君津新橋の通行止めで考える
2008/11/07記
 君津市にある君津新橋で10月23日、アーチリブと床版をつなぐ垂直材のPC鋼棒1本が破断しているのが見つかり、同日午後10時から、橋を全面通行止めにしているというニュースが先週末に届いた。
 技術的な話をすると、君津新橋は橋長68.1mの鉄筋コンクリート製ローゼ橋という上弦式アーチ型式であり、アーチリブから橋桁をPC鋼棒で吊る型式となっている。この型式の橋は中間橋脚を建てにくい山岳部に多いが都市部でもモニュメントとして選択されることも少なくない。隅田川でも水神大橋や小台橋等が鋼製であるが同じ型式である。橋は1973年に完成し、橋歴はまだ35年である。
 アーチリブから吊されたPC鋼棒には当然ながら、常に引っ張り力が作用する設計であり、腐食に気を付けなければならないが、35年程度で破断することは想定していなかったと思われる。
 ちなみにこの型式の橋は木更津市管理の中には無い。
 
 9月議会で橋梁の延命のためには適切な維持保全対策が必要だから対策を講じるべきだと質問したが、隣接市の橋梁の通行止めでその重要さが確認されたことになる。喜んで良い話ではないが、主張の正しさが証明された事で発言に力が付く。
 
 さて、行政財産は当然橋梁だけでなく、土の中には上下水道管が有り、道路や公共の擁壁、公園や公共緑地、水路や街路灯や水道タンクも行政財産である。建築物も市役所・小中学校・市立保育園・公民館・市民会館・福祉会館・健康増進センター・消防署等数多くの財産があり、今年開館した郷土博物館も県から市に権利が移されている。それらを管理者として適切に維持管理していかねば市が管理責任を問われることになる。
 
 広く公共の用途に使われる物だけでなく、例えば市営住宅のように市の施策に従い、特定の利用者が使用する公共財産もある。この場合は大家の責任として、やはり適正な維持管理が必要になるのである。市営住宅については、前にも書いたが昭和30年完成の岩根団地は既に53年が経過しており、最も新しい江川団地でも31年が経過している。当然、全てが昭和56年の新耐震基準適用前の建築物である。
 
 君津新橋では災害が発生する前に異常が発見されたので良かったが、災害を未然に防ぐ手法は適切な維持管理と伴に、必要以上の公共財産については削減を行うことではないかと考えている。
 具体的には鳥居崎公園の市営プールはいきいき館の室内プールや各学校のプール、さらに袖ケ浦市の百目木公園や君津市の外箕輪運動公園で機能を代替えしてもらい廃止を検討すべきと思うし、少子化の流れの中で特に中学校については適切な統廃合を検討するべきだと主張し続けている。
 
 同様に市営住宅について考え始めたが、なかなか福祉施策との関連が深く問題が単純ではない。視察に行った那覇市では沖縄特別措置法の関係で建設助成金が70%もあり、45%しか来ない我が市では参考にならない点も多い。より良い状況への道のりは困難が多そうなので君津新橋のように通行止めにしてしまおうかという弱気に襲われながら、12月議会質問通告の2週間前の日々を過ごしている。