巌根駅の要望を渡す
2015/03/29記
 14日にJRのダイヤ改正が行われ、巌根駅にも京葉線の快速が停まり始めた。これにより東京や幕張への通勤はだいぶ楽になったが、前に書いたように本数はあまり変わらず、県庁所在地である千葉に出かける場合には、蘇我から快速が京葉線に回る分だけ本数が減り、不便になっている事もある。
 岩根や金田の在住者以外には、京葉線快速を停車させたので要求を満足させることが出来たと勘違いしている人も多い。その事が議会人の間に広がった場合には巌根駅快速停車にともなう負担金の支出に同意されないような事態を招く可能性がある。
 そのため、地域はこれで満足している訳ではない、という姿勢を示すためダイヤ改正から2週間も経ていない3月27日に市長に対して『巌根駅に快速電車を停めよう!推進協議会<』として小籠会長以下、多くの役員や顧問の県・市議会議員と供に要望を行ったので報告する。
 
 要望内容は下記の通りである。
 
内房線巌根駅への「快速電車停車」等に関する要望書
 
 渡辺市長におかれましては、これまでも「巌根駅に快速電車を停めよう!推進協議会」の顧問として、様々なご支援、ご協力を賜りまして、誠に有難うございました。お陰様で巌根駅前広場もきれいに整備され、見違えるようになりました。地域住民で駅前花壇の維持を行い、駅前環境の向上に努めて参りたいと思いますので、引き続きご支援をお願い申し上げます。
 14日のダイヤ改正で京葉線快速の巌根駅停車が始まり、岩根住民の間に大きな喜びが広がっています。これまでの木更津市の粘り強い協議には感謝を申し上げますが、今回のダイヤ改正に伴い日中の各駅列車が減少するなど、不便な点が生じていることもご理解下さい。
 私どもの協議会は、平成22年1月25日に内房線の巌根駅への快速電車の停車を求め、地域住民11,526名の署名を添えた要望書を東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)・千葉県・木更津市に提出し、その後もJR東日本に対しては繰り返し要望書を提出いたしております。
 一時期は巌根駅ホームの延伸を行うという機運が高まりましたが、4年前に発生した東日本大震の復興を優先するというJR東日本の方針で先送りとなり、ホーム延長が必要ない京葉線快速を停車することは叶いましたが総武線快速を停車することが出来ずにいます。この間に内房線の長浦駅や袖ヶ浦駅では駅舎の橋上化工事が完了し、北陸新幹線を開業させ、山の手線に新駅の建設計画が進むなど、既にJR東日本は災害復旧から大きく動き出しており、巌根駅においても工事を行う余力は充分に戻っているものと判断します。
 岩根地区は駅の1km圏内に小中学校や幼稚園・保育園、多くの商業施設や病院といった生活インフラが完備されているコンパクトシティの一角を担う地域であり、これからの高齢化・人口減少社会を支える地域の一つになるものと考えます。しかしながら駅周辺には市街化調整地が多く、土地の高度利用が充分に行えない状況であり、既存市街地も開発から50年を経て老朽化が目立っていることも現実です。
 便数の多い総武線快速が停止しない駅では不便を感じる状況にあることは否めず、乗降客も2009年までは2千人を超えていたものが昨年度は1874人まで減少しています。京葉線快速停車で若干は盛り返すと思いますが本数が限られているため影響は僅かだと思われます。
 古い話ではありますが、昭和54年10月から昭和56年10月までは館山発千葉行きの快速列車が巖根駅に朝夕は停まっていた経緯もございます。再度、岩根の活性化が高齢化社会への対応となるものと考え、改めて次の項目について要望いたします。
 
要望項目
 1.JRとホーム延長の協定を締結し、全ての快速電車を停車するよう要望いたします。
 2.巌根駅周辺でコンパクトシティを推進し、地域の活性化を進めるよう要望いたします。

平成27年 3月 27日
木更津市長 渡辺芳邦 様
要請団体 巌根駅に快速電車を停めよう!推進協議会
       
 今回の要望より、多くの社会インフラが整っている巌根駅周辺をコンパクトシティの核として位置付け、それにより人口集積が行われることにより結果的に駅の利用客が増加することも求めている。
 
 要望提出後の意見交換においても、市が負担金を拠出するとしてもJRが事業化を躊躇う事も考えられるため、地域での土地利用の気運が高まることを求めるような発言もあった。袖ケ浦駅北口のように区画整理で権利関係を整理した場合は大手資本による高度利用も容易であろうが、駅周辺に開発から50年以上が経過された居住者の多い旧市街が広がる巌根駅周辺では、市街化調整区域の活用が早道だと思うが、人口減少の我が国において、市街化区域を増やすことは国土交通省が快く思わないようでもある。
   
 高齢化が進む中で都市のあり方はどうか、といった大所高所に立った視点も重要なことであるが、快速停車にともなう地価の上昇と居住者の増加による固定資産税や都市計画税の増加といった財政上の視点、交通弱者に対する公共交通の活用による移動の自由の保障といった福祉の視点等、様々なことを考えながら物事を進めて行かねばと思う。
 なお、JR東日本に対する要望は、春の人事異動が落ち着き、今回の快速停車による影響が有る程度見えた頃、何より統一地方選挙が終わるまで先送りにすることになったが、その期間中に市とJRが事業費の精査を行うなど前向きな検討を進めて貰うことを願いながら、今回の簡単な報告を終える。