぐにでも発生するかもしれないと言う危機感を持っているのか伺います。その危機感が予算の策定等で重要な判断基準になるので、その点について伺います。
 
 関東大震災級の地震が何時起きても不思議ではないという事は皆さんご承知のことと思います。過日も30年以内に震度6弱以上の地震の発生予測が政府の地震調査研修推進本部からも発表されており、様々なメディアでも報じられています。職員もこれらを目にしており、危機感は常に持っています。
 
 危機感を持っているので有れば耐震対策に色々と対応していただけるものと思いますので御願いします。防災計画が見なおし中と有りましたが、計画できましたら速やかに市民に公表すると伴に、災害時に職員や関係者が速やかに機能できるよう、防災計画の骨子を簡潔にまとめたものを作成していただけるように御願いします。
 次に一般家屋の耐震補強についてですが、個人の負担が伴う問題ですので早急に進まないの事は解りますが、一般家屋の倒壊が生じ避難路をふさぐとか緊急車両が近づけないとかなる建築物は、速やかに改修を進めるように行政から積極的に働きかけるべきと思いますがそのような考えについて伺います。
 
 一般家屋の耐震補強については国の住宅建築物耐震改修の補助金交付要項が平成17年4月に制定されました。また千葉県の補助事業は平成18年度からであり、これらに基づいて昨年9月に木更津市木造住宅耐震診断助成に関する規則を制定し、本市も耐震診断に関する助成を開始したところです。昨年度は無料耐震診断会を8~9月にかけて行ったところ47件の相談がありました。市役所の常設窓口においても8件の相談があり、それらの中から39件の方が助成制度を利用した精密耐震診断を受けております。本年度もこの制度を続けており、30件程度の助成を予定しています。引き続き時期3カ年プランでもこの耐震診断事業を行っていく予定ですので制度の普及促進で市民の安全な住宅の確保に努めていこうと考えています。
 
 今の話ですと申し出の有った方だけに対応している事になりますが、私の質問は危険なところや直した方が良い家について行政の指導を行っていく考えは無いかと言うことです。
 
 崖地等に建つ住宅の移転対策については、昭和49年度から崖地近接危険住宅の移転事業を実施しています。本事業は千葉県建築基準法施行条例第4条、通称崖条例といいますが、これに抵触する昭和47年10月以前に建てられた既存不適格の住宅に対して補助をする事業ですが、これまでの累計で26戸の住宅が本事業により安全な場所に移転しています。今後も本制度のPRに努め、崖地に住む住民からの建て替えの相談時には本事業の活用を含め、安全な場所への移転を押し進めていこうと考えています。
 
 急傾斜地域への対応については解りましたが、狭隘な木造住宅密集地とか火災の連焼が予想される地域などへの対策について伺います。
 
 現状は消防でそのような地域を承知していますが、特に防災上の対策を取っていません。
 
 防災を進めるために、そのような所での対策も今後は検討していただけるよう御願いします。またブロック塀の危険性を広報するなどを行い「災害に強いまちづくり」を目指していくということですので、引き続き対策を取っていただけるようよろしく御願いします。何より生命と財産を守る事が行政の責務だと思いますので、災害が発生した後で、何故あの時対策を取っておかなかったのか、と後悔する事が無いように御願いします。
 
 次に地震への対策の点を質問します。
 先ほど震度5を越えると本庁舎に職員が到達できないとの事ですが、到達の遅れによる職員不足から震災対策への初動が遅れることが有ってはならないと思います。そのため、OB職員や民間企業の参加を念頭に置いた災害計画を立案する考えは無いか伺います。
 
 例を示します。平成17年7月23日は土曜日で役所は休みでしたが、その時発生した千葉県北西部地震では82名の職員が参集しました。この地震では警戒配備が自動的に発令され、その対象が113名であり、内82名が参集したという実績です。約73%でした。この数字が職員の参集の目安になると思いますが、概ね良好に参集していただけると思います。また、OB職員や民間企業の参加を念頭に置いた計画ですが、災害発生時の物資の供給や各種の協定を結んでいる企業、OB職員につきましてもそれぞれの立場で自主的に対応していただけるものと考えていますが、現在の計画としては有りません。
 
 民間やOB職員、ボランティアについて動くと思いますが、災害計画を見直す段階でそれらについても考慮いただきたいと思います。引き続き緊急地震速報、
Jアラートについて質問します。現在のシステムでは地震が来ますよと聞いてから防災行政無線を起動するという事でしょうか。
 
 その通りです。
 
 地震が遙か遠くで起きれば20秒・30秒という時間が取れると思いますが、地震が近所で起きた場合にはほんの数秒でS波が到着する形になるので、職員が防災行政無線を起動しているうちに地震波が届いてしまう事になります。その対策のためにはデジタル化をしなければならないという事でしょうか。
 
 防災行政無線はアナログ運用をしている所ですが、現在の市の考えではデジタル化したときにJアラートを導入しようという計画です。
 
 色々な建物の耐震補強が時間が掛かるということもあり、デジタル化も速やかな対応を取っていただけるよう御願いします。つづきまして緊急時の対策についてお聞きします。800戸の仮設住宅の用地を確保していると言うことですが、仮設住宅の資材の確保のあては有るのか伺います。
 
 災害救助法の適用による応急仮設住宅は、法によりまして県が供給することに成っています。この法律に基づき、県も救助の万全を期するために常に設備や物資の整備に努めているものと考えています。また、民間アパート・企業社宅・休養所等の民間施設についても被災者の一時の入居のため、その施設管理者に対しまして協力を県として要請していただけると認識している所です。
 
 災害発生時に初動を早くするために事前に検討を進めることは有効と考えますので、関係課や県との協議を行っていただくよう御願いします。続きまして地震被害の責任について質問します。先ほど阪神大震災では92%が地震発生15分以内に亡くなったとの事ですが新潟中越地震ではどうだったのか伺います。

 中越地震の状況ですが現在犠牲者が67名となっています。地震発生後15分以内という資料がありませんが、建物の下敷きになったなどの物理的な死亡は16名であり、地震発生後2週間以内に犠牲になられた方は39名です。
 
 中越地震では地震で圧死したよりも避難場所で亡くなっている方が結構居ます。狭い車の中で座ったままでいてエコノミー症候群で亡くなっている方が結構居るという事です。阪神大震災では92%が15分以内ということですが、6400名の死亡の中で残る8%を考えても500名近い人がその後に亡くなっている形になります。そのような事を考えますと避難したところでの環境、お手洗いの準備などの対策を取っておかないと、その後の災害が増えてくると思いますので、防災計画でもその検討を宜しくお願いします。続いて責任の所在について質問します。袖ケ浦市や君津市については耐震診断が終わり、数年以内に対策が取られる状況になります。広域的に起きる地震で君津や袖ヶ浦が被災せず、本市市役所のみが被災した場合には、対応の遅れという責任を問われるのではないかと思いますが如何でしょうか。
 
 市に管理責任がある建造物の中で被害が発生したという場合には、一般論より責任の度合いは高くなるだろうと考えます。そのようなことが起きないように、学校施設の耐震改修を最優先にして実施している所でして、市庁舎の耐震改修の必要性については充分認識しています。
 

 本庁舎で勤務している大まかな職員数はどれくらいですか
 
 大まかには430名ぐらいです。
 

 職員が4百数十名もおり、一般の市民も申請や打合せで大勢訪れているのが本庁舎です。災害が起きた場合には防災拠点として市民の第二次災害を防いだり物資の供給の割り振り等、様々な責務を負うところが本庁舎です。先ほど耐震診断の9百万円の予算が厳しいという事でしたが年間予算3百億円の中では何とか工面できる値と思いますから、早めに診断していただき、被害が発生しても圧死や転落死が生じないような補強をしていただきたい、と言っても具体的に答えられないと思いますが、進めていただけるよう御願いします。
 続きまして小中学校の耐震化推進計画について再質問します。耐震診断と耐震補強設計は年度を替えて行っているので、診断のみ優先して行っても良いと思いますが再度ご説明いただきたい。
 
 基本的な方針として診断・設計・工事を連動して行う事にしています。というのは社団法人文教施設協会の学校建物診断等判定委員会や千葉県耐震判定協議会の耐震判定委員会において耐震補強計画後の耐震性能について判定を受けていますので、判定後速やかに耐震補強工事を実施しないと判定の見直しが生じる可能性が出てきます。また、診断・設計までを一括して行うことは、対象学校数が多く一挙に工事が行えない本市の場合は有効ではないと考えます。
 
 なるだけ早く状況を把握することも必要と思いますので、検討を御願いしたいと思います。その把握したIs値、耐震の値になりますが、新聞報道でも公表している自治体としていない自治体があるようです。公表は不安をあおると考えるのか、公表する考えはあるのか伺います。
 
 私どもの判断ではIs値と震度の関係が十分解明されていない中で、Is値を公表することは、悪戯に不安を煽るというよう判断をしていますので、現時点で公表する考えは持っていません。
Is値とは?

構造耐震指標
(Seismic Index of Structure)

参考
Is = Eo × Sd × T
Eo ・・・保有性能基本指数
Eo = C × F
C ・・・強度の指数
F ・・・粘り強さの指数
Sd ・・・形状指数(建物の非整形を考慮する指数)
T ・・・経年指数(経年劣化を考慮する指数)
 Is値も勉強させていただいたのですが、分かり難い指標であり、それがどれくらいだったらどの震度や横方向重力に耐えられるという数字ではないので公表しないことはある程度了解できますが、策定中の改修計画が出来た段階では公表する考えが有るのか伺います。
 
 耐震化には多額の経費が掛かるので市民の理解を得るという観点から、耐震化の進捗状況については公表したいと考えています。
 
 耐震化工事の優先について質問します。耐震化工事と伴に大規模改修工事も行うので、工事を終えるまでの6年かかると聞いていますが、先議決を行った4件の工事において、①耐震補強工事費、②耐震補強と同時に行う方が足場等を共用できて効率的な改修工事費、③足場等の関係なく行われる改修工事の割合はどうなっているのか伺います。
 
 全体の中に占める耐震補強工事の割合は20%~30%、足場等の費用は3%程度、その他の改修工事の割合は70%~80%程度です。
 
 朝日新聞によると静岡市教育委員会は補強のみを優先するという事です。本市の場合はそれが3割ぐらいですが、先ほどの答弁で(大規模改修を)併せて行いたいという事でした。今後、さらにご検討いただきたいと思います。
 続きまして学区再編に移ります。先ほど教育問題はコストだけで語れないと言いました。コストだけで語ることは問題有ることは理解していますが、実際には予算がかかるので聖域出来る問題ではないと考えます。現実には教育予算が限られおり、教育財源を全ての学校に撒くよりも、有る程度集約して予算を使っていった方が教育環境の方からも良いのではと思います。教育環境の充実のためにも統廃合を進める必要があるのではと思いますので耐震補強計画の策定と合わせるというより、耐震補強計画に優先して統廃合については検討して貰わなければならないと思います。耐震補強工事を終わってしまった学校が実は統廃合の対象になり使わなくなるのでは、そこに投じた工事費が無駄になりますし、また、そこにお金を掛けたのだから廃校するのが勿体ないので使わせてくれ、と言うことが無いようにしていただければと思います。
 南清小学校の問題で有りましたが、今回の対応はまだ、学区の見直しなのか新たにプレハブ校舎を作るのか方針が決まっていないと思いますが、南清小学校以外に今後も教室の不足する見込みの学校は有るのか。昨年、学区の見直しを行ったばかりだと思いますが、そのような学校の見込みがあるのか伺います。
 
 新たな住宅地への人口の流入は刻々と変化をしてますが、本年4月時点で捉えた数値からは南清小学校を除きまして、ここ2・3年の内に対応しなければならない学校はありません。
 
 解りました。先ほど、耐震工事費の総額を抑えるための学区再編と言うことで質問させて頂きましたが、繰り返しになりますが教育投資の集中による効果とか、生徒が切磋琢磨しながら成長するようなことなどを色々と当局には考えて貰い、今後の執行部の活躍に期待いたします。 
 
以上60分