公共工事の展開を考える
2014/04/10記
 先月末に市長選挙を戦っている頃、中野畑沢線の新宿交差点が4車線化され、その後は工事進行中の吾妻水門部分も含め、江川から新宿まで車道の4車線化が終わり、あとは吾妻水門部分の歩道工事が終わればだいたい完成という段階に成った。
 しかし、江川以北では今でも歩車道境界のLU側溝を移設するとかラインを引き直すなどの工事が行われており、完成するまでには時間が必要である。移設も大変な工事であるが、原因は拡幅工事の時に交差点協議を行わなかったためである。
 道路構造令では、片側2車線化の道路を造る場合は中央分離帯の設置が求められるため、右折する場所が限られる事になり、それを地元調整した後に、交差点の警察協議を終えて道路構造が決められるのであるが、最初に拡幅を担当した者は、暫定的に片側1車線化で運用されるため中央分離帯が不要となる事を利用し、その様に面倒な行為を避けた結果、今頃になって手戻り工事が必要になっているのである。
 また、吾妻水門部分でも樹脂系薄層舗装で赤白に塗り分けたり、置き基礎式のガードレールを設置するとか、ラインを書いては消すような工事が数多くあり、今でも右の写真のように、その痕跡で綺麗な状況ではないが、撤去にコストが掛かるので個人的には放任している。
 ただ、旧県道との接続部分において、広い残地が残されることになったが、そこをバリケードで囲っている状況は感心できない。理想的には植裁を配置したポケットパークにすべきと思うが、このような細部の取り合いも事前に設計していないのだろうと推察できる品質である。
 
 このように、作っては壊しを繰り返しているので、当然コストが高く成っている。前にも書いたことではあるが、千葉県の工事にも地元負担金として市が支出しているのだから、もっと計画的に安く事業をして貰いたいと願うのだが、その声はなかなか届かない。
 その一方で、最近交差点に設置された信号機はコストを抑えたためか感知式でなく、交差点に進入する車両も人も居ないのに頻繁に赤信号で止まらされる困った代物である。そもそも片側1車線化では交通容量を捌けないと考えて片側2車線化にしたのに、能力の低い信号機で交通容量を落としているので有れば、この拡幅に要した膨大な事業費が無駄になっているのである。その事に気がつかないのは、信号機をつけるという一部の事だけを考え、事業全体を見ていないという事であり、当初の拡幅の時に協議を避けた者と、同様な問題だと私は思う。
 
 無駄な事業を行ってコストが上がっている事は、費用を負担する上でも問題であるが、現在、東日本大震災復興事業や国土強靭化工事、東京オリンピック特需に加え、景気回復の結果として民間もビルやマンションの建設計画が相次ぎ、人手不足が一段と深刻になっている状況を加速させているようで気が気でない。
 特に被災地では入札で建設会社が決まらない入札不調も多くなり、平成24年度でも宮城県では38%、仙台市ではなんと49%が不調となったと国土交通省の報告には記載されている。震災の時には被災地に物資を届けるため、健全な地域では買いだめを控えようと言う運動があったが、自治体も無駄な工事を控える努力が必要なのではと思っている。
 
 公共工事の人手不足や円安による資材の高騰をうけ、建設事業費が高騰を続けている。例えば、東京都が築地市場を江東区豊洲に移転する工事では、当初予定価格を計630億円に設定していたものが、建設会社が入札を辞退し不成立となったため、都は昨年12月に予定価格を引き上げて公告し、落札額は計1034億円に跳ね上がって2月に成立したように、極めて急激なものである。
 その状況下で、木更津市役所の建て替えも全ての建設業者が辞退するという事にも成ってしまった。これからどの様な展開にするべきか渡辺新市長も悩むところであろうが、築地の事例を見ると建設事業費は大幅に増やさねば対応できないだろうし、それが更に人手不足に輪を掛ける事になるだろう。
 東洋経済の発行する「都市データパック2013」によると、全国の市の中で庁舎の建て替え工事中が33、今後の計画がある市が木更津も含め133と数が多い。他の多くの市と競合しながら高コストで建て替えるより、震災復興や五輪特需が終わるまで、何とか待つという方法はないものだろうか。そう考えながら記載した。