保育事業と観光事業について (平成30年6月定例議会)
 議場の皆様こんにちは。会派羅針盤の近藤です。県政の立場から支援を頂いている森県議には本日も傍聴に足をお運びいただき誠に有り難うございます。また議場の皆様には質問2日目の最後となりました。大変お疲れの所とは思いますが、今回も細かい資料にお付き合いいただきたいと思います。それでは始めさせて頂きます。
 3月に再選が決まりました渡辺市長の2期目の市政が始まる頃、国立社会保障・人口問題研究所より「日本の地域別将来推計人口」が発表されました。そこには木更津市の2045年における人口はピークを越えて減少に向かっているものの、13万5千人を維持し続ける予測となっておりました。これは危機的な人口減少を迎える市町村が多い中で、当面は持続可能な都市運営が可能だと安堵する結果となっています。しかし、そのためには解決を必要とする問題が有ります。それは地域の活力を保ち、発展させるためには、次代を担う若者の育成が必要であり、その前提として子育て世代の転入と定着が求められながらも、一昨年の4月1日に県内でワースト4位、昨年も県下ワースト6位になった待機児童数がネックとなり、子育て世代の転入を抑制するのではないかという懸念です。
 
 そこで大綱1点目「保育事業について」、中項目3点を質問させていただきます。これは一昨年の12月議会での質問の続きになりますが、認定こども園「木更津みらい」と「みやまのさくら保育園」の開設、及び市立祇園保育園の閉園等、保育園を取り巻く環境等が変わりましたので、現状を把握する目的で行います。配布資料の1をご覧下さい。前回の質問でも待機児童が年々増加している事を指摘いたしましたが、平成29年3月では過去最大となる348名の待機児童が発生していました。本年4月には定員90名の新たな保育園が開設されたものの、83名の待機児童が残り、問題が解決されてはおりません。前回も述べましたが、保育園を単なる福祉行政とは考えず、本市の成長戦略上の重要な要素と位置付けるべきであると考え、中項目3点の質問を始めます。
 最初に、中項目1点目「待機者の予測」について小項目3点を質問します。待機児童の推移を予測することは、政策判断の重要な要素です。年度当初に83名の児童が待機しておりますが、人口減少社会を迎えていますので、長期的には現在の保育を維持すれば、いずれは解消に向かうことは明らかです。そこで国立社会保障・人口問題研究所が示した人口推計を元に計算しますと2045年までの若年人口は配布資料の2に示すように最大6.4%程度の減少に過ぎません。これは2015年で未就学児童のうち保育園に通っている率の24.8%が26.5%に上昇すると相殺される値です。つまり今後30年程度は待機児童問題と向かい合わねば成らないことを示しており、数年で待機児童の問題が解決することは難しい事が明らかとなりました。
 そこで、小項目1点目として、将来的待機者の予測についてお聞きします。配布資料の4に示すように、保育園の定員は新規施設の開園もあり、毎年増加していますが、保育園入園率の上昇で需要が増大し、待機児童が発生している傾向が読みとれます。そこで、保育を必要とする家庭の割合はどの様に推移し、今後の保育の需要と待機児童数の変化はどう成ると予測しているのか、お伺いします。
 次に、小項目2点目として、近隣の待機者の予測についてお聞きします。前回の質問でも近隣市では待機児童が格段に少ないことを示しましたが、特に君津市と富津市においては若年層の人口減少が急速に進むことが予測されています。今後は両市とも保育士の数に余裕が生じると推察されますので、保育士の派遣を受ける事も検討すべきと考えます。近隣市の待機児童の状況と今後の予測、及び市の見解をお伺いします。
 次に、小項目3点目として、事業所内保育の推進についてお聞きします。待機児童を減らす手法の一つとして、事業所内保育所を推進する事で、行政を通さずに保育需要を満たすことが考えられます。事業所内保育の推進については、どの様に考えているのか、お伺いします。
 中項目2点目に「保育士の対策」について小項目3点を質問します。市立保育園では施設に余裕がありながらも保育士不足により定員を少なく設定し、さらにはその定員ですら預かれない状況に有ることを前回の質問で明らかにしました。答弁では任期付職員制度を活用するなど、対策を講じていくとしておりました。しかし、配布資料の3に示すように、待機児童が過去最高となった本年3月1日現在でも、民間保育園の多くは施設定員を上回る子供達を受け入れていたことに対し、やはり市立保育園は、定員まで預かる事が出来ませんでした。これは保育士不足が解決されていない為です。
 そこで、小項目1点目として、保育士不足の解決策についてお聞きします。前回の質問で千葉県社会福祉協議会福祉人材センターの活用や、人口が減少している安房郡市等と情報交換を行うことなど、具体的な提案をさせていただきましたが、今でも確保できていない状況を、今後どの様に解決しようと考えているのか、具体策をお聞きします。
 次に、小項目2点目として、保育士配置の適正化についてお聞きします。本年3月で祇園保育園が廃園と成り、市立保育園の定員は祇園保育園の定数45が削減されました。しかし祇園保育園に配置されていた保育士が他に転勤したのであれば、市立全体での定員の増加が可能になるはずと思われますが、祇園の定数の45が減少しただけです。また、待機児童の実態が2歳児以下に集中している事を考えると、その年に特化した保育が求められていますが、配布資料の6に示すように、近年開設の民間保育園では、1,2歳を多く受け入れている事に対し鎌足保育園では2歳児を1人受け入れただけという状況です。これでは、保育士を適正に配置しているとは思えません。祇園保育園を閉園しながら保育の増加に繋がらなかった理由と、保育士の適性配置についての考えについて、ご見解を伺います。
 次に、小項目3点目として、緊急的な保育士確保についてお聞きします。本年3月に最大となった待機児童の348人を解消するため必要な保育士の数を試算しますと、配布資料の5に示すように83人と成りました。年度当初の待機児童83人を対象に計算すると15人の保育士が必要です。私は少なくとも、この15人は確保すべきと思います。職員としての採用が叶うまでの緊急的な対策として、人材派遣会社から保育士の派遣を受けるような対策は検討されているのか、伺います。
 中項目3点目に「民営化の状況」について小項目2点を質問します。民間保育園は待機児童数の抑制に貢献しておりますが、市立保育園は大きな施設を非効率に使っていると、前回も示しましたが、配布資料の4に示すように、差は更に広がっております。民間保育園は待機児童の抑制に貢献するだけでなく、一時保育や休日保育、病後児保育等の特色有る保育を行うものが有り、多くが市立保育園より遅くまで子供を預かるなど、保護者の需要を満たしております。また、今回は決算前なので資料を作成いたしませんでしたが、園児1人あたりの一般会計予算の支出額は市立より民間が少ない事は過去の議会で示した通りです。従って、保育園の民営化は職員や児童には環境変化を伴うものの、理にかなったものであると私は考えます。今後も三井アウトレットパークの増床など雇用が拡大し、女性の社会進出が進むなかでは待機児童問題の解決のためにも早めの民営化と、多くの民営化が必要と考えます。
 そこで、小項目1点目として、保育園民営化の現状についてお聞きします。3月26日の教育民生常任委員会協議会で示された市立保育園の民営化の進捗状況によると、鎌足と吾妻は平成32年度か平成33年度当初に、中郷と久津間は平成34年度当初から民営化を開始するとありました。しかし祇園保育園が保護者の理解を得て当初計画より1年前倒しで中郷保育園への統合が行えたように、理解を得る努力を行い一年でも早い民営化を目指すべきだと考えます。協議会で示された行程を前倒しにすることは可能なのか、現状と課題についてお示し下さい。
 次に、小項目2点目として、保育園民営化の拡大についてお聞きいたします。民営化の具体的な計画のなかには桜井、わかば、請西が含まれておりません。公共施設再配置計画の中では将来的にも市立保育園として維持すべき保育園は、指定管理制度を採用している請西保育園だけとしております。先ほども述べましたように待機児童問題は今後27年以上続くと想定される中で、桜井とわかばについても早期の民営化を検討すべきだと考えますが、民営化対象園の拡大についてはどの様にお考えなのか伺います。
 
 次に、大綱2点目「観光事業について」中項目2点を質問します。3月議会の代表質問で「観光行政の具体案と展開」についてお聞きしましたが、その答弁で、観光協会をDMOとして本市の観光実態や市場の調査を行ない、観光事業者と市民を結びつけ、事業の企画・運営で観光振興や地域の活性化に結び付けていくと有りました。そのため専門人材を雇用し、着地型観光プログラム等を作成し、市の事業であった映像支援事業を実施して手数料等を収益事業として展開し、インバウンド事業や観光プロモーションもDMOに担っていただくと答弁が有りましたが、今年度になり新規採用と映像支援斑の移設で人的な体勢は整いつつあるものと思います。
 そこで、中項目1点目「DMOの課題」について小項目3点を質問させていただきます。
 始めに、小項目1点目として、DMOの愛称の策定についてお聞きします。多くの市民や関係者の認識を高めるとともに、今までの観光協会とは違う事業展開をすると姿勢を示すためにも、解りやすい新名称が求められるのではと思います。愛称の策定について、どの様にお考えなのか伺います。
 次に、小項目2点目として、対象者の選定と対応についてお聞きします。本市に呼び込むべき対象者として、首都圏近郊に居住する日帰り客を設定していると過去に聞きましたが、それは三井アウトレットパーク木更津等に来ている既存の観光客の様なもので、個人でネット等を通じて情報を得て行動している方が多く、DMOの事業を必要としない方が多いのでは、と私は思います。その様な方々に着地型観光プログラムが魅力的なのかは疑問です。交通の不便な飛騨市でも欧米の旅行客を対象に里山サイクリングを展開して人気を高めているように、地域への経済効果が高いのは滞在時間の長い個人旅行者で、特に本市と繋がりを深めている、経済発展の著しいアジアの諸都市を通じた情報発信を強化することは、その国に対するアピール効果が高くなるのではと私は思います。新たな組織となったDMOがプロモーションの対象者として、何を選定し、どの様な対応を検討しようとしているのか、お伺いします。
 最後に、小項目3点目として、事業の具体化と評価についてお聞きします。専門人材が配置されたことで斬新な企画を立案して事業を具体化する事は期待されますが、その専門性に片寄った企画が多くなり、ニーズとのギャップが生じる可能性も危惧されます。新しい事業を企画や実施後に評価する体制が必要だと考えますが、その体制を作ったために素早い対応が出来なくなるようでは本来の目的を叶えることが難しくなります。新しい発想のヒントとして「らず-Biz」の活用など、外部との提携も行うべきと考えます。今後の事業の具体化や、評価の方法について、どうすべきと考えているのか、お伺いします。
 次に、中項目2点目「行政との関係」について小項目2点を質問させていただきます。
 まず、小項目1点目として、組織の独立性と採算についてお聞きします。観光のカリスマと言われ2010年に総務省「地域力創造アドバイザー」を務められた和歌山大学客員教授の山田桂一郎氏は、観光協会は行政の補助が多く、補助対象の事業を造ることに傾注し、本来の地域力を高める事を目指さない事が多いと指摘しております。本市のDMOが直ぐに黒字化することが難しい事は理解しますが、行政の都合で事業を行うのではなく、行政から独立して観光を通じた地域の活性化を進めるべきだと思います。そのためには、市が決めた補助金のメニューを実施するのではなく、例えば本来は観光目的税である入湯税を全てDMOの運営費に回して、その代わりに補助事業を減らすよう、可能な限り自主財源での事業を展開できる事が理想と考えます。市はDMOとどの様に関与し、DMOはどの様な独自事業を展開して採算を確保しようとしているのか、お伺いします。
 次に、小項目2点目として、事業の拡大と活性化についてお聞きします。DMOの事業として着地型観光プログラムが挙げられていますが、現在行政が関与している港まつりやうみ祭り、木更津バルといったイベントもDMOに移管し、地域の飲食店やホテル等の協力を得ながら、収益事業として展開する事も検討すべきと考えます。特に木更津バルについては、配布資料の7に示すように、近年は販売枚数が低下気味です。これに関する分析は致しませんが、DMOが主導して飲食店の顧客拡大も図れる様な立ち振る舞いが望まれます。また、市内のイベントの多くは継続が困難に成っているものも多く、中には太田山の桜を愛でる金鈴祭りのように、惜しまれつつも中止したものも有ります。また現在でも絶景を見るために観光客が訪れている江川海岸は駐車場や公衆便所を開放しておらず、漁業組合からは責任をもって運営する団体があれば任せたいという声も聴かれます。この様に多くの人が望む観光資源の管理運営へも事業範囲の拡大が望まれます。また、現在観光とは関係ない産業でも、特産品の開発を進める取り組みも考えられますし、海苔やアサリの不漁が続く漁業でも、潮干狩りやスダテの他に新たな観光開発を行い、収入を増やすような取り組みが求められてくるものと考えます。この様に将来的には観光を軸とした地域全体の活性化も期待されますが、今後の取り組みについてどの様に考えているのか、お伺いします。
 以上で第一質問を終了いたします。
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<渡辺市長>
 それでは、近藤忍議員のご質問にご答弁申し上げます。私からは、大綱1「保育事業について」お答えいたします。
 初めに、中項目1「待機者の予測」のうち、「将来的待機者の予測について」のお尋ねでございますが、市内保育園の利用見込みにつきましては、平成27年3月に策定した「子ども・子育て支援事業計画」の中で、平成31年度までの5年間の推計をお示したところでございます。しかしながら現状は、その後の「子ども・子育て支援制度」による入園認定基準の緩和等により、申し込みが予想以上に増加し、待機児童の増加に繋がっている状況にございます。保育園の利用見込みは毎年度見直しを行っておりますが、抜本的には、今年度から策定に着手します「子ども・子育て支援事業計画」の次期計画の中で、本市の実情に合った将来推計を行ない、待機児童対策に活かしてまいりたいと考えております。
 次に、「近隣の待機者の予測について」でございますが、本年4月1日時点の待機児童数を近隣3市に確認いたしましたところ、君津市は45名、富津市と袖ヶ浦市はおりませんでした。当該3市の4歳以下の人口は、既に減少局面に入っておりますので、今後は、本市以外は待機児童の発生は生じないものと予測しております。議員ご提案の「保育士の人事交流」につきましては、若年層の人口動態や保育園利用者数の推移等について、近隣市と情報交換を行ないながら、広域連携の可能性を協議してまいりたいと考えております。
 次に、「事業所内保育の推進について」でございますが、事業所内保育が果たす役割は、待機児童対策や女性の社会進出にとって、重要であると認識しております。市内大型事業所・店舗などに対しまして、機会を捉え、事業所内での保育環境の整備を働きかけてまいりたいと考えております。
 続きまして、中項目2「保育士の対策」についてお答えいたします。
 初めに、「保育士不足の解決策について」でございますが、民間保育園等につきましては、千葉県と連携して、保育士の給与月額を2万円引き上げる「保育士処遇改善事業」を昨年10月から開始したところでございます。市立保育園につきましては、同じく昨年度から実施いたしました「任期付職員採用制度」の効率的な活用を進めるとともに、臨時職員につきましては、千葉県福祉人材センターやハローワークへの求人登録を行うなど、保育園の民営化を見据えた人材確保に努めてまいります。
 次に、「保育士配置の適正化について」でございますが、祇園保育園閉園後、市立保育園各園の定員数が増えなかった理由につきましては、祇園保育園は、閉園後を見据えて、4歳以上の児童のみを受け入れており、必要最低限の職員体制で対応していたことと、予想以上に、3月に退職された臨時保育士が多かったことなどにより、保育士の総数が、昨年度より減少したためでございます。今後、市立保育園の保育士につきましては、任期付職員を積極的に採用し、保育園民営化の進捗状況に合わせた、効率的な配置に取り組んでまいります。なお、民間保育園を含めた市内保育園全園の定員につきましては、保育園の新設により、昨年度から45名分増加しております。市といたしましては、今後も、民間保育園のご協力をいただきながら、待機児童の解消に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、「緊急的な保育士確保について」でございますが、人材派遣の活用につきましては、保育士の確保に関する効果的な方策が見当たらない現状において、先進事例におけるその有効性に注視しながら、導入の検討をしてまいりたいと考えております。
 続きまして、中項目3「民営化の状況」についてお答えいたします。
 初めに、「保育園民営化の現状について」でございますが、今年度は、民営化の対象となっている4園の事業者選定を行う予定でございます。民営化の実施時期につきましては、保護者の不安や保育環境の変化に最大限配慮する必要があるため、「木更津市立保育園民営化方針」に沿って、丁寧に進めてまいりたいと存じます。その中で状況が整えば、民営化スケジュールの前倒しの可能性も生じるものと考えております。
 次に、「保育園民営化の拡大について」でございますが、市立保育園には、民間保育園では受け入れが困難な児童の対応、保護者へのサポート、地域の保育拠点としての民間保育園への指導など独自の役割がございます。よって、桜井保育園 及び わかば保育園 2園の民営化につきましては、現時点では検討課題とは考えておりません。
 私からは、以上でございます。その他につきましては、関係部長から答弁いたします。
 
<栗原経済部長>
 私から、大綱2「観光事業について」の中項目1「DMOの課題」について、お答えいたします。
 始めに、「DMOの愛称の策定」についてでございますが、現在、観光庁に登録されております、木更津版DMOの名称は「一般社団法人 木更津市観光協会」となっております。しかしながら、今年度から、このDMOは都心に近接する里海・里山の自然や街なかの文化等、素朴な癒しの空間を活かした、本市の楽しみ方を広く国内外にPRしていく役割を担って参りますので、より分かりやすく、認知度が進むような 愛称の策定を検討して参りたいと考えております。
 次に、「対象者の選定と対応」についてでございますが、木更津版DMOが、本市に呼び込むべき対象者として、まずは、やはり、人口規模の大きな 首都圏在住の方を想定しております。本年3月に、三井アウトレットパーク木更津において、民間旅行会社が実施したアンケート調査によりますと訪れた方の居住地としては、千葉県を含む、東京都・神奈川県・埼玉県が 全体の約95%を占めておりました。また、本市に対するイメージは、潮干狩りや海鮮料理といった 海に関するものが多く、農業に対するイメージは決して高くはありませんでした。しかしながら、これまでに、木更津市内の観光施設を訪れた方への満足度調査では、「いちご狩り」・「ブルーベリー狩り」などの体験プログラムに対する満足度が かなり高く、魅力あるコンテンツを活用した着地型の農業体験観光プログラム等については、首都圏在住の方にも効果をあげるものと考えております。また、ご質問の インバウンド関連のプロモーションにつきましては、政府観光局主催で 日本最大のインバウンド商談会「ビジット ジャパン トラベルマート」にDMOとして参加するほか、市と観光協会の合同で、千葉県が主催するアジア諸国への 観光ミッション団に参加し、本市の観光PRや 観光客誘致活動を実施する予定でございます。
 次に「事業の具体化と評価」についてでございますが、市や宿泊事業者、バス事業者、金融機関、有識者等をメンバーとした仮称「木更津DMOボード会」を立ち上げ、DMO推進におけるデータの共有と継続的なアクションプラン推進について協議を行い、その中で効果の検証等も行って参ります。
 次に、中項目2「行政との関係」についてお答えします。
 まず「組織の独立性と採算」についてでございますが、今年度のDMOの独自事業といたしましては、都内大使館の外交官を招聘し、木更津を紹介するインバウンド開拓事業を 6月9日に実施したのを皮切りに、道の駅「木更津うまくたの里」でのレンタサイクル事業を始めとする、体験周遊型観光商品の企画・販売や本市の特産品開発、ウェブによるショップ運営事業、大学等との連携による、里海・里山ふるさと観光事業を行うほか、映像支援事業やクルーズ船寄港時における、おもてなしの組織づくり事業などを実施して参ります。しかしながら、今年度から直ちに この木更津版DMOが補助金なしで、黒字化することは難しいと考えております。ご質問のDMOにおける採算の確保につきましては、まずは、DMO組織というよりは、地域が稼げるようになることを 目標としながら、ブルーツーリズム・グリーンツーリズムの推進による 交流人口の更なる増加、回遊の実現により、消費の拡大、雇用創出へ繋げていく中で、着地型観光商品による入込客数など、数値目標を定め、独自採算性の確保に向けて、努めて参ります。
 次に、「事業の拡大と活性化」についてでございますが、今年度より、専門の人材が着任し、着地型観光商品を販売するために必須となります、第3種旅行業の登録申請を 現在、行っております。今後は、マーケティング調査に基づき、来訪者のニーズに応えられる、様々な観光商品を企画するとともに、販路拡大や 商品販売、顧客情報管理を総合的に推進することで更なる地域の活性化を目指して参りたいと考えております。また、市や各団体などが実施しております各種イベントについても、将来的にはDMOが関わり、観光を軸とした地域活性化を担いながら、DMO独自に収益を上げられるような仕組みづくりについて、検討して参りたいと考えております。
 私からは、以上でございます。
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 答弁有り難うございました。それでは一問一答に移ります。まず、大綱一「保育事業について」の質問を行います。
 「待機児童の予測」については今年度から着手する計画の更新作業で将来見込みを立てるとの事でした。先ほど質問の際に申しましたように国立社会保障・人口問題研究所は本市の若年人口が急激に減少する事はないと予想していますので、待機児童の問題は当面続く課題だと認識して行政を進めて欲しいと思います。ちなみに
配布資料の4に示すように2018年では未就学児童のうち28.5%が保育園に通っており、これは2010年と比べると7.6ポイント、伸び率にしては36%の増加となっております。将来的にはどの程度の値を予想するのか、お示し下さい。
 
 待機児童の将来の見込みでございますが、先ず本市の実情について、ご説明いたしますと、平成29年度の実績におきましては、保育園に通っているこどもの数と待機児童数を足した人数は約2300人で、0歳〜5歳の人口のほぼ1/3と成っております。この割合は年々増えていく傾向があり、待機児童を解消するためにはこの入園希望者である2000人強、2500人くらいですね、2000人強の受け皿を確保する必要がございます。この課題解決に向け、民間保育園等の施設整備と市立保育園の民営化を推進しているところでございます。議員ご指摘の通り、国立社会保障・人口問題研究所が今年3月に公表した地域別将来推計人口では、本市の0歳から4歳の人口は2035年まで、ほぼ横這いと推測されておりますので、先ほど市長が答弁いたしましたとおり、将来推計をしっかり建てた上で対策を講じて参りたいと考えております。
 
 待機児童の解決は確かに重要でしっかりと考えて頂きたいと思いますが、その一方で過大な施設整備に成らないように、予測をお願いしたいと思います。
 次に「近隣の待機者」については答弁に有りましたように保育士の人事交流について、広域連携の可能性を近隣市と協議していただけるという事ですので再質問は致しませんが、協議の範囲を出来れば安房郡市まで拡大することで本市の窮状を解決するよう、早急な対応をお願いいたします。
 「事業所内保育」については推進を働きかけると有りましたが補助制度等の具体的な手段は検討されているのか、お伺いします。
 
 事業所内保育所は、原則的にはそこで働く方のための施設でありますので、今のところ開設にあたっての支援は検討していないところでございます。なお、認可の届出を出された事業所内保育所につきましては、開設後、従業員以外の児童を受け入れていただいた場合、その人数分の運営費を補助しているところでございます。市内における事業所内保育所の設置状況の把握とともに、現行制度の情報発信に努めて参りたいと考えております。
 

 現在は開設にあたっての支援は考えていないという事でしたが、待機児童の解消のために確実に効果があるはずですので、建設補助などを検討していただき、企業の事業所内保育所を作るかどうかという判断を後押しするような制度を、ご検討いただければと思います。
 次に「保育士不足の解決策」についてお聞きします。市立保育園については任期付職員制度を引き続き活用する事という答弁でした。
配布資料の3に示す平成30年3月1日現在の市立保育園の常勤と非常勤を併せた保育士の数は111名でした。前回の質問を行いました平成28年12月議会の質問資料では平成28年3月1日現在の数を111名としておりましたが、それを今回照査したところ、若干誤りがあり、資料の下段に記載の通り117名であった事が明らかになりました。つまり保育士の数を増やすと言いながら、2年間に6名が減少したことになっております。その結果、平成28年3月1日現在で663名の園児を預かれていたものが、平成30年3月1日では598名の園児しか預かれなくなっております。
 新しい人事制度を利用することで保育士不足の改善を図るとしておりましたが、実際には保育士確保は進まず、待機児童の解消に市立保育園は寄与していなかった実態が明らかとなっております。今後、採用について、さらに新たなお考えをお持ちでしたら伺います。
 
 任期付職員採用制度を活用して、保育士の確保を進める予定でございましたが、現状では、まだその効果が現れておりません。これは、昨年度スタートした、任期付職員採用制度が年度の途中で募集をかけたこと、応募まで十分な周知期間を取れなかったことが、反省点でございました。この点を踏まえまして、今年度は充分な周知期間を執り、年度当初での採用に向け、準備を進めてまいりたいと存じます。
 

 また次の年度当初に準備を進めるとの事でしたが、現在の保育士不足の解消を真剣に考えていけば、地域に数多く居るといわれている潜在保育士の活用を図るという事も必要だと思います。まだ年度途中での採用も進めるべきだと思いますので、その点はご検討いただければと思います。
 「保育士配置の適正化」についてですが、市立保育園全体での定員数が純減に成ったことは、そもそも今まで定員まで入所させることが出来なかった状況を考えると、45が減に成ったということは納得出来ます。重用なのは定員を増やすことよりも、待機児童が多く発生している1,2歳児の保育にシフトしていけるかどうかだと考えます。例えば少し極端な考えを述べさせていただければ、
配布資料の6に示す吾妻保育園で3歳児以上の園児を全て久津間保育園に送って、久津間保育園で一緒に面倒を見てもらい、その手の空いた保育士が年少児に回る事で、僅かでも待機児童の解決に向かう、このような事を検討すべきではないかと思います。改めてお聞きしますが、待機児童の解消に向けた、効率的な配置について、どの様に検討を進めようとしているのか、ご説明願います。
 
 待機児童解消に向けましては、待機児童が多く発生している1歳児、2歳児の対応を、優先して検討する必要があることはご指摘の通りでございます。保育園の入園希望者数の将来見込みをしっかりと立てたうえで、ただいま議員からもご提案の有りました、在園児の調整の可能性も含めまして、保育士の効率的な配置を検討してまいります。
 なお、社会館保育園では現在、1歳児、2歳児を受け入れるための施設の増築に今年度着手しており、来年度開設する予定となっております。これによりまして約20名の待機児童が解消されるものと考えおります。この様に民間保育園の施設整備につきましても、今後も支援して参りたいと考えております。
 
 年少児の保育には1人あたり多くの保育士が必要となりますが、現在の問題が年少児で生じておりますので、市立と民間の保育園の力を合わせ、役割分担を検討さしていただければと思います。
 「緊急的な保育士確保」については人材派遣を含め検討するとの事でした。子供を保育園に預けることが出来ないために働きに出られず、それが地域での人手不足を一層深刻にして経済へのダメージを与えているという認識に立って、早急な対応をお願いしたいと思います。
 「保育園民営化の現状」では、状況が整えばスケジュールの前倒しも検討するとのご答弁でした。現在の深刻な待機児童問題は民営化無くしては解決できないと私は思いますので、保護者のご理解を得られるよう、執行部には努力をお願いしたいと思います。参考に伺いますが、現在民営化を検討している4園において、保護者から反対意見は出されているのでしょうか。
 
 吾妻・鎌足・中郷及び久津間保育園4園の保護者からは、反対意見は出ておりません。しかしながら「丁寧な説明をお願いしたい」という条件の付いたご意見もいただいているところでございます。
 

 丁寧な説明という事ですので、そのように進めていただければと思います。また一方で待機児童問題の解決には民営化が必要なこと、民間の保育の質も高くて市立に比べて全然遜色無いこと、これらを行政が積極的にPRしていただき、保護者や、その背景にある市民の皆様にも理解をいただき、齟齬の無いよう、1年でも早めの民営化を進めていただくように期待いたします。そもそも市立保育園の施設としての最大定員の合計は、
配布資料の3に示す840名でありましたが、現在では祇園保育園の80が閉園されていますので、760に減少しています。本年4月1日現在では571人しか預かっていませんので189人分の余裕があります。施設を弾力的に運用し定員の120%まで可能だとして計算すると、現在の施設は912人が受け入れられる事となりますので、既存の施設を活用することによって、あと341人分の保育が可能となります。既存施設を有効活用する事で待機児童問題は殆どが解決できるのです。行政がこれまでどんなに努力しても保育士確保が困難な状況が続いていることを考えると、民間のノウハウで活用してもらい、現況の問題点を解決する以外に手段は無いものと思います。民間保育園保育コストが低いことを考えると、将来は保育料の引き下げも可能になると思います。早期の民営化を検討していただければと思います。
 「民営化の拡大」について、桜井とわかばの民営化を現時点では考えていないという事でした。確かに両園とも定員以上の園児を預かり、市立保育園の中では健闘していると思いますので、現時点で施設の有効利用を目的とした民営化は確かにそれほど必要ないという事も理解できます。しかしながら、最初の質問で申したように、民間保育園の方が保護者のニーズに応じた保育メニューを多くしている事も事実です。では、これら市立保育園において、民間保育園で行えないような取組を実施しているのか、あるいは検討しておりましたらご説明下さい。
 
 先ほど市長の答弁に有りましたとおり、市立保育園には、民間保育園では受け入れが困難な児童の対応、保護者へのサポート、民間保育園への指導助言など、地域の保育拠点としての役割があるものと考えております。現在も、市立保育園の保育士が、公民館の親子教室などに参加し、保育に関する講話や親子の遊びなどの実践指導を行なっております。このような地域活動も今後拡充していく方向で考えております。
 

 公民館での親子教室の取組という事でした。それも重要なことだと思います。ただこれから働き方の多様化を考えると、現在は本市で取り組まれていない、例えば夜間保育等の新たな需要も増えてくるものと思います。ただ、それを市立保育園で行うのかは検討の余地はあるものと思いますが、市立保育園を残存させる意義が、なぜ市立保育園を残しているのかという意味が、市民に理解できるような政策展開を期待いたします。また、
配布資料の4に示すように、保育園の需要が高まる一方で幼稚園は減少傾向にあり、保育園の園児数が幼稚園の園児を上回る可能性も見えて参りました。本年度より「健康こども部」が創出され、こどもの施策の一元化が図られている中で、幼稚園の適切な活用を図ることで保育需要を抑えることも検討しいていただきたいと思います。
 子育て世代の不安を解決し支援する体制として「きさらづネウボラ」が開設されたので、妊娠や出産に対する不安は解消に向かう期待いたしますが、本市では保育事業が弱点に成っていると感じます。子育てをしやすい街だと胸を張って言えるような木更津市に成ることを期待して、次の大綱の質問に移ります。
 
 大綱二「観光事業について」再質問を行います。
 まず「DMOの愛称の策定」についてですが、新しい愛称の策定を検討されると言う事でしたので、今までとは違う「攻めの観光」を目指した活動を始めたことを理解してもらい、さらには市民に親しんでもらうことを目指し、例えば、公募などの取り組みを経て、早期に決定されることを願います。
 次に「対象者の選定と対応」については、まだ木更津市での農業体験等が首都圏に知られていないので拡大の余地があるという事は理解いたしました。しかし、その場合は観光農園を紹介すれば事足りるように思います。着地方プログラムとする事でどの様な付加価値を加えようとしているのか伺います。
 
 仮称「木更津版DMO」につきましては、季節ごとに、様々な商品を販売していくことを目標としております。 例えば、農園だけではできないことを、地域の生産者と連携し、6次化するなどの付加価値を加えて参ります。また、回遊型、少人数型の旅行商品や、修学旅行生を対象とした教育旅行を造成していくなど、本市が持つ、様々なコンテンツを磨き上げ、より発信力のあるものにしていきたいと考えております。
 

 単に観光農園で遊ぶだけという企画ではなくて、広がりを持つ商品を考えるという事で理解いたしました。それにより地域経済の活性化に寄与される事を期待します。インバウンドの取組については、木更津から日々の情報発信を続ける取組も検討されるべきと思います。その様な意味で、例えば教育現場で活躍するALTの方々も重用と思いますが、ALTの皆様が木更津市をよく知って、情報の発信者になるよう、観光ツアー等を企画するような検討も行われるべきと考えますのでご検討いただければと思います。なお、答弁の中に有りました、大使館の外交官を招聘して木更津を紹介した事業が既に終了していると思いますが、その規模や、また反応はどうだったのか伺います。
 
 都内大使館の外交官を招聘し、本市を紹介するインバウンド開拓事業につきましては、去る6月9日に実施したところでございます。当日は、ドイツ、タイ、韓国、ポーランド、メキシコなど14カ国、24名に参加を頂き、そのうち3カ国は、大使に来て頂いたものでございます。内容といたしましては、金田みたて海岸での海苔すき体験を皮切りに、着物の着付や茶道、花柳界体験、ブルーベリー農園でのジャム作り体験などを行っていただき、好評を頂いたところでございます。
 

 概ね好評だったという事ですので、その14ヶ国の方々が今後も木更津に来られるような、今後の展開に繋がることを期待いたします。
 「事業の具体化と評価」については各種関係者から成る仮称「木更津DMOボード会」にて効果の検証等も行うという事ですが、外部評価体制がある事はとても良い事だとは思いますが、一般社団法人である観光協会の理事会とは何が違うのか、ご説明頂きたいと思います。
 
 まず、各種産業の方々で構成される、観光協会 理事会の役割といたしましては、一般社団法人 木更津市観光協会の予算案の承認をしていく中で、DMOの全体事業の予算案についても精査をして参ります。一方、先ほど、申し上げました、仮称「木更津DMOボード会」につきましては、観光協会理事の方々と一部の重複はありますが、主に、観光事業者等が中心となり、まず、どのようにしたら、稼げる地域になるのかを考えながら、今後のDMO事業推進の舵取りの役割を果たして参るところでございます。
 

 理事会とそのボード会の違いについては理解しました。
 次に「組織の独立性と採算」についてですが、私も直ぐに黒字化することは難しいと思います。しかしながら行政では出来にくい自主事業を展開することや組織の拡大に伴い赤字幅が増加して、結果として補助金の増大を招くような事が無いように注視しなければ成らないと思います。一方、観光協会の自主財源である会員からの会費に頼った運営を続けた場合を考えますと、会員企業への配慮を優先し、大所高所に立った観光事業の立案やマーケットの開拓が難しくなるという点も考えられます。さらには年度当初の計画に縛られず、臨機応変な対応を行えるためには、余裕のある自主財源を確保させることが重要だと思います。その意味では、先ほど申しましたように入湯税の一定割合をDMOに回すことも検討されるべきかと思います。観光入込客の増加に伴い温泉利用が増えることで入湯税が増え、それによって活動費が増えるのであれば、DMOも積極的な事業展開をすることになる事が期待されます。そこで経済部長にお聞きしますが、DMOの活動を支える自主財源の制度については、検討はされているのでしょうか。
 
 議員おっしゃるとおり、DMOにとりまして、積極的な事業、タイミングをとらえた事業を行っていくためには、余裕ある自主財源の確保もひとつの重要な部分であると考えております。ご提案を頂きました入湯税につきましては、今後、先進他市の状況等も調査しながら、その結果によっては、財務部等との協議も検討して参りたいと思っております。
 

 最後に「事業の拡大と活性化」についてですが、今後様々な観光商品を企画して、更なる地域の活性化を目指し、市や各団体との各種イベントによって、将来的にはDMOが関わる事を検討するという事ですので、今後の展開には期待したいと思います。その拡大する事業を全てDMOが直営で行った場合は、当然人員不足となる事が容易に想像できますので、外注や委託を活用することによって、地域で様々な活動展開か可能になり、それで、さらに地域経済の活性化と市民の満足度の向上につながればと願っております。
 拡大の方向性として、広域観光も目指すべきと思います。現在は「アクアラインイースト観光連盟」でモニターツアーやフリーマガジン製作などの四市共同事業が行われていることが、3月議会における代表質問の答弁にもありました。本市のDMOも将来的に近隣市と統合広域化して、強力な組織を作るべきだと考えますが、明後日の國吉議員の質問が予定されておりますので、この場では質問はいたしません。
 いずれにしろ観光産業は大量生産に向かず、一人一人に対応するため雇用創出効果が高く、今後の市場拡大の余地も大きいといわれています。大都市をマーケットにした場合、都市から本市への所得分配効果と、雇用の創出に伴う人口の分配効果も期待されます。本市のDMOが適切なマーケッティングとマネージメントを進めることで、観光のみならず地域全体の活力向上につながることを期待し、そのためには行政が何をすべきかを検討することを希望し、6月議会における私の質問を全て終了させていたします。