市長の政治姿勢について (令和4年9月定例議会)
 議場の皆様こんにちは。会派羅針盤の近藤です。羅針盤議員団を代表して、通告に従い大綱2点の質問を開始いたします。
 それでは、まず大綱1「市長の政治姿勢について」中項目3点を質問いたします。
 中項目1点目として「三期目の施策」について質問いたします。本年3月20日に告示された木更津市長選挙で渡辺市長の3選が無投票で決まったことは、皆様も周知のことと思います。選挙が行われなかったために市政の課題点が明確に成らず、渡辺市長がこれからの4年間に行いたいことを市民が知る機会も出来ませんでした。選挙に先立ち、渡辺市長はお配りしました配布資料に示すマニフェストを発表されております。それを元に政治姿勢を確認させていただきます。
 小項目1点目として重要な価値観についてお聞きします。過去のマニフェストでは「スクラム宣言:市民総出のまちづくり」と題して市民との協動を主要なテーマとしておりました。「木更津力のさらなる強化」「支え合いのある地域づくり」「持続可能な社会システム」を柱としておりましたが、今回では「次代へつなぐ」のテーマのもと「暮らし豊かに」「頼れるきさらづ」「未来ある行政モデル」へと変わりました。今期はどの様な価値観を大切にしていきたいと考えているのか、説明願います。
 小項目2点目として今年度の取組についてお聞きいたします。今回のマニフェストには過去に記載されていない項目も多くみられますが、これを受けて今年度から新たに取り組みが始まることを簡潔にお示し下さい。
 次に中項目2点目として「民間との協力」について質問いたします。渡辺市長は当選以来、産業創業支援センターである「らづビズ」に民間人の所長を起用して多くの創業支援を行い、道の駅「木更津うまくたの里」も運営ノウハウの優れた事業者に任せ人気施設となる事で市の歳出を歳入が上回るなど積極的に民間の力を取り入れて参りました。直近では鳥居崎公園や中郷中学校跡地の再整備も進み、賑わいの拠点づくりに寄与しております。民間の力を上手に活用していることは市長が経済界出身であり商工会議所や青年会議所など多くの民間団体の経験が活かされていると高く評価いたします。しかしながら全てが順調というわけでもなく、何点か確認させていただきます。
 小項目1点目として各種民間団体についてお聞きします。主として観光案内だけを担っていた観光協会を木更津の活性化のためテコ入れして、情報を発信しイベントを企画する民間的な組織としてDMOを立ち上げ、更に一般社団法人まちづくり木更津や中心市街地活性化協議会を設立して市街地の活性化に寄与してきた実績は認めます。これらによりシーカヤック体験や駅ピアノ・階段アートなど話題となる行事で木更津に注目を集めていることは評価いたしますが、多くの組織は行政の支援が無ければ運営が厳しい状況に有りますし、複数の組織がどの様に連携しているのか見えてこない事例も感じます。このような各種民間団体のうち、観光関係団体の評価と今後について説明願います。
 小項目2点目として民間提案制度についてお聞きします。近年では入札制度によらず、性能を重視した公募型プロポーザルや「脱炭素」という分野に限定した民間提案制度など、事業者選定のプロセスは多様な展開を見せております。民間の知見等を取り入れることで様々な課題に対応できる制度でありますので、民間の力でまちづくりを進めるべきだと、これまでの議会で私も提案してまいりました。しかし変化していく事業者選定方式に関して、一部の方から透明性に疑問の声も聞こえております。そこで、今年度新たに創設された木更津市連携事業提案制度と公募型プロポーザルの違い、また、本制度のこれからの展開を説明願います。
 次に中項目3点目として「地域との協動」について質問いたします。先ほども申しましたが、渡辺市長は最初の選挙で「スクラム宣言」を掲げ、市民との協働を進めてきました。協働のまちづくり活動支援事業の充実や市民活動支援センターの設置など、積極的に活動したい市民への要望には、一定程度応えられてきたものと思います。地域の住民に対しては、まちづくり協議会の設置を通じて地域自治を進めようとしていますが、いまだに設置されていない地区も有り、設置された地区も地域の他の団体との統合が進まず、区長や自治会長の負担感を増すだけという声も聞こえてきます。このことについて我が会派羅針盤は7月20日に三重県名張市で、21日には三重県伊賀市で先進地の行政視察を行いました。名張市は伊賀の大合併に参加しなかった自治体で、伊賀市は1市3町2村が合併した自治体という違いは有りますが、双方ともに小学校単位を基本とした自治組織を配置し、地域の事は地域が自主的に決めるという考えのもと、地域に一括交付金を支給しています。防犯灯の設置や高齢者の支え合い事業なども地域で実践しており、名張市で視察した蔵持市民地域センターには、防災を目的として自主的に井戸も設置しておりました。一方で、公民館はすべて廃止され地域の活動拠点とされ、伊賀市では市から会計年度任用職員が配置されていたものの名張市では全てが市民地域センターとなり、まちづくり組織へと指定管理を委託されておりました。また区長さんや自治会長さんに対する支援は廃止され全てがまちづくり組織への一括交付金に一元化されています。これは行政と地域は対等な関係であるという基本に従っており、顧みれば木更津では市政に協力していただく行政の補助機関的な「市政協力委員」という名称であり、これは対等な関係ではないなと改めて自覚させられました。
 そこで小項目1点目として地域活動予算についてお聞きします。地域の事を地域が自主的に解決するためには、地域が活動できる原資が必要と成ります。名張市の昨年度決算では15箇所の「地域づくり組織」への一括交付金合計が1億5百万円で、市民センターの指定管理料の88百万円と合わせると1億93百万円が地域で使われておりました。一般会計が約277億円の名張市にとって0.7%が地域に委ねられております。本市でももっと多くの活動が出来るように、権限と予算の移譲を検討すべきと思いますが如何でしょうか。
 次に小項目2点目として地域活動拠点についてお聞きします。本市でも地域自治振興のため公民館を地域交流センターに変更し、地域に委ねること、及び昭和45年の合併から52年も経過していることを考えると支所機能を廃止し、職員は市役所に集積するべきと思いますが、如何でしょうか。
 次に小項目3点目として自治基本条例についてお聞きします。住民自治を明確にするため両市とも「自治基本条例」を定めておりました。地域自治は住民が主体で行政はそれを補完するという「補完の原則」に基づいて伊賀市は行政を営んでおり、住民と向き合う組織も「地域連携部住民自治推進課」という名前でした。名張市や伊賀市の例から、行政と地域、市民は対等の関係であるべきで、本市でもそれを明確にするため自治基本条例を設けるべきだと考えますが、市の見解を伺います。
 
 次に大綱2「長期の財政計画について」中項目1点を質問いたします。
 中項目1点目として「主要事業予定」について質問いたします。今期定例議会に提案された令和3年度決算書は歳入歳出差引額が24億9094万1千円となり、そのうち決算余剰金13億3533万8千円が既に財政調整基金へ積み立てられております。その結果、財政調整基金は今議会の補正予算で計上された9億9695万6千円が繰入される直前では過去最高となる50億1757万8千円となり、資金に余裕が出来ているように見られます。一方で新市庁舎の入居に伴う建築工事、広域ゴミ処理施設など大きな財政出動が伴うものも数多く計画されており、中期財政計画では網羅されていない巨額の歳出を伴う事業についても、改めて確認することで本市の財政状況を把握する必要があると考えます。
 そこで、小項目1点目として広域行政事業についてお聞きします。広域行政に基づく事業は本市だけで簡単に方向転回できないものが多く、病院や水道などの企業団の事案はそれぞれの広域議会で決定されますが、負担金は市の会計から行われますので事前の情報提供が望まれます。君津中央病院は経営健全化のための負担額が増大すると聞きますし、私も含め4人の議員が出向しているかずさ水道広域連合では災害対策の追加や工事費用の高騰など統合基本計画と前提条件が変わり計画の見直しを迫られております。前回の議会で質問した広域廃棄物処理施設も詳細設計が進むことと建築費用の高騰で計画の見直しが推察されます。これらの負担額や計画の見直しについての情報を提供下さい。
 最後に、小項目2点目として本市単独事業についてお聞きいたします。飛行場周辺まちづくり構想で示された新たな文化ホール、本年度から検討が具体化する公設地方卸売市場の整備、第2給食センターとも読みとれる新しい給食施設や金田小中学校の改築、長須賀分署・清川分署・高柳出張所の統合による木更津東分署の設置など、大きな建築事業も具体化に向けて進んでおりますし、旧市民会館の解体や中野野畑沢線及び火葬場周辺道路の整備、草敷潮見線の文化財発掘も近年中に始まると思います。また25日の市庁舎整備特別委員会で明らかになったように新庁舎の賃料も上昇が見込まれますし、中期財政計画には織り込まれていない事業が数多くあります。これらの財源は巨額の財政調整基金をあてにしていると思われますが、こうした単独事業への対応について説明を願います。
 以上で第一質問を終了いたします。
  
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<渡辺市長>
 それでは羅針盤代表近藤忍議員のご質問にご答弁申し上げます。
私からは、まず、大綱1「市長の政治姿勢について」、中項目1「3期目の施策」についてお答えいたします。
 はじめに、「重要な価値観」についてでございますが、現在、日本をはじめ世界はロシアのウクライナへの侵攻や新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、気候変動やグリーンカーボンニュートラル、教育やジェンダーなど、乗り越えなければならない多くの課題に直面しており、国際社会を取り巻く状況は、今後も不透明で厳しい状況が続くものと考えております。また特に日本において注視すべき課題としては、人口減少・高齢化の進行や自然災害の激甚多発化、都市と地方との人口の偏在などがあげられ、経済・自然環境・暮らしにおいて、抜本的な変革期の真っ只中にあると言えます。このような環境の変化は、経済的な成功よりも生きがいや健康に楽しく生きることを優先させる志向の高まりにつながり、国民に広がっているものと認識しております。今、まさに、命と暮らしの豊かさの追及が中心的課題となる時代が到来しており、これからの私たちが目指すのは、安心感や幸福感があふれ、健康で健全、かつ美しい暮らしを享受できる「ウェルネス社会」の実現であると考えております。本市を人と自然が調和した持続可能なまちとして、子どもたちが愛着と誇りをもって、安心して受け継いでいけるよう、変革の歩みを止めることなく、さらに進めることが重要であり、まさにこれからが大切な時期であります。これからの4年間は「次代へつなぐ」をテーマとして、これまで取り組んでまいりました「市民のチャレンジが育まれ、人・もの・文化が循環する自立した地域づくり、オーガニックなまちづくり」を一層推進し、共生と循環で地域が円熟する中で、木更津らしい豊かさを確立してまいりたいと考えております。このような考えのもと、4年間の市政運営に関する柱として「暮らし、豊かに」、「頼れるきさらづ」、「未来ある行政モデル」の3つを掲げ、市政推進に取り組んでいるところでございます。1つ目の柱「暮らし、豊かに」でございますが、これまで6年間進めてきた「オーガニックなまちづくり」を進化させ、市民の皆様や市内の各企業、行政がそれぞれの個性を育て成長し、共生と循環により、成熟する経済を目指すとともに、木更津らしさが豊かさとして実感できる地域づくりを進めてまいります。2つ目の柱「頼れるきさらづ」でございますが、公民連携による木更津力の強靭化と安定化を図り、市民の皆様、それぞれのチャレンジを支援できる、自立した地域となることを目指してまいります。3つ目の柱「未来ある行政モデル」でございますが、市民の皆様に寄り添い、頼られる市役所として存在するために、持続可能な自治体の基盤となる行政モデルの確立を目指してまいります。以上、3つの柱のもと、本市の持つ魅力やポテンシャルを最大限に活かして、次代の木更津を次世代につなぎ、市民の皆様が木更津に愛着と誇りを持って安心して生活できるよう、それぞれの施策に全力で取り組んでまいります。
 次に、「今年度の取組」についてでございますが、今年度から新たに取り組みはじめる事業として、@防災対策の推進では、地区ごとの災害リスクや防災活動状況等を整理する「地区別防災指針」を策定するほか、小規模河川のハザードマップを全戸配布してまいります。A子育て支援の充実では、子育て家庭に有償のサポーター「産前産後らづファミ応援隊」を派遣し、産前産後の家事・育児を支援するほか、産後のメンタル不調を早期に発見し支援するための産婦健康診査を実施してまいります。B高齢者支援の充実では、高齢者見守りサービスにタブレット端末を導入してまいります。C学校給食では、地元産の有機米の提供を継続・促進するとともに、地産地消推進の一翼を担う新しい給食施設の整備を検討してまいります。D社会教育の充実では、耐震性能の不足に加え、老朽化している図書館を改修補強するとともに、新たな施設整備に向けた検討を進めてまいります。E人権擁護の推進では、一人ひとりが尊重され多様性を認め合い、共に支え合う社会の実現を目指し、「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を創設してまいります。F企業誘致の推進では、新たな産業用地を確保するため、デベロッパーと連携した実効性・実現性の高い候補地調査を実施してまいります。G農業の振興では、地元農産物を取り扱う道の駅「木更津うまくたの里」における利用者の利便性や魅力向上につながる施設の拡張を検討してまいります。H勤労者支援の充実では、市民の多様な働き方に対応するため、金田地域交流センター「きさてらす」にコワーキングスペースを整備してまいります。I公園・緑地の充実では、太田山公園の再整備に向け、民間活力の活用を含めた整備手法を検討してまいります。J環境の保全では、地球温暖化対策実行計画を見直し、温室効果ガスの排出削減に取り組んでまいります。K移住・定住の推進では、新婚世帯に対し、新生活に必要な住宅費や引越費用、リフォーム費用の一部を助成してまいります。Lオーガニックなまちづくりの推進では、今年度創設した「連携事業提案制度」を活用して、民間事業者との連携を一層推進し、市民サービスの向上や地域課題の解決に向けて取り組んでまいります。
 続きまして、中項目2、「民間との協力」について、お答えいたします。
 はじめに、「各種民間団体」のうち、観光関係団体の評価と今後についてのお尋ねでございますが、議員ご指摘のとおり、本市では、民主導による観光振興策を推進するため、平成29年12月、一般社団法人木更津市観光協会を母体として「観光地域づくり法人きさらづDMO」が設立されております。以降観光を通じて地域の事業者の稼ぐ力を引き出す舵取り役として、海辺を活かした「シーカヤック体験」や「海越しに夕日が望める絶景キャンプ」をはじめ、「豊かな里山里海でSDGsを楽しむ教育旅行」など、地域資源を活かした観光コンテンツや着地型観光ツアーの造成、観光プロモーション活動など、着実に推進できているものと評価しております。また、一般社団法人まちづくり木更津は、中心市街地のまちづくりの牽引役として、にぎわいの創出やまちの魅力発信をはじめ、中心市街地における都市機能の増進を総合的に推進していくことを目的に、令和元年7月に設立された法人でございまして、「中心市街地の活性化に関する法律」に基づき、市が中心市街地整備推進機構に指定した組織でございます。同法人は、木更津駅における「駅ピアノフェスティバル」の開催や、「階段アート」、「黒板アート」の実施、また自ら実践者となってまちに貢献したいという方々と、エリアマネジメントの推進を目指した「中心市街地のまちづくり意見交換会」の開催など、中心市街地はもとより、本市のにぎわい創出につながる事業を実施しているものと評価しております。次に、今後についてでございますが、本市の観光振興において、「きさらづDMO」が果たす役割は大変重要であると考えております。国のガイドラインにおきましては「DMOの目的・役割は観光で地域が稼げる仕組みづくりや地域を活性化させることであり、DMO自身が収益を上げることではない。そのためDMOの活動に対して自治体による一定の財政支援が必要になる場合が多いが、自治体からの補助金に完全に依存することは望ましくない。」とされております。このため「きさらづDMO」の将来にわたっての安定的かつ持続的な運営に向け、DMOの収入増を図るための仕組みづくりに取り組んでいるところでございます。また「きさらづDMO」と「まちづくり木更津」は設立の趣旨に相違があるものの、木更津の活性化という大きな目的は同じでございます。相互により連携を図ることで、相乗効果を生み出す取組もあると考えております。このため、市といたしましては、引き続き、団体間の円滑な連携が図られるよう、支援してまいります。
 次に、「民間提案制度」についてでございますが「木更津市連携事業提案制度」につきましては、全国的に進行する人口減少・少子高齢化といった人口構造の変化や老朽化する社会インフラへの対応、「新型コロナウイルス感染症」対応の長期化や、昨今の物価高騰対策など、多様化・複雑化する行政需要に対応するため、公民連携の新たな仕組みとして創設したものでございます。本制度は市の相談窓口を一元化し、民間事業者が容易に相談できる環境を整えたうえで、アイデアレベルからの相談を受け付け、民間事業者との十分な対話期間を設けることで、市民サービスの向上や業務の効率化につながる効果的・効率的な提案を募集し、事業化を図る制度でございます。お尋ねの「本制度と公募型プロポーザルの違い」についてでございますが、いずれの制度も、価格のみの競争ではなく、民間事業者が有する専門的な知識や構想力、高度な創造性や技術力を活かした提案を募集する点では同様となりますが、大きく異なる点として2点ございます。1点目は仕様書の有無でございます。連携事業提案制度では、仕様書を定めず、可能な限り民間事業者の自由なアイデアや発想を活かした提案を募集するのに対して、公募型プロポーザルでは、発注者である市が規定した仕様書に基づき提案を募集いたします。2点目は事業の意思決定の時期でございます。連携事業提案制度では事業者から提案書を受理後、選定に移行いたしますが、詳細協議が調った時点で事業化を決定するのに対して、公募型プロポーザルでは、まず事業化を決定したうえで、事業者の選定を行うこととなります。なお、今後の展開につきましては、今年度に制度を創設しましたので、まずは実効性・継続性のある仕組みとなるよう、課題や問題点を検証しつつ、一つ一つ着実に成果を積み重ねていくことが大変重要であると考えております。また、こうした取組を多様な主体との連携のもと、推進することで「オーガニックなまちづくり」の深化とともに、行財政基盤の強化につなげてまいります。
 続きまして、中項目3、「地域との協働」について、お答えいたします。
 はじめに、「地域活動予算」についてでございますが、本市では、地域の防犯、防災対策のほか、高齢者や子どもの見守り等のニーズへの対応など、地域の様々な課題を、地域のことを最も良く知る住民自らが、地域の特性や実情に応じて主体的に解決する「まちづくり協議会」の設立を促進し、地域コミュニティの活性化と地域自治のさらなる発展に向け取り組んでいるところでございます。議員、おっしゃるとおり、地域へより多くの権限と予算を移譲することは、本市まちづくり協議会の目指す方向ではございますが、まちづくり協議会を構成する自治会への加入率低下や、高齢化等による担い手不足などの課題もある中、いかにして、まちづくり協議会の自立につなげていくのか、検討していく必要があると認識しております。引き続き、まちづくり協議会と市、双方が連携・協力しながら、持続可能な地域自治を目指してまいります。
 次に、「地域活動拠点」についてでございますが、本市において公民館は、地域住民に対する学習機会の提供の場であるとともに、地域自治の拠点として、また、地域と行政をつなぐ場としての役割を担っております。本市といたしましては、まちづくり協議会がより自立した組織となるよう、引き続き、取り組んでいく中で、まちづくり協議会の組織力を強化するとともに、公民館や地域交流センター、出張所のあり方等について、改めて整理をしたうえで、まちづくり協議会に施設の運営を担っていただくことも含めた、地域と行政の役割分担を検討したいと考えております。
 次に、「自治基本条例」についてでございますが、他の自治基本条例の例を見ると、おおむねの構成として、市民参加と協働、市民・議会・行政、それぞれの役割、情報公開や住民投票など、まちづくりの基本理念や市政運営の基本原則などを定めているのが一般的でございます。本市では、まちづくりを進めていくうえで、市民と行政が相互の不足を補い、地域の課題を解決していくことが重要であると考えており、これに向けた支援を重点的に行っているところでございます。課題解決に向けた地域力の強化では、「金田地域交流センター」や「木更津市市民活動支援センター」において、市民活動に必要な施設の提供や情報の収集・発信等を行っております。また、市民参加の観点から、各種の行政計画等の策定の際に、意見公募手続の実施、ワークショップの開催、各種審議会への公募市民の参画などを進めております。さらに情報公開の観点からは、独自の情報公開制度を構築し、その運用を行っているところでございます。こうした取組や制度を個々に深化させていくことが重要であり、現時点におきましては、これらを包括する自治基本条例を制定する考えはございません。
 
 続きまして、大綱2、「長期の財政計画について」、中項目1、「主要事業予定」について、お答えいたします。はじめに「広域行政事業」のうち、君津中央病院企業団につきましては「君津中央病院企業団第6次5か年経営計画」の中で、令和3年度から令和7年度までの計画期間における構成4市の負担金として、約86億円が計上されており、そのうち本市の負担を見込む約26億2千万円は、昨年度策定の令和7年度を終期とする「木更津市中期財政計画」の中で補助費等の経費として見込んでおります。かずさ水道広域連合企業団につきましては「君津地域水道事業統合広域化基本計画」及び「第4次施設整備計画」において、令和12年度までに本市の出資金として約11億2千万円が計上されており、うち、中期財政計画においては、約4億円を投資及び出資金の経費として見込んでおります。なお、企業団からは、現在「広域連合ビジョン」の策定を進めており、この中で財政収支計画等の見直しを図ると伺っております。第2期君津地域広域廃棄物処理事業につきましては、契約書に基づく計画において、現状では令和28年度までに約253億5千万円の本市経費負担が見込まれておりますが、令和9年度から発生することとなるため、現時点で中期財政計画には見込んでおりません。また、建築費用高騰等による負担金への具体的な影響は、今のところ示されておりません。こうした広域行政は、効率的で質の高い住民サービスを提供するために、行政区域を越えて各自治体が連携、協力する取組であり、応分の負担を前提に運営されることから、各団体等からの情報把握に努め、諸計画の見直しや新たな計画策定などによって、本市の負担額に変更が生じる場合には、毎年度の中期財政計画を策定する中で、しっかりと反映させてまいります。
 次に、「本市単独事業」についてでございますが、長期にわたり支出が見込まれる事業のうち、現在の中期財政計画において、計画期間内4年間の事業費を反映済みの主な事業を申し上げますと、木更津飛行場周辺まちづくり基本構想に基づく複合施設整備事業、新火葬場周辺市道整備事業、中の島大橋改修事業、パークベイプロジェクト推進に係る富士見通り歩道改良事業、金田小中学校整備事業などがございます。また、先の6月補正予算におきましては、学校施設長寿命化計画に基づく改修事業に着手する経費を計上したほか、公民館長寿命化計画の策定や、太田山公園整備事業の検討、公設地方卸売市場経営戦略の策定など、今後を見据えた新たな事業経費を計上したところであり、策定計画や検討結果の内容によりましては、長期にわたる支出が必要になるものと認識しておりますが、事業が具体化していない現状におきましては、事業費をお示しすることは難しいところでございます。議員からのご質問の中で、様々事業の例示をいただきましたが、現在策定中の次期基本計画において具体化する重点的推進事業や、新たに生じる行政需要への対応に関しまして優先度を見極めつつ、毎年度更新を重ねる将来の収支見通しを踏まえながら中期財政計画に反映させてまいります。なお、財政調整基金残高は、令和3年度決算にかかる剰余金の積み立てにより、一時的に多額となっておりますが、中期財政計画に計上していない将来的な需要に対する取り崩しが必要になることも想定されます。今後も、基金の適切な管理運用に努めるとともに、持続可能な財政基盤の確立に向けて取り組んでまいります。私からは、以上でございます。
 
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 たいへん丁寧な答弁をいただき、ありがとうございました。それでは再質問を行います。大綱1「市長の政治姿勢について」のうち「三期目の政治姿勢」についてお聞きします。今回のマニフェストで市長が重要と考えている価値観や様々な取組について、改めて確認させていただきました。特に今年度の取組の一端として13の分野で開始された事業の内容をご説明いただき、ありがとうございました。ここで再び
配布資料をご覧下さい。マニフェストに記載されていながら、具体的な取組が始まっていないように感じる言葉がありますのでそれについて伺います。
 まず「暮らし豊かに」の「住み良い生活環境の充実」の中で提案されている、「インクルーシブな公共スペース」とは、どの様なものを何処で目指そうとしているのかお示し下さい。
 
 「インクルーシブな公共スペース」についてでございますが、真の共生社会の実現に向けて、高齢者や障害を持った方だけでなく、健常者を含むすべての人が、より使いやすく快適な公共施設・公共空間となることを目指すものであり、今後、計画している公共施設等の整備にこうした視点を取り込み、推進してまいりたいと考えております。

 では次に「頼れるきさらづ」の「地域経済の強化」の中で提案されている、「サーキュラーエコノミーの仕組み」とは、どの様な制度造りを目指そうとしているのかお示し下さい。
 
 「サーキュラーエコノミー」につきましては、大量生産から大量消費、大量廃棄に至る一方通行型の経済活動から循環型経済への転換を図るものであり、これまで市が取り組んでまいりました「資源循環の推進」である、リデュース・リユース・リサイクルといった3Rが、発生する廃棄物の処理方法を前提にしているのに対し、「サーキュラーエコノミー」は、設計段階から廃棄物を出さないように製品やサービスをデザインする点が大きく異なります。加えて、「サーキュラーエコノミー」は、気候変動や生物多様性、廃棄物や汚染といった国際的な課題に対処するための新たな仕組みとして再生可能なエネルギーや原材料を前提に、「廃棄物と汚染を生み出さないこと」、「製品と素材を流通・循環させ続けること」、そして、「自然を再生させること」の3つを基本原則としております。国では昨年3月に、国内企業を含めた幅広い関係者における循環経済へのさらなる理解醸成と取組の促進等を図るため「循環経済パートナーシップ」を官民連携により発足し、循環経済に関する取組事例の収集や発信、情報共有やネットワーク形成等の取組を進めております。本市でも、まずはこうした取組への理解醸成や普及・啓発に取り組むことで、家庭や産業分野でのゴミの削減を図り、資源循環型社会の形成や環境への負荷低減につなげてまいりたいと考えております。
 

 次に同じく「頼れるきさらづ」の「人と自然が調和する環境の保全」の中で提案されている、「デザインコードの作成」とは何かお示し下さい。
 
 人と自然が調和する環境が保全され100年後も住み続けたいと思われるまちの基盤づくりに向けて、市民や関係団体と協働して、将来像を共有しながら、地域それぞれの景観を構成する配置や色、形などのデザインについての約束事である「デザインコード」を作成し、地域に受け継がれてきた本市ならではの自然環境や歴史・文化資源を次代へつないでまいります。はじめの取組といたしまして100年後にも残したい景観を市民から募集し、地域の魅力を再発見・共有するとともに、地域の景観に大きな影響を与える公共施設や公共空間のデザインコードについて市民の皆様と協働して作成してまいりたいと考えております。
 

 最後に「未来ある行政モデル」の「市民に寄り添う行政モデル作り」の中で提案されている、「市民の身近な不都合を回収できる仕組みづくり」とは、どの様な制度を考えなのかお示し下さい。
 
 現在、市民や事業者の皆様からの意見や要望等、様々な声につきましては、公聴部門である市民部市民活動支援課が受け付け、各担当部署において、それぞれ対応しているところでございます。新たな仕組みの具体的な検討はこれからですが、これまで届かなかったような声も受け止められるオープンな仕組みを構築するとともに、寄せられました情報を一元化し、分析することで、より迅速な対応と行政運営への的確な反映を目指したいと考えております。
 
 4点ほど聞かせていただきました。これらのように定義付けされていない言葉を明確にすることで、今後の方向性が明らかになると思い質問させていただきました。他にも今年度から取り組んでいないように感じる言葉もありますが、これに関する質問はここまでといたします。ご説明を伺うと今の時代には必要と思われる価値観も多く有りますが、まだイメージを理解することが難しいものもありますので、今後の具体化の歳には色々と検討していきたいと思います。
 次に、中項目2点目として「民間との協力」についてお聞きします。各種民間団体について、活動が顕著な観光関係団体でご説明をいただきました。観光協会とは別に立ち上げた「きさらづDMO」について収入増を図るため仕組みづくりに取り組んでいるという答弁がありましたが設立以降の自主財源の推移をご説明願います。
 
 きさらづDMOの自主財源の推移でございますが、設立直後となる平成30年度につきましては、自主財源がございませんでしたが、その後、令和元年度は159万円、令和2年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響から45万円となりましたが、令和3年度は295万円まで増収を図っているところでございます。
 

 まだ職員一人分の人件費も稼げていないという状況だと理解いたしました。現在は感染症の影響で事業展開が難しいこととは理解しますが、一層の努力を期待いたします。また、階段アートや駅ピアノフェスティバルなどを主催している「一般社団法人まちづくり木更津」は収入を目的とせず、中心市街地の活性化を目指していると思いますが、この団体の活動の財源について全体額と市の負担額を説明願います。
 
 「一般社団法人まちづくり木更津」の令和3年度の支出決算額は642万9973円であり、その財源内訳は、市からの補助金が642万9946円、利息が27円となっております。
 

 「一般社団法人まちづくり木更津」の活動費は殆ど市の負担であると解りました。「きさらづDMO」と「まちづくり木更津」について、設立の趣旨に相違があるが木更津の活性化という大きな目的は同じという答弁でありしたが、同じ方向を目指している団体が多く立ち上がり、別々に活動しているように感じられるため、今回の質問をしております。地域の活動は「まちづくり協議会」が包括していくことを理想としながら、全体の活動では団体や組織が増えているように感じております。現在は様々な団体が多方面から取り組むことで活性化していると感じることもありますが、それが合理的なのか判断が付きません。そこで参考にお聞きしますが、渡辺市長が当選された平成26年度以降に誕生した行政の補助金を受けている民間団体は、どの様なものがあるのかご説明下さい。
 
 平成26年度以降に公民連携の取組により設置され、本市が補助金を支出している民間団体でございますが、企画部が所管いたします団体といたしまして、@本市独自の地域ブランドの確立を目指す「木更津市オーガニックシティプロジェクト推進協議会」、A中心市街地のまちづくりのけん引役として、都市機能の増進を推進する「一般社団法人まちづくりきさらづ」、B中心市街地のまちづくりを担う団体による合意形成の場である「木更津市中心市街地活性化協議会」、の3団体でございます。
 また、経済部が所管いたします団体といたしまして、C有機米の生産に向けた取組を推進する「木更津市有機農業推進協議会」、Dアクアコインの普及を推進する「アクアコイン普及推進協議会」、E大型外航クルーズ船の誘致などで地域活性化を図る「みなとまち木更津プロジェクト推進協議会」、F一般社団法人化し、地域の観光事業を担う「一般社団法人木更津市観光協会」、の4団体でございます。以上、先ほどの企画部署間の3団体と合わせますと合計で7団体でございます。
 

 企画部と経済部で市長の施策を進めるために多くの団体が立ち上がったことが解りました。活発な活動に繋がるためには民間団体に任せた方が良いものも多いとは思いますが、そこでの意志決定が見えにくいものもあり、必要に応じて議会に状況報告をお願いいたします。
 次に民間提案制度について確認します。民間提案制度と公募型プロポーザルの違いについては、民間のアイデアを元に事業化を図るものと、事業化を決めた後に民間事業者を募るものという違いであると理解しました。行政で気がつかない課題と解決を民間から提案を受けるというのは新しい手法であり、今後どの様に進んでいくのか注視していきたいと思いますし、事業化されるような提案が成された場合には速やかに議会へと報告されますようお願いいたします。
 さて市が提案を受け入れて事業を進めようとした際に、民間が動きを止めてしまうリスクについて確認をさせていただきます。具体的な事例として冨岡小学校跡地を活用してグランピング施設を運営するという提案があり、今年の夏休みに開設される予定だと伺っておりましたが、実態はだいぶ遅れているようです。冨岡小学校の状況については聞きませんが連携事業提案制度では事業が進まない場合、どの様に対応するのかご説明ください。
 
 「連携事業提案制度」では、提案が採用された場合、提案した事業者と事業化に向けた細部の調整・協議を目的とする協定を締結することとしております。この協定では、協議の期間や調査・検討にかかるコスト負担のあり方、また協定を解除する場合の要件などを定めることとしております。議員ご指摘のとおり、他の市町村では、協議に多くの時間を有している事例も散見されますが、本市では協定締結後、原則として3カ月を詳細協議の期間と定め、本期間内に協議が調うよう努めて参ります。また、事業着手後は、協定に基づき、進捗状況を確認しながら、事業者と必要な調整を行ってまいります。ただし協議期間を過ぎても協議が調わない場合には、継続協議とすべきである旨の双方の合意がない場合には、協議不調として事業化を断念することとなります。
 

 了解しました。では次に、提案の手法についても確認します。新たな財政負担が生じないという条件を付けると提案が限定的になり、例えば民間の賃料で行政の投資が回収できる場合や、行政の補助が入ることでプロジェクトが成立し、雇用拡大や税収の増加といったリターンが補助額以上に大きくなることが見込める場合には、先行投資を検討し、お互いにwin-winの関係を目指すべきと思います。その様な観点でも提案を受けるのか伺います。
 
 右肩上がりの経済成長を見通すことが困難な状況の中、民間事業者にとりましては地方創生に取り組むとともに、全ての行政サービスを対象に、新たなビジネスチャンスの創出を図ることになります。また、市にとりましては、市民サービスの向上や業務の効率化を図る、双方にとって有益となる仕組みであることから、「連携事業提案制度」では、公募要領において「原則、新たな財政負担を生じさせない提案であること」を条件としております。しかしながら、議員ご指摘のとおり、基本計画等に位置付けのない新たな財政負担が必要になる提案であっても、負担以上に直接的・間接的な効果が見込める事業であると判断される場合は、提案を受け付けることとしております。
 

 効果が見込める提案には財政負担も検討するという答弁は歓迎いたします。ただし、提案が進まず協議不調による事業化の断念を念頭におき、支払方法等については慎重に検討下さい。
 次に、中項目3点目として「地域との協動」についてお聞きします。地域活動予算について確認します。まちづくり協議会への権限と予算の移譲は市の目指す方向のようですが、先進都市では既に防犯灯の設置や防災対策などを実施しており、自主的に出来ることが増えることで住民の活動意欲が高くなっているように感じました。このことを考えると予算の拡大が先に有るべきだと思いますが、現在の額で充分な活動が出来るとお考えでしょうか。
 
 本市が各まちづくり協議会に対して、防災、防犯をはじめ健康・福祉の増進、青少年の健全育成等、地域が自主的に実施する事業に活用いただくために交付している「地域自治振興補助金」に関して、本年度アンケート調査を実施したところ、13地区中11地区から、現在の補助金額が「適当」であるという回答をいただいているところでございます。ただし、防犯灯設置事業補助金や資源ごみ回収推進助成金など、現在の地域自治振興補助金とは別の枠組で、地域のニーズに対する支援を行っているものもございますので、今後これらを統合することなども含めまして、まちづくり協議会の予算、権限の拡大について、検討してまいりたいと考えております。
 

 木更津市のまちづくり協議会の多くが現在の補助金額で適当だと回答しているようですが、そのように回答する理由は、自由に使える用途が少ないことによるのではないかな、と私は思います。先進地では地域のお祭りなどにもあてて、住民の関係構築を進めていました。楽しい活動にも用途を広げられるよう、今後の検討に期待いたします。名張市は地域づくり組織への権限と予算の移譲にあたり、それぞれに地域ビジョンを作成し目標を明確にするとともに、地域間でアイデア競争を促しておりました。作成には市の管理職にある職員が各地区に入り、協力したと聞いています。その様な取組を経て方針が明確になることで、地域でもその場限りの予算消化だけでなく、先を見据えた投資が可能となります。木更津市でも検討すべきと思いますが、如何でしょうか。
 
 現在のまちづくり協議会は、地域の諸問題を地域の住民や各種団体が連携し、自主的に解決することを目指しているところでございます。議員おっしゃるとおり、各地域がビジョンを作成し目標を明確化にすることなどにより、自立した地域運営、地域づくりにつなげていくことは重要であると考えており、地区担当職員制度の活用、充実をはじめ、各まちづくり協議会の情報交換の場の提供など、市として可能な支援を行い、組織力の強化、自立に向け取り組みたいと考えております。
 

 地域住民に過度の負担をかけることは私も望んではおりませんが、自分たちで地域の課題に向き合うことを通じて地域住民の連携が育まれることを期待いたします。
 次に地域活動拠点について確認します。視察した両市では教育委員会で社会教育を検討し、主催することを続けていましたが、必ずしも社会教育法に規定する公民館の存在は必要ないとのことでした。本市は公民館活動の充実が注目された歴史もあり、今まで大切にしてきた事は承知していますが、地域活動の拠点とするため、教育施設の枠組みを外し、地域が有償で営む活動も多く行えるようにするべきと思います。そこで教育部に確認しますが、例えば地域の農産品を販売することや、地域の方々が気楽に集まれるカフェを有料で営むことは、公民館の枠組みでも可能でしょうか。
 
 議員が例としてあげられた、公民館での地域の農産品の販売やカフェの運営は、どちらも可能であると認識しております。公民館は社会教育法にもとづき設置されており、社会教育法の規定では、公民館がその目的を忘れて、もっぱら営利のみを追求することや、特定の営利事業に対して特に便宜を図り当該事業に利益を与えることを禁止するもので、公民館が営利事業に関わることを全面的に禁止するものではないと認識しております。なお本市の公民館での実際の運用につきましては、公民館の目的に照らして慎重に判断しているところでございます。
 

 公民館の枠組みで有る程度の活動は認められることが解りました。名張市ではレストランを営業している地域があるとも聞きましたが、それは慎重な判断で許可できないことだと思います。では市民部としては公民館であることで不便を感じたこと、また地域交流センターとなった金田だから出来たことなどは有るでしょうか。
 
 公民館では、学習機会の提供のみならず、まちづくり協議会の活動支援、地域住民の居場所づくりなど、地域と行政をつなぐ場としての役割が十分担われているものと認識しており、地域交流センターも同様の機能を有するところでございます。なお、地域交流センターだからできていることにつきましては、公民館では行うことのできなかった、もっぱら営利を目的とした活動も可能となることから、市民交流や地域コミュニティの活性化につながる事業がより幅広く実施できているものと認識しております。
 

 公民館でも有る程度の活動は可能なようですが、地域をより活性化する事業を行うためには地域交流センターとした方が良いようですので、今後についてご検討下さい。公民館が出張所として、住民票や印鑑証明を発行することが出来るように成っておりますが、コンビニ交付が可能になっているので、この廃止も可能と思われます。支所機能が無くなることで全てを地域だけで運営することが可能になると思います。現に、平成の大合併を遂げた伊賀市でも、現在は旧役場を支所として使用しておりますが、将来的には全てを地域に委ねていくと行く考えで、先ず39個所の「住民自治協議会」のうち8個所で今年度から指定管理を始めておりました。支所機能についてはどの様にお考えでしょうか。
 
 現在、出張所・連絡所において、17種類の証明書を交付しており、多くの市民の皆様にご利用いただておりますが、コンビニ交付が可能な住民票等5種類の証明書の取扱いが大半を占めているところでございます。今後、マイナンバーカードの普及が進み、コンビニ交付が増加することで、出張所・連絡所における取扱件数の減少が予想されますので、出張所・連絡所の統合、廃止や機能縮小等について検討していくこととしております。
 

 職員の定数を管理するなかで市の事務量が増加しております。人手不足が各課に見られます。公民館や出張所等の職員を本庁に集めることで、より良い住民サービスが可能になると思いますので、機能縮小にむけた検討を行うということを期待いたします。
 次に自治基本条例ですが、現時点では、制定する考えは無いという回答でした。私も条例が無くても個別施策が機能している現状では支障が生じていないことは理解しております。しかしながら、将来的に市長が交代するとき、新しい市長の判断だけで、市と住民の関係が大きく変化するようでは、地域で長期的な問題に取り組むことは難しい、と云う点を危惧して、自治体の憲法とも云うべき自治基本条例を制定した方が良いのでは、と思い質問しています。因みに千葉県内で自治基本条例が制定されている自治体はどの程度有るでしょうか。
 
 千葉県内で、自治基本条例を定めている自治体は、流山市、茂原市、浦安市の3市でございます。流山市では「流山市自治基本条例」を平成21年4月1日から、茂原市では「茂原市まちづくり条例」を平成28年4月1日から、浦安市では「浦安市まちづくり基本条例」を令和4年4月1日から、それぞれ施行しております。
 

 県内でも3市が制定済みということです。繰り返しますが現状では必要ないとしても、今後も行政と地域の安定的した関係が継続されることを目的に、研究を要望いたします。
 大綱2「長期の財政計画について」は未定の項目が多く細部についての質問は行いませんが、答弁を聞く限り、現在の財政調整期金を取り崩して全ての事業を行うことは難しそうですし木更津市も遠くない未来には人口減少に入ることやインフラの老朽化が進むことを考えると、現時点で財政調整基金が積み上がったとしても、一層の行政改革を進めねばならないようです。そこで確認させていただきますが、今後も多くの事業費が予想される中、臨時財政対策債は枠の満額まで発行し余剰が生じた場合は財政調整基金としてストックするという方針に変わりはないのか、ご説明下さい。
 
 臨時財政対策債は、普通交付税の代替財源であり、元利償還金の全額が後年度の基準財政需要額に算入されていることからも、市民サービスに必要な費用の財源であるという従前からの考え方に変わりはございません。引き続き、発行可能額の借り入れを原則としつつ、歳入と歳出のバランスを考慮しながら、活用してまいりたいと考えております。
 

 臨時財政対策債の考え方については了解いたしました。長期的には多くの事業で財政需要が見込まれることから、今後も一時的に財政調整基金が多額になっても、財政に余裕が出来たと考えることなく、引き続き財政規律の維持を宜しくお願いいたします。
 今回は市長の政治姿勢として、今後の取組や民間及び地域との関わりを確認させていただき、今後に予定されている主な事業についての情報提供を求めました。木更津市の人口は増加を続けており、コストコホールセールジャパン株式会社の移転など、明るい話題が聞こえてはきますが、高齢化の進展や老朽化したインフラの更新といった多くの課題が立ちはだかります。議会としても市民の求める行政施策の実行と、それを支える行政の健全経営のために行財政運営を注視することを肝に銘じ、会派羅針盤としての代表質問を全て終了いたします。