飛行場周辺まちづくりについて (令和7年3月定例議会)
 議場の皆様こんにちは。本定例会最後の質問を務めさしていただきます会派羅針盤の近藤でございます。今定例会では先ほどの堀切議員の大綱2と同じ「飛行場周辺まちづくりについて」私は1点に絞り、構想を進めていく上での課題を整理し、市民のためになることを求め、構想に示される4つの場所をそれぞれ中項目に設定して質問を行なわさせていただきます。
 先ずは、中項目1点目として「吾妻公園」について質問いたします。吾妻の文化芸術施設については先の12月定例会で基本設計の検討状況が報告されました。富士山や夕日を眺める素晴らしい視野を備え、一方では中央のホールを航空機などの騒音から遮蔽するために図書館機能や会議室を周辺に配置する建築物として設計が進んでいることが解りました。設計が素晴らしいがゆえに概算事業費が収まるのか、私が心配して質問を通告した後に先月16日に規模を縮小した案で住民説明会が行われたようです。事業費以外にも他の視点で必要だと思う点を加え小項目3点を質問いたします。
 小項目1として「概算事業費」についてお聞きします。配布資料1に示すように令和5年2月に示された基本計画では107億44百万円と示されていましたが、令和6年3月に示された実施計画では105億17百万円に減少しております。特に文化芸術施設に限れば、その建築費は88億32百万円から79億34百万円まで8億98百万円も減少しました。12月に示された基本設計案では事業費に収まらずに変更設計作業が行われているものと思いますが、基本設計の精度が上がり概算事業費はどうなったのか伺います。
 次に小項目2として「周辺の整備」についてお聞きします。複数会場でのイベントを回遊することやホールで大規模な集客があった場合に吾妻公園の駐車場不足の対応として内港北公園や内港公園との連携を検討するべきであると考えますし、内港北公園からの出入りを容易にするため県道から吾妻公園南側に配置された道路の拡張も必要と考えます。それぞれ配布資料2に示す場所での対応となりますが、執行部の見解を伺います。
 最後に小項目3として「防衛補助金」についてお聞きします。吾妻公園の整備では防衛省の「まちづくり支援事業」を活用して75%という高い補助率で計画を進めておりますが、設計を進めた結果、事業費が高騰しても75%の補助を得ることは可能なのか、また小項目2で述べた周辺整備事業まで補助の活用は可能なのか伺います。
 中項目2「江川総合運動場周辺」について質問いたします。江川運動公園に近接した久津間地区で津波避難所の機能を備えた築山の計画が進むことは津波や高潮による被災者を減らすために何年も要望してきた私にとっては有難い話であります。しかし具体的な着工時期は示されておらず、実施計画で示された事業費は防災機能を備えた公園と2か所の多目的広場の合計で、先ほど堀切議員が言われました通り18億円350万円と示され、市負担の大きさから反対するものが現れ、防災機能も無視されて着手が見送られることを懸念しておりましたが、先ほど企画部長から「安全・安心なまちづくりを進めるために進めさせていただく」という答弁が有り安心しております。他にも今後の事業展開に重要な要素も含み小項目3点を質問いたします。
 小項目1として「概算事業費」についてお聞きします。多目的広場2か所を除く防災機能を備えた公園のみの概算事業費は配布資料3に示すように13億4450万円です。このうち地盤改良工事と築山として7億24百万円を計上していますが実際の工事では中野畑沢線桜井工区の本体工事に伴う土を流用することになるのでこの様な費用は生じないと推察されます。過大な計上だと思いますが如何でしょうか。
 次に小項目2「民間事業者」についてお聞きします。実施計画では整備する施設のうち宿泊施設や物販・飲食施設は先ほどの答弁の通り、民間事業者が建設に出資して自ら運営することを前提としております。コロナの終結により人々の行動形態が変わるなかで、グランピングやキャンプの人気が前ほど過熱しない状況で今の計画に興味を示し参加する意欲のある事業者は確実にいるのでしょうか。また災害時の入浴支援なども検討しているようですが、民間事業の部分について公的資金の支援は本当に必要ないのか伺います。
 最後に小項目3「周辺の整備」についてお聞きします。江川運動場と今回の施設をつなぐ市道2023号線の拡幅は本計画の中で計画されていますが、平成28年9月議会で提案したように江川海岸や小櫃川堤防を活用した小櫃川遊歩道を整備しランニングコースとして設定して整備することで富津岬のようなランニング合宿も期待でき施設の利活用が増えると感じます。具体的な図面は配布資料3に示す通りで、当時の答弁では「実現性について県と市で研究し、その結果を踏まえ市内部で方向性を調整したうえで県に働きかける。」とされておりましたが、その後の協議状況を報告願います。
 中項目3「木更津駅周辺」について質問いたします。本年1月12日に中央公民館多目的ホールで実施された住民説明会では江川運動場周辺地区より木更津地区や旧庁舎に関する意見が多く聞こえました。意外に市民に情報が行き渡っていないのかと感じますが2月16日の吾妻公園に関する説明会でも特定の方が質問をされていたかのようです。市民全般の意見を確認するとともに富士見通りの課題も含め小項目2点を質問いたします。
 小項目1「市民の意見」についてお聞きします。住民説明会以外にも年末から年始にかけて実施計画(他3地区)としてパブコメが行われました。それらを含め市民からはどの様な声が寄せられ市はどの様に考えているのか伺います。
 小項目2「富士見通り」についてお聞きします。富士見通りについても多くの意見が聞かれます。景観形成重点地区に指定され、歩道の整備水準も高めて街の顔にしたいという意思が示されております。特に舗装についてはカラー舗装を前提として計画が進められています。私は沿道に現在は駐車場が多く、老朽化した建物も目立つ中で、整備水準が上がることにより沿道利用が進むと新設した歩道舗装を掘削し埋設管等の工事が続きカラー舗装がガタガタになるのではと危惧しています。そこで通常のアスファルト舗装とカラー舗装の単位面積当たりの差額と富士見通り全体の事業費での差額をお示し下さい。
 最後に中項目4「旧庁舎跡地」について質問いたします。旧庁舎跡地には市民会館中規模ホールを移転するという計画が示された経緯が過去にあり、それが吾妻に変更に成って、現在は地方公設卸売市場の移転を前提にしているということが、市民に共有されてはいないようです。現状を確認するため小項目3点をお聞きします。
 最初に小項目1「住民の理解」についてお聞きします。本年1月12日の住民説明会では市場の移転の話を聞いてないという意見が多数出されましたが、現在の構想について住民説明の状況はどの様に考えているのか伺います。
 次に小項目2「広域事業化」についてお聞きします。市場の移転に伴う事業費については近隣市に負担を求めたところ、現在のところ応じていないと聞きます。配布資料4に示すように例えば青果では市内の生産者からの仕入金額より袖ケ浦市の金額が多くなります。売上では木更津市の消費額が多くなるものの青果で41.7%、水産で38.2%と過半数を占めている状況でもなく、基本的には広域で事業化を進めるべきだと考えます。そこで全国的には広域運用の事例はないのか伺います。また現状では本市単独事業なので、木更津市が単独で整備を行うしかないと考えているのか、併せて伺います。
 最後に小項目3「民間の意向」についてお聞きします。市場の運営については民間事業者の導入を検討して意向調査を行ったと記憶しておりますがその後はどの様な状況にあるのかご報告願います。
 以上で第一質問を終了いたします。
 
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<渡辺市長>
 それでは近藤忍議員のご質問に、ご答弁申し上げます。
私からは、大綱1「飛行場周辺まちづくりについて」、中項目1「吾妻公園」についてお答えいたします。
 はじめに「概算事業費」についてでございますが、吾妻公園文化芸術施設の基本設計業務を受託している事業者からは建築コストは引き続き上昇傾向にあり、直近の1年間で約13%上昇していると伺っております。このため、昨年度、実施計画で定めた総事業費である105億17百万円を超過しないよう、現在は、文化芸術施設の延床面積の縮減や各種仕様の見直し等を行いながら、本年度末までの基本設計の取りまとめに向けて、検討を進めているところでございます。
 次に「周辺の整備」についてでございますが、吾妻公園に近接しております県所管の内港公園や内港北公園につきましては、複数の公園を活用した大規模なイベントの開催や臨時駐車場としての活用等を想定しておりますことから、連携を図る必要があると考えております。この中で、アクセス性の向上につきましては、課題として認識しているところでございます。吾妻公園南側の道路につきましては、文化芸術施設の供用による大幅な交通量の増加を見込んでいないことから、現時点では、拡幅を予定しておりませんが、引き続き、内港公園等を含め港湾施設を所管しております県と、意見交換を行ってまいります。
 次に「防衛補助金」についてでございますが、防衛省からは、昨年度、実施計画で定めた総事業費105億17百万円の範囲内において、補助事業を予定していると伺っております。このため、先ほどご答弁申し上げましたとおり、現在、事業費が超過しないよう基本設計の内容について、検討を重ねているところでございます。また、吾妻公園周辺の道路整備に対する補助金の活用に関しましては、防衛省から、今回の補助事業の対象範囲は吾妻公園内であり、対象外である旨、伺っているところでございます。
 続きまして、中項目2「江川総合運動場周辺」についてお答えいたします。
 はじめに「概算事業費」でございますが、江川総合運動場周辺の築山の整備に当たりましては、ご指摘のとおり中野畑沢線桜井工区の本体工事に伴い発生する土の活用を予定しているところでございます。一方で、築山を含めた江川総合運動場周辺の整備につきましては、令和9年度を始期とする次期基本計画を策定する中で、具体的なスケジュールを定めていく必要がございますことから、今年度策定する木更津飛行場周辺まちづくり実施計画・他3地区におきましては、事業に着手した後の年次計画のみを定める予定としております。このため現時点では中野畑沢線桜井工区の本体工事に伴い発生する土の活用による経費の削減効果を見込まず、整備そのものに必要な総事業費を明記しているものでございます。
 次に、「民間事業者」についてで ございますが、木更津飛行場周辺まちづくり実施計画・他3地区の取りまとめに当たりましては民間活力を活用した施設の整備に向け、ヒアリングを実施したところでございます。この中では、江川総合運動場と連携した取組や既存の森林空間を活用した整備など参画に関心を寄せる事業者が複数ございました。一方では、水道や電気など各種インフラの整備等が課題であるとのご意見もございましたことから、今後の事業の具体化に当たりましては、より詳細に民間事業者と協議を進めてまいります。
 次に「周辺の整備」についてでございますが、平成28年9月定例会で議員からご提案をいただきました、小櫃川南岸の土手に小櫃堰公園までのランニングコースを整備する実現性につきましては、護岸整備を伴う道路整備が必要でございますので県との連携が不可欠であり、改めて県に確認したところ「現状において新たな整備をする計画はない」とのことでございます。議員から提案のございました小櫃川護岸を整備し、ランニングコースを造ることは難しいところでございます。なお、木更津飛行場周辺まちづくり実施計画・他3地区におきましては、回遊のイメージとして、江川総合運動場周辺におけるジョギングやランニングコースの設定について、例示しておりますことから、今後の事業の進捗に合わせ、検討を進めてまいります。
 続きまして、中項目3「木更津駅周辺」についてお答えいたします。
 はじめに「市民の意見」についてでございますが、昨年12月19日から30日間実施した意見公募に対しましては3名の方から合計11件のご意見をいただいております。内訳といたしましては約9割が江川総合運動場周辺地区に関するご意見でございました。具体的には、築山等へのトイレの設置に関するご意見や整備後の維持管理費、利用料金に関するご質問などをいただいております。また木更津駅周辺に関しましては、駅前新庁舎の整備場所等についてご意見がございました。今後でございますが、意見公募でいただいたご意見等を勘案しながら、今年度末までに、木更津飛行場周辺まちづくり実施計画・他3地区を策定し「新たなにぎわいの場・安心安全の創造」に向けて、着実に取り組んでまいります。
 次に、「富士見通り」についてでございますが、通常のアスファルト舗装とカラー舗装の単位面積あたりの金額につきましては、アスファルト舗装が約1,900円、カラー舗装が約10,200円でございます。その差額はカラー舗装がアスファルト舗装より約8,300円高く、富士見通り全体では、約4,178万円高くなっております。なお参考に申し上げますと、歩道再整備における経済比較では現在整備されているインターロッキング舗装とカラー舗装を比較検討したところでございます。単位面積あたりの金額につきましては、インターロッキング舗装は約12,000円であり、その差額はインターロッキング舗装がカラー舗装より約1,800円高くなっております。カラー舗装の利点といたしましては価格面だけでなく、長期にわたり容易に復旧が可能である点でございます。沿道利用が進み、歩道の再掘削が必要となった場合でも、段差なく補修ができ、再塗装においても色の調整が可能な吹き付け工法で同一デザインの型枠を用いることで容易に復旧することが可能となります。また長期に維持管理するにあたっても、インターロッキングではタイルの廃番などでデザインや色が変わってしまう懸念がございますが、カラー舗装ではそのような心配もなく景観を保った維持管理が可能となります。
 続きまして、中項目4「旧庁舎跡地」について、お答えいたします。
 はじめに「住民の理解」について、旧庁舎跡地への市場移転計画に係る住民説明の状況についてのお尋ねでございますが、市場の移転につきましては、昨年3月に策定いたしました「木更津市公設地方卸売市場経営戦略」の再整備に係る検討を行う中で、アクセス性や賑わい施設の立地、将来的な財政負担を考慮した結果、再整備候補地として「旧庁舎跡地が適している」と整理をしたところでございます。「経営戦略」策定に際しましては、市場関係者、関連団体等を構成員とする「木更津市公設地方卸売市場経営戦略策定に伴う検討会議」における検討を重ね、素案を意見公募に付すとともに、策定後は市ホームページ等で公表しております。この「経営戦略」は将来にわたって安定的に市場経営を継続していくために目指すべき市場の姿と方向性として、市場の運営や財政収支計画を定めた中長期的な運営の基本計画であることから、今後、再整備に係る計画の熟度を高めていく過程における適切な時期に地元住民をはじめ関係者の皆様に対し、分かりやすく丁寧に説明してまいります。
 次に「広域事業化」について、広域で事業化を進めるべきだと考えるが、全国的には広域運用の事例はないのか、とのお尋ねでございますが、一例といたしまして茨城県にある「公設鹿島地方卸売市場」は鹿嶋市、神栖市の2市で共同処理事業を推進するために特別地方公共団体として設立された鹿島地方事務組合が事業運営を行っております。木更津市単独で再整備を行うしかないと考えているのか、につきましては、議員ご指摘のとおり市内の生産者の利用は少なく、買受人は広域にわたることから、様々な機会を捉え、近隣3市に対し相応の負担をお願いしているところでございますので、市場再整備に向けて、引き続き、働きかけてまいります。
 次に「民間の意向」について、市場の運営については民間事業者の導入を検討していたが、その後はどのような状況にあるのか、とのお尋ねでございますが、「経営戦略」の「再整備基本計画」の中で官民連携の可能性について「有利な財政支援策の活用」「安定的な市場運営」「運営者の目線を反映した施設設計」の3つの指標に基づき、整理・分析した結果に加え、農水産品の安定した流通・供給のためには、公益的役割が大きいとの判断から、市が公設卸売市場としての役割を継続して担っていく方針としたところでございます。
 私からは以上でございます。
 
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 それでは再質問を始めます。最初に「吾妻公園」について伺います。「概算事業費」は建設費が上昇しているので延床面積の削減や仕様の変更をする考えだと理解しました。
配布資料1の増減欄に添付している12月定例会で説明を受けた建物の形態が基本設計の過程で見直しされ、先月14日に議員に送信され、16日に住民説明会で説明された形態に成ったことも解ります。参考に見直しに伴い延べ床面積はどの様に変更されましたか。
 
 文化芸術施設の延床面積につきましては直近の建設コストの上昇等を踏まえ、昨年度の実施計画では約8,300uとしていたところ、現在、検討を進めております基本設計案では約7,400uとして調整を図っているところでございます。
 
 延床面積が約11%も減らしていると理解します。今回の基本設計の後に実施設計を行い、発注に至るまでもう少し時間が掛かります。その期間の物価上昇まで考慮して面積を減らしていると理解してよいのでしょうか。
 
 現在、検討を進めております基本設計案につきましては、建設工事の発注までの間の一定の物価上昇を見据えた上で、調整を図っているところでございます。
 

 大幅な面積減少に成った理由が解りました。個人的には12月議会で説明された設計を高く評価しておりますので、あまり機能を低下させるような変更は如何なものかと思います。防衛省の補助金の上限が示されているなら、市の単費を増やすことで当初に想定している事業を進めることはできないのでしょうか。
 
 防衛省からは、今般のまちづくり支援事業では、総事業費105億17百万円の範囲内の事業に対し補助を予定していると伺っております。このため市単独費を増加させることにより、整備費の増額を図ることは困難な状況でございます。
 

 状況は理解しました。今回提示された基本設計については明日の総務常任委員会協議会にて説明が行われますので市民会館・中央公民館・図書館などの機能別に面積がどう推移し対策はどう考えているかとか、事業費が限られている中で建築と公園の整備費のバランスなどについては大変気になるところでございますが委員会協議会の場で確認させていただくこととし、この小項目での質疑はここまでとして次の小項目への質問に移ります。
 「周辺の整備」について、県所管の内港公園・内港北公園と吾妻公園とのアクセス性向上は課題と認識しているとのことで安堵いたします。道路の拡幅は予定していないという答弁でしたが当該部分の車道幅員は6m有り、公園側に50cm程セットバックすれば内港北公園に向かう道路の車道部分の幅員と同じとなり、センターラインを引くことが出来ます。公園の面積を減らすと建築できる建物の面積も減ることに成り様々な影響もあるでしょうから、歩道部分は公園の園路として整備することで地目変更をしなくとも同規模の道路としての機能を果たすことが出来ますが、こうした検討はされたのでしょうか。
 
 議員ご指摘のとおり、公園の園路として整備することで道路幅員を拡幅することは可能でございます。今後、公園部分の実施設計を進める中で、様々な可能性含め、詳細に検討してまいりたいと考えております。
 
 道路と公園を一体的に設計することで良好な空間が創出できると考えますので実施設計に期待いたします。次に自由民主クラブの代表質問で齋藤議員が指摘しておりましたように吾妻公園の文化芸術施設の運用で、駐車場不足の問題を解決するために内港北公園の活用は必要になると思います。県港湾事務所等との意見交換を進め早期の整備をお願いします。ここで防潮堤の管理者は県ですが県が事業化を進めない場合、市が主体となって連絡道路の整備を行うことは可能なのでしょうか。
 
 ご指摘のとおり港湾施設は県が所管しておりますことから、市が主体となって整備することは困難な状況でございます。
 

 連絡道路を整備しない場合、漁業者が現在設置している簡易な、建設の足場板で使用していたような階段を使用することで事故の発生が懸念されております。県に要望し吾妻公園の整備に併せた速やかな対策をお願いいたします。両公園を考えると特に内港公園と呼ばれる出島の利活用の方が多く、そこと吾妻をつなぐ導線が重要となります。それが確保出来れば花火大会の後のように狭い出入り口に集中するリスクも低下します。この場合は新宿水門の活用がカギになるので港湾を所管する経済部に伺いますが、新宿水門を管理するのは県なので、県に水門の一部の改造を働きかけることは可能でしょうか。
 
 水門の管理者である県からは「高潮や水害等の災害が発生した際に、門を閉じて内水域への流水や水位上昇を制御する堤防として整備されたものであるため、事業化につきましては難しい」と伺っております。
 

 事業化は難しいということであります。現在、県は木更津港長期構想の取りまとめ作業に入っており、間もなくその策定がなされるものと思いますが、当然そこには記載されていない状況になるものと思います。そのような中で、県が水門橋の更新を進めない場合、市が主体となって多くの方が通行することを前提とした橋梁の整備事業を行うことは可能なのでしょうか。
 
 県からは「水門は、港湾施設ではなく海岸施設のため、長期構想の取りまとめには影響を受けない」ということと「水門に付随する橋梁は、水門の管理用の通行路であるため、関係者以外の多数の人が通行することは、管理上好ましくない」と、伺っております。また現在は県が管理していることから市が事業化することは困難な状態でございます。
 

 言われるように維持管理を考えれば好ましくないということは理解できますが周辺環境の整備という目的で複合的な目的を持つ施設にするよう県には強く働きかけていただきたいと要望いたします。出島と吾妻をつなぐルートを設定する場合、防潮堤の内外を行き来するルートと成ります。津波や高潮の注意報が出た場合には通行を禁止すればよいのですが、水門や防潮堤に設けられたゲートなどの開閉は、現在どの様に行われているのでしょうか。
 
 県からは、「ゲートの開閉などの操作については委託業者に依頼し、年に3回定期点検を行っており、緊急時には県職員又は県から委託された事業者が門の操作を行っている」と、伺っているところでございます。
 

 もう一点、更新の時期が近いという観点で確認させていただきます。新宿水門の銘板には、千葉県開発庁の名で昭和46年3月竣工と記載されています。それから54年が経過しております。水門の階段を歩くと錆びが目につきますが、劣化の状況をどの様に把握されているか伺います。
 
 県からは、「毎年定期点検を実施して水門などの劣化状況を把握している。また日常のパトロールを実施しており、管理用通路等の破損状況の把握に努め、必要に応じ施設の補修を行う」と、伺っているところでございます。
 

 通常の点検補修を行っているとのことでございますが、老朽化している施設でありますので、その更新の際には委託された業者による管理に支障ない範囲で出島から階段のない斜路で吾妻とつなぐ橋梁への変更を県に要望するべきと考えます。なお、橋の長さは概ね60m程度になると私の推察ですが予想されております。仮に幅員3mの橋梁を施工する場合、概算でどの程度の費用が必要になると思われますか。
 
 現場条件等により工事費等の単価は増減するものでございますが、昨年7月に一般社団法人日本橋梁建設協会が発行している「鋼道路橋の工事費実績」から、橋梁上部工の概算工事費を算定いたしますと、1uあたりの工事費は、25万円から35万円程度となり、議員が想定されている橋梁ですと、概算額は45百万円から63百万円程度になるもの思われます。
 

 その橋梁の金額に取り付け部分の整備、また基礎の改修などを含みますと1億円程度の規模の事業に成ると理解しました。そこで「防衛補助金」について確認します。先ほど事業費の上限は105億17百万円で、周辺の整備には「まちづくり支援事業」が使えないということは解りました。
 ところで基本計画では設計等に「公共施設等適正管理推進事業債の活用を想定」、工事のうち公園広場以外で「まちづくり支援事業(補助率75%)や公共施設等適正管理推進事業債の活用を想定」、公園広場で「環境整備法8条補助事業(補助率60%)や9条交付金の活用を想定」と細かく設定されていましたが、実施計画では全てが「防衛省の補助事業や地方債の活用を想定」と変わっております。実施計画に示す105億17百万円のうち実質で何パーセントの補助になると想定しているのでしょうか。
 
 現在、設計内容の検討と合わせ、事業費の精査を行っておりますことから、現時点では事業全体の補助率をお示しすることは困難でございますが、木更津飛行場周辺まちづくり基本計画で見込んでおります補助金の内容や補助率に変更はございません。
 

 港湾施設の整備には「まちづくり支援事業」は活用できないと先ほどの答弁で解りましたが、それ以外の防衛補助メニューを活用して、先ほど言いました連絡道路の整備や水門の改修などのようなことはできないものなのでしょうか。
 
 防衛省からは、まちづくり支援事業以外の補助金につきましても、市が所管する施設が対象である旨、伺っているところでございます。
 

 としますと、県の立場では防衛補助が得られない中で周辺整備を進めることに成ります。これは県の理解を得ることの重要性が益々高くなっていることだと解りました。議会も必要ならば協力いたしますので、先ずは市長及び執行部の取り組みを期待したいと思います。
 中項目2「江川総合運動場周辺」の再質問に移り「概算事業費」について伺います。築山整備にあたりましては、中野畑沢線桜井工区の土の活用を予定はしているものの次期基本計画への位置づけを踏まえていないのでスケジュールが示せないということと受け止めます。実際にはこのような土の購入を前提とした事業費は必要なく、更に毎年少しづつ土を盛りたて、地盤の圧密沈下を待つことで地盤改良費が必要なくなると思います。これはゆっくりやるということで「緩速施工」と言いますが、それを採用することで事業費は削減できると考えますが如何でしょうか。
 
 議員ご指摘のとおり、地盤の状況等によって、施工方法や事業費に変動があるものと認識しております。このため、今後の事業スケジュールの決定に合わせまして、より一層の事業費削減に向け、検討を行ってまいります。
 

 同じ構造物を造る場合でも時間を味方につけることで工事費を削減できる方法があります。目的を果たすための最適な方法を関係部署と調整していただきますようお願いします。
 「民間事業者」について、参画に関心がある事業者が複数あったが各種インフラの整備等が課題との意見もあり民間事業者と協議を進める必要があるとのことです。これは逆に事業費を押し上げる要素になりかねませんので、工事費の削減を一層検討進めるようお願いします。民間事業者の参画意欲を高めるためには利用者を増やすための周辺整備も重要と思います。
 そこで「周辺の整備」についてですが、現在富津岬で多くの大学の陸上部が合宿をしているようにランナーの走路を整備すれば陸上長距離の利用が見込まれるうえに、木更津市民にとっても江川陸上競技場発着となる市民新春マラソンなどに活用できます。そこで都市整備部にお聞きします。そもそも金木橋の前後や高柳の旧国道の上流側などでは管理用道路が現在もない状況なので、防災上の対策が不十分だと判断されます。その様な立場からも県に河川管理用道路の要望を続けてきても良かったかのように思いますが、如何でしょうか。
 
 河川管理用通路の設置は県が判断を行っているところであり、当時の県の回答では、「河川管理用通路は、河川の巡視や平常時の維持作業、洪水時の水防活動などを行うために設けておりますが、管理用通路にかわる適当な道がある場合などは設置しない」との回答でございました。市といたしましては、防災面も含め県から回答をいただけておりますので、その後の要望はしなかったところでございます。
 

 前回(平成28年)は万石や高柳の桜並木を活かし小櫃堰公園と結ぶことで魅力溢れる遊歩道が出来ると提案しておりましたが総延長も長く長期的な事業になることが前提と成ります。そこで、今回提案する部分は手を付けやすい中野畑沢線の海側だけ整備して周遊路を設けようとするものです。具体的には車道の幅員を若干広げ、路肩に白線を引き車道と歩行路を区分する程度で良いかと思います。このような場合の実現性をどうお考えでしょうか。
 
 道路拡幅につきましては、用地買収を伴う場合もあり、その位置や構造など、総合的な検討が必要でありますので、江川総合運動場周辺における検討の中で、調整してまいります。
 

 確かに周辺の道路はランナーが安全に車両と擦れ違える余裕が確保できない狭隘な道路も多く存在し、用地買収を伴う箇所もあるかとは思いますが、充分に用地があり、ただ舗装が狭いだけという場所もあり、歩行者専用空間にすべき余地もあります。全てを拡幅する必要もないので暫時改修を続けながら、答弁に有りましたように「江川総合運動場周辺における検討の中で調整して頂く」ようお願いします。特に久津間地区においては小櫃川の河川堤防が不連続という防災上の課題なども存在しておりますので、危機管理の視点でも適切な整備をお願いし、中項目3「木更津駅周辺」の再質問に移ります。
 「市民の意見」について、意見公募では約9割が江川総合運動場周辺に関する意見で、街中の意見が多かった住民説明会とは様相が違っていると解りました。では「富士見通り」について再確認します。歩道のカラー舗装についてですが、カラー舗装といってもアスファルト混合物に樹脂の顔料を添加して着色した「混合物タイプ」と通常の舗装の上に塗料を施工する「塗布タイプ」の2種類がありますが、先ほどの答弁では「通常のアスファルト舗装上に紙製の型枠を敷き吹き付けを行う工法」とありましたので、「塗布タイプ」を採用すると理解してよろしいでしょうか。
 
 議員おっしゃるとおり、塗布タイプでございます。
 

 混合物タイプは小規模の補修には適さないという弱点がありますが、塗布タイプでは経年で剥がれたり色が落ちるといった弱点があります。また型紙に合わせた吹付となると補修箇所でデザインや色調の連続性が上手に行くのかも心配です。その点はどの様に考えていますか。
 
 本塗料は経年劣化が生じにくい骨材が混入された塗料を使用する予定でございます。デザインの連続性や色調につきましても同一の型枠と塗料で施工できますので小規模補修にも対応が可能であり、問題が生じにくいものと考えております。
 

 改修に対応できるという答弁は理解しました。今議会に追加上程される案件で電線地中化の費用が約6千万円削減され変更契約する議案が上がっております。カラー舗装の費用は今回削減される額以下ではありますが、私は沿線の活性化が進むまで見送るべきではないかなと考えます。富士見通りについてもう一つの心配は道路に市内唯一の合流式である中央1号汚水幹線が埋設されていることです。先日の齋藤高根議員の代表質問に対する答弁では点検で管の健全性を確認しているということでしたが、合流式なので汚水の流入による硫化水素の発生は免れず、長期的には管の劣化が想定されます。管径も大きいので土砂の流入で地下に空洞が生じて八潮市の陥没事故のような事態になる可能性は完全に否定することは出来ません。環境や雨天時に汚水処理場に大量の流入が生じることを改善するためにも合流式エリアを分流式に切り替えるべきと思うのですが、その場合は富士見通りの歩道部に汚水専用管が埋設されることになると思います。現在は市では分流化の計画が無いことは知っておりますし、今回の八潮市の事故を受けても国から分流化を進めるような指導が来ていないことも解っております。しかしながら今後も歩道に埋設工事が想定される可能性が僅かでもあるなら、事業費抑制のために標準的な舗装を施工するべきではないかと考えます。再度、熟慮して頂くことを要望し、中項目4「旧庁舎跡地」の再質問に移ります。
 「住民の理解」については、素案を意見公募に付すとともに「経営戦略」策定後は市ホームページ等で公表しているということなので秘密裏に話が進んでいるのではないということは解りました。答弁にありました「木更津市公設地方卸売市場経営戦略策定に伴う検討会議」の委員には住民代表や公募による市民は加わっていたのでしょうか。
 
 議員ご質問の、住民代表や公募による市民につきましては、検討会議の委員には入っておりません。
 

 少なくとも住民代表として自治会の方が入っていたらよかったのにと私は思います。答弁では「適切な時期に地元住民をはじめ関係者の皆様に対し説明をする」と有りましたが具体的には何時頃に成ると想定されていますか。
 
 経営戦略の再整備基本計画における「事業化に向けたシミュレーション(案)」では、令和8年度までを再整備に伴う準備期間と位置付けており、安定的な事業継続及び市場再整備に係る財源を確保するため、取扱高の増加に向けて取り組むほか、再整備に向けた卸売業者の様々な取組や都市計画に関する手続き等に必要な期間としております。この経営戦略に掲げたシミュレーションどおり進捗する場合におきましては、地元住民等へ説明会の開催は、令和8年度になると想定しておりますが、計画の熟度を見極めながら、適切な時期に実施してまいりたいと考えております。
 

 つまり今現在の予定では7年度中の地元住民への説明会は考えていないようですが、様々な憶測が独り歩きしないよう、早めに正確な情報を伝えることをご検討下さい。
 「広域事業化」については「公設鹿島地方卸売市場」が2市の事務組合で事業運営を行っている先進事例があるとのことなので木更津の広域化も不可能ではないものと心強く感じます。その事例を研究し、近隣市に働きかけを続けていただくようお願いします。
 「民間の意向」については安定した流通・供給のために現状と同じく市で運営するという答弁が有りました。成田公設卸売市場のHPを見ると成田市場活性化協議会が運営しているように見えますが、行政の関与は本市とどの様に違うのか、ご説明願います。
 
 成田市に確認したところ、「市場活性化協議会は市場のイベントである「成田楽市」の運営や広告宣伝など市場を活性化させるための事業を担っており、市場の運営自体は成田市が行っている。」とのことでございます。
 

 成田のHPにある「成田市場活性化協議会」が表に出ていますが、それは市場を活性化させるための組織であって、施設の運営は自治体である成田市が行っているということで理解しました。民間の力を借りるという点では現在の市場の敷地を売却することで移転資金の一部を担う検討もされたかと思います。サウンディング調査も行ったと思いますが、何社が土地に興味を示されたのでしょうか。または敷地の売却先が決まっているかのような声も聞こえてきますが現状についても併せてご報告願います。
 
 令和4年に実施いたしましたサウンディング調査につきましては5社が参加しております。現在の敷地の売却先についてのご質問につきましては、先ほど市長からご答弁申し上げましたとおり、経営戦略の中で「再整備候補地として旧庁舎跡地が適している」と整理をし、最優先候補地と位置付けたところでございますので、敷地の売却先が決定しているといった状況にはございません。
 

 売却先が決まっているかといった誤った情報を発信する方もいますので、適切な時期に情報の開示をお願いいたします。いずれにしろ、市場の年報を見ると市場の取扱量が減少しつづける中で、今後必要とされる適切な規模を見極めることは難しいかと思います。今後の推移を見守りながら再整備の検討を慎重に進めていただけますようお願いします。
 渡辺市長になられましてから消防本署や中郷小学校などが建て替えられ、金田地域交流センターが新設されましたがましたが、今回の吾妻文化芸術施設は今まで以上に大きな投資となる物件で後世に残る財産になるものと思います。防災機能を備えた公園の整備や富士見通りの再整備も望まれておりますし、旧庁舎後への地方公設卸売市場の移転も市には大きな事業と成ることが想定されています。防衛補助の使えない事業も多くありますが、これらの事業を「飛行場周辺」としてまとめて計画を作成し、回遊性を検討されておりますので、個々の事業の設計や進捗を引き続き注視し、二元代表制の一翼として良い街を供に造ろうと考え質問させていただきました。
 これから具体的な設計が進む中で議会に適宜情報を提供していただくとともに、明日開催の総務常任委員会協議会で今回の基本設計の細部を確認させていただきますので、以上で今定例会における全ての質問を終了とさせていただきます。