会派提言を提出する | |
2016/11/03記 | |
先月の21日は議員全員協議会があった。昨年は9月17日に行った会派要望を今年はおよそ一月遅れて市長に提出したのであるが、その報告も2週間以上遅れてしまった事をお許し頂きたい。 今回も6人の議員が原則1項目を担当する事にしたが、最終的には昨年同様の8項目に成った。「行財政運営要望書」として提出した項目は下記の通りである。 1 財政健全化について 2 交通インフラの有効活用について 3 江川総合運動場の整備・活用について 4 福祉施策の更なる推進について 5 子育て支援の充実について 6 小中学校の教育環境早期整備について 7 道路整備について 8 土地利用計画の見直しについて 部事に整理すると1が総務部、2が企画部、3が市民部、4と5が福祉部、6が教育部、7と8が都市整備部となる。具体的な内容は長文であるが下記に記載する。 |
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要望1 財政健全化について 要旨 1 大胆な行政改革を進め、行政サービスを維持しながら歳出の削減を進めること 要望理由 平成27年度の決算を見ると、地方消費税収入が前年より約9億円増えるとともに、順調な企業進出に伴う法人市民税の増加も続いています。転入超過による社会増で安定した人口増加が続き、個人市民税も手堅く推移するとともに、転入者の行う建築行為で固定資産税も伸びています。さらには9月20日に千葉県が発表した平成28年基準地価調査結果でも木更津市の住宅地の価格が県内で最も上昇していることは、将来の税収増加につながることが予想されます。 この様に木更津市を取り巻く社会環境は市の税収増につながることが多く、前の水越市政当時の地価下落に伴う税収減の中で長年に渡って土地開発公社の負債を返済するため「アドバンスプラン」に従って厳しい財政運営をしていた頃とは状況が違う様には感じられます。しかし、その当時に先送りした社会資本の更新時期のピークが迫る中で高齢者の増加による民生費の増大も進み、近い将来には人口減少も予想されるなど木更津市の将来を見通すと目の前の好環境に浮かれていることが出来ないことは明かです。渡辺市長もそのことを理解した上で、公共施設の再配置や手数料・使用料の見直しを進めるなど、行政改革を進めていることは充分認識します。 しかしながら、近年の行政運営を鑑みれば、シーリングによる予算の一律削減を行う一方で、職員の地域手当は増額を続け、消防や道の駅といった大型の新規建築計画が進み、保育園の民営化や学校適性配置の具体化といった地域に痛みを与える事業は先延ばしになっていると感じることがあります。 堅調な歳入に目を向ければ、収納率は若干改善されつつあるものの依然県下では下位に甘んじており、その改善は急務のことでありますが、他にも不在地主による遊休農地を雑種地に地目変更することの税率変更や市街化調整区域の住宅密集地を用途編入することで都市計画税を賦課するといった歳入増加対策の余地も多く残っています。 安定的な税収が期待される今の時期にこそ大胆な改革を行うべきであります。既存市街地の価値を高めることで更なる税収増を進める一方で、必要な合理化を図り、将来に向かって持続可能な都市運営を進めるための絶え間ない改革を進めていただくことが必要です。「入るを量り、出るを制す」ことは今に続く教訓ととらえ、財政健全化を要望します。 要望2 交通インフラの有効活用について 要旨 1.東京オリンピックを前提とした木更津飛行場の官民共同利用を研究すること 2.木更津港のクルーズ船寄港を念頭に置いた施設整備と海の駅を有効活用すること 3.JR内房線巌根駅のバリアフリー化と全快速列車の停止を実現すること 4.アクアラインバスの木更津〜金田間に新たな停車場を設置すること 要望内容 木更津市はアクアラインを活用した活性化が進み、金田東地区や築地地区に大型の商業施設が進出する中、対岸との交流人口も増加しています。しかしながら、アクアラインだけが前面に出ており、陸海空の結節点である木更津の交通インフラの機能を充分に活用しているとは言い難い状況にあります。 東京オリンピックを間近に控え、混雑緩和が課題となっている羽田空港に近接する木更津飛行場には1800mの滑走路が有り、近年需要が増大しているプライベートジェットの離発着が可能である状況にも係わらず、日米安保協定で米軍の専用権があるためか、オスプレイは整備で飛来するものの、民間機による利用は依然として出来ない状況が続いています。 また、木更津港においても川崎航路のカーフェリーが廃止となった以降は、現在まで定期航路の開設もなく、駅からわずか700mに立地する港という好条件が引き出されている状況ではありません。近年は東海汽船の高速船が臨時に寄港することや、大型クルーズ船を誘致するための協議会も活動を始めていますが、具体的な活性化策が示されているまでには至っていません。 さらに陸上交通を見ると、JR内房線巌根駅が千葉君津間で総武線快速列車が停車しない唯一の駅と成り、アクアラインバスが金田総合バスターミナル経由となる中で岩根地区を素通りすることで、岩根全体のポテンシャルが低くなり、人口の減少や地価の停滞が生じることで、市の活力を損ない、税収の獲得機会を失しなっています。 これらのことから、木更津市の将来の可能性を広げるためにも、既存の交通インフラを最大に活用できる施策展開が必要であると考え、昨年に引き続き、交通インフラの有効活用を要望します。 要望3 江川総合運動場の整備・活用について 要旨 1.江川総合運動場を早期に整備すること 要望内容 リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが終了し、今後、世界各国では、次回開催地である東京オリンピック・パラリンピックへの関心が高まり、準備に関する動きが加速化されると思われます。 江川総合運動場の整備は、本市にとって交流人口の増加による更なる活性化、市民の運動意欲の向上、運動習慣の形成による健康寿命の延伸、子どもたちの運動スキルの向上、国際感覚の育成等々の面で、極めて有効であり、強力に推進していくべき施策であると考えます。 そして、その施策推進のために、必要不可欠なものが、江川総合運動場の整備であります。江川総合運動場が整備されれば、本市の東京へのアクセスの良さ等、立地条件を勘案し、本市でのキャンプを希望する国は少なくないと考えます。 また、本市には市制施行以来、陸上競技場がなく、小中学生の陸上大会や駅伝・ロードレース大会の会場を袖ケ浦市、富津市に借用している現状があります。永年の悲願である市独自の陸上競技場が整備されれば、市内小中学生の運動意欲、運動スキルの向上に結びつくことは間違いありません。 以上の理由から、取り付け道路を含めた江川総合運動場の整備を早急に予算化し、オリンピック・パラリンピックキャンプ地誘致に向けた整備計画を明確にしていくことを強く要望します。 要望4 福祉施策の更なる推進について 要旨 1.待機児童の解消及び高齢者福祉施策の充実を図ること 要望内容 待機児童の解消について 人口減少が顕著である国内おいて、本市においては逆に増加の一途を辿っています。しかしながらその勢いには、やや鈍化傾向も見受けられるようになってきました。人口増加の後押しをしている子育て世代の中には仕事に就きたい、或いは前職に復帰したい状態であるにもかかわらず、お子様を預ける先がなく困っている世帯も多く、待機児童(とりわけ0歳〜3歳児)の解消は喫緊の課題です。 そこで1つ目として、十分な保育士の確保に努めることを要望します。現在も広く保育士の公募を行っていますが、これに加えて、一線を退いている有資格者に直接働きかけ、任期を決めた積極的な採用に努め、更に、有資格者の給与体系を大幅に見直すよう要望します。 2つ目として、総量の適正化の観点より新たな公的保育園を設置することなく、学校等の既に今ある市有財産を有効活用するよう、福祉部と教育部の連携を要望します。 高齢者の日常生活における利便性向上について 1つ目として、買い物難民の解消をすることを要望します。郊外の大型店舗が賑わいを見せていることは喜ばしい事ですが車の運転をされない高齢者の中には日用品の買い物にも不便を感じている方がいます。とりわけ、バスなど公共交通機関が充実をしていない地域においては問題が深刻化しつつあります。そこで徒歩圏内に日用品を扱う商店の設置、或いは同様のサービスを行う商店(配達含む)や事業者への公的な補助を行うよう努めることを要望します。 2つ目として、高齢者が安心をして徒歩で移動できるよう安全な歩道整備を進めることを要望します。 3つ目として、判断能力の低下がみられる高齢者(精神、知的障害を含む)の身上監護を確保するために、平成27年度に育成した市民後見人の継続的なスキルアップと活動の場の提供に努め、市民同士が見守ることができる市民後見人の活用を図ることを要望します。 要望5 子育て支援の充実について 要旨 1.子ども成長支援センターを早期開設すること 要望内容 現在、核家族化の急激な進行と一人親家庭の増加により、子育てに悩む家庭が急増し、虐待の通告や相談が激増している現実があります。そのような中、本市の調査によれば、通常学級に在籍し、多動性や衝動性があり、特別に支援が必要な子どもたちが6%を超えており、30人の学級には2〜3人が在籍していることになります。 現在、本市では、福祉部健康推進課、子育て支援課、障害福祉課、教育部学校教育課、まなび支援センターなどが子育て支援に対応していますが、部課が異なるため横断的な連携が取りにくい現状があります。そのため、早期に個別支援することが必要な子どもたちの保護者が相談場所に悩んだり、対応が遅れたりしています。 また、専門的に療育にあたる機関もないため、教育部まなび支援センター幼児言語教室が、そのニーズを一手に引き受けており、通所者が急増し、十分に対応できない状態が継続しています。 このような現状を打破し、子育て支援の充実を図るためには、現在の健康推進課、子育て支援課、障害福祉課、まなび支援センター等の機能の一部を一つにまとめ、出生から18歳までをワンストップサービスで継続的に支援できる機関が必要であります。 そこで、その機関として、木更津駅からも近く、立地条件としても適当である旧保健相談センターを利用し、療育機関、相談機関等を兼ね備えた子ども成長支援センターを開設することを要望します。 要望6 小中学校の教育環境早期整備について 要旨 1.小中学校の教室へエアコンを早期に整備すること 要望理由 近年、世界中で気象状況が急激に激変しており、我が国においても異常気象と言われる程の温暖化の影響により、大型台風の発生や通称ゲリラ豪雨と言う集中豪雨などが増加しております。新たな社会資本整備として国家強靭化計画が進められており、各家庭に於いても対応が進んでおります。 その様な中、一番懸念されますのが、夏季における気温の上昇で「夏は暑いもの」という言葉だけでは解決する事の出来ない状況であり、生命人体に関わる状況となっております。本市においても防災無線をはじめ安心安全メール等により市内全域で市民に注意喚起を行っている異常事態であります。 各小中学校におきましても、7月下旬から8月末まで児童生徒の体調や学習効率を鑑み夏季休暇を設けております。しかしながら、冒頭記載した理由により、木更津市内におきましても本年7月7日には観測史上最高となります35.6度を記録し、夏季休暇前後においても教室内の室内温度が上昇し、児童生徒の教育環境に重大な影響を及ぼしています。 本市の児童生徒の健康を守り、学習環境を整備する事が将来の木更津を担う木更津っ子を育む環境作りの急務であると考え、市内小中学校各教室へエアコンの早期整備への予算確保を強く要望します。 要望7 道路整備について 要旨 1.都市計画道路 中野畑沢線について (1)南部地域(桜井・貝渕工区)の早期開通及び着手すること (2)北部地域、袖ヶ浦市との接続を早期に着手すること (3)中央地域の道路改修を行い中野畑沢線の効果を高めること 2.都市計画道路 中里曽根線について (1)線形を再考し通称平成通りをアクアライン連絡道の側道に連結すること 要望内容 都市計画道路中野畑沢線は、本市金田地区から中心市街地を通り畑沢地区を結ぶ、総延長12,700mの道路で、本市西部を南北に貫く主要幹線道路として位置づけられています。本路線の整備状況を見ますと、北部地域では金田地区から新宿地先までは完全4車線化による開通がされ、南部地域の桜井工区では用地買収・墳墓の移転・文化財調査等に着手されております。 南部地区の貝渕工区では桜井工区開通後の着手との事ですが、交通安全の面から、桜井工区と同時開通して欲しいとの声があり、木更津市において想定交通量調査も行なわれました。そして、桜井工区のみよりも貝渕工区を開通させることにより交通量の減少が見られるという結果が得られ、貝渕工区の早期着手が望まれるものとなりました。 北部地域では、金田地区での大型商業施設開業等の影響により、休日には大変な交通渋滞が起きております。金田西地区の街開きを控え更なる渋滞が予想される中、来津されます方々や地域住民の生活環境を保つ為にも袖ヶ浦市方面に誘導路を整備することが必要不可欠であります。 さらに中央地域においては、既存の道路の改修により大型バスの通行可能な道路とし、これまで整備してきた中野畑沢線の価値を十二分に生かすよう求めます。 一方、都市計画道路中里曽根線は依然として未着工のままであり、袖ヶ浦市における いわゆる「平成通り」は本市境に於いて途切れたままであります。当該道路については見直しを図り、新たに平成通りとアクアライン連絡道側道とを連結する新しい計画を立てることを要望します。これにより木更津市の内陸部商業地域に袖ヶ浦市方面からの誘客をし、また本市市民が袖ヶ浦市方面に通勤することなど、市民の利便性が大変向上するものと考えられます。 市民ニーズの多様化や超高齢化少子化時代を迎えるにあたり財政状況の厳しい中、木更津市都市計画道路中野畑沢線早期整備延伸等に係る予算を十分に確保願い早期完成に向け確実に事業を推進して頂く様、要望致します。 要望8 土地利用計画の見直しについて 要旨 1.市街化調整区域除外申請要項の緩和を千葉県へ要望すること 要望内容 木更津市では現在、人口が増大傾向にありますが、人口増加は市街地にのみに見られ、市街化調整区域においては人口流出傾向が顕著であり、急務の課題となっています。逆に、人口が爆発的に増加している地域では、新築された学校でさえ教室が足りなくなるなどの問題が発生しています。 学校の教室が足りなくなる問題は、同年代の児童・生徒が集中して増加した為で、将来的には適正規模への変動が想像され、一時的な問題と思われます。しかし、流出した人口を元に戻す事は非常に難しいと考え、早急な対策が必要となっております。 市街化地調整区域は主に農業を中心とした地域でありますが、各農家の規模は小さく、高齢化・後継者不足や有害鳥獣被害などの問題により、農業自体が衰退傾向にあります。しかしその反面、就農を目的とする移住・定住希望者の数も増えてきています。 木更津市を始め、他自治体でも「空き家条例」「空き家バンク」などを進めており、すでに成果を上げている事例も多く見受けられますが、当市の農村部においては、空き家の割合が非常に低く、新規就農者の受け入れが難しいものとなっております。各地元としては、新規就農者の移住・定住は遊休農地・耕作放棄地の解消・減少につながると考えています。 現在でも市街化調整区域における地区計画制度を利用したまちづくりの方針が示されてはおりますが、まとまった範囲で関係する地権者の同意が必要となり、都市計画決定を待たねば成らぬ等、利用しづらい制度に成っております。 以上の観点からも、地元住民の理解のある移住・定住目的には、市街化調整区域の除外申請要項の緩和をすることが喫緊の課題であることが顕著であります。 バランスのとれたまちづくりのため、時代に沿った観光農業や市民参加型の農業の為にも、本市全体の活性化に効果を上げると思われますので、千葉県へ強く働きかけることを要望します。 |