都市計画の課題について・他 (平成25年9月定例議会)
 議場の皆様。こんにちは。会派羅針盤の近藤です。通告に基づき、大綱2点について質問させていただきます。
 最初に大綱1「都市計画の課題について」伺います。
 本年2月12日に木更津市の都市計画が変更されました。これは今まで千葉県知事が行っていた告示行為が、初めて木更津市長の名前で行なわれた、記念すべき変更でもありました。しかし、市が告示できる都市計画の権限は小さく、今回の変更概要は金田東地区の進捗に伴う用途地域の一部変更に限られております。
 私は過去の議会で都市計画について何回か質問していますが、今回の変更には私の提起した道路の線形等の変更は含まれていません。東日本大震災を経て都市のあり方が問われている中、都市計画は多くの課題を含んでいると考え、中項目3点を順次お聞きします。
 まず、中項目1点目として、都市計画の決定方式について質問いたします。近年の地方分権の進展により、都市計画の軽微なものについては市町村で定める事が出来るようになりました。具体的には、都市計画法第15条で、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針、区域区分、市街地開発事業等に関する都市計画等については都道府県が定め、その他の都市計画は市町村が定めるものと記載があり、また、市町村が定める都市計画は、都道府県が定めた都市計画に適合したものでなければならないと定めがあります。さらに第15条の二として、市町村は必要があると認めるときは、都道府県に対し、都道府県が定める都市計画の案の内容となるべき事項を申し出ることができる、とされ地域の意向を県に伝える事が認められてもおります。
平成26年度経営方針の基本方針に示す「地域が自らの発想で特色を持った地域づくりを推進する」ためには、市の骨格を決定する都市計画を改変できる権限は必要です。6月の質問で取り上げたように、都市計画は広域的に行うことも重要で、そのため県の関与も必要とは思いますが、実質的な決定権は地方自治体にあることが本来の姿ではないかと考え、小項目2点についてお聞きします。
 小項目1点目として、木更津市の決定権限についてお聞きします。木更津市が独自に判断できる都市計画は限定的なものとなっておりますが、都市計画区域の変更、都市計画道路の位置等、現在でも県が定める都市計画について、地元自治体である木更津市の意向はどの程度反映されるのか、伺います。
 小項目2点目として、住民意見の反映方法についてお聞きします。市には都市計画審議会が有り、私も委員を努めておりますが、審議会の位置づけは市からの諮問に対し意見を述べる場であり、都市計画の諸問題について議論を重ねる場とは成っておりません。同様に都市計画変更の素案が立案された段階で行うパブリックコメントも、変更内容に対する意見を求めることを目的としており、広く諸問題の意見を集める場ではありません。都市計画全体に対する住民意見の反映方法はどの様に考えているのか伺います。
 ついで、中項目2点目として、都市計画道路の見直について質問いたします。 配布資料1をご覧ください。これは木更津市で現在決定されている都市計画図から抜粋したもので、道路計画の見直検討が必要な事例とて、3箇所を抜き出したものです。
 まず、初級編とさせていただいた路線番号3・4・9の江川牛袋線ですが、この問題は航空自衛隊に面して幅員20mの市道206号線が有りながら、それから外れて幅員18mの道路を計画した事にあります。航空自衛隊の土地を購入した場合、反対側に残地が残るような計画なので、周辺に支障物件も無いことから、現在の道路用地内に収まるよう、平面線形を修正すべきものです。
 次に、中級編とさせていただいた路線番号3・3・2の木更津駅築港線ですが、この問題は港に面した区間の計画幅員を片側1車線である12mに設定している事です。フェリー乗り場に繋がっていただけの時ならよかったのでしょうが、4車線の富士見大橋が建設され、臨港道路と繋がった昭和63年の時点で計画の変更をするべきものでした。因みに臨港道路である南部2号道路の幅員は、商工会議所の所で24mですから、港を望む豊かな歩行空間の確保も考えると28m程度の幅員にするべきものと考えます。
 最後の、上級編とさせていただいた路線番号3・3・16の中里曽根線ですが、この問題は計画道路が既存の中郷大橋に重複している事にあります。この都市計画道路の橋梁を建設するため現在の橋を数年間通行止めにする事は、通学路の問題等で困難と思われるため、費用のかさむ仮設橋梁の設置と撤去が別途必要になります。前後の道路が完成して計画位置を変更することが出来ない、という状況ではない以上、取り付け区間ともども位置の変更を行うべきです。そうすることで、新しい橋を建設後に現在の橋が撤去でき、仮設橋梁に必要な事業費を削減することが可能となります。
 この他、今回は例示していませんが、精査することで適切な計画と成るものはまだ他にも有ると思われます。さらに、平成21年6月議会でも質問したことではありますが、道路の位置や延長についても見直しを図る事により円滑な交通が期待される路線も多く存在します。一方、長年に渡り整備率が0%の都市計画道路について、千葉市等では多くの路線を廃止しましたが、本市でも真に必要なものか検討し、時代に適合していないものについては廃止についても考えるべきと思います。道路位置が不適正であると、中野畑沢線と陸上自衛隊の事案のように、多大な時間と費用が失われます。都市計画道路の再評価を行い、適正な計画にしていくべきと考えますが、見直しについて検討されているのか伺います。
 最後に、中項目3点目として、防災計画と都市計画について質問いたします。震災前に5600人以上が居住していた宮城県名取市の閖上地区では、震災で600人以上が犠牲になった結果、被災市街地復興土地区画整理事業に取り掛かり、海側の約42haは非住居区域に設定し、産業施設やスポーツ施設、公園などを配置し、陸側の80haは住居区域とし、地盤全体を約3m嵩上げすることを決めました。同様に陸前高田市など被災地の自治体の多くは居住地域の見直しや、地盤の嵩上げなど、安心して住める街づくりに取り組んでいます。津波だけでなく台風による高潮も心配です。国内では室戸台風以降、大規模な高潮被害は生じていませんが、世界を見渡せば毎年のように甚大な自然災害が発生しています。地球温暖化の中、高潮対策を講じることも自治体の責務と考えます。
 配付資料2をご覧下さい。これは津波ハザードマップで示された浸水が予想される範囲、及び2m以上の浸水が予想される範囲を線といたしまして都市計画図上に重ね、津波避難ビルと学校・公民館をプロットしたものです。この図を基に小項目3点についてお聞きします。
 小項目1点目として、浸水範囲の都市計画についてお聞きします。津波ハザードマップで2m以上の浸水が予想される範囲でありながら、木更津港に面した地域は市街化を促進する近隣商業地域であり、容積率も400%で設定されています。その結果、多くの住民の居住が誘導される事となりますが、防災対策として、安心して住める街づくりのため居住を抑制するように都市計画で制限する事は検討されたのか、伺います。
 小項目2点目として、浸水範囲の防災対策についてお聞きします。旧市街の多くが水没する恐れがある事を地域住民に伝え、地盤の嵩上げを伴う再開発事業、または区画整理事業を行う事で、防災能力を高める事が将来的な安心につながるものと思いますが、そのような防災対策を地域に提案する事は検討されたのか、伺います。
 小項目3点目として、津波避難場所の築造についてお聞きします。配布資料2に示すように、吾妻から中里、及び久津間海岸周辺の広いエリアでは避難ビルが指定されていません。特に江川海岸や久津間海岸からは避難箇所が遠く、潮干狩りの時期に津波が発生した場合、観光客の誘導を行う事が非常に困難な状況と成っています。静岡県袋井市では、避難可能な人工地盤として「命山」と名付けた岡を公園事業で築きはじめ、本年の秋には完成する予定です。本市でも平時は公園として利用できる「命山」を築造すべきと考えますが、市の見解を伺います。
 
 次に大綱2「社会資本の諸課題について」質問します。
 橋梁や公共建築物などの社会資本をどの様に維持していくかは、全国的な課題です。本市では3月議会における建設常任委員会協議会で橋梁・公園・下水道・市営住宅の4項目について長寿命化計画の概要が説明され、既に取り組みが始められています。今回は橋梁と用排水路に着目し、中項目2点についてお聞きします。
 まず、中項目1点目として、橋梁の長寿命化計画について質問いたします。君津市は本年6月に「橋梁長寿命化修繕計画」を発表いたしました。その概要版では、今後50年間に予防保全型に変更する事で約179億4千万円のコスト削減効果が期待されると書かれています。またそれと同時に、対象橋梁ごとの点検時期や対策時期も発表され、住民にとっては地元の橋がいつごろ補修されるものなのか解るようなものに成っていました。本市の計画は、来年度から10年間で損傷部の修繕費等に8億円、その後の長寿命化の費用として約41億円が必要との事でしたが、その計画内容を確認するため、小項目2点についてお聞きします。
 小項目1点目として、長寿命化計画の概要についてお聞きします。木更津市においても君津市と同様に、そろそろ詳細な計画が明示されるころと思いますが、コスト削減効果の概算額、何年にどこの橋梁を工事するといった修繕計画、年度別の事業費といった支出計画等については公表するのか、伺います。
 小項目2点目として、設計不適合橋の対策についてお聞きします。長寿命化は現在の機能が劣化しないことを目的としており、設計荷重条件を変更して橋梁の機能強化を図るものではありません。現在の道路橋示方書の基準を満たしていない設計不適合橋も数多くあると思いますが、その数量と今後の対策について伺います。
 ついで、中項目2点目、用排水路の維持管理について質問いたします。本市の農業センサスを見ると、経営耕地面積が30アール以上又は農産物販売金額が50万円以上の農家、いわゆる販売農家は平成22年には1,119戸であり、平成2年の2,317戸から、20年間でほぼ半減してしまいました。農家人口は平成2年には13,754人であったものが、平成22年には4,660人に減るなど、本市の農業を取り巻く状況は大きく変わりつつあります。政府は農業の強化に向け、基幹的農家へ農地を集約する事を進めていますが、それにより産業としての農業は強化されても農家人口はさらに減り、農村の疲弊が続く事が想像できます。現在、郊外部の水路は農業の用排水路という前提で地域の集落により管理され、整備にあたっては多くが資材支給により行われています。しかし、農家人口の減少は維持管理の担い手を減らし、さらには規制緩和による市街地調整区域での開発行為が、農村の中に非農家住宅を増加させ、家庭雑排水の混入により、農業用水としての位置づけも危ういものとしています。その様なことを前提に、小項目3点についてお聞きします。
 小項目1点目として、用排水路の維持管理についてお聞きします。市街化が進行した区域における用排水路は、実情から考えて都市排水路であり、少数の農業者による維持管理が困難な事を考えると、都市施設として市が管理を担う事を考えるべきではと思いますが、市の見解を伺います。
 小項目2点目として、用排水路の整備計画についてお聞きします。農業用水路は多くが土のままで、市にもU字溝での整備が数多く要望されているものと思いますが、市街化の程度や緊急性を加味し、優先順序を定めたうえで整備計画を立案するべきと思いますが、市の見解を伺います。
 小項目3点目として、開発地区への目的税についてお聞きします。開発行為に伴い事業者は用排水路を維持管理している地元区への同意を得ることになっており、現在では大きな問題は生じていませんが、将来的に用排水路が行政による維持管理となった場合、その費用として市街化調整区域内にある開発地区に対し、都市計画税に準じた目的税を賦課する事は可能なのか伺います。
 以上で第一質問を終了いたします。
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<山口都市整備部長>
 私からは、大綱1のうち中項目3の小項目3を除く全てと、大綱2のうち中項目2の小項目2と3を除く全てについて、お答えいたします。
 まず大綱1「都市計画の諸課題について」のうち中項目1「都市計画の決定方式」についてお答えいたします。
 1点目の「木更津市の決定権限」について、「木更津市の意向はどの程度反映されるのか」とのご質問でございますが、都市計画の決定にあたりましては、国の運用指針において、市町村が中心的な主体となるべきであり、市町村の区域を超える特に広域的・根幹的な都市計画についてのみ、都道府県が決定することとされております。このため、都道府県が定める都市計画についても、都市計画法に基づき、市町村が案の申出を行うことができるとともに、都道府県は都市計画の決定にあたり関係市町村の意見を聴かなければならないとされております。本市におきましても、これまで県が定める都市計画について、地域の状況を踏まえ、地元との調整を行いながら、市が都市計画の案を策定しております。そして、この案を県に申し出ることにより、県で都市計画の手続きが開始され、さらに手続きが進んだ段階で県から市に対して意見照会がなされます。このように、本市の意向につきましては、法的な手続きを通して、反映されていると考えていますが、今後とも、地方分権、さらには地域主権の趣旨も踏まえ、本市の意向が十分に反映されるよう努めてまいります。
 次に、2点目の「住民意見の反映方法」についてでございますが、都市計画につきましては、近年、少子高齢化や環境・防災といった課題への対応が求められてきております。このため、今後、都市計画マスタープランの見直しや景観計画の策定などの機会を捉えて、市民との懇談会やワークショップ等を開催し、広く都市計画に関するご意見をお聴きしていきたいと考えております。また、都市計画審議会につきましても、今後は、個別の案件だけではなく、長期未整備の都市計画道路の見直しや災害に強いまちづくり、あるいは景観のまちづくり、こうした都市計画の諸課題についても、ご審議していただけるように、今後調整していきたいと考えてございます。
 続きまして中項目2の「都市計画道路の見直し」についてお答えいたします。都市計画道路につきましては、国の都市計画運用指針におきまして、社会経済状況の変化に対応し、適時適切に見直しを行うとともに、長期にわたって未整備となっている都市計画道路については、見直しのガイドラインを定め、その必要性の検証を行うことが望ましいとされております。千葉県では、平成22年に、「千葉県都市計画道路見直しガイドライン」が策定され、現在、県内の各市町村において、長期未整備の都市計画道路について、見直しが検討されているところでございます。本市におきましても、このガイドラインに基づき、一部の路線の廃止も含め、都市計画道路の見直しについて検討を進めております。今後は、議員からご指摘いただいた内容も含めまして、道路の位置や線形についても、地域の状況の変化や交通量などを考慮し、詳細に検討してまいりたいと考えております。
 続きまして中項目3の「防災計画と都市計画」についてお答えいたします。
 1点目の「浸水範囲の都市計画」についてでございますが、港周辺につきましては、本市の基本構想やみなと木更津再生構想におきまして、多様な都市的サービスが集積し、質の高い居住環境を提供する快適な生活拠点を創出することとしており、これに沿った形で、用途地域等の都市計画を定めております。したがいまして、都市計画によって、居住を制限することは難しいものと考えております。市といたしましては、港周辺の津波対策について浸、関係部局で連携を図りながら、様々な角度から調査研究してまいりたいと、そのように考えております。
 次に、2点目の「浸水範囲の防災対策」についてでございますが、平成23年度に制定された「津波防災地域づくりに関する法律」や、昨年度に策定された千葉県の地域防災計画等におきまして、大規模な津波におきましては「多重防御」の視点に重点を置き、すべてハードのみで防御するのではなく、避難体制の充実などのソフト対策と組み合わせた総合的な減災対策を図ることが重要であるとされました。議員のご質問にございましたように、地盤の嵩上げを行うことで防災能力を高めることは、大変有意義なものと考えます。しかしながら、財政が非常に厳しい状況で、ハード対策への財源の振り分けには限界がございます。よって、市といたしましては、国や県で示されておりますように、防潮堤のなどのハードと避難体制等のソフトを組み合わせ、津波避難ビルの指定などとあわせた総合的な対策について、検討していきたいと考えております。
 続きまして、大綱2 社会資本の諸課題について中項目1の「橋梁の長寿命化計画」について、お答えいたします。
 はじめに、1点目の「長寿命化計画の概要」について、でございますが、市におきましては、市が管理する250橋について、平成22年度から3箇年をかけて点検を行うとともに、学識経験者の意見を聴きながら、本年3月に「木更津市橋梁長寿命化修繕計画」を策定いたしました。公表の内容につきましては、点検結果に基づく健全度ごとの橋梁数と、長寿命化計画による「コスト削減効果の概算額」及び「10年ごとの修繕事業費」等を予定しております。なお、年度ごとの修繕計画や支出計画につきましては、今後の定期点検の際の状態によって、補修の優先度が変わることも想定されますことから、公表することは今のところ考えてございません。
 次に、2点目の「設計不適合橋の対策」についてでございますが、橋梁の設計基準であります「道路橋示方書」については、平成6年の改正で、大型車の荷重が20tから25tに改正にされ、現在、この基準を満たしていない橋梁は、208橋となってございます。ただし、この改正にあわせて、大型車の車両の規格も改正されまして、車体や前輪と後輪の間のホイールベースも長くなったため、実際には20t荷重の橋梁でも対応できるようになっており、市内の大部分の橋梁については、安全上問題はないと考えております。しかしながら残りの20t荷重に対応していない橋梁については、19橋ございまして、これらについては、車両の重量規制により対応する予定で考えてございます。なお、市の管理する橋梁につきましては、将来的には架け替えが必要となるわけですが、その際には最新の基準により設計施工を行っていくこととしております。
 続きまして、中項目2の「用排水路の維持管理」の1点目、都市施設として市が管理を担うべきとの、ご質問でございますが、市街化が進行した区域においても、農業用排水路として機能している以上、都市施設という位置付けで管理すべきかどうかについては、慎重な判断が必要になると思われます。しかしながら、農業者の高齢化や離農によりまして、地元での用排水路の維持管理が難しくなってきているということも十分認識してございますので、これについては、市にとりましても今後の検討課題であると考えております。以上でございす。
 
<大野総務部長>
 私からは大綱6 中項目3の3点目津波避難場所の築造についてお答えします。本年4月に、市内全戸に配布いたした津波ハザードマップにおきましては、東京湾口で10mの津波が発生した場合、江川久津間地区では、津波発生後およそ25分で第1波が到達し、場所によって2メートルを超え、一部、都市計画道路中野畑沢線を越える浸水区域が想定されております。議員ご指摘のとおり、吾妻から久津間の区間には、津波避難ビル等の指定がございません。特に、江川海岸や久津間海岸付近では、津波避難ビル等に指定できる施設がないため、現時点で、大津波警報や津波警報が発令された場合は、津波想定区域外の岩根西公民館や岩根西中学校を目指して避難していただくか、より遠くへ逃げていただくこととなります。今後、議員ご提案の静岡県袋井市の津波の一時避難場としても使用できる「命山」の公園事業の事例も含め、津波への一時避難施設の整備について、他市の事例等を参考に、調査研究を行ってまいりたいと考えております。私からは、以上です。
 
<森経済部長>
 私からは、大綱2の中項目2についてお答えいたします。用排水路の整備についてですが用排水路につきましては、U字溝への改修や施設の維持補修といった要望が数多くございまして、現在、用水組合等では対応が厳しい、水路断面が大きいもの、機能の低下や安全性の低下といった緊急性のあるものから、優先的に整備改修を行っている所であります。整備計画につきましては、必要と考えまことから、今後立案に向けて用排水路の現状把握や課題の整理を進めて参りたいと考えます。私からは、以上です。
 
<野村財務部長>
 私からは、大綱2、中項目2、「開発地区への目的税」についてお答え申し上げます。市街化調整区域にある開発地区に対し、都市計画税に準じた目的税を賦課することは可能なのかについて、でございますが、地方自治体が、法定外目的税を新設しようとする場合は、地方税法第731条により、あらかじめ総務大臣に協議をし、その同意を得なければならないとされているところでございます。また、法定外目的税の検討に際しての留意事項として、法定外目的税の目的、対象等からみて、税を手段とすることがふさわしいものであるか、税以外により適切な手段がないのかなどについて、十分な検討が行われること。公平・中立・簡素などの税の原則に反するものでないこと等のほか、徴収方法、課税を行う期間等について、十分な検討が行われることが望ましいものであること。税源の状況、財政需要、住民である納税者の負担等を勘案して、原則として一定の課税を行う期間を定めること。納税者を含む関係者への十分な事前説明を行うことが必要であること。特に、特定かつ少数の納税者に対して課税を行う場合には、納税者の理解を得るよう勤めることが必要であること。などがあげられております。
 そこで、現在、考えられる問題点といたしまして、課税客体の把握として、用排水路を利用する方をどのように考えていくのか。土地または家屋の所有者並びに開発事業者なのか。開発区域も大小様々であり、対象地区の範囲や仮に課税するとしたら時期をどのように考えるのか。遡及するのか、しないのか。公平性が保たれるのか。また、税以外の手数料や負担金等での徴収方法は考えられないのか。さらに、市街化調整区域に住む住民を客体として考えた場合に、用排水路の維持管理を目的とした税の創設が全国的に例がない中で、本市が課税する明確な理由があるのか、税の賦課について、住民の方々のご理解を得ることはできるのかの課題あげられます。将来的に用排水路が行政による維持管理となった場合、開発区域に対し、新たな目的税を賦課することにつきましては、今申し上げました基本的な検討事項を踏まえますと、新たな目的税の創設は今のところ難しいものと考えられます。私からは、以上でございます。
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 答弁有り難うございました。それでは一問一答に移ります。
 まず、木更津市の決定権限についてお聞きします。先ほどの財務部長の答弁で、調整区域に都市計画税に準じた目的税を設定するのが難しい答弁がありました。であれば、現在、調整区域で有りながら市街化の著しい場所を、市街化区域に編入し、堂々と都市計画税を賦課する事が基本的であると考えます。市街地編入を行う場合、何が支障となるのかお伺いします。
 
 市街化が進行している地域におきましては、市街化区域への編入にあたりまして、都市計画法令により、市街化区域に接すること、ある一定以上の人口密度がまとまって存在すること、道路、下水道等の都市施設の整備を図ることが確実な区域であること、こういった基準がまずございます。これに加えまして、農業振興地域であれば、区域からの除外や農地転用が確実に行われることも必要となります
 
 では次に道路の件についてお伺いします。道路の廃止は県のガイドラインに沿うという回答がございましたが、道路位置の変更や起終点の変更については、市の権限として、自主的に行う事は可能なのか、それともやはり千葉県の承認が必要なのか、お伺いします。
 
 県の都市計画見直しガイドラインについては、これはあくまで、市町村において見直しを検討する際の指針・手引きでございまして、これに私どもが束縛されるということではございません。したがいまして、都市計画道路の変更につきましては、市が自主的に立案することは可能となってございます。ただし、県道等については、県が決定主体となりますので、市が案の申出を行うことはできますが、事前に道路管理者である県の了解を得る必要がございます。また、市道で市決定の路線であっても、都市計画法に基づき、県との協議、これは平成23年度に同意が不要となったわけですけれど、協議は必要となっております。
 

 解りました。続きまして住民意見の反映方法についてお聞きします。市民との懇談会やワークショップ等を開催するという回答がございましたが、6月下旬から企画部が中心となって行ったタウンミーティングでは本市の都市計画に関連するような意見は出されたのか、お伺いします。
 
 タウンミーティングにおきます都市計画に関する意見について、でございますが、都市計画に関連するものと致しましては、市街化区域における都市基盤整備の充実を求めるご意見、市街化調整区域の土地活用を求めるご意見、等一部頂戴したところです。また、都市計画道路の整備についてのご意見も頂戴しております。
 

 解りました。先ほど佐藤議員の質問に対する回答で364名が今回タウンミーティングに参加されたと言うことですが、それだけの参加者でも色々とご意見が出ているようですので、今後全市民から上手く都市計画に対しての意見を引き出せるようお願いしたいと思います。
 道路計画の見直し検討についてお聞きします。今回、先ほど不適切だと、適切でないと私が3路線を提示させていただきましたが、他にもこのような問題は何ヶ所か有るのではないかと思います。問題点を把握するための行動をとるべきと考えますが、それについては如何でしょうか。
 
 都市計画道路につきましてでございますが、国の都市計画運用指針にもございますように、社会経済状況の変化に対応して、適切に見直すべきであるとされております。市では、現在、決定から20年が経った長期未整備の都市計画道路について、今後の取り扱いを検討しているところですが、これと並行いたしまして、議員ご指摘の箇所を含め、市内全体の都市計画道路の状況についても、検証を行っていきたいと考えております。
 

 市全体の状況を検証するという回答ですので、より適正な計画が判明したところで、速やかに変更して頂きたいと思います。そうしないと、将来の事業化の時まで問題が先送りされる懸念がございますので、適切な時期に変更していただく事をお願いいたします。
 防災と都市計画に関する質問に移ります。居住について制限をかけることは様々な問題を孕んでいると私も認識はしております。従いまして短期的な対応としては、地域を定め、海水の流入に耐えられるよう、例えば木造建築物を禁止するような建築制限については可能なのか、お伺いします。
 
 建築基準法に基づきまして、地方公共団体が、条例で、「災害危険区域の指定」を行うことにより、住宅等の建築の制限を行うことは可能となっております。しかしながら、実際の運用にあたりましては、津波の被災地におきまして、防災集団移転促進事業等と併せて、実施されることが一般的であるのではないかと考えられております。
 

 規制を掛けることもなかなか難しいようですので、指導とか周知を通じた対応について、ご検討いただけだければと思います。
 浸水範囲の防災対策としてお聞きします。浸水が予想される範囲は、現在木造住宅の密集地域が多く、現在でも緊急車両の進入が困難な道路が多くあります。防災対策は道路の整備にもなりますし、住宅の高密度化で夜間人口が増え、地域の活性化にもつなげると考えます。そのような観点からも市街地再開発は望ましいと思います。地域に対し、行政からそのような問題提起を行う考えはないか、お伺いします。
 
 住宅が密集した地域においては、道路は災害時の避難、救助、あるいは物資輸送等の確保、さらには復旧復興のために必要なものでございます。地域への問題提起という点でございますが、ソフト対策といたしまして、避難経路や避難場所等を別途、避難計画等に定めまして、地域住民に周知するというのが当面、有効かと思われます。また、ハードの対策といたしましては、市街地再開事業については、事業の実現性が不透明なところでございますけれど、有る一定の地元合意のもとに地区計画を定め、建築物のセットバックにより、地区施設として市が道路を拡幅していくということは考えられると思います。
 

 解りました。では次に小櫃川河口の南側の地域についてお聞きします。浸水想定区域外に有る岩根西公民館や岩根西中学校に避難するという回答でございましたが、その場合、避難距離はどの程度になるものか、お伺いいたします。
 
 避難距離でございますが、江川の船溜り付近からは、約1.5〜2.0kmの距離を避難していただくこととなります。この後、当該地区住民の方々には日頃から避難場所や避難経路の確認、避難方法など、万が一の場合、迅速な対応が出来るよう、事前の準備等の周知を図ってまいりたいと考えます。
 

 1.5km以上の避難という事ですが、高齢者では歩いて30分以上かかるような距離になるかと思います。さらにもっと心配なのは海岸に観光客が居た場合です。潮干狩り客が干潟の先端まで行っていたら、津波の想定到達時間内に岸まで帰ってくることが限界で、そこから公民館まで避難する事はなかなか厳しいものと思います。参考に江川海岸と久津間海岸で、過去にお客が最高に入った日は何人ぐらいだったのか、お伺いします。
 
 今年の最多入込客数でございますが、江川海岸では4月28日 日曜日に4,604人、久津間海岸が同じく4月28日 に3,579人でございました。なお、江川海岸では平成15年5月3日に8,460人、久津間海岸では平成20年5月5日に8,015人が過去最多の入り込み客数となっております。
 

 とても大勢の観光客が来られている事が解りました。迅速な避難が可能なように、自動車が渋滞しないような道路整備もあわせて検討しなければならないと思いますが、それと同時に、小櫃川河口周辺に避難所を設ける必要性が高いと思います。高台の公園を設置すれば、東京湾に沈む夕日を眺める良い場所になると考えます。しかし、当該箇所は市街化調整区域で、人口も余り多く所ではございません。このような場所に都市公園の整備を行うことは可能なのか、お伺いいたします。
 
 都市公園の整備と言うことですが、用地の確保や財政負担等の大きな課題はございますが、市街化調整区域に都市公園を整備することは、制度的には可能となっております。防災について議員から、様々な観点から示唆に富むご指摘を頂いております。都市の防災に付きましては津波浸水想定などのリスク情報について、これをしっかりと分析しまして、今後都市計画マスタープランの中にもしっかりと位置付け、行政と市民とで課題を共有していく事が大切であろうと考えております。また、その上で、自助・共助・公助の役割分担の中で、都市行政としての対応は何かということを検討していかなければ行かないかと思っております。
 

 防災対策として、多方面から色々と検討していただけると言うことですので、それについては宜しくお願いいたします。特に河口部分における避難所としての高台の都市公園は、財政上の問題もあるようですが、先ほど申しました静岡県袋井市の事例等、それらについて研究していただきたいと考え、大綱2の質問に移らさせていただきます。
 橋梁の長寿命化計画における修繕計画でございますが、老朽化の進捗に現在でも差が有る事を考えますと、私も君津市のように全ての橋梁の補修時期を発表する事については若干の疑問を感じておりました。しかし、短期的な計画については、これは必要だと考えます。例えば、次の定期点検までの5年間の修繕計画については、これを発表を行う考えなのかお伺いします。
 
 向こう5年間に修繕を予定している橋梁につきましては、公表を考えております。
 

 解りました。では次に現在の長寿命化計画は、昨年度以前に調査した老朽化の状況を元に立てている計画でございます。早速適切な補修を開始しないと、現在は極めて軽い症状で済んでいる橋梁が、数年後、もしくは数十年後には大きな補修が必要になるかもしれません。だから逆に言えば適切な初期投資を行うことで全体費用を縮小できるものというふうに考えられますが、修繕計画の初期に集中的に投資を行い、総額を抑制するような考えは無いのか。お伺いします。
 
 議員ご指摘の通り、初期に集中投資を行うほうが総額が抑制出来るということは、そのとおりでございます。しかしながら、市の財政状況を考慮しまして、極力経費の平準化を考え、今回策定しております。
 

 次に設計不適合橋の対策についてお聞きいたします。設計上は20t荷重に耐えられない橋梁が19橋ほど有り、それについては車両制限を掛けるという回答でございましたが、これらについて架け替えた場合、どの程度の費用がかかると想定されるのか、お伺いいたします。
 
 費用についてお答えいたします。19橋のうち富士見橋については、県が架け替え事業を進めております。残る18橋については、市で架け替えを行うこととなりますけれど、その合計は約2億6千万円と算出している所でございます。
 

 確かに巨額の予算が必要となりますが、設計基準を満たしていない橋梁で、仮に橋が落ちる等の事故が起きた場合は管理責任を問われることになりかねませんから、少なくとも更新計画は立てるべきと考えます。また、長寿命化事業と平行して、これら富士見橋を除く18橋の更新を行うことで、経験工学と言われる土木工学の技術伝承や技術系職員のスキルアップが行えるという利点もございます。学校耐震化や庁舎の建て替えで巨額の事業費が続いている事について、承知はしていますが、長寿命化と別に架け替えを行うことは検討するか、お伺います。
 
 18橋につきましては、重量規制だけでは対応に限界がございますので、財政状況を考慮のうえ、必要に応じて更新を行っていきたいと、そのように考えております。

 では次に用排水路の質問に移ります。先ほどの都市整備部の回答では、今後、農業者による維持管理が困難になり、農業用排水路としての機能が殆どなくなった用排水路の維持管理については、対応を考えていくという事でございましたが、規制緩和により農地が埋め立てられて住宅開発が進んでいる都市近郊の排水対策は、開発を所管する部としてはどのように考えているのか、お伺いいたます。
 
 都市近郊の排水対策につきましては、住宅開発を完全に抑制するということが困難な中、下流の排水先の確保を含め大きな課題であると認識しております。今後、関係部局と連携しながら検討していきたいと考えております。
 

 次に、現在の用排水路を所管している経済部にお聞きしますが、都市化の進展で農業用の機能が著しく低下している部分と、本来の農業利用が主目的の部分について、移管を前提にその区分け作業を進める考えはないものか、お伺いします。
 
 先ほど、ご答弁申し上げましたとおり、農業用排水路の移管につきましても、整理する必要があると考えておりますので、その中で、区分作業を進めてまいりたいと考えております。
 

 都市整備部に移管する範囲について区分けを考えていくということなので、それについては進めていただくことをお願いし、次に整備計画の詳細に関してお聞きいたします。先ほどの答弁で、水路断面が大きいものや緊急性の高いものを優先するという事のようですが、水路内の清掃を地域で行うことを考えますと、土のままではなく、コンクリートの溝であればメンテナンスはスコップを入れるだけと、極めて容易になりますので、維持管理を行っていくという観点からも、整備計画を考えていかれるのか、お伺いいたします。
 
 議員おっしゃるように、コンクリートの溝であればメンテナンスは極めて容易になると考えますが、整備計画の立案に向けましては、緊急性のあるものから優先的に整備を進めていかなければならないと考えている所でございます。
 

 現在は地域のつながりで非農家の方も溝払いに参加して、用排水路の上流から下流に至るまでの維持管理を行っておりますが、旧住民の中には転出によるものもおり、旧住民の全体数が減少している中、開発地域への新住民の移住、さらには農業の集約化による農業人口の減少もあり、現在のシステムが今後も維持されるか心配しながら、将来への問題提起として今回の質問はさせていただきました。現在、地域の共助で行っていることを市の事業に切り替えることによる財政負担の増加は、出来ることなら回避したいものであると、私も考えますが、現実に目を向けると多くの問題があり、どうしても公助という形で税金を投入する事はやむを得なくなる時が近づいているものと思います。
 先ほどの橋梁についてもそうですが、社会資本の維持には今後、多くの費用が必要になると予測されます。支出を抑制しながら都市の活性化や安全なまちづくりを進めるため、経営的視点に立った、適切な都市計画に変更して頂くことを要望いたしまして、今議会における私の質問を全て終了させていただきます。