道路特定財源暫定税率が切れる | ||
2008/04/02記 | ||
昨日で道路特定財源のうち、30年暫定暫定税率が切れて道路工事関係の予算執行が凍結された。凍結の期間は県で2ヶ月程度という事であった。2ヶ月凍結されたのなら、例年年度末に集中する工事が5月末まで遅らせられるかというと、実はそうではない。そこには地方自治法という壁が立ちはだかるのである。 第二百八条 普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。 会計を3月31日までに閉めるために、やむをえない場合を除き、原則として3月31日までに検査を行う必要が出てくるので年度末は工事が急ピッチに成るのである。そして全力で仕事を終えると、4月からGW前後に掛けて天候が安定して日差しの長い時期には予算執行を凍結されて仕事が出来ないというアンバランスが生まれるのである。これは何とか改善したいところである。 会計年度の話はさておき、この道路財源の議論の中で、建設よりも福祉や教育を優先すべきで、その為に一般会計に入れようという意見が体勢を占めていた。まるで建設は悪者である。 前にも書いたが、計画的に維持管理の費用を生むという考えは必要と思っている。今回は長くなるが具体的に記述したい。 社会資本整備が進めば、そのストックに対する維持管理も当然増大してくる。良好な使用性を確保すると同時に、ライフサイクルコストを最小にし、建設投資を有効なものとするためにも「維持管理」は重要な位置付けとなってくる。成熟社会を迎えた今、維持管理を含めた総合的な社会資本のマネジメントが必要となってきている。社会資本を管理する力の限界という事も出てくる。学校や道路が維持できなくなる日も来るという覚悟が必要である。 例えば木更津市には小学校18校と中学校13校の合計31校の公立学校がある。これ以外でも現在民間委託を勧めている保育園7園や公民館16館を加えると54施設となる。教育部主管の施設でこれだけある。 道路については昨年12月議会までに承認された市道路線数が3092路線で延長にして約904km有り、市が管理する橋梁数は248橋である。 公園についても総合公園が2ヶ所で18.35ha、地区公園が3ヶ所で13.49ha、近隣公園が8ヶ所で15.76ha、街区公園が97ヶ所で23.32haの合計110ヶ所で70.92haを開設している。これは都市部主管の公園だけであるから江川総合運動公園など、含まれて居ないものも多くあるし、土地区画整理組合から譲渡を受けながら未整備のため開設に至っていないものも多く含まれている。 さらに膨大な水道管や下水管渠が地面の下に敷設されており、特に石綿管を使用した水道管や汚水による腐食が進むコンクリート管については出来る限り早い交換が求められている。 これらの多くが戦後から現在までに作られたものであることを考えると、そろそろ更新を計画的に行う必要が有ると思う。構造物の法定耐用年数で最大のものでも50年であることを前提に考えると、少なくとも60年毎にこれらの施設を更新する事が求められている。その場合、毎年15kmの道路を改修し、4橋を架け替え、2箇所、11ha以上の公園を改修し、教育施設は1箇所程度を建替えなければならない計算となる。 さらに道路や公園については増えることはあっても減ることは稀であり、教育施設についても統廃合を検討するよう繰り返し提案しているが遅々として進んでいない。だから毎年の更新量は増える一方と考えてよいだろう。もちろん、そのような負担には耐えられないので、出来る限り更新の期間を延ばし、毎年の負担を減らすことを考えなければならない。更新を伸ばす方法は維持管理を適切に行うことである。むろん、大規模更新より維持管理での延命のほうが軽微に済むという前提である。 せめて道路や橋梁の維持管理費を適切に計上できるように暫定税率の維持には賛成していたのであるが、一般財源化するならそれもかまわないし、暫定分を失うのなら平成20年度予算が混迷しても補正で対応すべき問題と片付けられるだろう。しかしその事で社会資本の維持管理や更新に使うべき予算が少なくなるとしたら大いに危惧を抱くものである。 社会資本は痛んでも弱音をはかない存在だから、どうしても目前の問題である福祉や教育に予算が流れがちである。福祉や教育が重要なことは承知の上で、あえて将来の急激な社会資本の更新負担が生じないことを念頭に置かなければ、都市の運営者としての責務を果たしていることにはならないと思うのである。 だが、どんなに維持管理を高めても、毎年10kmの道路改修と3橋の架け替え、2箇所の公園整備と少なくとも2年に1箇所は教育施設を建替えることは、木更津市にとっては必要なことになる時が近づいていると思うのである。今回の総合3ヶ年計画では、そのような話は出ていない。維持管理や更新が出来ないという事実は、社会資本の増大に伴い、税収のうち社会資本の拡大に当てられる部分の全てが維持管理に回ってしまい、税収が一定の元では成長の限界が来るという事を示しているのである。だから税収拡大は当然として、整備水準の低減や、必要に応じて社会資本の破棄すら検討せねばならないのである。そのようなマイナス方向の政治を行う勇気だって必要なのである。 |