議場の皆様。こんにちは。会派羅針盤の近藤です。3月の代表質問では資料を使用しませんでしたから、今回は多くの資料を用意いたしました。細かい文字が多くて申し訳ございませんが、ご理解いただけますよう宜しくお願いいたします。それでは通告に従い、大綱3点について質問させていただきます。
最初に、大綱1点目として「建築物の維持管理について」伺います。
上下水道や公園などの社会資本、いわゆるインフラをどの様に更新していくかということは、本市だけでなく、全国的な問題となっております。
私は平成20年9月の議会質問で「土木財産の維持管理について」質問を行い、適切な維持管理計画が必要であることを問題提起いたしました。土木的財産は、都市整備部の所管課で、機能別に管理され、今年度は橋梁や公園など、多くの項目で長寿命化計画の策定に向けた全体的な維持管理計画の立案が進められております。しかし、市が所有する建築物については、用途別に複数の課で分散的に管理されているため、その財産の状況に関するデータは一元的に集約されておりません。全体的な維持管理計画を立案する部署も存在しておりません。市役所本庁舎の老朽化に伴う、庁舎建設基金条例も制定されましたが、本市が所有する建築物は庁舎以外にも数多く存在いたします。
最初に資料の1頁目をご覧下さい。この表は総務部管財課、教育部施設課、都市整備部建築住宅課等の協力を頂き、床面積が30uより少ない建築物を除外した443棟の面積を、完成年度と用途別に集計したものです。本市の所有する建築物の面積は合計約29万55百uとなりました。なお本庁舎の面積である9,151uは木更津駅前西口立体駐車場の10,160uに次ぎ本市で2番目に大きな建築物ですが、合計面積の3.1%であり、新庁舎の規模と言われる15,000uでも5%を占めるに過ぎません。
これらの更新に必要な事業費を、最近の建築工事である第3中学校を参考に求めてみます。第3中学校校舎の面積は4,978uであり、決算額は11億6525万円なのでuあたり単価は約23万4千円となります。これを先ほどの合計面積に掛けますと事業費は約692億円となります。第3中学校の決算額には設計費や解体費を含んでいない事や、構造形式がRCより安い鉄骨造で有った事、建築工事の落札率が85%であった事や、発注規模が小さくなると経費が増え単価が高くなる事などを考えると、実際には1千億円程度が必要に成るものと思われます。仮に、それを50年で全てを更新すると、毎年20億円程度の建築事業費を要することになります。因みに新庁舎の想定規模が15,000uで70億円と言われていますが、この場合のu当たり単価は46万7千円で第3中学校の、ほぼ倍となります。
次に、1頁捲っていただき、資料の2頁目をご覧下さい。これは先ほどの資料1をグラフにしたものです。市役所が建設された1970年頃を中心に、その前後で多くの建築物が建てられている事が明確になりました。1959年以前の建築物の中には昭和3年に建設され83年が経過した金田小学校の校舎も有りますが、それ以外は全て1955年以降に建設され、経過年数が60年以内のものと成っております。なお、この経過年数の加重平均を求めてみましたところ、32.2年となりました。バブル崩壊後の財政難では、歳出を抑制しつつ、土地開発公社の負債の返済を行ったことで財政再建を進めた事は高く評価されますが、これからは、維持管理や更新に要する費用を抑制することが難しい事が、グラフから読みとることが出来ます。
このように厳しい財政状況の中でストックの老朽化という問題を抱えている自治体は本市以外にも数多くありますが、取組の先進事例として千葉県佐倉市があげられます。
篠崎議員が昨日の質問の中でも話しておりましたが、5月7日に私を含む十九の会の7名で佐倉市に行き、小規模特認校制度の視察の前に、資産管理に関する取組も視察して参りました。
佐倉市では、分散していた管理体制を一元化する目的で、建築指導課・管財課・営繕課及び企画政策課の指定管理担当業務を再編統合し平成22年6月より『資産管理経営室』を市長の直属組織として配置しておりました。その組織では、持続可能な自治体を目指し、施設規模の適正化を進めるとともに、公有財産の管理・活用の促進と情報収集・整理・分析を行い、情報の可視化により無駄を発見し経費削減を進めておりました。具体的な例としましては、消防署の減築、データによる漏水の発見、保育園の建て替えに伴い他部署の所管財産との交換による事業費削減、ESCO事業やネットオークションの導入など、与えられた強い権限と細かな成功実績の積み重ねで、自信を持って効率的な事業展開を進めており、今後は建築物の削減が課題と申しておりました。この取組は、施設や環境といった「ファシリティ」を総合的に企画・運用・活用する事で、「ファシリティマネジメント」と言われており、多くの自治体で取組みが始められております。
そこで、最初に中項目1点目として「建築資産の一括管理」に関して質問します。市役所の建て替えだけでなく、数多くの建築物の更新を迎えるにあたり、このような制度の導入が必要だと考えられますが、執行部としては今後、どの様に取り組んでいくのか、本市の取組について、お考えをお示し下さい。
次に中項目2点目として「担当職員の人材確保」に関して質問します。
近年、実施している学校の耐震対策により、小中学校については構造の強化が図れ、延命をすることが可能になっていると思われますが、それでも、今後は数多くの建築物を更新すべき時期が訪れることは明かであります。それに対応する市役所職員の人材確保が今後の大きな問題であると考え、お聞きします。
資料の3頁目をご覧下さい。現在の本市の職員を年齢別、職種別に一覧表とグラフとしてまとめたものですが、建築技師に着目すると、47歳から33歳までの15年間に、たった3名しかおりません。現在平均で32.2年を経過している建築物の更新時期が15年後頃に最盛期を迎えると思われますが、その頃にはそれに対応するベテラン職員が僅かしか居ないことが予想されております。同じように30歳前後の土木技師の不足も橋梁や下水道の更新に際して問題と思われます。昨日の鶴岡議員に対する答弁で、35歳までの各年代に20人を目安に職員をそろえたいという回答が有りましたが、専門職の人材確保も大きな課題と思います。
執行部の今後の取組について報告願います。
次に大綱2点目として「市営住宅の活用策について」伺います。
市営住宅は104棟有りますが、その全てが1976年、つまり昭和51年以前に建築されたものであり、本市の建築物の中でも老朽化が際立っております。
配布資料の4頁目に示すように、現在の空室率は24.2%と、約1/4が空いている事に成っています。原因の多くは、老朽化により入居が困難になっているためであり、昭和39年以前に建築された団地では政策空屋として、新規募集を停止しているように、資産を充分に活用できておりません。その対策として、本年度には長寿命化計画を立案すると伺っていますが、市営住宅の更新を政策的に活用することを検討する場合、現位置に囚われず、大きな視点に立って斬新な考えを持つべきものと思います。
例えば、公営住宅は過疎対策として活用する事が可能です。その事例としては長野県南部にある下條村が有名です。村営住宅を子育て支援として活用した結果、合計特殊出生率は2人を超え、15歳未満の割合も長野県内で最も高い村となり、人口も減少から増加に転じました。原因は、一部屋約60u、2LDKの間取りで2台分の駐車場がついて月3万6千円という村営住宅を124戸ほど用意した結果、若い夫婦が近隣市から移り住んできたためです。同様の政策は木更津市内でも地域の人口維持が課題となっている場所で導入すべきと思います。
過疎対策だけでなく、コンパクトシティを表明する多くの自治体では中心市街地への人口集積策として市営住宅を活用しています。生活の利便性が高い市街地に交通弱者を誘導することで、郊外部の交通過疎の解決を図ると供に、夜間人口の増加によって市街地の活性化を目指しています。本市でも中心市街に土地開発公社が購入した財産が有りますので、そこに中高層の市営住宅を建てることは活性化に寄与すると思います。
これらの政策は、民業に対する官業の圧迫という面は否めませんが、例えば福祉面に重点を置いて、貧困の連鎖を防止するという観点から母子家庭専用とするとか、保証人の得られない住宅難民対策にするなど、民間に出来ない特色を出すことで官民が両立出来ると思います。
建設場所の検討以外にも、市営住宅の建築から維持管理を見直し、新たな取組を行うことで行政負担の軽減を図ることが可能となります。例えば建設にあたっては初期投資を低減する目的でPFIやPPP制度を導入することも検討の余地がありますし、民間住宅を借上住宅として認定することで、新規の建設を抑制する事も可能です。維持管理についても高知市などいくつかの市で導入している指定管理者制度を検討する事で市役所組織のスリム化が可能と思います。そのような観点から中項目2点ほど質問いたします。
まず中項目1点目として「長寿命化計画の立案」に関して質問します。現在の作業の進捗状況をお示しいただくと供に、今後の進め方については、どの様な方法で何を課題として取り組む考えなのか伺います。
中項目2点目に、「政策的活用の考え方」について伺います。先ほど説明したように、市営住宅の更新にあたっては、本市のバランス有る発展や、行財政負担の軽減につなげる事が可能と思いますが、その様に政策的な活用を行う考えはないのか伺います。
最後に大綱3点目として「消防組織の再検討について」伺います。
配布資料の5頁目をご覧下さい。表1に示すように、消防団員の条例定数は、富来田町と統合した翌年である昭和46年には850名でしたが、その後4回に渡り、現状にあわせた見直しが行われ、平成9年以降は663名となっています。しかし、実数の減少は定数の削減を上回る早さで進み、本年5月1日現在の充足率は87%まで低下しております。
さらに表2に示すように、部単位で見ますと、39の消防団中、10箇所は充足率が75%を下回っており、その内の2箇所は定員の半分を満たすことが出来ず、満足な消防活動が難しくなっている現状があります。
消防団員の担い手が減少する中で、充実強化を検討するため、消防団組織の中に特別委員会を設けて検討し、先月13日に行われた消防団幹部研修の中で「木更津市消防団の充実強化について」という答申が示されました。この答申では、入団促進の各種施策や、団員確保のため女性やOB消防団員の入団推進、機能別分団制度の提案などが行われております。また、これに先立ち、昨年11月には「木更津市消防団装備(車両)のあり方について」という答申も示され、その中には大災害の発生で隣接する消防団の連携が一時的に困難となった中でも独立して効果的な人命救助等を行えることを目標として、救助資材搭載型小型動力ポンプ積載車への段階的な移行を目指すという記載があります。これは消防団におけるポンプ自動車の廃止を目指していると読むことが出来ます。
これらの答申が示された背景や現状を基に考えると、消防団組織についてどうあるべきか検討を行わねば成らない時期を迎えていると思われます。
そこで、中項目1点目に「消防団組織の再検討」に関して、小項目5点を、お聞きします。
1点目に、団員の待遇改善に関する問題について質問します。消防団員には報酬や出勤手当が支給されており、補償についても雲仙普賢岳噴火の頃より遥かに保険制度が充実しています。しかし、消防団からは、資材や衣服の購入などの地域負担が多いという声も聞かれ、さらなる待遇改善が求められています。現在の課題と今後の方向性はどう考えているかお示し下さい。
2点目に、部の統廃合の指導について質問します。この件については3年前の9月議会でもお聞きしましたが、長年に渡って改善の見込みがない部については何らかの対応が必要と思われます。消防本部が先頭に立ち、地域へ統廃合を提案する考えはないのか、改めて伺います。
3点目に、機能別分団について質問します。これは分団や部の系列の外に置かれることになると思われますが、求める役割や指揮系統の上では何処に位置付けられるものなのかお示しください。
4点目に、消防団の定数について質問します。現在の定数の根拠はポンプ自動車の部で18名、小型ポンプの部で15名なので、車両が小型ポンプ積載車に変更になることで根拠も変わりますし、機能別消防団の設置等も有るので、定数を見直されるものと思いますが、消防本部のご見解をお示しください。
5点目に、消防団車両の見直しに伴う財政効果について質問します。高額なポンプ自動車を小型動力に変えることで財政上の効果も生じると思われますが、その概要をお示しください。
中項目2点目は「分署出張所の統廃合」について伺います。
本市の消防組織は本署のほか長須賀・金田・富来田の3分署、波岡・高柳・清川の3出張所の合計7箇所で市内全域をカバーしています。近隣市の状況を見ますと、君津市は4箇所、袖ケ浦は3箇所でカバーしていますし、富津市は3箇所であったものを本署の移設に併せ富津出張所と統合し2箇所に縮小する方向と伺っています。この様に近隣市に比べ、本市の分署出張所の数は目立って多いものとなっています。
分署や出張所が密に配置されていることで、現場到達の時間が短縮されるという消防力向上のメリットは有りますが、維持管理費のコストアップや職員のローテーションが厳しいという問題も生じています。配付資料の表3に示すように、長須賀分署と高柳出張所は敷地も狭く、車両や器具の手入れも難しい状態にある一方で、表2に示すように、それぞれを活動拠点としています3分団1部及び4分団7部には単独の詰所が無いという問題もあります。
近隣市の状況を考えますと、この2箇所を廃止しても問題ないように思われますが、せめてこの2箇所を統合して新たな分署を設ける事で施設の総量を減らしながら設備の強化を行うと供に、現在の建築物を消防団詰所として分団に貸与する事で消防団組織の待遇改善になるものと思います。
このように分署出張所についても、今後の有り方を考えるべき時期と思いますが、現在の課題についてどの様に認識されているのか、お伺いいたします。
以上で第一質問を終了します。 |