入札の最低価格について
2007/6/12記
 6月12日から開催された6月定例議会の初日で校舎耐震工事の契約について、工事の予定価格が1億5千万円を越えるので「議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例(昭和39年3月30日条例9号)」により4件の契約が議会承認事項となり、質疑応答の結果、全ての議会承認を行ってきた。
 
 この4件については4月26日に入札の公告が行われ、当初は5月31日に入札を実施する予定であったが、談合情報が寄せられたという事で応札者の事情聴取を行い、談合の疑惑がないと判定されたので6月1日に入札を行ったものである。
 
 談合情報では3件の契約者が決まっているという話であったが入札の結果は寄せられた情報と合致しているのは2件であり、そのうちの1件については同額で応札した結果のくじ引きで事前情報と合致しただけだから、談合とは言い切れないだろう。
 
 ただ、応札に参加できる業者資格の制限(市内の建築Aランク業者と準市内業者の建築Aランクのうち総合評定値が1000点以上)を加えているため、実質的には14社が4件の工事を取り合う形になるので談合が発生しやすいと言われても仕方ないであろう。制限資格の緩和が今回の議会でも質問されていた。
 個人的には2月17日の「一般競争入札の導入について」でも記載したように、地元業者で能力も意欲もある社員を抱える会社が正当に受注し、建設業界を誇りに思える環境を調え、優秀な若い人材が建設業界に進もうという考えを持つことで技術の継承が出来て、この地域に災害等が発生した場合に対応できるような人材を確保育成するため、地元業者が優先される制限事項は必要だと思うが、中にはゼネコンが施工するような工事が少しぐらい混入した方が刺激になって良いのかも知れない。
 
 さて、『同額で応札した結果のくじ引き』という事態が発生したのは、入札の公告で予定価格と伴に最低制限価格を明示しているので、仕事をどうしても落札したい業者は最低制限価格で入札する事になるためである。
 最低価格は建築工事のため、予定金額の85%である。それより低い額を入れると入札失格に成るのである。今回は4件の契約中で2件がこのくじ引きになった。
 
 設計額よりあまりに低い額で入札すると、利益を得るために劣悪な材料を使用するとか、安全に関する費用を削減するとか、酷い労働環境で施工するとかの様々な問題が発生する可能性が高くなるために最低制限価格を設けているのである。
 
 しかし今回の入札のようにさて、Aランク業者という、能力の高い業者への応札制限をしている工事では当然積算能力も有るだろうから無理な落札とは思えないし、社会的信頼から手抜きを行うことも無いだろう。当然、それをさせない市役所側の監督が付くことになる。そもそも契約額が高いからと言って手抜きをしない保証には成らない。だから、最低制限価格を撤廃しても構わないので無いかと思う。
 
 ちなみに私が工事監督したアクアラインの舗装工事では設計金額の60%台で落札した工事でも赤字には成らなかったようである。その代わり様々な技術的改革を行うとともに、施工速度を上げるため朝5時から夜8時まで15時間現場を動かすような対策をしていた。民間はそのような創意工夫をして対応するものである。
 
 参考程度に、今回最低額でくじ引きになった2件の工事の予定価格の合計は5億9388万円なので、どちらか1方が最低価格より1%低い84%の額で入札した場合は約600万円の差額が生じていたので、勿体ない事をしたと思うのは私だけでは無いだろう。
 
 来年度も多くの工事が発注されるのであろうから、その辺りの視点を持ちながら、議会に望まねばならいと思うのであった。