債権一元化・江川運動場の総括について (令和5年12月定例議会)
 議場の皆様こんにちは。会派羅針盤の近藤です。通告に従い大綱2点について質問いたします。
 最初に大綱1「債権管理の一元化について」質問いたします。このことについては9月定例会で開催された決算審査特別委員会でも質問いたしましたが、我が会派の3人の新人議員が『何を質問しているのだかよく解らない』と言われておりましたので、それを解りやすくして課題を整理するため、改めて一般質問でも取り上げさせていただきます。
 最初に中項目1点目として「現在の債権処理」について質問いたします。令和4年決算における木更津市の市税収納率は現年と滞納繰越を合わせ95.5%で県平均の97.4%に1.9ポイントの差をつけられ県下37市中の23位、同じく国保税は73.3%で県平均より4.3ポイント低く26位であったことが決算審査資料に示されております。この値は決して満足のいくものではありませんが平成27年度決算では市税が88.2%、国保税が54.9%で県下最低レベルであったことを考えると、大きく改善が進んできたことは評価されます。これは平成25年に収税対策室を設置し、平成27年度から副市長を本部長とする対策体制が機能してきたものと思います。一方で配布資料1に示すように、使用料や手数料の未収金は依然として多く、歳入確保と負担の公平性の観点から取り組みが求められております。
 そこで、小項目1点目として収税対策室の評価についてお聞きいたします。私が議員となった平成19年頃には市税も含め未収金が年々増加している状況であり、債権の回収を学びたく平成22年5月に船橋市役所を訪れ債権一元化を視察して参りました。それを受け平成22年6月と平成25年6月議会で債権一元化に対する質問を行いましたが、執行部はまず、市税と国保税という収税の一元化から始めたいというので経過を見守ることにしました。収税対策室が置かれて10年が経過しましたが、現在の評価についてご報告願います。
 次に、小項目2点目として各課での回収状況についてお聞きいたします。債権の回収業務が一元化されていないことによる事務量の概要を知りたいと思いますので、令和4年度における市税・国保税を除く主な債権における世帯別での滞納額の最も大きな金額、滞納繰越対象世帯数、督促件数・臨戸訪問回数・裁判等の法的対応件数をご報告願います。
 次に、中項目2点目として「一元化の諸課題」について質問いたします。債権の所管が個別の課に分かれている場合、複数の負債を抱える債権者の元に多くの職員が重複して訪問するといった無駄が生じるだけでなく、債権者も入れ代わり立ち代わりで訪れる市職員への対応に不満やストレスを感じているように聞こえております。また債権の中には法律で規定され税金と同様に差し押さえが可能な保育料や介護保険料といった強制徴収権公債権と、法律に規定がないため支払い督促や裁判等で回収せねばならない放課後児童育成料やし尿処理手数料といった非強制徴収公債権があり、市と個人の合意の元に発生する霊園使用料や学校給食費といった徴収権のない私債権も存在するなど複雑にわたっています。法務に長けた職員が潤沢に存在しない現状では専門家に集約すべきだと思います。要するに、一元化により行政事務も効率的になると想定されるのです。
 そこで最初に、小項目1点目として一元化による課題についてお聞きいたします。先ほどの質問でも触れましたが、収税対策室が置かれて10年が経過しながら、多くの市が取り組み始めた債権一元化に至らなかったことは何らかの課題があるものと推察します。決算審査では使用料や手数料の会計システムが統一されていないため、同じ名前の債権者が同一の人物であるかを判断する「名寄せ」のシステムが高額になり、基幹系システムの移行の際に対応することを検討している旨の答弁がありました。他にも組織体制や人員等、多くの解決すべき事象が推察されます。債権一元化による課題について、執行部はどの様に把握しているのか、ご説明下さい。
 次に小項目2点目としてシステムの再構築についてお聞きいたします。先ほど申しましたが基幹系システムが国の指導でクラウドに移行することに併せて債権を一元化できるシステム構築を図ることを目指しているようです。基幹系システムは全国一律になると聞きますが、債権一元化のシステムを上乗せすることに問題はないのでしょうか。また、問題がないのであれば債権の問題は全国的な課題だと思いますので「名寄せ」のシステムを含め、必要なソフトを国において取り揃えていただくよう要望しては如何でしょうか。私は戸籍などの基本的な情報と債権の情報が結びつくことに伴う個人情報保護の観点等で制度や法令の改正なども必要になると推察します。システムの再構築にあたり市だけでは対応が難しいような問題は想定されないのか見解を伺います。
 
 次に大綱2「江川運動場の総括について」質問いたします。本年8月20日の江川サッカー場のオープニングをもって江川運動場の拡張事業は基本的に終了となりました。切りの良いところでありますので、事業の総括を行いたく質問させていただきます。
 最初に、中項目1点目として「拡張事業の総括」について質問いたします。旧江川総合運動場は木更津飛行場による航空法の制限と航空機の離着陸に伴う騒音対策で従来の江川や久津間の住民が生活していた敷地や水田など約33[ha]を防衛省が購入した土地の、その1割に当たる3.3[ha]の公園として昭和55年から57年にかけて整備が行われました。それ以外の29.7[ha]については国により毎年の草刈り等の維持管理が行われてきましたが、毎年2千万円を超える維持管理費の削減と、基地周辺の民生安定を目的に当時使用していない範囲において野球場やサッカー場、更には芝生広場や駐車場やトイレなど、防衛省が整備して木更津市に移管する構想が示されたのは平成18年頃だと聞いております。その頃の木更津市はアドバンスプランの元で歳出削減に邁進していたころで維持管理費を伴う施設の移管には当初難色を示していたと記憶していますが、その後は議会の基地対策特別委員会が牽引する形で事業が進んできました。委員会では平成20年に鹿児島県鹿屋基地周辺を、平成22年には神奈川県厚木基地周辺の整備状況を視察し安全面や運営面で問題がないことを確認し、木更津市単独では整備できない内容なので積極的に取り組むことといたしました。平成21年には防衛省が財務省に予算要求するための資料を作成するなど順調に話が進むと思われていたところ、民主党への政権交代によって話が変わり、市の負担額が急激に増加することや施設規模が縮小されるなどの変更があったものの関係者の粘り強い取り組みで約15年の歳月をかけて完成いたしました。この様に感謝して当然の施設に対し、危険だダメだと蔑視的に表現する方もおられますが、表現の自由は保障しますが、その気持ちは私には理解できません。この様な経緯で完成を迎えた江川運動に対し何点か確認させていただきます。
 最初に、小項目1点目として基地周辺への配置についてお聞きいたします。基地周辺への配置について特段の問題が無いのか確認すべく、特別委員会では鹿屋と厚木を視察してきましたが、他にも自衛隊基地の周辺で公園や運動施設として利用されている場所はどの程度存在しているのか伺います。
 次に小項目2点目として単独事業の可能性についてお聞きいたします。江川運動場の拡張事業は市が防衛省の交付金等の補助を受けて事業を進めてきた以外に防衛省も直接工事として基盤整備などを行っております。その額は配布資料2に示すように9億58百万円であり補助金や交付金と併せると21億24百万円に達します。発注ベースでは市が64.8%となりますが、負担ベースでは防衛省が78.1%を占めるように市の財政には極めて有利な条件で整備が行われてまいりました。仮に飛行場の隣接地以外で市が単独事業として運動場の整備を進める場合、用地取得も別途必要ですが用地が確保されても27億2千万円となる事業費の工面は難しいことは容易に想像できます。確認のため質問させていただきますが、防衛補助を使用せず市の単独事業として運動場を整備する場合、国や県からの補助メニューはどの程度期待できるものなのかご説明下さい。
 最後に小項目3点目として周辺国有地の活用についてお聞きいたします。運動場周辺の国有地はかつて江川や久津間の住民が住んでいた土地であり、ベトナム戦争に出撃する米軍戦闘機等の騒音などの被害を解決すべく、移転に応じた土地で有ります。今回の運動場建設を受けて、昔住んでいた土地が立派に活用されたと喜んでいる住民が大多数であります。その一方で市が都市公園として告示した土地の面積は配布資料3に示すように、旧江川との合計でも20.13haに過ぎず、江川周辺国有地の33haに対し13haが残っていると思われます。久津間地区では飛行場周辺まちづくり基本計画で防災を兼ねた築山やグランピング施設に利用する構想が上がっていますが、それ以外の場所は活用する計画なのか、ご説明下さい。
 次に、中項目2点目として「今後の維持管理」について質問いたします。運動場の拡張事業は終了しましたが、今後は平成18年頃に心配していた維持管理が始まります。日常管理は指定管理に任せていますが長期的には大規模改修が必要になる時も訪れ大きな事業費が必要になる局面も予想されます。また今回の事業終了後にテニスコートとの間に駐車場整備が行われましたが、それ以外にも施設の見直しが求められる点が幾つか有ります。その様な観点で幾つか確認させていただきます。
 最初に小項目1点目として関係諸団体の協力についてお聞きいたします。先ほど説明いたしましたが維持管理費を削減するため日常の管理については市の野球連盟やサッカー協会がお手伝いするという約束の元で事業が始められたように記憶しております。その後の関係団体との協力体制についてご説明下さい。
 次に小項目2点目として維持管理費の展望についてお聞きいたします。国際規格を備えた陸上競技場、フルカラーの掲示板を備えた野球場、人工芝のサッカー場と素晴らしい施設が揃いましたが、今後の長期的な維持管理費についての展望はどの様になっているのかご報告願います。
 最後に小項目3点目として施設の改修再整備についてお聞きいたします。サッカー場の開設を持って拡張事業は終了したという位置付けになっており、今12月議会に上程された補正予算でも2546万円が減額となりましたが、平成25年度に拡張工事が成された第二野球場南側の砕石敷き駐車場の舗装工事、両翼の長さが極端に違う第二野球場の再整備、少年野球に使うには狭い多目的広場の拡張、正面の駐車場が満車であったときに他の駐車場に移動する導線の整備など、利便性向上のために取り組むべきと思われる点は残っております。今後の改修再整備についての見解を伺います。
 以上で第一質問を終了いたします。
 
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<渡辺市長>
 近藤 忍 議員のご質問に ご答弁申し上げます。
 私からは、大綱1「債権管理の一元化について」、中項目1「現在の債権処理」についてお答えいたします。
 はじめに「収税対策室の評価」でございますが、議員ご承知のとおり、今から約10年前、平成25年4月から、徴収率向上の対策としまして、財務部納税課から収税対策室への組織改正とともに職員の増員を行ったところでございます。またこれに合わせて債権管理一元化に関する新たな試みとして市税の他に介護保険料、保育園保育料、後期高齢者保険料の3債権を収税対策室で取り組むこととしたところでございます。この一元化に関する取組は、その後、下水道事業受益者負担金及び空家の行政代執行に要した費用を加えて現在は5債権となっております。また平成27年度には、徴収率の更なる向上に向け全庁的な体制として副市長を本部長とし、市税と国民健康保険を担当する財務部 及び市民部の2部1室7課体制による「木更津市市税等徴収対策本部」を設置し、毎年度「徴収対策実施計画」を策定し、進行管理を行いながら計画において定める「目標徴収率」の達成に向け、全庁連携して徴収対策に取組んでいるところでございます。国民健康保険税を除く市税の令和4年度の徴収率は95.5%で10年前の平成24年度からは約11ポイントの増、国民健康保険税の徴収率は、同年度比で約19ポイントの増となっております。しかしながら、県内の平均や近隣3市と比べますとまだ低く、引き続き徴収対策の強化が必要ではございますが、一定程度の成果を上げているものと評価しているところでございます。
 次に「各課での回収状況」でございますが市税 及び国民健康保険税を除く 令和4年度の主な債権の滞納繰越の状況につきましては、資料1のとおりでございます。一例を申しあげますと滞納繰越対象世帯数で多いのが介護保険料で912件、小中学校給食費で580件、世帯別滞納額の最大値といたしましては下水道接続負担金で145万5700円、市営住宅使用料で140万200円でございます。
 続きまして、中項目2「一元化の諸課題」についてお答えいたします。
はじめに「一元化による課題」でございますが、債権管理一元化につきましては「木更津市公金収納業務の一元化に関する要綱」に基づき、先程申し上げました5つの債権において、公金所管課で収納が困難と認められる公金を対象に収税対策室において取り扱っております。しかしながら最近では、市税を多く滞納している者は他の公金にも多くの滞納が見られる傾向にあり、徹底した財産調査を行っても市税納付優先の原則で対応しなければならない事案や市税を既に分割納付している財産のほかに、換価に適した財産が見つからないという事案が多くなってきている状況でございます。また、私債権を加えた債権の一元化となりますとそれぞれの債権において、調査権限や処分権限などが異なることや基幹系システムの統合改修経費、限られた人材において異なる事務手続きに対応するための人員配置など課題は多岐に渡ります。今後におきましては、課題を整理するまでの間、引き続き所管課において臨戸徴収等に取り組み、徴収率向上を目指してまいります。
 次に、「システムの再構築」でございますが、まず、議員おっしゃる債権一元化システムの上乗せについてでございますが、国によるシステム仕様の標準化等に伴いまして、次期システムでは債権一元化機能は、標準的な機能として設けられる見込みと現行事業者から伺っております。このため、既存システムに対する本市独自の機能の上乗せを行うことはないものと認識しております。また、名寄せに係るシステムにつきましては、相当する機能である「庁内データ連携機能」として既に搭載されております。その他の必要とするソフトなどにつきましては、今後示される国の標準仕様の内容を注視し、必要に応じて要望を行ってまいります。次に再構築にあたる問題についてでございますが、個人情報保護に関する法令は国において法改正等の対応済みと認識しております。しかしながら、基幹系システムとその他システムとの収滞納情報の連携については、互換性のあるインターフェースを構築する必要があることや、個人情報や機密データを保護し、サイバーセキュリティ対策を強化する必要があるなどの、課題があるものと認識しているところでございます。
 私からは以上でございます。その他につきましては、関係部長から答弁いたします。
 
<鶴岡健康こども部長>
 私からは、大綱2「江川運動場の総括について」、中項目1「拡張事業の総括」についてお答えいたします。
 はじめに「基地周辺への配置」について、自衛隊基地の周辺で公園や運動施設として利用されている場所は、どの程度存在しているのかとのお尋ねでございますが、防衛省が公表している「令和5年度民生安定助成事業(一般助成)実施計画」によりますと、関連自治体に対し、新規事業66件、継続事業105件、金額にして、312億7900万円が助成されているところでございます。そのうち、公園の整備に対する補助につきましては、厚木飛行場がある綾瀬市、三沢飛行場がある三沢市、岐阜飛行場がある各務原市などの9施設が対象とされております。 また、屋外運動場の整備につきましては、木更津飛行場がある本市のほか、小松飛行場がある小松市、美保飛行場がある松江市などの6施設が対象とされております。 さらに、体育館の整備につきましては、入間飛行場がある入間市、都城訓練場がある都城市、普天間飛行場がある宜野湾市などの5施設が対象とされております。この「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」第8条に規定する助成を受け整備した施設においては、継続して助成を受けている自治体が多いことからも、安全対策等信頼関係が十分に保たれているものと推察するところでございます。市といたしましては、本法律の目的にもありますように、本助成を受けることにより、関係住民の生活の安定 及び 福祉の向上が図られているものと考えております。
 次に、「独自事業の可能性」について、国や県からの補助メニューはどの程度期待できるものなのか、とのお尋ねでございますが、議員おっしゃるとおり、平成22年度の土質等調査業務をはじめ平成24年度の空域制限等の調査検討業務、平成27年度から令和元年度まで4期にわたる運動施設整備工事等の各種事業を防衛省により直接施工いただいたほか、市が行ってきた江川総合運動場拡張整備事業におきまして補助金や交付金の助成を受けたところでございます。スポーツ施設整備における補助制度には、防衛省以外にも文部科学省や国土交通省などのほか、県や独立行政法人などの補助制度がございますが、補助率が1/2、あるいは1/3であるのに対し、防衛省民生安定施設の助成において、屋外運動場は2/3の補助率が示されていることから、防衛省の補助制度は、他の補助制度と比較し、より有利なものと考えております。
 続きまして、中項目2「今後の維持管理」について、お答えいたします。
 はじめに、「関係諸団体の協力」についてでございますが、野球場及びサッカー場におきましては、現在、それぞれの競技団体により、グランド整備をはじめ、簡易な草刈り、整備用具等備品の管理等にご協力をいただいているところでございます。引き続き、維持管理費の削減に向けて、積極的なご協力をお願いしてまいりたいと考えております。
 次に、「維持管理費の展望」について、今後の長期的な維持管理費についての展望はどの様になっているのかとのお尋ねでございますが、毎年の指定管理料に含まれる維持管理費のほか、主なもので申し上げますと、今後、陸上競技場の3種公認更新に要する費用、サッカー場の人工芝張替え費用等を要することとなります。今後、施設の老朽化に伴い、必然的に維持管理費も増えてくることが想定されるところでございますので、ネーミングライツ料収入のほか、施設の利用を促し、使用料収入の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、「施設の改修再整備」についてのお尋ねでございますが、議員ご指摘の箇所をはじめ、江川総合運動場全域の中において、利用者や競技団体からは、いくつかのご要望をいただいているところでございます。そのような中、今年度、体育施設の長寿命化計画を策定中でございますので、その結果を踏まえ、各体育施設の利用に際し、より利便性を高めることを念頭に置きながら、必要に応じた整備を検討してまいりたいと考えております。私からは 以上でございます。
 
<石井企画部長>
 私からは、大綱2、中項目1について、お答えいたします。「周辺国有地の活用」についてでございますが、現在のところ木更津飛行場周辺まちづくり基本計画に位置づけております防災機能を備えた公園や多目的広場 以外に、施設整備を目的とした国有地の利活用につきましては具体的な計画はございません。過去に国へ誘致を働きかけた経緯がある基幹的広域防災拠点の整備やまちづくりを進めていくうえで今後、用地の確保が必要となった場合には国有地の利活用について検討するとともに、必要に応じて国と協議してまいりたいと考えております。私からは、以上でございます。
 
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 答弁ありがとうございました。再質問に移ります。
 収税対策室の評価について伺います。市税の徴収率が10年前と比べると約11ポイント増、国民健康保険税も約19ポイント増と結果が出ている所は私も認めます。今後も数値は上がり続けるものと想像し期待しております。しかしながら千葉県内では市川市と流山市は市税徴収率が滞納繰越分を加えても99.0%に達しておりますし隣の袖ケ浦市は98.6%で県下4位と健闘しております。この様に本市と差が生じる原因はどの様にお考えでしょうか。
 
 県内上位市と比較いたしますと、現年課税分の徴収率が約0.5ポイント程度下回っていること、また、全体の調定額に占める滞納繰越額の割合が、上位市の4倍以上となっていることが本市の徴収率と県内順位の結果に表れていると考えております。これらの数値から、引き続き滞納繰越額の縮減に取り組むとともに、滞納繰越額縮減にも繋がる現年課税分に対する取組みを強化しているところでございます。
 
 滞納繰越にまで進まないよう現年での徴収を進めるということで理解いたしました。本市が上位市の4倍以上となっている滞納について、その回収の見込みがあるようであれば将来の収入の源泉と成りますが、見込みのない物は積極的に不納欠損処理を進めるということは重要ではないかと思います。少し古い話ですが、7年前に総務常任委員会で視察いたしました新潟県糸魚川市はコンビニ交付の手数料が高いので導入せず、基本的に臨戸訪問も行わず、それでいて当時の本市より10.5ポイントも高い98.7%という徴収率を達成しておりました。収税が市民課の業務で滞納者の転出情報を即時入手できることも素晴らしいと感じましたが、職員が自殺対策の研修にも参加し、滞納者の良き相談相手になり、生活保護等への筋道も着けるなど取り立てるだけの組織でもないことを心がけていることや、時効を伸ばす少額納付は認めないこと、費目別課税でなく合算課税として毎月の額を一定額にしていることなどで当時でも参考になる取り組みが多く、何より暗くなりがちな滞納処理業務に数値目標を掲げ明るく取り組んでいる姿に関心致しました。この様に今までの仕事のやり方を見直すことも重要だと思いますが、アドバイザーや研修等で新たに取り組んでいることは何かあるでしょうか。
 
 これまで、納付方法の拡大をはじめ、休日納税相談窓口の開設や預貯金調査システム、口座振替申込システムなどの導入により、納税者の利便性の向上、手続きの効率化・迅速化を図ってまいりました。また、国税のOBを徴収指導員として配置し、個別事案の相談、職場内研修実施するとともに、千葉県税務課への派遣研修などの外部研修も活用して徴収事務の能力向上に努めたほか、生活困窮者や子育て世帯で市税の納付が困難な場合には、関係部署との連携を図るなど納税者に寄り添った幅の広い対応を行っております。これまでの様々な取組みの成果が出てきているところではございますが、更に高い目標を設定し、引き続き、徴収対策の強化に取り組んでまいります。
 

 様々な取組を経て収税対策室の能力向上が図られてきたことを評価いたします。では次に総務部にお聞きします。各課でも公金の徴収を行う部署は多くありますが、職員の全体に対し徴収業務の心得や対処方法、さらには債権回収の裁判方法などの研修は行っているでしょうか。
 
 研修でございますが、職員全体に対する徴収業務などの研修は実施しておりませんが、市営住宅使用料など私債権の徴収に際し、裁判所への支払督促の申立て手続きなど、個別の事案について、担当課の相談に対応することはございます。
 

 職員全体への研修は実施しておらず、相談に対応することがあるという回答でした。私も滞納処理業務は市職員全体が必要とするスキルではないと思いますし、例えば建築技師や土木技師が居るように一定程度の専門家集団が存在すればよいのではと思っております。私債権である市営住宅使用料の滞納繰越額が毎年減少し、昨年度は現年度分の徴収率が100%となるなど、頑張っている課が現に存在することも事実ですが、滞納処分のエキスパートを集めた専門家集団に滞納された債権を集積するべきだと考えております。各課での回収状況で報告いただいたように、多くの債権が各課に残っており1万4881件の督促や320件もの戸別訪問を7つの課で実施しております。戸別滞納額も最大で百万円を超えるものも見られます。これを差し押さえるため徹底した財産調査を行っても、市税に滞納があった場合にはそちらの納付を優先せねばならないなら財産調査も当然、一元化が望まれてまいります。そこで確認しますが、現在はいずれかの課が行った財産調査の結果は庁内関係課での共有が可能な状況にありますか。
 
 各課において、それぞれ所管の債権に対する財産調査を行っており、本人の了承なく情報を共有することは目的外使用となることから、現状では困難な状況であると認識をしております。
 
 本市の個人情報保護の考え方からするとその様な結果になると思ってはおりました。つまり複数の課が同一人物の財産調査を行うような事務の無駄が発生している可能性が現状ではありうると理解します。債権を一元化することでそれが解決されるものと思われます。
 一元化による課題に移ります。答弁では限られた人材が異なる事務手続きに対応するための人員配置といった課題も挙げられておりました。そこで確認しますが、滞納繰越となった債権を一元化する場合、必要職員数はどの様に考えておられるでしょうか。
 
 他の自治体の組織図及び配置人数を参考に考察いたしますと、私債権(民事債権)回収係を設置することで、5人程度の職員の配置は必要であると認識をしております。
 

 一つの係りが増える程度だと組織の規模は概ね理解しました。複雑になる事務の解決策として、例えば愛知県豊田市では令和元年から債権一元化を行ったうえで、強制徴収が可能な債権は市職員が対応し、徴収権の無い債権は弁護士に回収を依頼するなど、官民連携の取り組みを進めて、行政組織をスリムにしようとしている事例もあります。全てを職員が行うのではなく、弁護士への委託も検討できると思いますが見解を伺います。
 
 自治体によっては、債権回収を弁護士や代行業者に委託をしている事例は承知をしております。弁護士に依頼する場合、弁護士が債権回収に必要な手続きの代行ができるため、対応に係る手間や時間を大きく削減することができます。その一方で手数料や法的サービスの費用がかかり、その額が債権額に見合うかどうか、費用対効果を検証する必要があると認識をしております。
 

 確かに委託することで経費は増えるだろうと思いますが、先程の答弁で百万円を超える債権が有ることも解りましたので、額が大きい場合には有効な手段だと考えます。私は住民の生活を支える立場にある、例えば福祉部局等が一方で財産調査等を行って取り立てをする様なこと、それは難しいのではと思うのです。市役所の中で優しさの部署と厳しさの部署が別個に存在し市民からは公平な業務を行っていると思われることが重要だと考えるのです。その厳しい部署、現在は収税対策室としておりますが、それを例えば新たに債権処理課を設け『今年度中に支払わないと債権処理課に回りますよ』とした場合は納税意識が高くなるのでは、などと考えます。いずれにしろ多岐に渡る課題を整理するまでは現状どおりと考えているようですが、将来的な展望について改めてお伺いいたします。
 
 自治体の債権は、経済状況が悪化すれば徴収が困難になるなど、様々な社会状況の変化に大きく影響されます。このため、これらの変化を幅広く速やかに捉え、より効果的・効率的な歳入確保策及び債権管理にかかるコスト削減の視点をもった債権管理の手法に転換する必要があることは認識をしております。債権管理一元化を組織対応している他の自治体においては「複数債権滞納者の納付相談を1か所で行えるようになった」「全庁で統一した対応が可能となった」との効果が挙げられているなど、業務改善としての効果も聞いております。将来的な展望としては、先程の市長答弁にございましたとおり、様々な課題を整理するとともに、新たな組織化の検討も含め、滞納案件の縮減に向け取組んでまいりたいと考えております。
 

 言われる通り重要なのは滞納案件の縮減です。今後の検討について期待いたします。
 システムの再構築について、次期システムでは債権一元化機能、正式には「統合収滞納機能」が標準的な機能として設けられる見込みという答弁でした。新たにコストをかけずに対応可能という状況を考えると、それを待って組織造りも考えるということも理解できます。新しいシステムの細部が不明なようですので、これについての再質問は控えますが、地方自治体が要望することで少しでも便利になる可能性があるなら、完成を座して待つのではなく、答弁にありましたように積極的に要望活動を実施していただきますようお願いします。駅前の市庁舎を自前で建設する方針が示され、今後収入の確保が一層求められるようになります。公平な負担のため債権管理の一元化が進む事を願いながら大綱2の再質問に移ります。
 
 基地周辺への配置について今年度の防衛省の実施計画だけで公園整備が9施設、屋外運動場整備が6施設、体育館整備が5施設計上されているという答弁がありました。全てが空港隣接地とは限りませんが、全国的にはよく見られる公園整備事業であり、木更津市における江川総合運動場だけが特別であったわけではないことは理解できました。全国的に公園内での事故等の報道も耳にすることがない中で危険だと騒ぐ必要は感じませんが、昨日の屋久島沖でのオスプレイ墜落事故など航空機事故は少なからず発生しており、安全確保に万全を尽くすよう議会も要望を続けてきましたが、市も防衛省との情報交換を密にされることをお願いいたします。
 次に単独事業の可能性について確認いたします。防衛省以外の補助メニューは補助率が低い事を答弁されておりましたが、事業採択の可能性についてはどの様に考えておられるでしょうか。
 
 議員ご紹介の経緯の通り、江川総合運動場拡張整備につきましては基地対策特別委員会が牽引する形で検討を進めてきた過程で「市単独では整備できない内容なので防衛省の協力を得て積極的に進めていくべき」との見解が示されたところでございます。防衛省以外の補助メニューで有れば本市の事業が採択されるかどうは他自治体事業との競合となる中で、防衛施設のある本市では防衛省による直接施工のほか、補助金、交付金が受けられるなど有利であり、防衛省の協力なくしては、本事業のような大規模整備は出来なかったと考えるところでございます。
 

 そもそも運動場に使用できる広大な市有地が無いことを考えますと防衛省の協力を得ながら江川で進めること以外に選択肢は無かったことは明かです。逆に今回の運動施設がない場合、本市の住民要望の多くを満たすことが出来ず、また東京オリンピックで外国選手団がキャンプを張る状況を得られなかったと考えますと、江川総合運動場拡張整備事業は必要だったと思いますが、執行部としての見解は如何でしょうか。
 
 市民のスポーツ環境を整えることが出来た他にも、東京オリンピックでの外国選手団によるキャンプ地としての利用のほか、全国高校サッカー選手権千葉県予選や千葉県少年野球大会の決勝戦などで利用されているなど、拡張整備前にはない規模の大会での利用まで広がっていることからも、多くの成果が得られているものと考えております。
 

 では次に江川総合運動場が整備されたことに伴う経済効果も発生しつつある様に伺いますが、具体的な事例が有れば報告願います。
 
 具体的な事例といたしましては、県外の高校サッカーチームなどの合宿利用に伴い、市内の民間宿泊施設が利用されるなど、一定の経済効果が得られているものと認識しております。
 

 県外のチームによる合宿利用等で稼働率が高まることは決して悪いことではありませんが、市民が利用したいときに先客がいて使えないのでは困りますし、利用者の大多数が市外の住民という利用状況の場合には適切な使用料を徴収すべきだと考えます。その点については如何でしょうか。
 
 市外の利用者に対しましては、木更津市営施設の整備及び管理に係る条例におきまして、規定使用料にその5割を加算すると規定しているところでございます。今後、利用実績や施設使用料の収入状況を見ながら、全庁的な使用料の見直しの時期に合わせて、必要に応じた改正を検討してまいりたいと考えております。
 

 観光振興の観点では市外の利用が増えることは喜ばしい事なのでしょうけども、スポーツを通じ市民の健康を延ばすという観点からは、まず市民が利用できる環境の確保をお願いします。
 周辺国有地の活用については木更津飛行場周辺まちづくり基本計画以外に、施設整備を目的とした国有地の利活用の具体的な計画は無いという回答でした。当該箇所は周辺の住民が全て移住させられた結果、大声を上げて走り回っても周辺に迷惑をかけないと言うメリットが有ります。施設整備を伴わなくても周辺に柵を設けるだけで、例えば飼い主と走り回れるドッグランなどの利用は可能だと思いますし、その他の利用形態で使用することを考えるものもいるのではと推察されます。周辺住民にとっては管理された土地に変わることで不法投棄等の可能性が下がると期待されます。良い提案があった場合は市が防衛省との橋渡しを担うことは可能なのかお聞きいたします、
 
 木更津飛行場周辺における防衛省所管の国有地につきましては、防衛省として、土地の有効活用を図る観点から、土地の行政目的を妨げない範囲で、一定条件のもと、個人・企業等への使用許可を行うとのことでございますので、そのようなご提案があった場合には、防衛省の国有財産使用許可に関する相談先のご案内や必要に応じて防衛省へ情報提供を行うなど、市が橋渡しを担うことは可能でございます。
 

 了解しました。雑草が繁茂する土地から人々が集う場に変わることで娯楽の多様性が広がり雇用や税収などにも貢献できる可能性があるので有れば積極的に検討していただきたいと思います。
 続きまして維持管理費の展望についてお聞きいたします、今後、陸上競技場の3種公認更新に要する費用やサッカー場の人工芝張替え費用等が通常の維持管理以外に必要だと回答でしたが、その規模について確認します。陸上競技場を設計する際に舗装は通常で有れば10年で打ち替えることが望ましいと聞いたことがありますが、それは10年おきに数億円が必要になるということを意味いたします。施設を丁寧に使うことで老朽化を防ぎ歳出を抑えるものと思いますが、メーカーの提案する維持管理だと今後はどの程度の額が定期的に必要になると示されているのかご報告願います。
 
 今後発生するメンテナンス費用として、一般的には、陸上競技場につきましては施行より10年後にトラックの全面的な張替え改修などに約2億円、サッカー場につきましては10年後に人口芝の張替えに約1億2千万円が必要であると伺っております。
 

 合計すると10年間で3億2千万円と成りますから平準化のためには例えば基金を設け毎年3千万円を積み立てるような対応が必要になるようにも思います。しかし維持管理について防衛省の補助か、単独事業の可能性で提案されたような「スポーツ施設整備における補助制度」の活用が可能な場合には単年度での予算化も可能だと思われます。このような財源についてはどの様に考えているか伺います。
 
 先程お答えしました令和5年度民生安定事業の一般事業助成計画におきまして、改修工事にも助成されている事業がございますことから、防衛省の補助も利用可能ではないかと考えております。
 

 了解しました。それでは最後に施設の改修再整備についてお聞きします。体育施設の長寿命化計画の中で整備を検討したいということでした。中にはまとまった資金が必要な事案もあるかと思いますが、必要に応じては再々拡張事業とするべく防衛省協議が必要となるのか、ご説明願います。
 
 改修再整備、再々整備等に係る費用につきましても、必要に応じて防衛省と協議するなど、今後も財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
 

 了解いたしました。これから駅前庁舎を自前で建設し、吾妻にはホールや図書館などの複合施設が計画される中、江川総合運動場への予算を確保することが難しい状況にあることは理解いたしますが、江川総合運動場が更に使いやすい施設となり、多くの市民の健康増進に寄与され、そして市民の健康寿命が延びることを祈念いたしまして、今回の私の質問を全て終了させていただきます。