請西保育園を考える | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2011/04/29記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3月の定例議会の最中に大震災が起きたためか、ずいぶん昔の話の気がする。その3月議会で争点になったのが、前にも書いたように職員に対する地域手当の支給に関する事項と、今回記載する(仮称)請西保育園の整備に関する事項である。 本件に関し、私は昨年9月議会において、著しい人口増加を示している請西東・南地区及び羽鳥野や港南台地区について、子育て支援を通じて本市への転入増加政策を行うべきだ、という視点から認可外保育園への助成と保育空白地区への設置の質問を行ったので、当事者の一人として思うことを記載しようと考えていたのであるが、震災の関係で後回しになってしまった。 議会質問に対する執行部の回答(抜粋)は下記の通りだった。 待機児童が発生していない中で、認可外保育施設利用者に対する市単独の補助制度の導入については、現時点では厳しい。保育空白地域への誘致は幼保一体化構想との関係で、私立幼稚園の動向も含めて、総合的に判断する。従って新規の保育園の誘致は「木更津市次世代育成支援対策審議会」で検討する(福祉部)。 第4次行政改革大綱では、市立保育園の民営化について、正規職員以外による行政サービスが可能な分野は効率的な手法の導入を図るといった視点から保育園のあり方の検討を進めて行くべきと考える(総務部)。 この回答に沿った形で第4次3か年プランの素案が作成され12月議会でも意見交換が行われ、さらにパブリックコメントも実施された。3月議会が始まるまで、本件に対する対策は特に講じないという認識だった。 しかし平成23年度予算の中に、突如として(仮称)請西保育園の整備に関する項目が追加されたのだ。当初案では新規に土地購入を行うことも含めて用地を検討し、運営方法は公設公営、つまり市立保育園として設置すると言うことであった。 民営化を前提とした行政改革の中で、新規に市立保育園を作ることに多くの議員から疑問が寄せられるなか、2月25日に教育民生常任委員会協議会が開催された(協議会なので公式な議事録は公開されない)。その場で、手狭で老朽化した祇園保育園の廃止も含めた検討である事を知る。新規に市立保育園を作るのではなく移設して名称を変えるのだという意向のようだが、祇園保育園の父兄や関係者の了解を得られたわけではなく、その上、市長の諮問機関である木更津市次世代育成対策審議会保育サービス検討部会や、行政部局の意志決定機関である経営戦略会議においても計画決定後に報告されたことが解る。 私は質問した趣旨の通り、木更津南部の丘陵地において子育て政策を進めることは賛成であり、それは多くの議員が共通して思っていることだと認識している。しかし、今回の提案は唐突であり、手続き的に問題が有る他、@用地の新規購入、A市立保育園という運営形態、B祇園保育園の廃止、という3点が問題となっているのである。 最初の用地の新規購入について記載すると、現在でも土地開発公社から引き取った土地や八幡台中学校用地等、多くの未利用公共用地について議論を進めている中で、なぜ市が保有する公共用地に建設せずに、新規に求めるのかが理解できない。 ちなみに、当該地区に近い公共用地では、(仮称)真舟中学校用地がある。ここには第二中学校を移転するべきだという学校適正規模等審議会からの答申があったが、それでも比較的大きな用地面積を保有していたと思い、各学校と比較してみると下表の通りになった。 |
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当該用地は現在の中学校用地の平均より、約1万uほど広いことが解る。現在、最大の面積である畑沢中学校と比較しても、約3千uは広いため、一部を保育園に使用することは可能であろう。 では、保育園に必要とされる面積を市内の公立保育園で調べてみると下表のように成った。 |
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上記の一覧表でも祇園保育園の狭さは際立っている。しかしそれ以外はおよそ2千u程度で一定であり、前述の中学校敷地の余裕面積より遙かに少ない。今年度開設のいすみ市立夷隅保育園は3保育園を統合して広大な面積で開設したと評判であるが、その面積は約9,900uであり、それを確保することは流石に困難である。だが、少なくとも現在市内最大である久津間保育園の倍程度を確保することは不可能ではない。 従って、現在の中学校用地に保育園を併設する形態で一体的に設計し、利用することは難しい話ではないと思われる。その前提に立つと今年度に単独の保育園設計を行うのではなく、学校の移転や統廃合の結論後に併せて検討する方が良策と思われる。 次に運用形態であるが、常任委員会や予算審査の中で、市立が決定と言うことではなく、総合的に考えていくと前向きな話になってきたことは望ましい話と受け止めている。なぜ、私が民営化に拘っているかというと、サービスの水準が変わらないのに市立では園児一人あたりの予算額が遙かに高くなり、その分だけ他の項目に回すことが出来なくなるからである。 また、市立として開設した保育園を私立に変えることに対しては保護者の一部が変化を嫌い、抵抗が大きくなる事が既に立証済みなので、敢えて市立でスタートするリスクは避けるべきと考えるのである。 そもそも、福祉法人以外にも保育園の開設が認められ、現在では株式会社による運営形態で評判を高めている組織もあるのだから、市内の法人で名乗りを上げる者がなければ、より広く募集をするべきだと考える。 そして、保育園の運営・建設と第二中学校の移転校舎の建設と維持管理、さらには現在の第二中学校用地の利用までを含んでPFIもしくはPPP方式で進めることで行政負担を減少させることは十分検討の余地があると思われるが、如何であろうか。 最後に祇園保育園の件であるが、高橋議員の質問で明らかになったように幼児が居ないのに土曜日に開園するような無駄は別の次元として問題を残すが、東清保育園を廃止したように理解を得るためには長い時間を掛けた説得が必要である。それが終了するまで請西の保育園を待つことが出来るのか、タイムスケジュールは良く検討されるべきであろう。 他にも昨年度から行政の補助が無くとも乳幼児の育成に協力してくれている「なのはな保育園」のような認可外施設に対する対応を平行して検討することが必要であり、ほんの半年前に私に対して答弁した内容と変化が大きすぎる問題が山積みなのである。 改選を受けて最初の6月議会では多くの議員が一般質問で取り上げると予想されるこの問題について、現在の考えを整理するため、連休初日ではあるが、記載した。 |