世界の旅 中華人民共和国:香港・澳門

2013.05.22-05.24 キャセイパシフィックで往復 宿泊は香港・荃湾のPANDA HOTEL
▼22日 香港  ベトナムの旅から2ヶ月しか経っていないが、友人が県議会でも導入を検討している「カジノ」を私的に見に行かないか、とお誘いがあったので検索してみると香港への安いツアーを発見した。カジノの有る澳門には船で日帰りする計画として、平日の水木金で旅に出た。
 
 25日05:53に巌根駅から電車に乗り、成田発09:40の飛行機の手続きを行うと、10分早い出発だと案内を受ける。空港内でモーニングを食べて飛行機に乗り込むと、香港空港の気象条件で出発が1時間遅れると案内があり、成田の地表に居る内に機内サービスのビールを飲むことになった。梅雨前線も香港周辺に有り、到着後の天気が心配な中で、予定より遅れて香港に到着する。
 小雨が降る蒸し暑い天気の中、迎えに来ていたHISの係員に連れられワゴン車で荃湾駅に近いパンダホテルへ送って貰う。帰りは12時にホテルに迎えに来るという日程が非効率なので、帰路は鉄道で直接空港へ行くと送迎を断る。ホテルのフロントで日本円を香港ドルに両替し、荷物を部屋に置いたら直ぐに近くのコンビニで傘を購入し、地下鉄で香港島の金環駅まで行き、香港が初めてという友人のため、ピ-クトラムへ向かう。
 地下鉄の駅から山麓駅まで歩いている人は見なかったが、駅に着くと平日なのに観光客は沢山居た。40ドル(約560円)の往復券を購入し、急坂を引き上げられ、私にとっては15年ぶりになる山頂駅に到着すると有料展望台が完成していた。雨なので往復乗車券と同額の入場料を払って屋上に出て下界を見ると、雲は切れているが視界の広がりは満足のいくものでは無かった。傘を差し、男2人で夜景を待つこともないだろうとトラムで麓に降り、スターフェリー乗り場までバスで移動すると夕焼けが見え始める。
 尖沙咀までの船上から夕暮れの街を見渡して満足していると、港に巨大なアヒルが浮いていた。LINEで日本にいる友人に問い合わせると、世界の港を旅しているアヒルのようで、多くの観光客が写真を撮影していた
【帰国後に調べてみると、オランダ人アーティストのフロレンタイン・ホフマンさんが2009年より始めたラバーダックプロジェクトといい、昨年の7月14日~29日に尾道、10月14日~21日は大阪に出現していた。日本のアヒルが高さ約9.5mであったのに対し、香港は高さ16.5m。来月2日まで香港に滞在。先週の15日には空気が抜けて溺れたようだ】
 尖沙咀の街中に入り、目についた食堂で蒸し鳥などをつまみに青島麦酒を飲み、佐敦まで地下鉄で移動して麦文記麺店でワンタン麺を食べてから男人街の夜市を見に行くと、通りに面してシャコ等の海産物を提供する店が並んでおり多くの欧米人が麦酒を飲んでいた。満腹なのと翌朝が早いので通り過ぎたが、後ろ髪を引かれる店だった。
 そして地下鉄の終点にあるホテルには夜10時半頃に帰り、初日の行程は終了する。
▼23日 澳門  翌朝は日本時間の7時に目を覚ますと外は晴れている。午前7時の行動開始と友人に告げていたが、時差のためまだ1時間余裕があり、一人でホテルの回りを散策して部屋に戻り、汗拭きタオルを持って出発した。
 尖沙咀駅から九龍公園を通り抜けてターミナルに着くと既に長い列が出来ていた。列の後尾について「マカオ」と頼むと、こちらではなく隣の会社に行け、というようなニアンスで空いている方を示す。よく解らないままにそちらに行くと「普通($159)」席は11:30の便まで売り切れており「豪華($282)」なら8:30の便があるという。日本円で1700円以上高いが仕方ないので購入する。出国の手続きを終え、出発する埠頭を探し回っていると朝食を取る暇もなく乗船することになる。TURBOJETという会社の船で、2階の豪華席は革張りシートで客も少なく、貧弱だが食事も出た。
 
 約1時間の航海を終え、入国審査を終えて外に出るとカジノのお出迎えと思われる美女の集団が居たが、それは素通りして散策を開始する。最初は港から海岸沿いにテーマパークのようなフィッシュマンズワーフへ行く。船は普通席が売り切れるほど乗っていたが、澳門の街中には人影は少なく店も閉まっていた。夜の街だからまだ朝が早いのだろうと思いながら「イタリア」や「バビロニア」の街を通り抜け、街中を、MGMやウィンマカノといったカジノに近づくと時計や貴金属・宝石屋が増え始める。そしてウィンマカオ前の噴水広場やロータリー中央の広場から奇抜な建築のリスボアを見上げる。成金という言葉が最も相応しそうなビルの存在感に感動すら覚える。
 昼食は1903年開店の「佛笑楼」で「珈哩蟹」と「非州雞」を食べながらポルトガルワインを飲む、と決めていたが、まだ昼食に少し早いようなので昼飯前に世界遺産巡りを開始した。①カテドラル広場を手始めに②カテドラル・③盧家屋敷・④聖ドミニコ協会・⑤仁慈堂大楼・⑥セナド広場・⑦民政総署大楼・⑧関帝廟と回りつづける。道案内も周辺の世界遺産を示すものばかりで、遺産の密度の高さに感動する。昼が近づき、夜型の澳門の街も目覚め始めたようで多くの観光客が路地に溢れ始めた。
 前半戦の最後には最も有名な⑨聖ポール天主堂跡へと土産物屋の間の坂を登っていき、さらにその上に聳える⑩モンテの砦まで嫌がる友人を引き連れて急な階段を上がると汗が滝のように流れ始める。リスボアを狙ったような大砲を見ながらタオルで汗を拭い、ここまで澳門に上陸してから2時間以上も水分を取っていないので昼食の麦酒がさぞ美味いだろうな、と考えていた。
 地図を頼りに「佛笑楼」に到着。派手な看板が常識の中国で、落ち着いた佇まいは高級店を感じさせ、首にタオルを掛けたまま入ることに躊躇するが、麦酒の欲求に耐えきれず12時の開店2分前に入店する。目的の2品を頼み、身体に染み込みような青島麦酒を2本飲み終えたらワインで高級店の昼食をゆっくり満喫する。
 
 1時間強の昼休憩を取り終えて、世界遺産巡り後半戦を開始する。⑪聖オーガスティン教会・⑫ドンペテロ5世劇場・⑬聖ローレンス教会・⑭リラウ広場・⑮港務局大楼・⑯バラ広場と進むが、午後の気怠さかワインの酔いで前半戦ほど盛り上がることなく歩き続け、⑰媽閣廟で世界遺産巡りの部を終了する。ふと道路の向こうにある山の手前の水路の位置を考えると、ポルトガル植民地であった澳門と中国の国境であった事に気がついた。簡単に泳げそうな幅に改めて驚きながら対岸のビル工事現場を見ていた。
 カジノの前に、ここから800m程度離れている澳門タワーに行こうと提案すると、友人から疲れたのでタクシーを!という要望が出され、空車を探すが通り過ぎる車には全てお客が乗っていた。仕方ないので距離も僅かだからと、我々の他には誰も歩いていない歩道を進む。前日のピークトラムでも観光地に多くの人が居ながら、東京スカイツリー周辺の様に歩いている姿を見ないことを疑問に感じていた。歩き疲れてタワーに到着し、上を見るとバンジージャンプで人が落ちてきた。香港通貨で130ドル(約1820円)の入場券を払い233mの高さにある展望台に上がり、缶ビールを飲みながら風景を見ていると、次々とバンジージャンプする人が目の前を落下していくのを見ることになる。それはさておき、南のタイパ島との間には3本も橋が架かり、その島には高層建築が林立する一方で、共産党が支配する大陸側は広大な空間が広がっている姿にも驚かされた。
 
 タワーから降り、タクシ-で橋を渡り、コタイ地区に有るギャラクシーマカオカジノへ行く。フロントの立派さも驚くが、カジノ施設の広大さには驚かされた。レートを見て回るとスロットル以外は安いものでも最低300ドルからが掛け金である。日本円で4千円強であるから、中国の庶民は参加できないだろう。日本の庶民である私は2万円分を軍資金として「大小」の台を探した。沢木耕太郎の名著である「深夜特急」で連勝したそのゲームをやってみたかったのである。数は少なかったが、安いレートの台を発見し、同行した友人がソウルでカジノ経験済みなので、彼の手ほどきを受けて勝負を始める。
 まず1200ドルをチップ12枚に交換し「小」の目にチップ3枚を張る事から始めた。基本的には2万円は入場料兼見学料と割り切って、それでもあっという間に終戦に成らないよう、少しは楽しもうと、地味な勝負を繰り返していると、ビギナーズラックもあったのか、チップは22枚に増えていた。この段階で友人は若干負けていたが大した額でも無いため潔く止めて、換金してカジノ経験を終える。なお、ゲームは写真禁止なので記録写真が無いのが残念である。
 
 再びタクシーでリスボアまで戻り、夕食を取ろうとする。友人のリクエストで「火鍋」を食べることにして、その看板の店に入ったが、実は海鮮料理店であり、火鍋を食べることなく、シャコやナマコをつまみに麦酒を飲んでいた。そうこうしている内にすっかり日が暮れてきたので、ウィンマカオ前の噴水広場に行き、マカオの華やかな夜景を目に焼き付けた。他にも色々見たいものは有るのだが、本日中に香港に帰らねば成らないため、タクシーで港に向かう。頻繁にタクシーを使っているが、日本の半額以下の安さと街の狭さのために気にならないのである。
 港に着き、TURBOJETの窓口に行くと20:00の「普通」が空いているという事なので購入し、出国手続きを済ませ船に乗る。歩き回った疲れで、帰りの船は熟睡してしまった。
 
 香港に到着しても地下鉄まで歩く気力が無く、またカジノで金を失うどころか増やしてきたため、地下鉄で13駅分も離れたホテルまでタクシーで帰ることにした。タクシー乗り場の長い列に並び、ホテルで貰っていた書類で場所を告げると、タクシーは高速道路でホテルへ向かう。結構かかるかと思ったが84ドルと、日本円で千円を少し超えただけだった。ホテルの直前で車を降り、朝の散歩で発見していた「火鍋」の店に入り、澳門で食べられなかった辛い火鍋を食べながら麦酒を飲んだ。住民を相手にしている店なので単価も安く、夜11時過ぎまで反省会を続けてからホテルに帰り、深い眠りにつくのであった。 
▼24日 香港  最終日も朝早い行動である。朝から良く晴れているので初日に購入した傘は部屋に置いたまま7時15分にエレベータに乗りホテルをチェックアウトする。旺角まで地下鉄で移動し、ガイドブックに1200人が収納できると書いてある「倫敦大酒棲」で朝食に飲茶を楽しむ。
 再度地下鉄に乗り、尖沙咀まで移動後、観光客の多いアベニューオブスターズへ行く。青空の中で対岸のビルが綺麗に聳えていた。またアヒルを見てから香港島にフェリーで渡り、上環の街中で適当に選んだ店で足裏マッサージを受け、上海料理店で胃に優しいビジネスランチを食べた後、香港駅発13:20の快速列車で空港へ向かった。
 
 空港内で残金を日本円に交換したら、3日間で3万円使用している事となった。カジノで勝った分が有るので、結構贅沢な食事を楽しみながらも、比較的安い旅になったことに満足しながら香港を出国する。
 成田空港には20:30頃に着き、JRで巌根に22:27に帰りつく。流石に連日の行程で疲れており、打ち上げはなく解散した。