ひたち海浜公園で考える
2013/04/07記
 3月議会の一般質問や予算審査の中で、現在の観光は昔のように寺社仏閣を訪ねるのでなく『食』と『花』が重視されていると、経済部次長より話が出ていた。確かに私個人もB級グルメの祭典等に出かける事が多いので『食』は理解できるが、山や海の風景やレジャーの体験より『花』が順位では上に来るという事に意外な思いをしていた。
 たしかに数年前に農協が金田で展開した『花ほたる』は大変好評だったし、北海道といえばラベンダーというイメージも確立されている。しかし昔から各地の梅林や各地の桜の名所、房総の白浜や千倉の花畑がブームに成ったという話しも余り聞かない。
 その様な中で最近注目を集めているのが国営ひたち海浜公園である。ここの「みはらしの丘」で春のネモフィラの青、秋のコキアの赤が、空に溶け行くような風景を強烈に印象づけており、多くのバスツアーなどが組まれているようだ。
 
 そもそも国営ひたち海浜公園は、米軍水戸射爆撃場の跡地利用として1979年に事業着手したもので、1991年に約70haが一部開業し、現在も公園総面積約350haのうち約190haが開業している状況に過ぎず、未だに拡張中のようである。上記の「みはらしの丘」は2008年に供用を開始したエリアで、正直なところ、それまで私はこの公園の存在に気が着いていなかった。
 そろそろ一度現場を見てきたいなと思い、天気が良いという予報が出された4日の木曜日に男体山の登山も兼ねて見学してきた。  
 花の丘の印象が強い公園であったが、施設は全体に充実しており、延長11kmに及ぶサイクリングコースが歩行者の導線と立体交差するように張り巡らされて貸自転車で楽しめるように成っており、噴水の池や茨城の山里の風景などの心落ち着く公園部分や、子供が楽しめる別途料金が必要な遊園地の部分など、バラエティに富んだ構成には感心させられた。平日に係わらず大勢のお客さんが居ることや、除草等で多くの人が働いている事も目にするにつけ、集客力や運営力といった国営公園の底力を感じさせられた。入場料が400円と安いので、はたして採算は黒字だろうかと余分なことも気になる。
 このような施設を地方自治体で所有することは難しいが、「みはらしの丘」のデザインで思ったことがある。それは視界に花と空以外が見えなくさせることで、決して広大でなくとも「いちめんの花」という印象を与えることが出来るという事である。例えば矢那や伊豆島のように山が高くない中山間地で、一つの谷を左右の稜線まで一つの植物(例えば菜の花や芝桜等)で埋め尽くし、それを谷底から中腹に作った園路から見るととても絵になるだろうと思うのだ。更には駐車場からは見えず、曲がりくねった垣根の道を抜けたらその風景が広がるようだと強い印象を残すだろうし、中には簡単なカフェでも有れば最高だ。今は携帯で撮影した映像がフェイスブック等の電子媒体で発信されることでクチコミが広がるから、強い印象の風景を作ることは木更津への来客を増やすことに繋がると思う。2時間以上、公園を歩きながらそんなことを考えていた。
 
 さて、公園といえば、そこで市民の健康維持も考えたいものである。ひたち海浜公園では気が着かなかったが、最近出かけた海外で運動施設が普通に設置されていることも見てきた。
 上の写真は昨年の4月に韓国の仁川で撮影した物で、下の写真は先月にベトナムのホーチミンで撮影した物である。どちらも散歩中の市民が身体を動かせる施設が設置されている。同じ物は隣の市にある袖ケ浦公園でも見ることが出来る。公園というと児童が遊ぶための「砂場」「ブランコ」「滑り台」というのが一般的であるが、このような大人のための施設も欲しい物だと、これはホーチミンで考えていた。
 
 景色としての公園、外出して健康を維持するための公園、それぞれに目的は異なるが、過去を踏襲するのではない、新しい何かを生み出すことも必要だと、地域から外に出ると考えさせられる事は多い。