中郷の活性化を考える
2015/02/18記
 一昨日(16日)に開催された議会全員協議会で中郷小学校を建て直して存続する方針が執行部より示されたが、昨日の朝日新聞朝刊の千葉版で【複式学校でも新校舎に】と見出しを付けて、それに関する記事が記載されていた。
 本年1月19日に中央教育審議会初等中等教育分科会が「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」として発表した案には次のような文章がある。
 (望ましい学級数の考え方)として「小学校では、まず複式学級を解消するためには少なくとも1学年1学級以上(6学級以上)であることが必要となります。また、全学年でクラス替えを可能としたり、学習活動の特質に応じて学級を超えた集団を編成したり同学年に複数、 教員を配置するためには1学年2学級以上(12学級以上)あることが望ましいものと考えられます。」
 つまり国として複式学級に成らない手だてを、と自治体に通知を送った直後に複式でも学校を建てるとした対応だったのでニュースになったのだろう。
 
 木更津市が平成21年3月に諮問を行った木更津市立小中学校適正規模等審議会が11回の会議を経て平成23年2月に答申を行った「適性配置のあり方」では中郷小学校については存続が妥当であると結論が出されている。私としても昭和30年に木更津市に合併された中郷村の歴史に密接に関与しており、地域コミュニティの核として交流の場の機能や防災の拠点という観点から小学校の存続は妥当と考えている所であるから新聞の裏にある(それでも残すの?)という感情には違和感を感じる。
 そうは言っても小学校部分に概算で9億35百万円という巨費を要するのなら、もっと地域を活性化し、小学校が活用される施策を検討すべきだと思うのである。新聞記事にも渡辺市長のコメントとして「この地域では都会から移り住んで農業を始める人も出てきている。その受け皿という意味合いもある」と有るが、少し掘り下げて考えたい。
 
 中郷地区は木更津駅からは公共交通の便は良くないが、地域の西部を国道410号線が通過し、高速バスのバス停も設置されているため、実は東京には近い。

東京方面バス停

鴨川方面バス停
 鴨川方面と連絡するアクシー号が運行しており、ダイヤは右に示すように決して多くはないが朝に多く通勤に使用することは可能である。時刻表を調べてみると東京駅まで53分である。JR東日本の東海道本線ではどの程度の距離かと調べてみると、現在人気が高騰している辻堂周辺である。同じ時間距離とは思う得ないほど、中郷と辻堂が置かれている現状には大きな差が出ている。しかし同じ時間だからといって同じように東京のベッドタウンにはしたくない。
 そもそも調整区域で住宅開発が困難な場所であるという前提を越えて、中郷という地域の利点を最高に活用し、例えば東京で簡単に休暇を楽しめる農業地域として、新たに農業を始めようと考える若い世帯の受け皿になるべきであると考える。それが結果的に地域の人口を増やし、活性化に繋がると思うのである。この様な先進事例としては日本海に浮かぶ隠岐の海士町が有名である。
 
 農業委員会を務めているときに遊休農地の調査を行ったが、岩根地区に想像以上に多くの農地が耕作されずにある実態を知った。中郷地区でも相続や離農により同様の状況にあると聞く。一方、農林業を行いたいという都市住民も少なからずあるので、農地を借地して営農を簡単に出来る制度を構築する事が重要と思う。
 現在の米価では稲作農家で生活を営むためには広大な面積を必要とするか独自の販路で高価に売却する等の手段が必要であり、野菜や果樹でも簡単には生活を営むことが出来ないのが現在の農家の後継者不足に繋がっている状況である。
 その事を考えると、ただ受け入れるだけでは夢敗れて離れていく者も続出すると思うので、営農技術の向上だけでなく木更津ブランド(中郷ブランド)の確立による販路の確保が重要になるし、敬啓が軌道に乗るまでの間の生活支援としての住宅政策や貸付制度も必要だろう。
 危機をバネに何処まで地域が変われるか、自治体が変われるかが問われているのだろうと、今回の小学校の報道で感じていた。