協動のまちづくりを思う
2015/08/18記
 昨日は雷が鳴り響き外出には不向きな夜であったが、岩根西まちづくり協議会子ども育成特別委員会の事業報告と慰労会が有ったので、傘に落雷のないことを祈りながら歩いて会場に向かった。
 昨年は7月24日に陸上自衛隊に行き、基地の概要やヘリコプター等の理解を深め、携帯食を食べるなどの経験を積んできたが、今年は8月9日に地元にある伊島建築さんの作業所を借りて親子木工教室を開き、オリジナルの時計づくりを経験する企画としていた。工作だけでなく、昼食の後には「木」という材料の性質や多様性について座学を行い、家族や友人に木の手紙を送るといった内容だったが、子どもたちが真剣に聞き入って楽しんでいる姿には感心させられた。スタッフの企画力の勝利である。
 
 さて、この子ども育成イベントや地域交流ラジオ体操の経費の一部、5月16日の総会後のタウンミーティングや来年3月に予定されている避難所訓練などは市が進める市民協動のまちづくり活動支援事業の中の「地域自治の充実に向けた制度推進事業(以下「地域自治」と表す)」の一貫である。市のHPには何故か平成24年度しか記載されていないが、岩根西地区は木更津市の中でも最初に事業展開を始めた場所で、毎年のように様々な活動をしている、有る意味ではモデル地区である。活動地区も順調に増加し、本年度予算では市内6地区で、それぞれにアイディアを練った取組が行われているようだ。因みに予算は各地区55万円で、自己負担比率の規定はない。
 
 市民協動のまちづくり活動支援事業のもう一つの柱は「協動のまちづくり活動支援事業(以下「活動支援」と表す)」である。これは当初は都市整備部がインフラの活用に主眼を置いた市民活動支援のまちづくり事業として始まったが、企画部所管に成って様々な市民団体の活動に使用できるように改正され、現在は市民部が所管している。
 平成27年度における「活動支援」の採択事業は市のHPに示すように「facebookを活用した地域活性化」や「鎌足桜の保護育成と広報活動」「木更津こども人形劇場」「木更津さかんだな祭り」「おっぺせ木更津!だっぺ村」 など多様である。個人的にも「太田山竹取ものがたり」 にはスタッフとして協力しているので、こちらも身近な活動である。
 
 この双方の柱には制度上の差が存在する。「地域自治」の方は地域負担がない事に対して「活動支援」の方は対象経費の2/3で50万円が上限である。従って90万円規模の事業を行おうとした場合は2/3の60万円は上限に達しているため50万円までしか支援されず、自己資金が40万円ほど必要になるのである。
 また「活動支援」では一団体につき年1回の交付で、かつ同一事業は通算3回までしか支援を受けられない。毎年のように続けたい場合は4年目以降は完全に自己負担となるのである。
 
 このような制度の差を捉え「地域自治」に対して厳しい意見も聞くが、個人的には公民館で自主事業を企画するより住民の主体的参加という意味での効果が大きく、まちづくりの面だけでなく防犯防災等でも地域力を高める結果に繋がることになるので、事業費の割に効果は大きいものと考え、基本的には継続すべきものと考えている。逆に「活動支援」の側で支給基準が厳しいのではと考えながら、先月30日に会派で金沢市の制度を視察に行ったところ回答の一つがあったと感じた。
 
 金沢市の市民活動は自己負担が無くても良いが、複数年度に跨る事業が出来ない制度であった。翌年以降は全額自己負担になるのかというと、事業の必要性を市が認めた場合は「活動支援」というような形式ではなく、市の事業として実施し、改めて当該団体に委託するような対応をするという考えは斬新であった。
 この仕掛けの核は「活動支援」の事業計画を作成する際に市の担当課を指定し、その課と協動で行うことである。市民に金を渡して好きにして貰うというのではなく、市の関与の元で事業が進むため、その効果が行政にも認識されるのである。これは市の職員にも協動事業の理解が必要となるが、良い取組と思われる。
 更には市が取り組みたいテーマと金額を示し、それを実施して貰う団体を公募する制度には先進性を感じてきたところである。今回の9月議会でも有休農地の市民利用、高齢者の働く場など、市民の協力が必要な質問を行う予定であるが、金沢のようにパートナーを募集するという制度を視点に加えねばと考えながら今回の記載を終えようと思う。