なぜ四市合併なの?

5.四市合併によって目指すまちの将来像(グランドデザイン)


はじめに
 このグランドデザインは、「かずさ四市合併を考える署名活動の会」有志が、四市合併後はこうなったら良いな、このようなまちづくりを進めて行くべきだなという思いを表したものです。その結果、市民の皆様が地域に対する関心を深め、地域行政への参加意識を向上させる事を目的としています。

 私たちは都市計画や行政の専門家ではないため、笑ってしまうような誤りも含んでいるものと思います。また、実効性が疑われる、根拠のない提案もありますが、まちづくりに関する議論の喚起を期待してのことであります。偏った視点が有るとお気づきの場合や、もっと別の考えもあるだろうと思われる方は、どんどん問題点を指摘してください(ご意見はこちらから)。
特に行政職員や議員の皆様は、専門的な観点から解決すべき問題を提示していただけたら、より中身の充実した結論に至ることができると思います。

 このグランドデザインは、21世紀初頭の新しい時代に向けた方向性を示しています。特に、「この地域に生まれ、育った事が誇りと思えるまち」「知人や親戚も呼んできたくなるようなまち」「子供たちがここを故郷と考え、多くの思い出の残せるまち」そんなまちにして行くために、どうあるべきかと言う点でまとめました。

 なお、発表した責任は「かずさ四市合併を考える署名活動の会」有志にありますが、内容の実効性を保障するものではありません。その点をご理解の上、お読みいただければ幸いです。

それでは、私たちの描いたグランドデザインを、
もう少し具体的に説明しましょう。

5-a 自治体機構の変更

1).市議会議員や職員の削減
 合併により市長が4人から1人になることで、様々な経費の削減も含めて、約2億円/年以上の削減が出来ます。
 次に市議会議員は暫定的に四市の合計人数である112名(H11.12.31現在)になりますが、一定期間後の選挙から地方自治法の定数(人口30万人以上40万人未満で48名)に移行しますので、64人、約10億円/年の削減が可能になります。
 最後に行政職員は、合併後の職員数を単純に合計すると3,581名(H11.4.1現在)となります。規模が同程度の福島県郡山市(人口335千人、面積731km)の場合は2300人の行政職員で運営しています。単純に計算すると約1300人、約130億円/年の削減が可能になります。
 職員の場合は、合併による効果で、より専門的な人材を養成することができ、また多くの職員の中から幹部職員を選択できるようになるため、行政能力が向上する可能性が高くなります。
 
2).地域の特色を出すための行政区割
 地域の特色を引出すために5地区に分けて行政を運用します。具体的な区割りの案は次の通りです。それぞれの特色及び考えられる政策は後述(5-c 〜 5-g)の通りです。
1).袖ヶ浦区(旧長浦、昭和、神納、金田、中郷)
2).木更津区(旧木更津、浪岡、清川、巖根、鎌足)
3).久留里区(旧平岡、中川、富岡、馬来田、小櫃、久留里、平岡、亀山)
4).君津区(旧君津、八重原、貞元、周南、中、小糸、秋元、三島)
5).富津区(旧青堀、富津、飯野、大貫、佐貫、湊、竹岡、金谷、環、天神山)
 
3).市役所機能の変更
 現四市市役所及び君津市上総支所は、それぞれ支所として存続し、住民票の請求や印鑑証明の発行など市民が市役所で行っている手続きは全て引き継がれますので、合併後は何処でも手続きが出来るようになります。
 余裕の出来た庁舎の空間には市民団体等の活動空間を確保するなど、市民の積極的な活動支援に役立てることが可能になります。また、神戸市の土地公社のように、ビル賃貸で収益をあげることも考えられます。
 将来的に新市役所を建設するならば、防災拠点という視点から、木更津区、久留里区、君津区の3区境界となり、市域全体の中央に位置することになるアカデミアパーク近隣地区が望ましいかも知れません。
 
4).公共施設の運用
 図書館は袖ヶ浦の図書館を中心とした情報ネットワークで全てを結ぶ事で書籍等の有効利用が図れます。また、音楽文化は君津の文化ホールを中心に運営されるなど、多くの施設を統括的に運営する手法を整備していくことが文化の向上に寄与します。
 
5).税収の変更
 現在、四市とも自主財源比率が高く、特に袖ヶ浦市と君津市は地方税の不交付団体となるなど、財政上の問題は少ないかと思われがちです。しかし、収入源は臨海工業地帯の企業税収に依存しており、産業構造の急激な変化と景気後退の長期化を目にするにつけ、今後とも維持できる保障はありません。
 そこで、基本的には合理的な自治機構を持ち、不景気の時にも赤字財政にならず、好景気の時は建設経費に使用できるような財政再建が必要です。但し、単純な人件費削減策や公共事業の削減によるやりくりでは、行政サービスの低下や地域経済の衰退を招いてしまいますので行政構造の改革が必要となります。
 また、現在は袖ヶ浦の石油化学工業・木更津の電機産業・君津市の製鉄業・富津市の発電事業等のそれぞれに大きな企業を抱えています。また袖ヶ浦や君津の農業も日本有数の農業出荷額を誇りますし、木更津や富津の漁業も活発です。これらが合併することにより経済的にバランスの取れた地域になり、特定企業の経済状態に大きく左右されるような状況が回避できるようになります。
 
5).条例の整理
 合併により四市毎に制定されている条例を見直す必要がありますが、この機会を捉えて、時代に適合しなくなった条例は廃止し、関連する条例は統合・体系化するなど、市民に解りやすく運用しやすいものに改めることが出来ます。
 
6).防災対策の強化
 現在、各市で別々に運営している消防組織を共通で運用する事で人員や機械の省力化が進められる事になります。
また、大規模地震の時などは地域内に緊急支援活動ができるえる陸上自衛隊のヘリコプター師団を持ち、船舶による災害対策可能が展開できる地域の特色を生かした総合防災体制が建てられます。さらに、首都圏において広大な空き地を所有するこの地域は、都心のバックアップ体制を実施できる施設等の誘致が可能になります。

5-b 合併後の規模の拡大を利用した取組案

1).東京都のアクセスの改善策(高速バス品川線の開設)
 高速バスの利便性向上のために、山の手線の品川駅に直行する路線の開業が地域のために必要と考えます。
 現在のバス路線は、羽田空港線の利用率が高いですが、実際に飛行機に乗るお客よりバスで東京に出るための乗換駅に利用されています。ここで品川線が開通すると東京若しくは新宿へは一度乗り換えるだけという便利さになるだけでなく、品川駅は東海道新幹線の発着駅として整備中ですので、名古屋や大阪も近くなり、地域の交通の便が著しく向上します。
 しかし、都心の一般道を走るのでは高速バスの速度が低下し、利便性が損なわれますので、湾岸道から品川駅までのバス専用高架道を建設するよう、JRや首都高速道路公団に働きかけることも重要ですが、必要な場合は自治体が出資し、建設する事も選択できるようになります。
 
2).高速道路を利用した緊急医療の対策
 館山自動車道・首都圏中央連絡道路が現在建設中です。これらの道路の完成により、この地域には9個所(木更津北、木更津南、木更津金田、袖ヶ浦、君津、上総湊、竹岡、金谷、下郡)もICが出来る事になります。つまり、広大な地域内を高速道路網が張り巡らされる事で、医療施設や緊急車両等の効率的な配置の見直しを行うことで行政経費の削減を図るとともに、緊急医療や防災の点で安心できる地域造りが可能になります。
 
3).水道水源の保護
 四市の合併により地域の水道水源である小櫃川が源流部の一部を除いて全てこの地域に含まれます。
 現在四市とも水道水源保護条例を制定していますが、産業廃棄物の野積みや不法投機などの問題が生じていますので、東京都のように水道会計を用いて、水道局が先買権を確保するように権利設定が出来れば、森林の買い取りなどの処置によって環境を積極的に維持していくことが出来ます。
 なお、水道については、森林保護と平行して農村や畜産場等の合併浄化槽の普及や、田畑やゴルフ場等の農薬問題などを解決して行く事も必要です。
 
4). 観光対策等
 イチゴ狩り、梨狩り、観光農場(マザー牧場)、ひいては潮干狩りまで観光農業はこの地域に広く展開していますが、これらの連絡を図る事で、例えばかずさの年間パスポートを作り、春には潮干狩り、夏に乳搾り、秋には梨狩りというように地域へのリピーターを作るようにすれば観光による活性化がはかれます。
 
5).地域の個性を生かした都市形成
 市役所のある位置はあくまで行政の核となる地域です。中心市街地として賑わいをもつ地域は、例えば東京では新宿・渋谷・上野等がそれぞれ特色を持つように、それぞれの地域が商業や観光、歴史文化などの個性を発揮し、それ以外の地区を補う役割を担いながら独自色を出し、連邦していく形態が望ましいものと思います。
以下合併によるそれぞれの地区の具体的な施策の案を提示します。

5-c 袖ヶ浦区(旧長浦、昭和、神納、金田、中郷)の提案


1).羽田の再拡張の影響を生かしたまちづくり
 羽田の再拡張による国際空港化の流れが進行しています。この地域はアクアラインの利用により東京都心の者より早く羽田に到達できる地の利が有るので、機体整備や空港の維持管理要員に、この地に移住するような政策を取ります。また、倉庫業や仕分けなどの物流部門も誘致できるでしょう。
また、世界が近く成る事で、特に近隣諸国の活動拠点となるような協力も惜しまない事が、ひいては地元の活性化に繋がるものと思います。
 
2).干潟の保全
 東京湾内最後の自然海岸である小櫃川河口干潟(盤洲干潟)は、日本有数の野鳥の飛来地であり、「干潟を守る会」の活躍によって、その重要さが知られ、人々の意識に上がっているところでは有りますが、法令上は鳥獣保護区という位置づけしかなく、様々な開発圧力にさらされている事が現状です。
 また、上流からの砂の供給の減少により、松林が壊滅し、干潟が狭まるなど、現状をよりよくして行くための努力も必要となります。
 この貴重な財産を大切に思い、残して行くためにも、干潟に関する世界的な保護条約であるラムサール条約指定地域とするよう活動して行くとともに、市民が環境に負荷を与えないで近づきやすいように周辺環境の整備も行なうべきです。

5-d 木更津区(旧木更津、浪岡、清川、巖根、鎌足)の提案

1).旧市街地の整備
 木更津市の旧市街地の特色は郊外と異なり徒歩圏の中で商業も医療も教育も成立することであると考えます。
 そのため、市街地は1・2階を店舗、それより高層部を住宅にするような政策で夜間人口を増やすべきものと考えます。
 また、木更津駅前だけでなく貝渕や吾妻を辺りの港沿いに高層マンションを建設し、マリーナやヨットハーバー等の付加価値をつければ地域のイメージも高まり活性化につながります。
 
2).市街地とアカデミアの連絡
 かずさアカデミアパークに大学の誘致が成功し、市役所が移転してきた場合、昼間の大量な交通需要が発生し、今以上のバス輸送が必要になります。これはアカデミア内の企業に向かう人たちにとっても利便性が向上します。。
 また、土日は市役所の駐車場を利用して、そこに車を置いてバスで東京や横浜に出かける人が増えるでしょう。

5-e 久留里区(旧平岡、中川、富岡、馬来田、
小櫃、久留里、平岡、亀山)の提案

1).城下町としての町並み整備
 観光地として最も整備することで効果の出る街は歴史と水の里である久留里だと考えます。バイパスの建設により通過交通を排除し、街中から城までの歩道を整備し、適切に駐車場を設け、建物を建築協定で統一し、水路や街路樹等で効果を高めることで歴史的な町並みのを復活させるべきであると考えます。それにより長野県小布施や岐阜県明智のような観光地になれる物と考えます。
 特にかずさアカデミアパークという国際部門を抱える地域としては、海外から来られた客人のために、最も日本的なものを整備するべきだと考えます。
 
2).久留里線の存続
 四市が合併する事で、久留里線は全て市内の路線になります。かつてJR東日本はこの線路を廃止しようとしました。それは採算が合わないためであり、乗客数は年々減少の一途に有ります。JR東日本としても民間企業である以上、いつかは処理を検討する日が来るでしょう。その前の対策として、赤字幅が負担にならないように、馬来田や久留里周辺での住宅開発を許可し、人口を増加するとか、下郡駅で高速バスとの接合性を向上させるとかの方法を講じる事が出来るでしょう。
 しかし、最終的には市営鉄道として維持できるよう、終点を亀山湖畔まで延長し、欧州のように自転車を乗車可とする観光鉄道としての道を歩むか、レールバスのように徹底した合理化対策を取るか、バス転換するかの決断が必要になりますが、環境負荷の少ない軌道交通は、可能な限り存続させるべきだと考えます。
 
3)。農作物の直接販売を中心としたまちづくり
 札幌に行けば市場で蟹を買いたくなるように、かずさでは農産物を買わずにはいられない、そんなマーケットを農家直営で出来るように誘導するのも良いでしょう。なにより地域市民が、誰が責任をもって作った農作物か知って食べる事が出来るという環境を作るべきだと思います。
 具体的な場所として、首都圏中央自動車道と国道410号線の交点になる下郡ICが相応しいと考えます。そこでは久留里線の下郡駅と高速バスの結節点も兼ねるように配慮し、交通問題の解決も図ります。施設は道の駅も兼ねるように休憩所も含んだものとして地域のイメージと利便性の向上に努めます。
 販売品は曲ったキュウリや傷の付いた茄子などのように、農協の規格からは落ちるものの、味や安全面で支障の無い物を、生産者が誰で、何処の畑で作ったか分かるようにして、市民と農村の連帯の場所となると良いでしょう。もちろん、無農薬や有機のコーナーなどが出来れば上出来ではないでしょうか。

5-f 君津区(旧君津、八重原、貞元、周南、中、小糸、
秋元、三島)
の提案

1).大学誘致
 この地域は、高等教育機関として清和大学、国立木更津高専と清和女子短大があるのみです。従って、この地域の高校を卒業し、進学するものの多くはこの地域の外に出て行く事になります。幸い京葉地体に多くの大学が有り、自宅から通学する事も可能であり、その点では恵まれた地域といえるかもしれません。
 しかし、世界最先端を行くDNA研究所を要するこの地域は、産学協同での技術開発を行なう要件が生まれており、大学を核としたまちづくりは新しい産業を喚起することになり、この地域だけでなく、日本の国家にとっても有効なことではないかと考えます。
 そのため、地価の高騰した東京では手狭となった理工系の大学に移転してもらうように誘致する事は良い政策と考えます。過去に東京教育大学が茨城県に移転し筑波大学になった事例もあります。DNA研究所を要する地域の特色に照らせば、例えば東京農工大や薬科大などの移転が望まれるところです。

5-g 富津区(旧青堀、富津、飯野、大貫、佐貫、湊、竹岡、
金谷、環、天神山)の提案

1).内房線の複線化への取組
 内房線君津駅以南の複線化について、現在外房線で実施している部分複線化の手法を用いて上総湊まで快速を運行させる事が現実的だと思います。
 具体的には鉄橋やトンネルの少ない青堀〜大貫を第一の工事区間とし、次に佐貫町〜上総湊間、君津〜青堀間、大貫〜佐貫町間と、限られた予算で実行するには、長い目で段階的に施工して行く事になるでしょう。
 その費用はJR東日本が負担する効果が出るように、旅客密度を上げるために、例えば佐貫町〜上総湊間に高齢者医療都市を設ける政策などが考えられます。
 
2).高齢者福祉都市の建設
 この地域は都心からも適度に近く、内房線の複線化の進行及び館山道の開通後はJRや高速道路の交通の便も良く、自然環境に恵まれ温暖であるため、首都圏の高齢者福祉を担う地域として機能することが考えられます。そのため、JRの佐貫町〜上総湊間に高齢者医療を専門に実施する病院を中核とした福祉都市を設ける事を提案します。
 この病院は福祉都市のだけでなく地域の高齢者医療の中核でとなり、地域住民に安心を与えるものとなるでしょう。また、上総湊地区にとっては病院関係の従事者で雇用の創出と人口の増加も生じ、地域経済が活性化します。
 
3).東京湾口道路や首都圏第3空港の対応
 大規模プロジェクトの誘致は行政規模が大きいほど効果があります。東京湾口道路や首都圏第3空港について環境面や国策上必要な事業かどうかまで含めて検討できる専門職員を。合併による行政の効率化で設けることが出来ます。

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作成:かずさ四市合併を考える署名活動の会
改訂履歴
2001年 8月13日作成途上(一部に配布)
2001年 9月12日作成途上(更新後再配布)
2001年10月 6日作成途上(更新後再配布)
2001年10月16日大幅改定(更新後再配布)