基地関係要望を提出する
2016/10/01記
 昨年は10月30日に木更津基地で米軍のオスプレイを整備する事が決まったという報道を受けて12月議会の最終日である12月15日に可決し、12月22日に提出したものであるが、予算要求が終わった後での要望では機を逸しているのではないかという反省が有ったため、本年は9月議会での対応に変更した。
 26日の最終日に可決後、速やかに提出すべく先方との日程調整を事務方で進めていただき、議長・副議長と基地対策特別委員会の委員長である私の3名で9月30日の午後に北関東防衛局へ提出する運びとなったので報告する。
 まずは全文をご覧いたdきたい。
 
基地対策関係施策に関する要望書 
 
  陸上・海上・航空の3自衛隊基地を抱える木更津市でありますが、議会といたしましては、基地に対する周辺住民の理解と協力を得るため、生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているところであります。
 昭和11年の木更津海軍航空隊の開隊により、木更津市は「軍都」としての歴史を積み重ね、基地とともに発展してきました。太平洋戦争終結後、米国空軍及び海軍が駐留し、昭和27年の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(旧安保条約)の締結等により、在日米軍に提供されたものの、昭和31年に航空自衛隊木更津基地が発足し、在日米軍の撤収後も自衛隊の部隊が駐屯し、現在では全国でもまれな陸、海、空の全てが存在する都市となり、市内にも数多くの自衛隊員が居住し、自治の一翼を担っていただいております。
 しかしながら、工場立地に好条件の東京湾に面した海岸線を有しながら、滑走路を有した木更津飛行場が立地することで、京葉臨海工業地帯が本市を回避する形態で造成されることとなり、近隣市に比べ法人税収増大の機会を失うばかりか、固定資産税に見合うような交付金も受けることが出来ず、木更津市は厳しい財政状況下にあります。
 日本の国防のための自衛隊の存在は理解しますが、国においては、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中で、本市が果たしている役割を十分ご賢察いただき、平成27年に引き続き下記事項の実現を図るよう強く要望します。
 平成28年 9月26日
北関東防衛局長 平 井 啓 友 様
 千葉県木更津市議会議長  滝口 敏夫
基地対策特別委員会委員長  近藤 忍
 
1.本市を「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」に規定する再編関連特定周辺市に指定すること
 平成27年10月30日に防衛省から、木更津駐屯地内の格納庫において米海兵隊オスプレイの定期機体整備を行うと連絡があり、その後、平成29年当初に機体整備が始まると説明がありました。このことは、本市住民にとって、在日米軍再編に伴う大きな負担であり、その影響は計り知れません。特段のご配慮をいただきたく、本市を再編関連特定周辺市に指定するとともに同特措法の期限を延長するよう要望します。
 
2.基地周辺対策経費の所要額を確保し江川総合運動場の早期整備をすること
 特定防衛施設周辺整備調整交付金は、基地周辺住民の基地に対する理解と協力を得るために重要な施策であり、木更津市もこの交付金を活用し生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているものの、基地の所在による特殊な財政需要の増大により厳しい財政需要にあることを鑑み、交付金の所要額を確保することを要望します。
 また、平成27年度より工事に着手された江川総合運動場は基地の存在に伴う航空法の制限地域でもあり、かつては多くの住民が居住していた集落から先祖代々の土地を国に譲り移転していった場所であります。当該場所に人々が集い楽しむ運動場が出来ることは基地に協力してきた周辺住民にとっては祖先の土地が有効に活用される喜びを育む事業であり、広く木更津市民にとっても運動施設の整備は待ち望まれている事であります。平成29年度以降も早期完成に向けた予算の充分な確保と事業の進捗を要望します。
 
3.住宅防音事業の充実強化を進めること
 環境整備法(防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律)第4条に規定する飛行場等周辺地域における騒音基準値(現行62db)を航空機騒音の環境基準値(現行57db)以下に引き下げるとともに、騒音被害を把握するため常時測定を行い、実態に即して補助対象区域を拡大することを要望します。
 また、緑地帯や緩衝地帯については地域の環境を悪化させないよう適切な管理を講じるよう要望します。
 
4.地域との共生に務め防災や産業活性化に寄与すること
 木更津駐屯地は中央即応集団の一翼を担う第一ヘリコプター団の常駐により日本国内はもとよりアジア各地の災害に対応する能力を備えておりますが、地元自治体とも災害時の協力体制を構築し、防災の拠点機能を高め住民の安全確保に寄与することを要望します。
 また糧食、物件の地元調達を促進するとともに、防衛施設関係工事及び維持修繕等の地元企業の受注機会の確保、基地関連企業の法人登記及び従業員宿舎を市内に設置し、市民の雇用を積極的に行うよう指導することなど、地元産業の活性化を通じて地域との共生に務めることを要望します。
 
5.基地に関する市民の安心安全を確保し市民に情報を提供すること
 米海兵隊オスプレイの定期機体整備について木更津駐屯地内の格納庫において民間企業が行うことの発表があり格納庫の改修工事が進められておりますが、安全の確保や環境の遵守を文書として示すことを求めている本市議会の要望に対し、未だ回答がありません。早急に市民へ十分な説明と情報提供を行うことを要望します。
 また現在運用している各種航空機等についても事故防止のため、安全対策を徹底するとともに、万が一、事故発生の場合には、その実態を速やかに市へ報告し、被害に対しては速やかに十分な補償措置を講じ、原因究明を行って再発防止に万全を期することを要望します。
 
 上記の文章ではこの日の提出先である北関東防衛局長宛に成っているが、防衛大臣(稲田朋美様)、防衛装備庁長官(渡辺秀明様)、地方協力局長(深山延暁様)宛の要望書も北関東防衛局長から進達していただくように渡してきた。
 北関東防衛局は局長・次長を始め企画部長・調達部長・管理部長・防衛補佐官や各セクションの課長、室長等も控えて総勢13人で対応していただき、当方の議会事務局も含めた5人に対して丁重なる対応であった。それだけ今の木更津は重要な位置付けなのであろう。
 
 昨年の要望書との違いは、提出先を前段の4箇所にしたことと、木更津市議会に基地対策特別委員会が存在している事を示すべく他市に習って委員長名を追記したこと、文章の体裁の調整や時間経過の整理等の細かな点はあるが、主要な点は1項目の特措法の延期と対象市への追加要望の項目を新規に追加したことと、最後の項目の安全確保と環境遵守の文書が未だに示されていないという点の追加である。
 この事を含め全体について北関東防衛局で説明を受けてきたが特措法については財務省の対応が厳しいことなどより困難な状況である事と、文章での回答については現在調整中であること、また4月に予定しながら突如中止になった実機による騒音測定についても検討を進めていることなどを伺った。具体的なスケジュールは示されなかったが、前回のようにバタバタとすることは避けていただきたいものである。
 
 新年になると沖縄からオスプレイが飛来する予定で物事が進んでいる状況の中、整備基地の視察や文章の確認など、事によっては12月議会の開始を待たずに特別委員会を招集する必要が生じることも有り得ると考えながら、残された年内での対応を臨機応変にする覚悟を決めてきた一日であった。