行政の市民参加を思う
2012/01/02記
 12月議会終了後の議員全員協議会で13件の報告があったことは活動記録の19日に記載したとおりであるが、その多くが意見公募をかける前に議員へと情報を提示した物であった。
 
 木更津市では、意見公募を行う案件については、市議会議員も正式な手続きをとって意見提出を行う事が求められており、それは市民の意見の一つとして扱われる。「公正」といえば聞こえがよいが、背景に有る行政情報を良く知る議員も同様の扱いというのが個人的に多少解せない思いもしている。
 ともあれ、正月休みの時間を使って、少しぐらい意見を提出しようかと、市役所のHPで木更津市意見公募制度(パブリック・コメント制度)の頁を見てみると、下表のように19件にもおよぶ膨大な課題が記載されていた。
 
No 政策等の課題 実施機関名
1 木更津市郷土博物館金のすずの設置及び管理に関する条例の一部改正について 教育部
文化課
2 木更津市立図書館設置及び管理条例の一部改正について 教育部
図書館
3 木更津市立公民館設置及び管理運営条例の一部改正について 教育部
公民館
4 (仮称)木更津市暴力団排除条例(素案)の制定について 市民部
市民生活課
5 「木更津市第9次交通安全計画(案)」について 市民部
市民生活課
6 「第2次健康きさらづ21(案)」について 市民部
健康推進課
7 (仮称)木更津市公共案内看板設置に関する条例(案)及び同条例施行規則(案)の制定について 都市整備部
土木管理課
8 木更津市営住宅設置管理条例の一部改正について 都市整備部
建築住宅課
9 (仮称)木更津市林道の管理に関する条例(素案)について 経済部
農林水産課
10 木更津市協働のまちづくり条例及び木更津市協働のまちづくり活動支援金交付要綱の一部改正(案)について 企画部
企画課
11 木更津市男女共同参画計画(第3次)(案)について 企画部
企画課
12 中小小売商業振興法に基づく高度事業化計画(商店街整備計画)の認定に係る審査基準(案)の制定について 経済部
商工観光課
13 中小小売商業振興法に基づく高度事業化計画(店舗集団化計画)の認定に係る審査基準(案)の制定について 経済部
商工観光課
14 中小小売商業振興法に基づく高度事業化計画(共同店舗等整備計画)の認定に係る審査基準(案)の制定について 経済部
商工観光課
15 中小小売商業振興法に基づく高度事業化計画(商店街整備等支援計画)の認定に係る審査基準(案)の制定について 経済部
商工観光課
16 中小小売商業振興法に基づく高度事業化計画の変更に係る審査基準(案)の制定について 経済部
商工観光課
17 中小小売商業振興法に基づく高度事業計画の認定の取り消しに係る処分基準(案)の制定について 経済部
商工観光課
18 (仮称)木更津市産業振興基本条例(素案)の制定について 経済部
商工観光課
19 (仮称)木更津市工場立地法準則条例(素案)の制定について 企画部
産業立地課
※  意見公募期間はNo.1〜3が11日まで、No.4〜8が18日まで、No.9〜18が19日まででNo.19が23日までである。
 
 No.12〜17の6件は「中小小売商業振興法に基づく高度事業化計画」に関する物で、実質的には同一案件であることを加味しても課題の数は14件である。さらには「第2次新きさらづ障害者プラン(案)」と「高齢者福祉・介護保険事業計画(素案)」についても今月6日から来月4日にかけて意見公募を行うことが1日に届けられた『広報きさらづ』に示されており、これだけの内容に目を通していただける市民がどれだけ居るのだろうと思わされる。
 HPでは各課題における「策定の趣旨・目的・背景等の概要」も記載されているが、それを見ても概要が簡単に分かるわけでないものが多い。このパブリックコメント制度が「市民の見えないところで決めたわけではない」という弁明の制度に見えてくるのである。
 
 もちろん、この制度が無いことを考えて比較すると良い制度であるが、デメリットとしては意見公募期間だけ意志決定が遅れるという点と、職員の事務量が増えるという点がある。
 市街化調整区域の地区計画制度のように多くの意見が出された課題も若干は有るが、殆ど意見がない課題が大多数である。これは行政上の問題に対する情報が市民に十分届いていない事も理由の一つであるが、基本的には市の制度が若干変わっても法律制度の中にあり、あまり影響は出ないだろうと市民が感心を示していない為でもあると考えている。実際に税金は法律でしか掛けられないというのが法学者の主流で、地方自治体にはごく一部の例外を除き、課税自主権が無いのである。
 
 昨年に大阪で吹き荒れた政治の風は、中央の国会の無力さに対する諦めも含まれているだろう。政権政党である民主党では反対意見の表現方法として離党という現象を起こしている以上、国に対する信頼は薄らいで行くばかりである。だからこそ地方が注目されているのだろうと思いたい。
 地方自治は民主主義の学校だといわれている。自らに身近なことを直接決めていける制度の拡充は必要で、経済力の差による都市間格差を是正する手段は別に講じる必要があるが、行政力の差による地域格差が生じる制度は設けるべきだと私は考えている。
 市制施行70周年に向かう本市が、行政力によって跳躍する年にしなければ成らないし、それに市民が注目し、積極的な行政参加が出来る仕組みをどうするべきか、そんな事を考えながら2012年を送りたいものだと年当初に考えている。