保育園問題を考える
2016/03/13記
 先日、学童保育にかかわっている方から「若いお母さん方から最近は保育園に入れない」という相談を受けたというメールが届いた。現在開催中の予算審査委員会でも保育園の待機児童の状況が話題になり、3月1日現在では268人の待機児童があるという報告がされた。12月末では228人であったから2ヶ月で40人も増加している状況である。市の見通しでは小学校への進学等で4月当初には百人程度に収まる見込みだという事であるが、依然として高い値である。
 
 木更津市も平成22年9月に私が議会質問をした頃までは危機感に乏しかったが、その後は手をこまねいていたわけではなく、保育定員120人の請西保育園を平成25年4月に公設民営で開園し、平成27年4月には社会福祉法人長須賀保育園が波岡地区に同じく保育定員120人のさとの保育園を開設する支援も行ってきた。さらには定員の弾力的運用で若干越える数を受け入れるとともに、なのはな保育園などの認可外保育園に預ける子供にも一定の条件の中で補助を行って来たのである。
 それでも子供の数が減る中であるにも係わらず、イオンモールや三井アウトレットモール等の働く場所が充実したためか保育需要が高まり、待機児童は増える一方なのである。
 
 市としても市立保育園であり建築物としては120人まで受け入れられる所を保育士不足で少ない定員としている吾妻保育園(定員60人)と久津間保育園(定員90人)は、保育士を確保することで定員を増やそうと考えている。そのために賃金を上げるとともに非常勤でも常時雇用の保育士には正職員より少ないが期末手当を支給する等の待遇改善案を今議会に上程している。
 さらには、小規模な保育施設や企業内保育所なども開設が続くし、幼稚園の中から認定こども園に変わる施設も出てくるので、受け入れられる数はもう少し増えるだろうが解消に至ることは難しいと推測している。
 
 それにしても、近年の急激な保育需要には正直、戸惑いを覚えてしまう。遙かに子供が多かった第2次ベビーブームの頃にもこれだけの需要は無かったし、木更津市立東清保育園は利用者の減少のため平成17年3月31日に廃止されるなど、保育園は減少していくものと認識していた木更津市職員が平成22年頃に居ても仕方ないと思える状況の中から、急激に保育園がクローズアップされて、ついには「保育園落ちた日本死ね!!!」なるブログが一世を風靡するに至っている。
 私が小さい頃には保育園でなく幼稚園に通う園児が多く、定員も幼稚園が多かったと記憶している。その頃は農家や商店でない限り結婚後も働く女性が少なく、子育ては母親の仕事であり、掃除や洗濯といった家事の時間を捻出するために幼稚園に預けていたのだろう。だから午後2時に迎えに行く事だって可能だったのだ。
 現在は残業もこなす女性が増えて、遅くまで対応してくれる保育園需要が高くなっているのは理解するし、子供を預けることが出来ないと会社を辞めなければ成らない状況に追い込まれる人が出ているのも解る。では何で、遅くまで授業を続ける幼稚園といった需要が発生しなかったのか、それとも制度的な障害があって無理だったのか、それは今後検証をしたい。
 
 いずれにしろ今は急激な幼稚園から保育園のシフトで保育士が奪い合いの状況になっているが、波が幼稚園に戻ったときに保育士の資格を持った人が溢れる場合も無いとは限らない。幼稚園教諭と保育士という資格の壁は国において解決してもらわねば成らないが、進展する少子化の流れを少しでも食い止めるように、行政として現状で出来る子育て支援に正面から取り組むしかないと、戸惑いつつも考え続ける日々である。