空き家の活用を考える
2017/06/21記
 6月議会の質問のテーマは「持続可能」であったが、内容を盛り込みすぎて1時間の枠に収まりきれず、提案したいことの半分も伝えることが出来なかった。そこで、今回披露しようと考えていながら流れたアイディアを複数回に分割して記載したい。
 
 まず初回は「空き家の活用」である。
 
 世帯辺りの人口が減少する中、人口を維持しようとすると世帯を増やさねば成らず、それは住宅供給を続ける事を意味する。木更津市が人口増加と成ったのも羽鳥野・ほたる野・請西東等の区画整理に伴う住宅大量供給が有ったからで、仮にその安価で良好な住宅地の供給がなければ木更津市の人口は11万人を割り込んでいたかも知れない。しかし今後は千束台と金田西の終了と供に住宅供給が終わるのでその対策を考えなければ、という事が問題意識である。
 
 議会質問では@既存市街地にマンション建設を行う歳の助成制度を拡大する。A市街化調整区域における住宅供給を進めるための地区計画制度を利用しやすくする。B社会問題となっている空き家を活用する。といった3点を取り上げたが、これ以外にも市営住宅の政策的展開という項目も加えようと考えていた。しかし公共施設再配置計画で市営住宅を減らす方向が示されている中で方向性の違う提案は答弁が噛み合わないと考え通告から削除した。
 
 取り上げた提案のうち、行政負担が少なく様々な問題解決に繋がる方法が空き家の活用である。現在は管理不全な空き家が衛生面や倒壊の危険性で社会問題になっているが、そうなる遙か前の住宅が健全な状態で次の入居者に賃貸や売却で渡っていく仕組み造りをするべきであり、本年度に創設を予定している「空き家バンク制度」がそれを視野に入れるべきだという提案である。
 
 執行部も本年12月を目途に「空家バンク制度の創設」を検討している事を表明し、老朽化した「特定空家等」となる前に、健全な状態で賃貸や売買による提供が可能となり、空き家発生の抑制対策とともに、子育て世帯の定住誘導につながる人口施策として捉えているという回答があった。
 行政の信頼度と不動産業界の情報を上手く連携させ、空き家の所有者と利用希望者のマッチングを行うという事を検討しているようだが、個人的には現在居住している住人、特に高齢世帯で庭の手入れが負担になったり運転免許証返納を考え交通利便性の良い街中へ移転を考えている人などに積極的に制度を知らせ、市場を活性化するべきだと考えている。
 
 ただ提供される家の多くは築年数が経過してる物であり、所有者がリフォームしないと提供できないと考えているようで、その費用負担がネックになっているようだ。市は空家リフォーム助成制度の創設を検討するようだが、高齢者の趣味によるリフォームは新しい住民のニーズに合致するとは思えず、貸し主の負担が増えるだけという不幸な結果は避けるべきだと考える。
 
 国も空き家の活用を進めており、私は借り主が自らリフォームして居住する制度である「借主負担DIY型」賃貸借を普及させるべきだと考えている。この制度のメリットは、貸し主の負担の軽減や、自分の好みに応じたリフォームを借り主自身が行うことにより空き家の利活用の促進にある。
 市としては地元工事業者が行うリフォームだけではなく、借り主自らが行うリフォームを空家リフォーム助成制度の対象とすることを検討する、という打合せを都市整備部と済ませていたのだが、質問時間が無くてこのやり取りを行うことが出来なかった。
 
 昭和50年代に開発された住宅地では住民の高齢化が進み、買い物や通院への交通手段の確保が問題となっている。その様な場所から便利な賃貸物件に移動し、空き家は自家用車を所有する若者に貸すことで、地域の年齢構成も平準化し、学校の小規模化の問題も解決できるだろうし、借りる若者も住宅コストが下げられることでその分を子供への投資に回し、出生の増加につなげていけたらと考えている。またセルフリフォームで生まれ変わった住宅から新しいライフスタイルを発信し、それが木更津への移住を呼び込むという好循環を期待したい所である。
 
 こうやって整理してみると、テーマを絞って、ここを掘り下げるべきだったなぁ、と改めて反省する次第である。