人口の推移を検証する
2012/10/15記
 来月の3日に市制施行70周年記念事業が開催される。
 木更津市としては人口13万人を超え、現在でも人口は増加傾向に有る中で行われる式典は本市の輝かしい未来を示すものとなり、進出を考えている企業には、その背中を押すきっかけに成ればよいと考える。
 
 しかし、人口が増加していると言っても、それは丘陵地で行われた区画整理のエリアが中心で、郊外部は減少していると3年半前に指摘したとおりである。
 その後、13万人を超えたり、国勢調査による補正等が行われながらも数年間検証を怠っていたので、70周年記念式典の前に整理してみた。
 
 まず、地域別の人口であるが、平成になってからのデータは文末に載せたとおりであるが、やはり請西を含む木更津地区と羽鳥野及び港南台を含む波岡地区の人口増加が顕著で、ほたる野を含む清川地区が最近の数年間で人口増加に転じている事を除けば、郊外部の全てで人口が減少に転じている。
 そこで、人数の増減を1989年(平成元年)を基準としてグラフにすると次の通りになった。
 
 波岡地区が平成になってからの24年間で7,206人も人口を増加させている一方で、岩根地区では3,136人も減少しており、来春の航空自衛隊再編による隊員数約250人の減少効果が此処に重なることになるので、岩根地区の活力はより一層低下することに成りそうだ。この打破として、快速停止は必要な事業だと確信する。
 
 減少数としては岩根地区が最も大きいが、元の人口が少ない地域では人口減少が地域にとって致命的に成りかねず、その対策として地区計画制度による農村部の開発を可能としたのではあるが、手続きの難しさのためか、まだこの制度を利用して事業に着手したところはない。
 ちなみに、平成元年を基準として、人口の増減率(%)をグラフにすると次の通りである。
 
 波岡地区が37.4%も人口を伸ばしている中で、もともと人口が少ない鎌足地区では29.1%も減少してしまった事が解る。平成元年には10人で行っていた地域のことを7人で行うという事になり、地域のコミュニティ維持が困難になっている事を想像させるに充分である。また減少の勾配が変わっていない事を考えると、平成元年に対して人口が半減してしまうのは、わずか12・3年後になると想定でき、早急な対応が必要だと思われる。
 
 人口の増減を地区別でなく要素別に検証してみる。まず自然増について出生と死亡を比較すると次のようになる。
 
 本市の人口は増加傾向であるが、2006年以降を見ると2010年を除き自然増ではマイナスに成っているのである。最近の出生数が1,100人前後で落ち着いているのは喜ばしいことだが、死亡者数の増加は、火葬場の更新などの問題と併せ、今後の行政課題に成ることも、このグラフから容易に想像される。
 
 このように自然増が減少となる中での人口増加は社会増による結果である。自然増と社会増を比較すると次のようになる。
 
 2010年(平成22年)の社会増が突出してグラフを飛び越えているのは、国勢調査による補正を行ったためで、それを除いても近年は社会増がおよそ千人程度で落ち着いており、自然増が減少になったことを打ち消し、お釣りが出ているのである。
 
 社会増の内訳を転入と転出で比較すると次のようになる。
 
 近年に転出者の減少が顕著なことは、アクアラインを含む交通網の整備により、木更津市に住みながら対岸等で職場を求めることが可能になったことや、多くの企業進出により近郊で職場を確保する事が可能に成ったことが大きいためと想像できるが、そこまでの検証は今後に任せたい。
 転入を見ると、国勢調査の補正を除けば毎年6千人程度、つまり人口の5%程度が新市民として木更津に来ていただいている状況は変わらないので、新市民にも優しい行政を行う事の重要さは変わらなし、本市の成長はそこに掛かっていると考える。
 
 ともあれ、人口の増減について傾向を見た次第である。多くの事柄をこれから読みとり、今後の活動につなげていきたい。

▼地区別人口の増減データ
木更津 波岡 清川 岩根
H1 1989 34,521 19,292 27,074 20,592
H2 1990 34,532 20,464 27,030 20,396
H3 1991 34,451 21,155 27,295 20,189
H4 1992 34,539 21,675 27,745 20,036
H5 1993 34,726 21,967 27,775 19,948
H6 1994 34,748 22,304 27,542 19,869
H7 1995 34,534 22,221 27,217 19,840
H8 1996 34,464 22,102 26,973 19,698
H9 1997 34,225 22,152 26,783 19,465
H10 1998 34,451 22,197 26,570 19,353
H11 1999 34,595 22,523 26,339 19,262
H12 2000 34,742 22,807 26,289 19,076
H13 2001 35,196 22,919 26,213 18,979
H14 2002 35,386 23,090 25,972 18,780
H15 2003 35,708 23,364 25,926 18,713
H16 2004 36,227 23,369 25,981 18,457
H17 2005 36,458 23,597 26,026 18,368
H18 2006 36,783 24,214 26,065 18,262
H19 2007 37,097 24,765 26,331 18,087
H20 2008 37,730 25,215 26,719 18,080
H21 2009 38,437 25,626 27,203 17,960
H22 2010 39,530 25,870 27,616 17,719
H23 2011 40,259 26,130 27,812 17,667
H24 2012 40,982 26,498 28,072 17,456
 
鎌足 金田 中郷 富来田
H1 1989 3,340 5,418 3,708 7,888
H2 1990 3,363 5,385 3,704 7,890
H3 1991 3,239 5,391 3,683 7,966
H4 1992 3,241 5,344 3,733 8,034
H5 1993 3,220 5,361 3,736 8,041
H6 1994 3,193 5,332 3,693 8,084
H7 1995 3,216 5,313 3,671 8,053
H8 1996 3,238 5,275 3,715 8,128
H9 1997 3,181 5,231 3,613 8,121
H10 1998 3,105 5,163 3,612 8,146
H11 1999 3,015 5,091 3,560 8,200
H12 2000 2,932 5,079 3,536 8,132
H13 2001 2,899 5,060 3,511 8,097
H14 2002 2,870 4,985 3,489 7,995
H15 2003 2,785 4,888 3,469 7,899
H16 2004 2,761 4,863 3,482 7,822
H17 2005 2,725 4,802 3,471 7,703
H18 2006 2,685 4,714 3,433 7,616
H19 2007 2,648 4,627 3,381 7,462
H20 2008 2,603 4,516 3,343 7,350
H21 2009 2,510 4,434 3,304 7,189
H22 2010 2,454 4,379 3,247 7,089
H23 2011 2,398 4,327 3,176 7,006
H24 2012 2,368 4,234 3,131 6,876

▼要素別人口の増減データ
自然増 社会増
出生 死亡 増減 転入 転出 増減
H1 1989 1,128 632 496 6,818 6,307 511
H2 1990 1,129 682 447 6,406 6,098 308
H3 1991 1,071 779 292 7,601 6,636 965
H4 1992 1,113 779 334 7,051 6,661 390
H5 1993 1,183 823 360 6,807 7,126 -319
H6 1994 1,112 813 299 6,400 7,017 -617
H7 1995 1,090 852 238 5,825 6,734 -909
H8 1996 1,162 893 269 6,033 6,720 -687
H9 1997 1,059 867 192 5,763 6,805 -1,042
H10 1998 1,098 862 236 6,228 6,493 -265
H11 1999 1,068 893 175 6,479 6,325 154
H12 2000 1,128 837 291 6,384 6,445 -61
H13 2001 1,048 870 178 6,100 6,266 -166
H14 2002 1,101 942 159 6,117 6,271 -154
H15 2003 1,043 970 73 6,563 6,159 404
H16 2004 1,032 975 57 5,986 6,048 -62
H17 2005 1,062 1,021 41 6,416 6,429 -13
H18 2006 999 1,028 -29 6,361 5,439 922
H19 2007 979 1,033 -54 6,421 5,458 963
H20 2008 991 1,120 -129 6,332 5,106 1,226
H21 2009 1,090 1,162 -72 6,294 5,096 1,198
H22 2010 1,111 1,052 59 8,614 5,196 3,418
H23 2011 1,105 1,168 -63 5,811 5,148 663