第3中学校の入札結果に思う
2010/05/17記
 13日の木曜日の午前11時に木更津第三中学校校舎改築工事の入札が行われた。入札には20者が参加を申し出て、遅刻により失格となった者を除く19者が札入れを行った。
 19者を入札経過書の順序通りに記載すると、日本国土開発、東亜建設工業、フジタ、淺沼組、村本建設、間組、鹿島建設、松井建設、奥村組、三井住友建設、大林組、前田建設工業、東急建設、東洋建設、鉄建建設、竹中工務店、大本組、戸田建設、佐藤工業であり、全て著名な施工力のあるゼネコンばかりである。
 中には清水建設の様に、大手でも参加していない業者は居るが本件に参加資格の有る業者の半分以上が入札に参加する人気物件であったようだ。
 
 その19者が入れた金額が全て同額であり、くじ引きの結果、佐藤工業が落札業者になったのである。全ての会社が同じ金額に成るというのは単純に考えれば談合ではないかと疑うことも有るだろうが、今回は制度上、特定の金額になるべくしてなったのだ。
 それは、前にも書いたように、入札に先立ち、予定価格(消費税等を含み10億5252万円)と最低制限価格(同じく8億9464万2千円)の公表がなされているため、最も安価な額は最低制限価格であり、それを全社が選択したので同額になったのである。
 
 価格の事前公表については全国的に異論が出ている事も聞かれるが、これを非公開にしていた時代には予定価格を知るために業者が職員に接触を試み、時として贈収賄などの不正を招いたり、情報を握る少数の者が事前に業者を決めてしまうなど、入札に不当な権限を行使したりしたような事例が発生した経緯がある。その対策に事前公表制が導入されたので維持すべきと考えている。
 
 より問題なことは、参加した全ての企業が『これ以下では品質の保証が出来ませんので失格とします』というギリギリの金額でも施工できる、と入札の形を通じて意志表示したことである。
 3月議会で問題提起をした低入札調査制度の導入が間に合っていた場合には、この制限価格以下での競争が行われた事が容易に想像でき、結果としてさらに数%低い価格で発注が出来ただろうと思う。数%とは言え、1%が1千万円に相当される額の工事なので、数千万円から場合によっては1億円を超える削減メリットを失ってしまったことは残念である。
 おまけに、例えばくじびきの結果として東亜建設工業が取れば準市内業者なのでまだ良いが、それ以外の木更津市に納税していない会社が、本来可能かも知れない額より高額で取ったと思うと、議員として無策だった自分を恥じるしかない。
 
 ただ、今回の制度は違法なものでなく、佐藤工業との契約は正しく成立しているのであるから、せめて数千万円の価格削減期待値を背負っている分だけでも、安全に高品質な施工を速やかに行って貰い、皆が佐藤工業さんにやってもらって良かったという声が聞こえてくることを願うばかりである。