航空法という制限
2008/04/18記
 木更津には陸上自衛隊木更津駐屯地・海上自衛隊航空補給処・航空自衛隊第一補給処の陸海空三軍が揃っている。国内でも三軍が揃っているところは少なく、神奈川県横須賀市の陸上自衛隊第31普通科連隊・海上自衛隊横須賀地方隊・航空自衛隊第1高射群第2高射隊や、沖縄県那覇市の陸上自衛隊那覇駐屯所・海上自衛隊那覇航空基地・航空自衛隊那覇基地程度だと思う。
 
 その三軍の揃っている木更津にある滑走路の実質管理者は航空自衛隊でも航空補給処の海上自衛隊でもなくヘリコプター団を所有する陸上自衛隊である。
  
 実質管理者と記載したのは、施設使用権は日米安保協定の中で、未だに米軍に有るからである。
 
 この滑走路の存在によって、周辺地区は騒音の影響を受けているが、それと同時に航空法による高度制限を受けている。具体的な制限内容は下図の通りである。
  
 これを木更津の地図に落とし込んでみると、精度が落ちる概略図として次のようになる。
  
 木更津市街地の西側や巌根の大部分、金田の一部が45 [m]の高度制限を受けており、滑走路延長線上で0〜60 [m]までの制限を受けていることが解る。
 このうち滑走路南側は海上なので問題は少ないが、北側には民地が広がっている。その財産権の侵害にも成る部分については国で買い上げ国有地としてあり、その一部を江川総合運動公園として解放しているところである(参考)。
 
 さて、3月議会で地球温暖化対策として風力発電の必要性を唱えた。この制限区域で建設可能か考えるために、最寄りの袖ヶ浦海浜公園に有る風力発電所のスペックを調べてみた。

3月11日撮影
風車型式 水平軸プロペラアップウインド型風車
定格出力 250 [kw]
ローター直径 29.7 [m]
ハブ高さ 41.0 [m]
起動風速 3.0 [m/sec]
定格風速 15.5 [m/sec]
停止風速 25.5 [m/sec]
制作者 石川島播磨重工株式会社
 ハブ(中心軸)の高さにローター直径の半分を加えた値が最大高として計算すると55.85 [m]となり、航空法の高度制限を10.85 [m]越えている事が解った。もっと小振りな物で無いと建設できないようだ。
 参考にハブ高さを11 [m]低い30 [m]とした場合、羽の下端はどの高さになるかというと、まだ15.15 [m]も残る。高い方が強い風が吹く事などから適切な設計も有るだろうが、出来ない数値ではないようだ。
 
 アクアライン着岸地は一部を除き高度制限の外側であるからアクアラインを見下ろせる施設も建設できるようだ。
 例えば香川県坂出市の瀬戸大橋タワー(132 [m])や先月シンガポールに開業した世界最大の観覧車である「シンガポール・フライヤー」(設計者は黒川紀章氏、165 [m])も理屈上は建設可能なようである。
 航空法の制限の中でも外でも、出来ることは結構あるものだと確認したことを忘れないように記載しておく。