有害鳥獣を考える
2016/01/08記
 新年早々に農協の役職員大会があり、その時の雑談の中で有害鳥獣の駆除を行政としてもしっかり取り組んで欲しいという要望が出された。また市民まちづくり塾の会合でも駆除した猪の肉を処理するルートがなくて困っている人達もいると聞いた。
 
 有害鳥獣といっても猪だけでなく、鹿、猿、キョン、アライグマ、ハクビシン等の様々な動物が房総半島を闊歩しており、その生息域は広がる一方である。それにつれて山蛭の生息域も拡大するであろうから悪い病気が広がらないかも心配である。
 農家の直接的な経済被害に留まらず、作物を育てても獣に食べられるだけだからと生産意欲が低下し、特に中山間地は耕作放棄地が広がり、それが更に不法投棄の誘発に繋がるなど環境へも悪い影響を与えていく。優先的、かつ早急に取り組むべき課題であることは間違えない。
 
 房総半島の猪は絶滅したがハンターが狩るために放したものが増えて現在に至っていると聞く。猪は増える一方なのにハンターは絶滅しそな状況である。木更津市農協でも職員が猟銃の免許を取って駆除に乗りだろうとしているが、どうせなら陸上自衛隊の演習で一斉に駆除できないものだろうか等の妄想も広がってしまう。
 罠に掛かったり鉄砲で仕留めた猪は大きすぎてKCSで焼却できず、市では穴を掘って埋めて貰うように頼んでいるらしいが、根の張った山で大きな穴を空ける事は困難であり、処分場が求められている。
 猪については2014年の1月29日に島根県美郷町での先進的な取組を個人的に視察させていただき感動したが、隣の君津市でも行政が協同処理場を建設して肉としての供給を目指している。上手く行っているという話は残念ながら聞かないし、大多喜町の道の駅での取組も軌道に乗るまでには至っていないようだ。
 
 猪の肉は臭いとか堅いとか言われているが、昨年の11月29日のイベントで食べた肉は臭いもなくて美味しいものであった。この味を多くの人が知り、安全が保障される中で品質や数量が安定して供給できれば使う料理店も増えるだろうと感じるものだった。
 
 日本が海外から肉を輸入するだけの経済力が無くなった場合は身近な栄養源として食べ尽くされると思うが、これらの有害鳥獣が安心して生きていけることは日本が豊かになったからであろう。同じように非正規雇用で経済的に追いつめられているという人達も新たな職業として「またぎ」を選択しようと考えないことも、やはり豊かな生活を続けたいと願うからであろう。
 世界有数の森林率を誇る我が国で林業が衰え、山の生き物に生活が脅かされると言う状況は何かおかしいと思いながら、現実に即した有効な対策をと、年頭で考えながらとりとめのない今回の記載をしている次第である。