中郷からメールが届く
2015/02/28記
 先日『中郷の活性化を考える』というテーマで思う事を書いたが、それに対し『中郷父兄』と名乗る方からメールが届いた。通常で有れば『ご意見と回答』の欄に記載する所であるが、複雑な心境と地域の苦悩が感じられる長文であるので本人の承諾をいただき、当該頁に記載すると共に私の意見を記載することとする。
 届けられたメールは下記の通りである。
 
 中郷の事を取り上げて頂き、また色々とご理解を頂き本当にありがとうございます。耐震工事問題については、木更津市の多くの方々を悩ませ・・・住民としてとても心苦しいです。
 最終的に学校を安全で新しくして頂ける方針を頂き、とてもありがたい気持ちで・・・本当に良かったなと思います(将来中郷に戻ろうかと揺れていた若い世代にとっても大きな安心となったはずです)。ただ、ひとつ非常に気になっているのが人数の問題です。
 新聞記事からも感じる通り、事情を十分に知らない方からは、複式学級の可能性の高い学校をなぜ建てる?という・・・人数の増える見込みの無い学校に大金をかける不自然さを感じるのが普通だと思います。
 中郷地域は今、複数の問題点がある中で、学校問題の核心はやはり「人数の少なさへの心配」だと感じます。我家はそれでも十数名のクラスに居ますので、小規模校のメリットを多く感じられていますが、一桁のクラスのご家庭、これから入学する方は大きな不安を抱えていると思います。それはその人でしかわからない事情や辛さがあると思いますので大きい学校を希望する考えを一概に責める事はできないと思いますし、それをきっかけに地域の分裂が起きてはならないと思います。
 木更津市内の小学校の人数の片寄りも大変気になります。どうにかこの人数の片寄りを無くし、みんなが不安の無い教育環境にできないかと切に願います。
 川崎で起きた中1男子の痛ましい事件も100%大人の責任・・・命の大切さを気づかせるような・・・こうなる前に何かしら支援はできなかったものかと・・・ニュースを見るたび悔しくて、やりきれない気持ちになります。
 木更津市が取り組んでくれている「子供は地域で育てる」の重要さを益々感じました・・・今回の学校建替案も それに基づいた方針との事で非常にありがたく・・・地域もこれを真剣に受け止め、ひとりひとりが意識を高め、出来る事を少しずつという心がけで(まず自分が)がんばりたいと思っています。
 やはり 中郷地域には「住宅を増やすこと」が一番の策だと思い、どうにかならないかと日々思っています。昨年の都市政策課さんのタウンミーティングでも相談しましたが、農振法を外すのが至難の技でかなり希望が薄いような回答でした。それでも 地域の努力次第で 何かいい手立てがあれば取り組みたいと考えている住民も多いと思います。
 児童・生徒数の減少、農業後継者の問題は、ややこしい規制に縛られ住宅が増えない事にあると思います・・・これが改善され、若い世代が農業を始める受け皿になれたら地域にとっても最高の事ですし、アクセスの良いこの地域に新しい世帯が入ってきてくれることが、様々な問題の一番の解決策になると思います。
 せっかく校舎も綺麗にして頂けるのですから、人数の不安も改善してこの機会を大いに活かして、より良い環境にしていきたい・・・住宅が増える方法、何とか見つけたい気持ちでいます。
 長々と申し訳ありませんでした。
 
 子どもが少ない地域に巨費を投じて小学校建設をする決定に対して真摯に申し訳なく思いながら感謝している気持ちが痛いほど伝わって来た。
 木更津市では全国に先駆け、市街化調整区域が衰退する対策として地区計画を立案して開発する事を認める制度設計を行ってきたが、現実には計画書作成に多大なる労力を必要とする上に都市計画決定を待つという迅速性に劣る事情も重なり、現在の所は制度の活用例がない。
 仮に昭和30年に木更津市と合併せず、長生郡の自治体ように現在でも独自の道を歩んでいた場合を想定すると、想定ではあるが都市計画決定を受けることなく、現在でも都市計画法の規制を受けない白地地区でいたのではと思われる(君津市小糸地区のように合併されても白地地区でいる例もある)。
 その結果、アクアライン連絡道建設の頃にはミニ開発が進み人口は増えるが狭隘な道路が袋小路のように張り巡らされ防災面の劣る地域になっていた可能性も否定できない。
 しかし、その時に適切な行政指導を出来ていたら、落ち着いた田園都市が出現していた可能性もある。何より、小学校の存続が問われるような事態になれば長野県下條村のように行政主導により人口増加を図っていただろう事は容易に想像できる事である。
 
 木更津という中心市街を持つ自治体の一部になることで、周辺部が独自の取り組みが出来なくなるとしたら、合併とは何のためにあったのだろうかと地域住民が思うことは当然である。同じようなことは岩根地区に住む私も巌根駅の快速停車に対する木更津地区の理解の低さからも実感している。
 四市合併を言う前に、現在の木更津市の各地区が抱えている問題を我が事のように理解し、行動できる自治体に成らねば成らないだろう。今回のメールを読みながらその様なことを考えていた。