請西保育園用地を考える
2011/08/06記
 本日は広島に人類最初の原爆が投下されて66年目の日で、更に東日本大震災で福島の原発が放射能を放出して最初の式典の日という事もあり、それに関する意見でも書こうと思っていたが、4日の会派代表者会議、5日の教育民生常任委員会協議会で説明された請西保育園の用地について思うことを記載する。
 
 この保育園については、4/29に長文で問題を指摘している所であるが、最近になって議会に説明された立地場所について十分に納得できる説明が行われていないので、今回、用地の問題に絞って再度記載するものである。従って前回の内容と重複する部分が多く出ることをお許し戴きたい。
 
 請西保育園については3月市議会の予算審査特別委員会においても、本年度から始まる第4次3ヶ年計画で12月には計画が無かったものが、3月議会では説明もなく唐突に予算計上されてきたものなので、予算案を修正するか、付帯決議を着けての賛成とするかなど、休憩中に様々な意見が出されながら、その設計費が入った予算案が賛成されたという因縁を持つものである。
 ちなみに、予算案に賛成の討論を行った鶴岡議員の発言を抜粋すると『整備事業予定地については、学校予定地、市有地、民間所有地のいずれも候補であるとのことでありますが、本市の厳しい財政状況をかんがみれば、学校予定地等の市有地を事業地に充てることが基本であり、新規に用地取得を行うことは避けるべきであると思います。(中略)十分な検討を早急に行い、より良いものが整備されるよう要望し、賛成意見とさせていただきます。』と有るように、民間の用地取得は謹んで下さいよ、と表明されていたものなのである。
 
 しかし、今回議会に示されたものは7月15日に開催した経営戦略会議において請西東7丁目2番地の民有地2,632uを借地して建設することを決めたので報告する、というものであった。
 議会の承認を得るのではなく「決定事項の報告」である。
 
 『議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例(昭和39年3月30日条例第9号)』では、議会の議決に付さなければならない財産の取得は、予定価格4,000万円以上の不動産で、1件5,000u以上のものに限るため、今回の用地を仮に取得するとしても議会の承認が必要なく、ましてや借地では議会に報告する前に市長部局で決定することに法的な瑕疵はない。
 市が決定した土地で既に予算を認められている実施設計を進めて年度末を迎え、翌年度の予算を審議する段階で始めて議会は賛否を主張出来る立場になるというものである。
 
 もちろん、執行部も3月になって否決され実施設計が無駄になるような事が無いよう、今回の話を持ち込んで来たのであるから、その点は評価しよう。しかし、今回決定した土地ありきで議論が進んでいる印象は強く、他に比較された6候補地のうち民地の2箇所では地権者との交渉が行われず、最も重要な小中学校用地の利用については教育委員会から『困難と思われる』という回答を得た段階で簡単に候補から除外している。
 何故、学校用地の利用が不可能なのか、それも広大な中学校用地に小学校を建てるのに余裕がない事や、小学校の建設を見送る小学校用地を第二中のグランドに使用する案が有ると噂が出ながら3,000uを他用途に利用した場合の検討がされていない状況を考えると、議会としては資料不足を理由に議論を打ち切らざるを得ない。
 そもそも、私の知る教育委員の方々の常識的な判断力を考えると、委員会に対して請西保育園が求められてきた経緯とそのための用地確保の是非を正式な形で提案しているか、という事すら疑わしく思えてくる。
 
 土地を周辺価格に比べ不当に高く借りるというようないかがわしい話では無いし、区画整理で整備された良好な土地を年間2百万円程度で借地される事は、予算上からも大きな問題でも無いため執行部側がこの案件に対して問題意識を持っていなかったことは解らないでもない。
 しかし、その数年分の借地料に相当する工事費を学校用地に投じれば、平坦ではないので使用不可能と言っている法面に擁壁を設置して利用可能な土地を確保することが可能になる。
 個人的には、擁壁などを造らなくとも小学校としては広大な平坦地が残ることはほぼ間違えないと思われるので、9月補正で上程されるであろう真舟小学校の実施設計が終了した段階で、例えば野球場とサッカー場と陸上トラックを別々に設けるような贅沢な配置を考えた場合、何故もっとコンパクトな設計にして保育園用地を捻出できなかったのかと、この問題が再燃する可能性も高いことを付記しておきたい。
 
 さらに、民間の所有する土地を民間に売却するなどして利用して貰えば、市には固定資産税等の収入も発生する(200uの宅地で年間8万円を目安にすると、当該土地を利用した場合は約百万円の税収に相当する)。そのような収入面の側の問題点も考慮すべきであろう。借地料と納税額の双方で本市が失う仮想の金額は、毎年公園整備に掛けている予算額に匹敵しているのだ。
 
 今まで市民に対して木更津市は予算が厳しい、と伝えてきた立場からして、この問題を検討せずに了承することは、以上のような理由で難しい。10日にも教育民生常任委員会協議会が再度開かれるようなので、その審議を見守りたいと思いながら、自分の考えを整理するために、ここに記載する。