環境行政について (令和4年6月定例議会)
 議場の皆様こんにちは。会派羅針盤の近藤です。通告に従い質問をいたします。今回は大綱1点「環境行政について」質問いたします。
 本年3月20日に無投票で3選を果たした渡辺市長は2019年4月に「世界首長誓約/日本」に署名するなど積極的に地球温暖化対策に取り組まれており、昨年2月10日には近隣自治体に先駆け、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指すことを宣言いたしました。その施策を具体的に進めるため、今年度から環境部内に環境政策課が置かれました。今後の展開が気になるところです。
 また環境部の所管としては、本年12月からかずさ四市を対象として供用開始が予定される、新火葬場「きみさらづ聖苑」と、令和9年度から6市1町での運用を目指して(株)上総安房クリーンシステムが事業化を進める広域廃棄物処理事業という施設の建設も進んでおります。これらの施設は広域行政によるスケールメリットを活かし、本市の財政負担を減らすものと期待していますが、配布資料1に示すように、対象とする自治体の人口は今後著しく減少していくことが予想され、今後の経営状況が危惧されます。また両施設とも化石燃料の使用が前提となっており、市長の目指す地球温暖化対策との兼ね合いが重要になると考えます。
 これらの環境行政に対して中項目3点を確認させていただきます。
 
 最初に中項目1点目として「脱炭素化の取組について」質問いたします。地球温暖化について振り返りますと、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国際連合会議において気候変動枠組条約が採択され、1997年に日本で開催された会議で温室効果ガスの排出抑制を示す京都議定書が締結され2005年に発行しました。2006年にアメリカのゴア副大統領が出演し上映された「不都合な真実」等を通じて世界の人々に地球温暖化問題が知識としては広がりを見せておりましたが、温暖化ガスの削減策は先進国の発展を妨げるための陰謀であるとか、二酸化炭素は原因でないという説を信じる政治家により、先進国と発展途上国が対立し、一人当たりの排出量が最大であるアメリカ合衆国の協力が得られず、具体的な効果を発揮しないまま年月が経過しております。
 2015年のCOP21で採択された「パリ協定」により「産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持し、1.5℃に抑える努力を追求する」という国際目標が広く共有される頃、世界各地で異常気象が多発し、太平洋の島国が国家消失の危機を訴え、先進国の若者達による抗議運動、更に企業も脱炭素に向けた取組を強化することで近年では世界の共通認識となり、国内でも多くの地方自治体が脱炭素に向けた取組を開始する状況と成ってまいりました。気運が高まる一方で、2030年までに具体的な成果を得ないとシベリア等の永久凍土層内に閉じこめられている温室効果ガスが氷が溶けることにより大気中に放出されて濃度が上昇するとか、太陽光を反射する両極の氷原が減少し、気候変動による砂漠化の進展で森林が減少するなど、温暖化が加速して停めることが出来なくなるという危機も指摘もされております。
 大変大きな問題でありますので、木更津市のような一地方自治体での取組の効果が極めて限界的になることを承知しておりますが、市長が危機に立ち向かう姿勢を確認したく、質問をいたします。
 小項目1点目として取組事項の選定についてお聞きいたします。 昨年度までは防犯灯や街路灯のLED化を進めるなど省エネによって電力使用料を削減することで二酸化炭素の排出量を削減するということが中心となっておりましたが、公共施設だけの取組では「二酸化炭素排出量の実質ゼロ」を達成することはとうてい出来ません。 様々な取組を並行して行うことが重要だと思いますが、今後の取組事項はどの様に選定するのか、その方法についてお示し下さい。
 次に小項目2点目として緑化事業の推進についてお聞きいたします。市役所の業務を進めるため、車両等の内燃機関やゴミ焼却等の燃料に化石燃料を直接使用し、多くの電力を通じて温暖化ガスを間接的に排出している状況の中では、「実質ゼロ」とするためには緑化等の方法で炭素を閉じ込めるか、再生可能エネルギーを利用して本市が使用する化石燃料以上のエネルギーを産出することが求められることになると考えます。本市は市内に多くの農地と山林をもち、二酸化炭素を吸収しておりますが、市街地の中でも街路樹の整備を行い、海洋でもアマモの育成などを通じて更に吸収を推進すべきと思いますが、如何でしょうか。
 次に小項目3点目として電気事業の検討についてお聞きいたします。昨年の1月26日にZoomで開催された千葉県市議会議長会研修において、京都大学大学院の諸富徹教授から自治体電気事業の重要性が示されました。諸富教授によるとドイツでは多くの自治体が電気事業を営んで自治体の収入を増やし福祉事業に充てるとともに、地域から外部に流れ出るエネルギー関連の歳出を地域に循環させること、分散する再生可能エネルギー活用で災害時に安定した電力供給を目指すべきだと提案されており、身近な成功事例としては睦沢町の道の駅における天然ガスを利用した町営団地への電気と熱の供給を行うガスコジェネ発電があげられました。この睦沢町の施設については2018年の台風15号停電の際に独立して電気を供給して住民の支えになっていたことを覚えて居られる方も多いと思います。この様に電気事業を自治体が運営する意義が高い上に再生可能エネルギーを利用した場合、脱炭素化の効果も顕著になりますしロシアのウクライナ侵攻に際して化石燃料に依存する社会の漸弱さが明かになり、それを克服するためにも全国で検討を進めるべき課題と考えます。木更津市としての考え方はどうなのか、お示し下さい。
 
 次に、中項目2点目として「新火葬場の運営について」質問いたします。3月10日に開催された予算審査特別委員会で供用開始後の運営コストが示されましたが、その資料を元に加工して作成したものが配布資料2です。現在の火葬場における一般財源額が年間1917万円であるのに対し、新火葬場が供用開始すると5407万円に増加する見込みであると示されました。これは火葬場の施設規模が大きくなり業務範囲が増えるためと理解しますが、本当にスケールメリットが発揮された効率的な施設なのか確認すべきと思う点があり、また、先ほど示したように今後の人口減少に伴う火葬者数の減少に伴う歳入の減少も危惧されます。
 そこで最初に、小項目1点目として火葬者数の予測についてお聞きいたします。人口が減少する中で火葬者の数は、どの様に推移すると予測しているのかご説明下さい。
 次に小項目2点目として今後の経費予測についてお聞きいたします。昨年度の指定管理料が年間2754万円である事に対し、年間を通じて運営する来年度以降の見込み額は約1億5,149万円に増加します。広域化によって対象人口が2.38倍に増えますが、指定管理料は5.50倍に増加します。これは今まで指定管理料に含まれていない修繕費や大気測定の費用が新火葬場では業務の中に含まれることや火葬受付窓口を環境部から指定管理者へ移行すること、新旧の敷地全体を管理する費用が含まれること等が理由だと推察されますが、建設事業の償還が含まれているのであればこの増加要因と理解できます。指定管理料の内訳について説明伺います。
 最後に、小項目3点目として脱炭素化の取組についてお聞きいたします。中項目1で述べたように本市では脱炭素化の取組を進めておりますが、新火葬場ではどの様な対策を行っているのかお示し下さい。
 
 次に、中項目3点目として「広域廃棄物処理について」質問いたします。富津市で計画が進む新施設については先月2日から31日にかけて環境影響評価準備書の縦覧が行われ年度末まで環境アセスメントが進められます。(株)上総安房KSの発表している事業スケジュールによりますと令和5年9月から工事に取りかかる予定ですので現在はアセスメントを行うのと並行して新施設の設計が進められているものと推察します。
 そこで最初に、小項目1点目として受入容量の予測についてお聞きいたします。安房郡はかずさ四市より速いペースで人口が減少すると予想されており令和9年度供用にあわせた施設規模では、その後に能力がオーバースペックとなり運営コストが高く着くことになるのではと危惧しています。今後の受入容量はどの様に推移すると予測しているのか、また減少した場合の事業収支についてはどの様に考えているのかご説明下さい。
 次に小項目2点目として受入対象の拡大についてお聞きいたします。現在のかずさクリーンシステムでは投入口が狭く、剪定した枝は長さ80cm以内で外周1m以内に束ねなければ成らず、駆除された大型の有害鳥獣も受け入れることが出来ないことが問題となっております。また、大雨の後には海岸や河川に多くの流竹木が押し流されてきますが、短く切り揃えることは大変であり、特に海水に浸かったものは塩分が炉の寿命を短くするという理由で断られております。これから詳細設計を進める施設で有れば今まで以上に受け入れられるものを拡大して地域に貢献すべきと思いますが、検討はどの様に進んでおるのでしょうか。
 最後に、小項目3点目として脱炭素化の取組についてお聞きいたします。当該施設はダイオキシンを発生させないために高温での溶融を行うため大量のコークスを使用することになります。施設は富津市に建設されますが本市から持ち込んだ廃棄物を処理するために排出される二酸化炭素は「実質ゼロ」とする対象になるものと思います。そこで新施設での脱炭素化の取組に加え、ゴミ1トンあたりの二酸化炭素排出量はどの程度で、現在のかずさクリーンシステムと比べどの程度削減する見込みなのかご説明下さい。
 以上で第一質問を終了いたします。
 
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<渡辺市長>
 近藤忍議員のご質問にご答弁申し上げます。
 私からは、大綱1「環境行政について」中項目1、「脱炭素化の取組」についてお答えいたします。はじめに、「取組事項の選定」についてでございますが、その検討方法といたしましては、地球温暖化対策実行計画の改定の中で、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた対策案及び施策案の検討をすることとなっております。本計画の改定におきまして、エネルギーの地産地消・面的利用の拡大など、国が示した地方公共団体が実施することが期待される施策例や他の自治体の先進事例を参考に、新たな施策の主体の設定方法、施策実施のロードマップ及び進捗管理も含めて検討し、今年度中にはお示しできるよう計画しているところでございます。
 つぎに、「緑化事業の推進」についてでございますが2050年のカーボンニュートラル達成のためには、省エネや再エネの導入だけでは、削減しきれない二酸化炭素の排出があり、それらを吸収するための吸収源を確保していかなければなりません。二酸化炭素を吸収し固定する方法といたしましては、議員おっしゃいますとおり、大きく分けて2つございまして、一つ目は、植林、森林の適正整備、農地で吸収するグリーンカーボン、二つ目は、アマモなどの海草や干潟で吸収するブルーカーボンがございます。これらの吸収源をどのくらい確保しなければならないかということについて、計画改定の中で明らかにし、どのような施策を推進するかについて検討してまいります。
 つぎに、「電気事業の検討」についてでございますが、再生可能エネルギーを普及していくうえで、効果的な施策の一つであると考えており、その事業性を確保する仕組みづくりが重要であると考えております。ドイツでは「シュタットベルケ」という都市公社を自治体が50%以上の出資により設立し、電気、ガス、水道、公共交通などのインフラ事業を担い、特にエネルギー部門では、発電に伴う熱の供給などにより黒字化し、他の赤字部門を補填できていると伺っております。また、睦沢町の事例につきましては、町内で生産される天然ガスによる電気と熱の供給先が確保されておりますことから、同様に事業の収益性が確保されていると伺っており、両事例からすると、電気だけではなく、発電に伴う熱の供給先の確保が事業性の鍵を握っていると考えております。
 ロシアのウクライナ侵攻の影響による燃料高騰や再エネ比率が上がったことによる電力供給の不安定化により、卸電力市場の価格が高騰しており、新電力会社が倒産するケースが増えております。このことから、今後、卸電力市場が安定化の状況に注視しながら、今年4月に創設した「連携事業提案制度」などを活用し、検討をしてまいりたいと考えております。私からは以上です。その他の答弁については環境部長から答弁いたします。
 
<植野環境部長>
 私からは、大綱1、中項目2、「新火葬場の運営」についてお答えいたします。はじめに、「火葬者数の予測」でございますが、火葬者数につきましては、構成4市の人口ビジョンを基に推計した将来人口に死亡率を乗じて算出しております。平成28年12月に取りまとめしました「(仮称)木更津市火葬場整備運営事業基本構想」の中でお示ししたとおり、将来人口が減少する一方、高齢化率の上昇とともに、死亡率も上昇傾向が続き、火葬者数は増加傾向が続くものと考えております。ピークは令和22年の年間4,582件、それ以後は、若干、減少するものの、4,300件前後で推移するものと見込んでおります。
 つぎに、「今後の経費予測」についてお答えします。まず、指定管理料 約1億5,100万円の内訳でございますが、主な費用といたしましては、建築物、建築設備、火葬炉、そして備品の修繕費を含む保守管理業務が5,323万円、次に火葬業務が4,324万円、火葬受付業務が2,838万円、となっております。その他にも、火災や施設賠償責任保険352万円、植栽、外構、環境緑地の維持管理費用268万円、大気測定187万円などがございますが、建設事業費償還金は含まれておりません。
 つぎに、「脱炭素化の取組」についてでございますが、新火葬場「きみさらず聖苑」におきましては、太陽光発電パネルの設置や、風力、太陽光を利用したハイブリット外灯の採用、さらには、自然光、自然通風を促す設計により電力使用量の削減を図ります。また、LED照明の採用による省電力化や、ガスコージェネレーションシステムの排熱利用による冷暖房などへの有効活用により環境負荷の低減に努めます。
 
 続きまして、中項目3、「広域廃棄物処理」についてお答えいたします。まず、「受入容量の予測」についてでございますが、処理量については、平成30年度に策定いたしました「第2期君津地域広域廃棄物処理事業基本構想」にて推計しております。本構想で、施設が供用開始となる令和9年度の処理量を、年間115,575tonと想定しており、以降人口減少等により家庭ごみの量が減少する可能性はあるものの、同年に発生するごみを確実に全量処理する必要があることから、令和9年度の処理量を基準に施設規模を定めております。なお、処理能力486t/日につきましては災害時等の処理を想定する必要があること、また、人口減少が進む中でも事業系ごみについては排出量減少が進むかは定かでなくごみ量の予測は不確実な要素が多い等の理由から、ある程度の余裕を持った設計とする必要がございます。事業収支につきましては、事業者に支払う委託費を、固定費と変動費に分けて設定しており、処理量が減少した場合にも、一定水準の固定費が支払われることで、株式会社上総安房クリーンシステムの経営に大きな影響が生じないよう事業条件上の工夫がなされております。また、本施設で発電した電気からの売電収入も想定しております。
 つぎに、「受入対象の拡大」についてでございますが、当該施設は、家庭などから排出される一般廃棄物の処理を目的とした上で、廃棄物の種類や処理量、ごみ質などを示すとともに、シャフト炉式ガス化溶融炉、ストーカ式焼却炉プラス灰資源化、流動床式ガス化溶融炉のいずれかで提案できるよう要求水準書を作成し、一者から効率的な施設整備の提案があったところでございます。あくまでも、家庭などから排出される一般廃棄物の処理を基本としているため、現施設での受入の規格を超える駆除害獣や流竹木の受入は、ごみ装入系で閉塞や引っ掛かりなどのトラブルによる火災などの危険性があるため、要求水準書において現施設と同様の受入サイズにしているところでございます。
 つぎに、「脱炭素化の取組」についてでございますが当該施設では、低炭素型シャフト炉等の導入等により、ごみ量当たりの消費電力原単位を現事業比で26%削減しております。これに加え、高温高圧ボイラーの導入等により発電効率を向上させることで全体として23.6%と高いエネルギー回収率を実現いたします。これにより売電量は年45,932[Mwh]となる計画であり、現かずさクリーンシステムの令和4年度の売電計画量が年8千160[Mwh]でございますので、買電量は約563%増加する見込みでございます。当該施設では、熱回収以外のエネルギー回収設備の設置予定はございません。また、ごみ1トンあたりの二酸化炭素排出量は、二酸化炭素換算で0.41tとなっておりまして、現在のかずさクリーンシステムと比較し、約34%削減の見込みでございます。
 私からは以上でございます。
 
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 答弁ありがとうございました。再質問に移ります。最初に脱炭素化に対して伺います。取組事項の選定方法については、地球温暖化対策実行計画の改定の中で検討するということですが、計画策定にあたり業務の外部委託を実施していると思います。どの様な業者が受注したのか伺います。
 
 地球温暖化対策実行計画の改定につきましては、千葉県で契約実績があり、かつ優秀な計画を策定した事業者を選定し、指名競争入札を実施いたしました。入札の結果、本市が平成27年度に「環境基本計画改定業務委託」を発注した事業者に決定したところでございます。
 
 環境基本計画に慣れている業者ということですが、木更津市の特性だけでなく、市長の意向、時代の趨勢等を充分に考慮しつつ、現実的でありながら先進的な検討を進めていただくようお願いいたします。
 緑化事業の推進について伺います。昨年7月に国土交通省関東地方整備局は、脱炭素社会の実現に向け木更津港で「カーボンニュートラルポート」の形成に向けた検討に着手すると
新聞発表がありました。脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化などを検討していくということですが、これは先ほど示されたブルーカーボンの取組ではないかと推察します。国の取組状況について把握されているようでしたらご説明下さい。
 
 申し訳ございませんが現在、把握はできていない状況でございます。木更津港湾事務所で事業内容が入手され次第、本市に情報提供いただくこととなっております。
 

 まだ情報が無いということですが、国も様々な取組を検討しているようです。様子が見えないところも多いようです。また、県も含め今後も様々な情報交換を進めていただくようお願いします。
 都市の緑化については都市整備部が平成24年4月に発表した「みどりの基本計画」の中でも街路の緑化を積極的に進めていく方針としておりましが、実際には街路樹の落葉が地域住民から苦情を招くことで剪定されてしまう事例が多く、木陰のない路線が多くみられます。樹木は二酸化炭素を直接吸収だけでなく、水分の蒸発を通じて気温の上昇を抑え、都市環境を向上する効果も顕著ですが、都市整備部として今後の方針を確認させていただきます。
 
 街路樹の管理に着きましては交通安全の確保や、議員がおっしゃられる都市環境の向上にも配慮しながら定期的な剪定を行うなど、適正な維持に努めてまいります。
 

 適正な剪定ということですが、増やすことも検定していただけたらと思います。街路樹の中には枯れてしまったり撤去されたままとなっているところも見られますのでそれらについてもご検討をお願いいたします。市街地に街路樹がある街は都市の風格が上がり、一般的に街の人気が高まることで企業進出が増え地価も上がりますので木更津市の経済活性化や税収増加も期待されます。住民の苦情で安易に剪定や伐採を進めるのではなく、緑の多いまちづくりを進めるようお願いいたします。
 次に電力事業の検討について、具体的な可能性を質問させていただきます。県内では銚子沖で洋上風力発電事業が具体化し業者も選定されましたが、多くの消費地を抱える東京湾内でも取り組まれるべきではないかと私は考えます。木更津飛行場に伴う空港法の制限の及ばない沖合に洋上風力発電を誘致することは検討できないのでしょうか。
 
 国の示したポテンシャルマップでは東京湾内の風速は平均毎秒6.5から7.5メートルであり、一方、国が主力電源化に向けた適地としている銚子沖を含む北海道、東北、九州では、平均毎秒7.5から8.5メートルとなっております。現在、市で策定した各種計画において風力発電誘致の方法は示されていないところでございますが、先ほど申し上げました計画の改定において再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査を行うことになっており、風力発電についてもそのポテンシャルを明らかにし、カーボンニュートラル達成に向けて必要性も含め検討し、導入の方向が示されれば、誘致方法についても検討してまいります。
 
 それでは財務部に参考に伺いますが、洋上風力発電を1基設置した場合、本市に入る税収はどの程度になると予想されるのか伺います。
 
 本市に洋上風力発電を設置した場合の税収につきましては、施設や発電の規模など、諸条件によって税額は変動いたしますことから、具体的な規模や仕様などが示されませんと試算は困難でございますので、昨年、経済産業省 及び国土交通省が実施した銚子市沖ほか2か所の洋上風力発電事業者の公募で選定されました事業者のプランでの試算でお答えいたします。経済産業省の資料では、1基あたり1万2千6百キロワットの風車を設置することとしており、これらの資料をもとに 固定資産税を試算いたしますと、1基あたり、初年度で約55百万円、10年間で約4億1千万円と想定されます。 
 

 風力発電を誘致することは本市のゼロカーボン政策に寄与するだけでなく、ただいまの答弁にありましたように税収増加にも大きく寄与することと解りました。国産エネルギーの確保という点でも望まれる施策ですので、国に働きかけ前向きな検討を進めていただけるようお願いいたします。現在、再生可能エネルギーとして最も普及しているのは太陽光発電で、市内にスマートソーラー株式会社を有する本市は同社の民間提案を受け、発電システムを公共施設に設置して温暖化ガスの排出量削減を目指す計画と伺っていますが、他にも道路や学校の法面も利用可能と考えます。それら拡大の余地についてご説明下さい。
 
 民間提案制度により、スマートソーラー株式会社から市内の避難所に指定されている小中学校及び公民館への太陽光パネルと蓄電池の設置を提案いただいているところでございますが、本事業につきましては、避難所向けの環境省の補助金を活用しており、その要件の中で各施設が使用する電気使用量に見合った太陽光パネルと蓄電池の設置までが補助対象となっております。道路や学校の斜面などを利用した拡大については、補助対象を超える設置となるため本事業においては、拡大の余地は無いと考えております。しかしながら、今後のゼロカーボンシティを目指していく中では、オフグリッド化を視野に入れた再生可能エネルギー導入拡大を検討していく必要があると考えております。
 

 また、古典的な再生可能エネルギーとしては水力の利用があります。矢那川ダムや小櫃堰には発電施設はありませんが小規模水力発電は可能なのか伺います。
 
 国から小規模水力発電の河川への導入事例として、落差1.4mの取水堰に橋の照明用として5.5KWの発電設備の設置が紹介されていることから、矢那川や小櫃川であっても小規模水力発電は、技術上可能ではないかと考えております。こちらにつきましても、計画の改定におきまして、再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の中で示す予定でございます。また、河川における小規模水力発電の水利利用につきましては、下流の水利用及び河川環境への影響、、治水上・水利上の支障など河川管理上の支障の有無について検討する必要があるため、それぞれの河川管理者の許可、また登録に向けた協議が必要になると考えております。
 

 では次に森林を活用したバイオマス発電について伺います。私達が会派で視察した岡山県真庭市では森林資源を利用した火力発電で市内の公共施設の電力需要を賄っておりました。これは近くに集成材の工場があり、その廃材も安定的に利用できると言ったメリットも有り本市で同じように適用することは難しいと理解しておりますが、広大な森林が手入れされずに放置されている現状を考えると、房総半島内で広域的にバイオ発電も検討すべきだと思いますが、如何でしょうか。
 
 市内には、豊富な森林資源があり、継続的に一定量の間伐材等の供給が見込まれる場合には、計画の改定に係る再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査で、バイオマス発電についてもそのポテンシャルを明らかにし、カーボンニュートラル達成に向けて検討してまいります。
 

 植物資源を利用した電気事業は脱炭素化に寄与するだけでなく、木材資源の内外価格差が大きすぎるため山林で生計を立てられない所有者に対し、間伐材が売れることで森林の保全と環境整備を促す結果に繋がると思いますし、真庭市では林業家が多く実際に活躍されておりました。木質ペレットによるバイオマス発電は風力や太陽光に比べ価格面で劣るとは聞いておりますが、林業の活性化も見据えて検討すべきと思いますが、所管する経済部のご意見をお伺いします。
 
 市内で実施しております森林整備事業、危険木伐採事業等の事業から排出される伐採木の約7割がバイオマス施設に搬出されております。また、議員ご指摘の間伐材の活用により、経営できる森林として、林業の活性化、発展、ひいては森林保全や環境に寄与するものと認識しております。
 

 既に市内の伐採木の7割がバイオマス施設に搬入されているという答弁がありました。持ち込まれる量と林業者が得ている収入はどの程度なのかご説明願います。
 
 市内の森林整備等を行った、千葉県森林組合に確認したところ、昨年度の実績でございますが、バイオマス施設への搬入量は552トンになります。施設の買い取り価格は、およそ1トン当たり4千円ですので、施設に搬入し得た収入額は、約220万円と伺っております。
 

 220万円の収入ということですので一助には成ったかと思いますが木更津市内の森林資源量を考えるとまだ少ない様には思います。ここで
配布資料3をご覧下さい。これは5月23日の朝日新聞の記事から引用しておりますが、気仙沼市で取り組まれているバイオマス発電でございます。燃料となる間伐材の受入に対して地域通過で料金を支払い、資金の地域内循環を通じて雇用や経済の活性化にも繋げ、林業家が山林を手入れする意識も高めていると記載されております。地域通過のアクアコインがある木更津市でも参考になる取組だと思いますので、事業の採算性や年間に発生するバイオマス資源量などを照査し、ご検討頂ければと思います。
 次に「新火葬場の運営について」の質問に移ります。人口は減少傾向でも火葬数のピークは令和22年に訪れ、その後も若干減少しつつ横ばいとなる予想なので、今回の施設が直ぐに過剰になるのではないことが解り安堵いたしました。指定管理料には建設事業費償還金は含まれていないということですが、その償還は何年間で幾らになるのか、ご説明下さい。
 
 建設費の償還金は令和4年12月から令和20年3月までの15年4か月の期間となり、元金18億1203万4678円でございます。
 

 それでは、建設費の償還として毎年およそ1億2千万円程度が別途必要になることが解りました。それでは、建設費を除いた指定管理料が一気に5.5倍となる理由が今一つよく解らないので、具体的な運営体制を確認いたします。建設が完了したばかりの真新しい施設の保守管理業務が5,323万円とは、ちょっと高いのではないかと思いますが、詳しくご説明願います。
 
 保守管理業務に係る経費は、日常点検、定期点検と、主に5年、7年毎の修繕及び更新に係る費用を平準化したものとなり、内訳としては、建築物が283万円、建築設備が1,681万円、火葬炉が3,293万円、備品が66万円でございます。
 

 建設直後には修繕等を行う可能性が低くても期間が経過してから高額な修繕費を一度に支払いうことがないために平準化しているということで、これは理解いたしました。では、人件費について確認します。現在ある火葬場では何人が常駐する体勢で営まれていますかご説明下さい。
 
 火葬業務3名、売店清掃業務1名の計4名が常駐しております。
 

 それでは新火葬場では何人になるのかご説明下さい。
 
 受付業務担当3名、火葬業務等担当7名、清掃業務担当2名の計12名を常時配置いたします。
 

 単純に考えると人数が3倍なので人件費も3倍になるではないかと思います。炉の数も3倍になるうえに、新たな業務が追加されても人数が3倍に抑えられているということで経営努力があるものと評価いたします。今までの施設では実施しておらず、新火葬場から新たに開始されるサービスが予定されていればご説明下さい。
 
 WEB上の火葬予約システムによる24時間の予約受付を行う業務や、新たに設置する「お別れ室」と「霊安室」の利用に関する新たなサービスがございます。
 

 今議会には議案第44号として指定管理者の指定が上程されておりますので質問はここまでといたしますが運営費の更なる削減に向けてご検討をお願いたします。
 新火葬場について他に心配なのはアクセス道路の整備の遅れです。令和3年度から施行されている畑沢川横断部の149mは今日現在で未だに工事が完成しておりませんし、令和4年度予算で計上された94mは12月に新火葬場が供用開始される時点で工事が完成しているとも思えません。ここで再び
配布資料2をご覧下さい。2件の工事の合計243mは関連道路延長の2560mに対し9.5%であり1割に満たない状況です。他の市道136号線や135号線の整備は具体化していない状況です。整備速度を上げるためにも、もっと複数箇所で同時に工事を行う展開は考えられないのでしょうか。
 
 新火葬場へのアクセス道路につきましては用地取得の状況や工事展開を踏まえ、整備速度が上がるよう工事箇所や時期について調整してまいります。
 

 速度だけでなく事業費についても私は心配しております。昨年度と今年度は特に工事費のかかる区間だとは理解しておりますが1mの施行に97万円を要しております。単純に計算すると道路工事費に20億円以上が必要になります。それ以外にまだ更に用地費が必要となりますので、三市からの負担金を受けていると思いますが、道路関連事業費が増加した場合に近隣市の負担も増加すると考えてよろしいのでしょうか。
 
 道路関連事業費が増加した場合でございますが、3市からの負担金も事業費の負担割合等に関する協定書に基づき増加いたします。
 
 
増加するということですが、当初の計画額の2倍以上を超えるような著しく高額になりそうなので私はこれを若干心配しているところです。今議会には近隣三市との間における協議というものも案件として上程されておりますが、道路に関しても予定していた事業費と話が違うのではないかと問題に成りかねないと思いますので、早めに全体額を検討し直し、関係市と充分な協議を進めていただけるようお願いいたします。
 では次に、「広域廃棄物処理について」の質問に移ります。受入容量の予測について供用後の減少が予想されているが、施設に大幅な余裕が生じた場合は処分単価を下げるために受入対象を増やすことも検討する準備を進めるべきと考えております。具体的には現在想定している民間企業以外の事業系廃棄物、安房郡で唯一参加していない館山市についても受入対象に加えることで、量を増やすことが妥当ではないかと思いますが、現在の枠組みでその様な対応は可能でしょうか。
 
 「現在想定している民間企業以外の事業系廃棄物や館山市の追加は、現在の枠組みで可能なのか」とのご質問でございますが、日本製鉄株式会社東日本製鉄所君津地区から排出される事業系ごみについては、事業者選定時点で、事業者からの提案のあった内容に基づき、事業費の低減を図る目的から受入れを行うこととした経緯がございますが、現時点では新たな民間企業からの産業廃棄物の受入れを行う予定はございません。館山市の追加についても、現時点では検討を行っておりません。しかしながら、今後6市1町から排出される一般廃棄物が大幅に減少し、処理能力に余剰が発生するような状況になった場合には、地域住民や関係者の皆様のご意見を伺うとともに、その時点の経営状況や社会情勢を踏まえ、本施設の運営方針について検討する必要があると考えております。
 
 
受入対象の拡大について伺います。要求水準書に示した事業条件が、現状のかずさクリーンシステムと同じなので難しいということですが、有害鳥獣が投入できないとか流木も切り揃えなければならないという事に対する問題意識は今に始まったことでは無いと思います。大きなままで処分が出来ないために、富津市では2017年に高温高圧下で有害鳥獣の加水分解をするプラントの実証実験を行うなど、各市が様々に苦労してきたことは承知のことと思います。溶融炉の設計変更が難しいので有れば、前処理施設等の検討が出来ないのでしょうか、お伺いします。
 
 駆除害獣の受入につきましては、7自治体で協議した結果、現施設での規格を超える受入れを見合わせることで決定したところでございまして、有害鳥獣担当部署と今後の対応について協議してまいります。流竹木につきましては、本市同様、前処理施設の老朽化が進んでいる自治体もあることから、前処理施設の整備について、関係自治体と協議を行っているところでございます。
 
 
では次に脱炭素化の取組についてお聞きします。年間45,932[Mwh] を売電量するという答弁でした。環境省によると1世帯当たり電気使用量は年間4,322[kWh]としていますので1万世帯分以上の電力を供給することになると理解いたします。
 現状のかずさクリーンシステムが発電した「低炭素電力」を木更津市の公共施設に供給する契約を結び年間1300トンの二酸化炭素削減効果を発揮すると本年2月に発表があったばかりですが、新施設にも同様の契約を行う考えがあるのか伺います。
 
 株式会社上総安房クリーンシステムの売電価格と比較して公共施設への供給が同水準以上であれば、現施設と同様、公共施設への供給について協議してまいりたいと考えております。
 
 
廃棄物処理に多くの燃料が必要なことも理解しております。石炭の高騰に伴いかずさクリ−ンシステムの燃料代が年間で2億円高くなると予算委員会で報告があり、その後のウクライナ情勢を考えると燃料費は更に高騰するものと思われます。その様な状況の中でも燃焼エネルギーが高いプラスチックは回収のエネルギーと費用を要して再利用が進められています。現実に回収したプラスチックの約7割は燃料として利用されているということですので、本市としてもリサイクルが効率的に行える一部のものを除き、プラスチックを燃えるゴミとして回収するよう市民に指導することで処理費用の削減とともに石炭の使用量が減少することで二酸化炭素の排出抑制になると思いますが、分別回収に関する方針転換を行う考えはないでしょうか。
 
 「プラスチック等の熱源となる物は燃焼に回して経費を削減すべきでは」とのご質問でございますが、資源循環促進の観点から、容器包装プラスチックについては分別回収を行っておりますが、その他のプラスチックについては、当該施設の受入れ対象としており、これを燃料として発電した電気からの売電収入により委託費の低減を図ってまいります。
 

 環境行政について聴いてまいりました。脱炭素化の取組も行政が進められる範囲は限られており、企業や市民の理解を得なければ目標の達成は困難だと思います。効果的なPRを進めて地域の思いを一つにする方法も検討し、環境先進都市と成ることをお願いし、以上で今定例会における私の質問を終了いたします。