税の収納を考える
2013/06/22記
 6月議会の質問で収税対策室について質問を行った。これは近年、税金や公金の滞納者が増加傾向にあるため、その対策としての債権管理の一元化を強力に進めていただきたい、という考えに基づくものであった。
 そんな質問を作成する過程の中で、三重県亀山市での強力な取り組みを発見してしまった。それは『市税等の滞納者に対する行政サービスの制限措置』や『私債権の管理』等を条例化して、債権の協力な回収を行うとともに、回収が不可能な債権等は放棄を適正に行おうとするものである。一読して「ここまでやるのか」と思うところであるが、これは勉強せねば成るまい、と考え来月末に会派で視察に行くこととし、先方の了承を得た。
 
 さて、その様な公金の収納にに関して、市民から質問のメールが届けられた。質問項目は下記の4点である(抜粋)。
 @金融機関等の手数料はどの程度か。
 A納税金額により手数料は異なるか。
 B金融機関等から収納後どのくらいの期間で送金されるか。
 C国保税に資産が加味されるのは税の2重取りではないか。
 
 金融機関による収納代行やコンビニ収納の細部(@〜B)は知識がない所であったので、早速担当課に聞き込みを行った。
 
@ 手数料等について(消費税込み)
 (1)手数料
   ・ 郵便振替用紙による納付・・・・・・1件30円
   ・ 郵便局口座振替・・・・・・・・・・1件10円
   ・ 銀行、農協、信金等の口座振替・・・1件10.5円
     ※ 金融機関の窓口払いは、現在無料。
 (2)委託料
   T ちばぎんコンピュータサービス
    ・ 預金口座振替・・・・・・・・・・1件6.3円
    ・ 市民税特別徴収の伝達・・・・・・1件9.45円
    ・ コンビ二収納 基本料金・・・・・月 52,500円
         OCRデータ処理料・・・・・・1件17.85円
         収納データ管理・加工料・・1件6.3円
   U 千葉銀行
    ・ コンビ二収納事務基本料・・・・・月 5,250円
    ・ コンビ二収納事務委託料・・・・・1件58.8円 
A 納税金額による違いは無い
B 市に送金されるまでの期間について
  ・ コンビ二収納(7営業日、ただし速報データは翌日)
  ・ 銀行等(4営業日)
 
C は個人的に考えるところがあるので文章にて記載する。
 国保税(国民健康保険税)は、所得割・資産割・均等割・平等割という各々の計算値を合算することで、年間の税額が決められる制度で、資産に応じて賦課することは違法ではない。
 しかし、資産割については@固定資産にだけ賦課され金融資産には賦課されない、A居住自治体の資産にのみ賦課され他の自治体に資産がある分には賦課されない、B後期高齢者医療制度では資産割りがない、C居住用の資産はあるが所得のない高齢者は支払いが難しい、Dそもそも資産割を賦課してない自治体も多い、など論点となる部分であり、税の2重取りという批判が有るのもあながち間違ってはいない。
 その一方で@資産割を廃止すると他を増やすしかなく(a)所得割が増え国保加入者の自営業者の負担が上がる(b)均等割を増やすと低所得者の負担感が高まる、A資産所有者は公金の納付率が高いため徴収率が安定する、B資産は景気変動の影響を所得より受けにくく金額が安定する、と云ったメリットも有り、資産が有るなら負担するのが当然だろうという意見に代表されるような廃止に対する抵抗感が高いという問題もあり悩ましい。
 なお自治体によっては「保険税」ではなく「保険料」としているものがある。計算方法は基本的に同じであるが、@保険料では債権の時効が2年であるのに対し保険税では5年である、A保険税では滞納処分として財産の差押をする権利が国税・地方税と同順位だが保険料では国税・地方税に次ぐ順位となる、などの差があり、木更津市では税としている。
 何れにしろ国保料の滞納が増えている、つまり支払えない人が増えている背景である制度設計は良く考えなければならないと、次の質問に向けた課題を整理しながら記載を終える。
 
※後日、この記事に対し、カード決済は行わないかという質問も寄せられた。ご意見の覧にも記載したが、木更津市はコンビ二収納制度を優先して整備し、4月から始めることが出来た。この結果の検証をしてから、次の展開を検討する方針であるため、現在の所、カード決済に取り組んではいない。基本的にはコンビニ収納の手数料は上記に示すように金融機関等に比べ高く、市の実収入が経る。カード決済についても同様の傾向が予想され、市民の利便性を高めると市税の実質収入が経るという問題を今後検討しなければならない物と思う(7/18追記)。