待機児童を検証する
2016/04/12記
 先月、「保育園問題を考える」という項目で保育園の待機児童が増えている事の概要を書いた。そこでも平成25年4月の請西保育園と平成27年4月のさとの保育園を、それぞれ保育定員120人で開設しているのに多くの待機児童が出ている事を記載した。
 
 今回はそれを検証するために平成15年度以降の市内の保育園定員と保育実数等を調べてみたものが下表である。なお、数値は各年度の4月1日現在の値である。
年度 園数 定員 実数 入所率 待機 備考
平成15年 14 1,280 1,201 93.8% 0
平成16年 14 1,320 1,288 97.6% 0
平成17年 13 1,295 1,342 103.6% 0 東清保育園閉鎖
平成18年 13 1,295 1,310 101.2% 0
平成19年 13 1,295 1,327 102.5% 0
平成20年 13 1,315 1,375 104.6% 0
平成21年 13 1,315 1,383 105.2% 0
平成22年 13 1,325 1,385 104.5% 0
平成23年 13 1,345 1,414 105.1% 0
平成24年 13 1,345 1,439 107.0% 3
平成25年 14 1,465 1,526 104.2% 10 請西保育園開設
平成26年 14 1,465 1,563 106.7% 7
平成27年 15 1,615 1,679 104.0% 65 さとの保育園開設
 
 表に示すように平成16年までは保育園の定員を下回る幼児しか居なかったため当時定員40名(実数は平成16年で15人)の市立東清保育園を閉園しているのだが、その後は常時定員を上回る状況が続いており弾力的運用で凌いでいる状況になっている。
 因みに上表を定員と実数だけでグラフ化すると下図になる。
 
 
 平成22年より明かな増加傾向に入り、定数の増が追いつかない状況にあることが一目瞭然である。
 
 さて、この様に定員の増が追いつかない状況なので待機児童が発生することになる。因みに最初に待機児童が発生したのは平成23年7月の事であり、平成28年4月現在は92人(内訳0歳児3人、1歳児59人、2歳児30人)である。
 3月に6歳児が卒園し、4月には3歳児の内の一定数が幼稚園に入園する事から例年4月には待機児童数が減少する。上の表に示している待機児童数は最小となる4月1日の値であり、年度途中で報告のある毎月の値は劇的に変化する。それをグラフにしたものが下図である。
 
 
 近年は保育園に入園させるための「保活」なるものも流行していると聞く。都内では僅かでも保育園に入る確率を高めるため、保育園に預ける間は離婚して片親に成ったり、遠くに引っ越して通勤時間を1時間以上に成るように調整しているという、冗談のような報道が有ったが、対岸ではそのくらい厳しい状況なのであろう。
 木更津市においても4月が入所しやすく成るため、春からの入所を希望する人が早めに申し込む(≒待機する)ことで年度末の待機児童数が増えるし、無認可保育所等に入所しても、認可保育所入所希望のままであれば数から減ることはないので5月以降は希望者が増加する一方となる。それにしても待機数を示す波形が年を追う毎に大きくなり、平成27年度の勢いから推察すると平成28年度はどうなるだろうかと心配になる。
 因みに平成23〜27年の5年間における待機児童数の年齢別平均値を計算すると、0歳児が28.1人、1歳児が24.2人、2歳児が10.8人、3歳児が2.4人で、4歳児と5歳児は今まで待機状況になったことが無いことも明らかになった(文末に表を添付)。これはその年代なら幼稚園という選択肢があるからと思われる。
 
 これだけ保育園の要望が高いので有れば幼稚園の園児が減少しているのかと思い、市で資料の入手できた平成21年度以降の値を調べてみたところ、下表に示すように、園毎に違いはあるものの総数はほぼ変動していない。なお、数値は各年度の5月1日現在の値である。
 本市の6歳未満児の人口は横ばいなので保育園ニーズだけが純増しているという事が解るのである。 
幼稚園名 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
岩根みどり 183 201 192 190 185 205 183
みつわ 207 210 205 204 205 205 202
きさらづ 100 108 114 147 143 149 143
第二みどり 166 176 177 173 170 182 169
清見台 164 170 173 211 189 213 211
畑沢 161 175 170 157 162 168 185
木更津つくし 234 229 234 233 240 243 248
百谷学園 254 259 250 238 236 215 189
高柳 168 151 143 152 151 150 134
金田 36 32 29 28 30 33 36
八幡台 182 186 191 198 193 189 185
木更津いづみ 39 27 29 19 10 0 0
つくしの森 119 111 123 112 106 116 118
合計 2,013 2,035 2,030 2,062 2,020 2,068 2,003
 
 この表をグラフ化すると下図のようになる。
 
 
 平成27年5月1日で2,003人の幼児が幼稚園に通っており、同年4月1日現在で保育園に通う幼児数1,679人を上回っている状況であるが、幼稚園の中から認定こども園に業態を変更するものも有ると聞くので、近いうちに保育園の方が幼児を預ける主流に躍り出る事になるのであろう。時代の変化を感じつつ、行政に様々な対応が求められていることを痛感しながら今回の記載を終える。
 
 下表は待機児童の月別推移のグラフ化した元のデータである。今後の参考として添付する。なお、数値は各年各月の末日現在の値である。
年・月 幼児の年齢
0 1 2 3 4 5
H23 4 0 0 0 0 0 0 0
5 0 0 0 0 0 0 0
6 0 0 0 0 0 0 0
7 3 0 0 0 0 0 3
8 3 8 0 0 0 0 11
9 8 8 0 0 0 0 16
10 15 5 0 0 0 0 20
11 21 6 0 0 0 0 27
12 23 4 1 0 0 0 28
1 29 12 0 0 0 0 41
2 29 11 8 0 0 0 48
3 30 11 8 0 0 0 49
H24 4 0 3 0 0 0 0 3
5 0 7 0 0 0 0 7
6 0 4 2 0 0 0 6
7 0 6 4 0 0 0 10
8 0 10 9 0 0 0 19
9 11 16 11 0 0 0 38
10 13 15 0 0 0 0 28
11 20 16 0 0 0 0 36
12 27 11 2 0 0 0 40
1 36 17 8 0 0 0 61
2 35 18 10 0 0 0 63
3 40 17 3 0 0 0 60
H25 4 0 10 0 0 0 0 10
5 0 6 0 0 0 0 6
6 0 8 0 0 0 0 8
7 0 17 2 0 0 0 19
8 6 23 0 0 0 0 29
9 18 21 3 0 0 0 42
10 26 19 4 0 0 0 49
11 28 22 3 0 0 0 53
12 28 22 3 0 0 0 53
1 47 27 6 0 0 0 80
2 52 28 3 0 0 0 83
3 56 26 0 0 0 0 82
H26 4 2 5 0 0 0 0 7
5 3 5 0 0 0 0 8
6 11 4 0 0 0 0 15
7 9 13 1 1 0 0 24
8 18 28 0 0 0 0 46
9 39 29 0 2 0 0 70
10 50 25 0 0 0 0 75
11 58 23 8 5 0 0 94
12 70 35 15 3 0 0 123
1 85 36 15 3 0 0 139
2 82 34 11 2 0 0 129
3 94 35 12 3 0 0 144
H27 4 0 37 21 7 0 0 65
5 0 39 25 0 0 0 64
6 0 43 31 8 0 0 82
7 0 52 32 4 0 0 88
8 11 48 33 3 0 0 95
9 37 54 36 6 0 0 133
10 56 63 41 9 0 0 169
11 67 76 53 17 0 0 213
12 78 82 55 13 0 0 228
1 93 84 54 14 0 0 245
2 105 85 57 21 0 0 268
3 116 85 57 21 0 0 279
平均 28.1 24.2 10.8  2.4  0.0  0.0 65.5